お姉ちゃん、それなに?   作:えんどう豆TW

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お地蔵さんのお友達

 

 

久々に登場した気がする、こいしです。いやずっと散歩してたけど、なんとなくね。ココ最近ずっと視線を感じてたんだけど、暫くなくなったと思ったらこれだよ。私を見つけるのなんて誰にも出来ないのにねー。

 

と、私が散歩をしていると生命力溢れるお地蔵さんを発見。おやおや、これはたいへん珍しいのでお参りしなければなりませんな。

 

可愛くメイクしてあげよっと。

 

「やめて!」

 

おお、本当に動いた。狸とか?

 

「お地蔵さんなんですけど!れっきとした!」

 

あらら、それはごめんなさい。でもメイク嫌だった?女の子なら可愛くなりたい願望はあると思うんだけどな。

 

「御手元の油性マジックペンで可愛くなれるとは思えないのだけれど」

 

そんなことないよ?私のお姉ちゃんは朝起きたらとっても可愛くなってたりするし。

 

「絶対変な顔になってるじゃない!」

 

そんなことないと思うけどなぁ。ところで貴女はどうしてこんなところに?瘴気が濃くって嫌にならない?

 

「うーん、そうは言われてもここに作られた地蔵だものねぇ。慣れよ、慣れ」

 

そんなもんかなぁ。でも、地底に住んでたら地底に慣れちゃうものね。そんなもんかな。

 

「住めば都ってね。ところで、今日はわたしのこわ〜い友達が遊びに来るから、ここから離れた方がいいわよ?」

 

怖いお友達?みんなが逃げちゃうほど?

 

「そうそう!見たらみんな逃げ出しちゃうもの。…あらら、噂をすればってやつね」

 

 

 

 

「こんにちわ、成美。…それと、珍しいですね。古明地こいし」

 

これはこれは閻魔様、姉がいつもお世話になってます。

 

「あれれ?2人は知り合いだったの?」

「知り合い…というよりは、私は彼女の姉の上司に当たるわね」

「うーん…?ってことはこの子は鬼?」

「どうしてそうなるのよ…。成美、貴女は少し地獄のイメージが雑すぎるわ」

 

そうだよ!私があんな四六時中うるさい酒飲みに見えるの!?

 

「そもそも鬼がどんな生き物なのかわかってない節があるわね」

「えへへー」

 

むむ、なんとなくキャラ被りを感じる…。

 

「何を対抗心を燃やしているんですか」

「ていうか映姫ちゃん、いつもみたいにお説教しないんだね」

 

確かに、私説教されたことないかも。

 

「こら。今の私は閻魔なのだから、映姫様か閻魔様と呼びなさいと言っているでしょう」

「えー、いいじゃん映姫ちゃんで。そっちの方が可愛いよ」

 

なんと、この閻魔を相手に舌戦を繰り広げる猛者がかつていただろうか。目には目を、地蔵には地蔵をってことかな。

 

「こほん。古明地こいし、貴女は…少し自由奔放過ぎる。古明地さとりがよく心配していましたよ?ちゃんと定期的に顔を見せてあげなさい」

 

はーい。

 

「それだけ!?いっつも長々と相手の心が折れるか相手が逃げるまでお説教するのに!?」

「失礼な、私は常に思いやりをもって説教をしているだけです」

 

おおー?もしかして私のこと気遣ってくれてたりする?

 

「…人のため、とはいえあくまで趣味の範囲です。人の深い事情に踏み込んで心をいたずらに荒らしたいわけではありませんから」

「…?」

 

思ったより優しいのね。でも大丈夫だよ、私は自分で選んで逃げたんだもの。貴女の言うことが届くかは別として、私は今を悔いているわけじゃないわ。

 

「そうですか。…私が見るのは過去だけ、未来は誰にもわかりません。貴女が幸せになれることを私は願ってますよ」

 

ん、ありがと。

 

「え、なに?実は闇が深かったり?」

「こら成美、言葉が過ぎますよ」

 

いいのいいの。ね、それより普段2人はどんなこと話してるの?私も混ぜてよ。

 

「いいよー。私よく映姫ちゃんから相談されるんだ。この間なんか…」

「わああああ!!貴女は少しどころか口が軽すぎる!!」

「もー照れ屋さんなんだから」

 

お、なになに?閻魔様の恥ずかしい話?聞きたいなぁ私。

 

「ダメです!黒!黒ですよ!」

「別に恥ずかしい話じゃないよ?みんなと仲良くしたいけど立場上難しいなぁって相談」

「成美いいいい!!!」

「何言ってんの映姫ちゃん、今そのチャンスがまさに転がってるのに見過ごすつもり?」

 

なーんだ、そんなことかぁ。

 

「そ、そんなことって!私はかなり真剣に悩んでるんですよ!」

 

別に悩まなくっても。じゃあ閻魔様は今日から私と友達ね?

 

「え、いやしかし私は立場的に・・・」

 

いーじゃん、閻魔様が友達作っちゃダメなんて誰が決めたの?誰も責めやしないよ。仮になんか言われても黒!って言っちゃえばいいじゃん。

 

「ね、こいしちゃん?もこう言ってるんだし。それに映姫ちゃんと私も友達でしょ?だからいいじゃない、閻魔は閻魔、映姫ちゃんは映姫ちゃんで。公私混同しないでしょ?映姫ちゃんならさ」

「成美…はあ、なんだか大変気を遣わせてしまったみたいですね。ごめんなさい」

 

いーのいーの、お互い様でしょ?しかし、お姉ちゃんが閻魔様を気に入ってる理由がようやくわかったよ。

 

「古明地さとりが?」

 

うん。貴女のこと、『あれで結構可愛い人よ』って言ってたの、やっと理解出来た。

 

「なっ…!ば、馬鹿な!心は読まれないようにしてたはず!」

 

いやいや、能力に頼り切って相手を見てるわけじゃないよお姉ちゃんは。仕草とか癖とか、そういう細かいところまで全部見て一人一人判断してるんだもの。きっと貴女の可愛い悩みもお見通しね。

 

「~~~っ!あ、あんな性悪とはお友達になりたくありません!」

 

おお、それは最高の褒め言葉だろうね。

 




登場人物

・古明地こいし

書くことがない。ホラー少女路線で行くつもりだったのにフリーダム自由人になったね。

・成美ちゃん

可愛いお地蔵さん。きっとマイペースだろうなぁって思いながら書いた。

・映姫ちゃん

可愛い元お地蔵さん。実はあんまり知らないキャラだったので解釈地雷タップダンスしてるかも。

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