お姉ちゃん、それなに?   作:えんどう豆TW

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菫子ちゃん視点


宇佐見菫子とコミュ障KYお姉ちゃん

 

 

 

結局街には行かず(妖怪だらけだからね)、そのままこいしの家に行くことになった。途中誰かと揉めていたようだが無事に橋をふさいでいた人を説得して通してもらえたみたい。ものすごい視線を感じたけどね。

で、やっとのことでこいしの家に着いたんだけど…。

 

「ようこそ!ここが私の家、地霊殿だよ」

 

でっっっっっか。でかすぎ。人が住むための家とは思えないくらい大きい。

 

「あー、うちはペットたくさん飼ってるからね」

 

いやそんな次元じゃないんですけど!?え、本当に?本当にこれだけ大きな家のほとんどをペットが占領してるの?動物園かよ。

 

「あ、もしかして動物嫌いだった?」

 

いや、むしろ好きだけど…。

 

「じゃあ大丈夫!入って入って!」

 

頼むから少しくらいは頭を整理させる時間を与えて欲しいな。

 

 

 

(あ、こいし様だ)

(人間?)(人間がいる)(人間だ!)

(なんで人間と一緒にいるんだ?)(なぁ、あれ食ってもいいかな?)

(馬鹿、こいし様のご友人に決まってるだろ)(あのこいし様が?)

(えーホントかなぁ)(でも楽しそうに喋ってる)

 

「ただいまー!」

「お、お邪魔します…」

 

すっごいジロジロ見られる。ペットから明らかに意志を持った視線を投げかけられてますよ。

 

(あ、あいつ媚に行きやがったぞ!)(抜けがけだ!)

(お菓子貰えるかな?)(さぁ?)

 

おお、猫ちゃんが私の元に…。人懐っこいペットは可愛いなぁ、よしよし私は何も持ってないけど撫でてやろう。あ、毛並み綺麗だ…。やっぱり手入れしてる人がいるってことよね。

 

「みんなお姉ちゃんのところに気が向いたら行って毛繕いしてもらってるし、結構自由だよ」

 

へぇ、こいしのお姉ちゃんって優しいのね。

 

「お姉ちゃんが?まっさか~!あそこまで性格の終わってる生き物もいないと思うよ」

 

生き物単位で!?いや会うのが怖くなってきたんだけど。

 

「だいじょーぶ!ねぇ、誰かお姉ちゃんの居場所知らない?」

 

こいしが聞くと集まっていた中の1匹(鳥かな?)が人型になった。あまりの出来事に脳の処理が追いつかない。

 

「さとり様ならお部屋にいらっしゃいます」

「ありがとー!それじゃ行こっか」

 

まだ脳の整理が出来てない。と、こいしについていく私を呼び止める鳥。

 

「人間、さとり様は口下手だが恐らくきっと多分…希望的観測に等しいが悪気はない。どうか気を悪くしないでくれ」

 

えぇ…。

 

 

 

「おねーちゃん!お友達連れてきたー!」

「と、友達?こいしが?」

 

ドアを開け放った先にいたのはこいしと同じくらいの背丈の女の子だった。紫と桃の中間のような色の髪を適当に整えている、こいしのセミロングとはまた違った風でまとっている雰囲気も異なる。見た目にそぐわず落ち着いた年長者のような振る舞いだった。

 

「ふふ、若い子から見たら私も御年寄ですね」

 

あぁーっと!そうだこっち心が読めるんだった!不味い下手なこと考えたら殺されるとりあえず思考をなんとかして上書きして…。

 

「そんなに焦らなくてもいいですよ?それに何を考えたところで人間の深層心理は常に上部の思考とは異なり無意識に考えてしまうもの、誤魔化しても無駄ですよ」

 

あぁ…ならもういいか。なんかさっきからこいしは変な顔してるし。

 

「お姉ちゃん、猫被ってる」

「当然でしょ?客人の前で普段と同じ振る舞いをするわけもなし、よ」

「ふーん」

 

何が不満なんだろう。それに口下手とか言われたけど、まぁ思ったことをすぐ口にする程度っぽいしそんなに心配することでもない気がする。

 

「もう、あの子ったらそんなことを。ペットに心配されるようじゃ私も落ちぶれたものですね」

 

あ、やば。なるべく考えないようにしてたのに。でもあの子が怒られるのならそれは心外だ。

 

「あの…」

「ああ、言わなくても結構。そんなことで怒ったりしませんよ。みんないい子ですから、悪意がないことくらいわかります」

 

なら良いんだけど。しかしアレだな、こっちの思ってることを口に出すもんだから会話いらずというかなんというか。却って会話のテンポが悪い気もする。

 

「これはまぁ、癖みたいなものなので気にしないでください」

 

いや気になるわ!はぁ〜めんどくせ、みたいな顔するな!こいしの言ってた事がようやくわかったわよ。こいしも嬉しそうにしない!

 

「賑やかね、貴方のお友達は」

「でしょー!結構飽きないんだ、菫子といると」

 

褒められてる…訳では無いわねこれは。

 

「でもせっかく来てくれたのだから、私も話が聞きたいわ」

 

私の事?聞いても特に面白くないと思うけど。

 

「それを決めるのは私です」

 

はぁ…。

 

 

 

 

そこからは質問攻めだった。文字通り質問攻めで、私が答える前にさとりが勝手に喋るからだ。

 

「外の世界ではどんな暮らしを?へぇ、寺子屋の何倍も大きい学び舎に通うのですか。優秀なあなたにはさぞ窮屈でしょうに」

 

「どうやって幻想郷を行き来してるのかしら?夢の中を?なら今あなたは外の世界では寝ているのですね、結構危ない状態よそれ」

 

「こっちでは何を…とは、聞くまでもないですね。こいしと似たようなことをしているのでしょう」

 

事情聴取とか任せたら1発で犯罪が見抜けるわね。幻想郷に法律なんてないけど。

 

「ふむ…。思うに、貴女の幻想郷旅行は貴女の記憶として存在する。つまりは貴女が望むだけ長くこちらに居ても外の世界では目覚まし時計とともに起きる。何故ならそれは起きた後に幻想郷に居た記憶が頭に残るから」

 

…何が言いたいのかわからない。

 

「私の推測ですが、貴女がこちら側に来ている時外の世界の時間は進んでいない。それは幻想郷が外と隔絶され時間軸が異なるから。だけど人間の記憶容量というのは決まっています。こちら側にリンクしすぎた貴女はいずれ目を覚まさなくなる。それだけの記憶時間が貴女に必要となるから」

 

ちょっと、怖いこと言わないでよ。こいしもさっきからずっと黙ってるし。

 

「いやー、お姉ちゃんが誰かと話してるのが新鮮でずっと観察しちゃった。まあでも、その時になったら幻想郷に住めばいいんじゃない?」

 

いや気楽に言ってくれるな!そう簡単に割り切れるわけないでしょ!

 

「とはいえ、いまの貴女はこちらに魂が来るのを制御できてない様子。今すぐに死ぬってわけじゃないんですし、もう少し気楽に構えていいと思いますよ」

 

そんな話された後で気楽にいれるかい!どうすればいいのよ!

 

「まぁ、直接貴女が幻想郷に来ればいいんじゃないですか?そうすれば少なからず貴女の体に時間が()()()ことは無いでしょう。多分ね」

 

でも寝てる時間は制御できないし…うぅ〜!

 

「悩んでも無駄なこともあるんですよ。楽しく生きていきましょうよ」

 

人間はすぐ死ぬんですー。そんな楽観的にいられるかい。はぁ…動物に癒されて来たい。

 

「でしたら、ご自由に。この館の至る所にペット達がいますから、乱暴しなければ自由に触れ合ってきていいですよ」

 

本当!?早速行ってきます!やったー!動物に囲まれるって1回体験してみたかったのよね。

 

 

 

 

 

 

「行っちゃったね。さっきはあんなに悩んでたのに」

「切り替えができるのはいい事じゃない。悩んでるよりマシよ」

「でも驚いたよ。お姉ちゃんがあんなに優しくするなんてどうしたの?別人?」

「酷いことを言うじゃない。サンプルケースとしてはレアなんだから、行く末を見届けたいだけよ」

「そういうとこだよ」

 




登場人物

・古明地こいし

出番少なめ。無意識少女からどんどんかけ離れてる。

・古明地さとり

マッドサイエンティスト。結局他人のことを自分の興味の対象かどうかでしか見てない。

・宇佐見菫子

生きて帰れるかなぁ。帰れるといいねぇ。
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