お姉ちゃん、それなに?   作:えんどう豆TW

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お姉ちゃん、翼を授かる

家に帰ると、書類の山に埋もれるお姉ちゃんの姿が…と思っていた私は驚いた。そこにあったのは仕事に押し潰された姉の姿ではなく、かつてない速度で書類を裁く仕事できるウーマンだった。

 

「あら、お帰りこいし。あと少しで終わるから待ってて」

 

いつもは書類が溜まっているはずの机の左側はスカスカで、代わりに机の右側に処理の終わった書類の山が積まれていた。お空(ペットの名前だ)がせっせと処理の終わった書類をダンボールに入れていく。

 

「ど、どうしちゃったの・・・」

 

あまりの出来事に愕然とするしかない私は、結局お姉ちゃんの仕事が終わるまで立ち尽くしていた。

 

 

 

「今回の外出は短かったわね」

「う、うん。特に理由はないけどね」

 

特に理由もなく外出して特に理由もなく留まり飽きたら帰る、それが私の地上探索だった。

 

「どうしたの?」

「いや、さっき別人のように仕事をしてたから遂に煙草で頭がおかしくなったんじゃないかと・・・」

「私をなんだと思ってるのよ…。まあ、それはいいとして」

 

お姉ちゃんは得意げな顔になり口角を上げて私に衝撃の事実を告げる。

 

「私のかつてない仕事ぶりに驚愕したようね?ふふふ、聞いて驚きなさい。私はね・・・・・・翼を授かったのよ!!!」

 

メディーーーック!!!やっぱりお姉ちゃんは頭がおかしくなってしまっていた!

 

「お姉ちゃん!病院いこ!まだ間に合うから!」

「失礼な!まだギリギリ健康診断も引っかかってないわよ!」

「ギリギリなんだ!?ていうか体じゃなくて頭の病院だよ!」

「もっと失礼だけど!?」

 

ギャーギャーと騒がしい部屋に入ってきたお燐(これもペットの名前)が苦笑いで私に言う。

 

「私も最初に見たとき遂に頭がおかしくなったかと思いましたが、大丈夫ですよ。なんでも栄養ドリンクを買ったんだとか」

 

栄養ドリンク。改めてお姉ちゃんに顔を向けると、お姉ちゃんは頷いて私に一本の缶を見せた。その缶は青と銀のメタリックな色をしていた。文字は・・・読めない、英語って奴だろう。フランが書いてくれた手紙に似ている(あれは後日送り返して読めない旨を伝えた)。

 

「この飲み物の名前は*****。使用者の集中力を極限まで高め、仕事の効率を最大まで上げる叡智の結晶よ」

「こわ・・・」

 

なんか、聞いてると恐ろしい飲み物に聞こえる。名前はれ・・・なんだか発音できない。

 

「ふふ、仕事をしない貴女にはわからないでしょうけど、これはとても素晴らしい飲み物なのよ。こうして仕事後に倒れずに貴女と話せているのもこれのおかげなんだから」

「そ、そうなんだ。あはは・・・」

 

苦笑いしかできない。煙草の時は欲しいと思ったがこれは絶対に飲みたくない。

 

「お燐、そろそろご飯の支度をお願いしてもいいかしら?」

「はい、メニューはこちらで決めますね」

 

お燐が部屋から出て行く。お姉ちゃんの目はまだまだギラギラと輝いておりいつもの眠そうな瞳は何処へやらといった様子だ。

 

「で、翼ってのは?」

「まるで翼を授かったかのように体が軽いのよ。いつもの気だるさもない、これを毎日飲めば私は永遠に元気でいられるってことね」

「そんな美味しい話があるのかな・・・」

 

私は終始疑いの目を向けていたが、お姉ちゃんはこれを素晴らしい飲み物と言って聞かなかった。

 

「さて、仕事も終えたしご飯の前にお風呂を済ませましょうかね」

「洗いっこ!?洗いっこする!?やーん、お姉ちゃんのエッチ!」

「アホか、姉妹でしょうが私たちは」

 

お姉ちゃんと一緒にお風呂に入れるなんて(私が勝手に出て行くから)滅多にない!そんな数少ないチャンスにテンションが上がらないわけがないということだ。舞い上がる私の頭を叩いて抑えるお姉ちゃんに、そういえばとさっき聞きたかったことを思い出して尋ねる。

 

「その飲み物、何本飲んだの?」

「さあ?覚えてないけど2箱は空になったわね」

 

英語の書かれた空の段ボールが2つ転がっていた。

 

 

 

 

 

お風呂と食事を終え部屋に戻ってきた私たちに・・・いや、お姉ちゃんに電撃が走る。膝をつき顔を青くして口元を抑えるお姉ちゃんに駆け寄る。

 

「お姉ちゃん!?どうしたの!?」

「頭痛がするわ、は・・・吐き気もよ・・・。くっ・・・ぐぅ、な・・・なんてことなの・・・この古明地さとりが気分が悪いだなんて・・・」

 

相当重症のようで本気で病院に連れて行くことを考えるが、原因がわかってしまったので背中をさすりながらお姉ちゃんに告げる。

 

「代償のない力なんてないんだよお姉ちゃん。あれは栄養ドリンクじゃない、ただの元気の前借りね」

「うっぐぅぅ・・・」

 

結局その日はお姉ちゃんが気を失うまで私が看病する羽目になった。




登場人物

・古明地こいし

某格闘ゲームでコンピューターの最高レベルといい試合をする、そんな女。惜しげもなくクラウドを使う、そんな女。

・古明地さとり

能力をフルに使ってでもゲームで相手をボコボコにするタイプ。ベヨネッタ。

・お空

うつほはねー、みんなだいすき!地霊殿の最後の良心。

・お燐

ゲームは下手だけど遊びに誘われる、グループに一人はいるタイプ。
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