(4/6誤字と最後の抜けていた文章の追加と修正)
(4/8わかりにくい文章をわかりやすく修正)
(7/10心情をわかりやすく追加修正)
(9/3原作アニメにおけるしほがみほを勘当したかどうかが未定だったため追加修正)
まさかこのタイミングで見つかるなんて…。なんとしても協力してもらわないとね。
桃と柚子に指示を出しそれぞれが実行に移す。
柚子が達真を生徒会室へと案内している。柚子が荷物を持とうとするが、片手をひらひらと振りそれを制止しているようだ。
「…荷物全部片手で持ってるよ。結構重いと思うんだけどなー」
生徒会室へと歩を進める二人の背中を見つめていると、荷物をすべて持ってもらうのは罪悪感があるのか再度柚子が持とうとする。
先ほどと同じように制止する達真。なにか言ったのかその後に柚子は顔を赤くしている。
「小山が照れてる。なかなかやるねえ~」
データ通りの青年であるようだ。
桃の反応を見る限りでもそれは分かる。桃が知らない男性に荷物持ちを手伝わせるのは今まで見たことがない。
空回りすることも多いが努力家でそれをあまり表に出さないのだ。自身の頼まれごとや仕事は自分一人の力でやろうとする。
「…想定外のことがあるとすぐテンパるんだけどな」
柚子や自分に泣きついている桃の姿を思い浮かべ笑みを浮かべる。
「だからこそ…」
静かに目を閉じうつむく。
「……絶対に…、逃さない」
先程の笑みは消え。強い意志を宿した瞳で空を見上げるのだった。
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「…ダンボールはここにおいておけばいいのかな?」
「はい。そちらに置いておいてください」
了解。と今までの距離を感じさせない動作で軽々とダンボールを置く。
疲れてないのかな?学園の外からいままでずーっと荷物を持ってるのに。
「さて、これで終わりだし。そろそろ帰るよ」
会長に時間稼ぎを頼まれていたんだったわ!なんとかして居てもらわないと!
「その前にちょっとしつも…」
「あ、あの!お茶でも飲んでいってくださいっ」
突然の声に驚いた達真は自身の質問を遮られる。
「いや、学園の人間じゃないものがあまり長いはできないよ」
そう言って立ち去ろうとする。
「手伝ってもらったお礼もしたいですからっ」
なんとかこの場に居てもらおうと達真の腕を組み必死に引き止める。
剣幕にやや驚いたようで、たじろぐ達真を見た柚子はまくしたてた。
「それに、まだ二人も戻ってきてないですからっ。二人にもご挨拶をさせてくださいっ」
…確かに挨拶もせずに帰るのは失礼だな。でも他になにか事情があるのか?無理に引き留めようとしているような気がするけど。
…ちょっと様子を見るか。
その言葉に達真は、二人に黙って去るのも悪いとおもいこの場に留まる決心をする。
この場に残ろうとした理由はそれだけではないのだが…。
「わかったよ。二人に合わずに帰るのは失礼だね」
帰ろうと生徒会室のドアに向かおうとしていた顔を柚子に向け微笑む。
「もう少しだけ居てもいいかな?」
「は、はい!少しだけ待っててくださいね。お茶を淹れてきますから」
拘束していた腕を離し柚子は嬉しそうに給湯室に向かう。
「あ、小山さん」
「はい?」
給湯室に向かう歩みを止め、達真に振り返る。
「あんまり知らない人に腕をくまないほうがいいよ?誤解しちゃうから」
その言葉に自身がしていたことを思い出し顔を真赤にする。
わ、わたし!?男の人の腕を…!?それに…。
自身の特徴的な部分を両腕で抱え込む。
む、胸を……、当てて……。
ふと視線を向けると達真とバッチリと目があった。
「す、すいません~~~~~~!!」
胸が強調されたポーズのまま給湯室に走っていくのだった。
「男の腕を組むのって、流行ってるのかな?」
去っていった柚子の方へと視線を向けてそんなことをポツリと呟く。
「ケイとかよく腕組もうとしてくるもんなぁ。何度か注意したんだけど」
私と達真の仲じゃない!っと言ってやめてくれなかった。
「ダージリンやノンナもよく腕を組もうとしてきてたっけ」
紅茶持ちながらは危ないんだけど。と言うと、こんな格言を知っている?どんな姿勢だろうとも、我が校の生徒は一滴たりとも紅茶をこぼしたりはしないわ。とか言って誤魔化していた。
そこは戦車じゃないのか。
ノンナは…、多分カチューシャをからかってるんだろうな。腕組む姿を羨ましそうに見てるから。
確かにカチューシャじゃノンナと腕組めないからな。お姉ちゃんを俺に取られてるようで悔しいんだろう。
「女の子の間で流行ってるんだろうなぁきっと」
他にも腕を組もうとする彼女たちのことを思い出し苦笑をする。
「戻ったよー」「戻った」
ドアの方を見ると杏と桃が戻ってきたようであった。
「ごめんね。二人に挨拶をしたいと思ってお邪魔させてもらってるよ」
「いえ、気になさらないでください」
「そうそう。小山もお茶の準備してるし、ゆっくりしてってよー」
「よく分かるね。よくできた生徒さんだ」
再び給湯室に視線を向ける。
「もてなすのは当然。さ、河嶋。準備よろしく~」
「はい」
その言葉に桃は持ってきたものを準備する。
「準備?」
「そうそう、せっかくのお客様だからね。料理をごちそうするよ」
料理…。
「い、いや。二人にも会えたしこれで失礼するよ」
そう言い立ち去ろうとする。
聞きたいことを聞いて帰ろう!
「はい!お茶です!」
遮るようにお茶が届く。
「まあまあ、せっかく小山が淹れたんだからさ~」
う…っ。
さすがに飲まないと失礼だな…。
「味わって…。飲んでくださいね?」
わかってやっているのか、先程の熱がまだ下がってない染まった頬に目をうるませて達真を見つめてくる。
ご丁寧に上目遣い、胸を強調させるポーズもついている。
それは…ずるい…。
たじろぐ達真にさらに桃から追い打ちがかかる。
「もう少しくらい…いてもいいじゃないか…」
言った後にその台詞が達真にいてほしいと言ってるようなものであることに気づき慌てる桃。
な、なにを言ってるんだ私は!?こここ、この男に居てほしくなど…!!
……。達真の顔をちらっと見る。
えぇ~い!気にもなっていない!
「ほら!お前も準備を手伝え!会長の料理が食べられることを光栄に思え!」
か、会長さんが作ってくれるのかな?
桃のテンションに押され帰ろうとしているのを忘れて自分から話題を振ってしまっている。
「そうだよ~。あんこう鍋。楽しみにしててね」
にひひと笑う。
「会長の料理は絶品だぞ!料理がご趣味だしな!」
「ま、食べてってよ。損はさせないから」
一斉に達真に向かう視線。
あんこう鍋…。美味しそう…。
「ご、ご馳走に…なるよ…」
決して彼女たちの視線とあんこう鍋に負けたわけじゃない……………。
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あんこう鍋に舌鼓をうち、食後ののんびりとした空気。杏は食事の中で見た達真の印象とパソコンで調べた人物像を重ねる。
とはいっても、詳しい人物像なんかはわからなかった。
わかったのは 扶桑流 の人間ということ。扶桑流は何百年と続く武道、華道、茶道、仙道、忍道、そして戦車道。
今の数ある流派の中でそのすべての祖ともいわれている家系だということ。
西住流が戦車道における最古の流派と言われているが、扶桑流は西住流の始祖である。
その影響力は伊達ではないという。西住流、五十鈴流。それらでさえも扶桑流の影響をうけていると。
そして重要なのが扶桑達真のなした偉業。
これもはっきりとしたことはわからなかった。今の時代、男が武道やその道で名を轟かせるのは厳しい時代だ。
高校時代に達真が、戦車道全国大会優勝者に一輌対二十輌で勝ったという話。
これも事実かわからなかった。戦車道は男子が行うものではないスポーツであり、その試合が非公式であったためだ。
だが、唯一わかったことはある。それは、グロリアーナ、サンダース、アンツィオ、プラウダ、黒森峰、継続、はては大学選抜や今の戦車道を牽引している人物達。
その人物達すべてが達真の指導をうけていること。
これは学園のホームページをみるとわかった。
各学園での記念写真。それらに扶桑達真が写っていたのだ。
最後にダメ押し。黒峰森に席を置く西住まほと妹のみほ。その母であるしほとの写真に達真が映っていたのである。
写真をネット上にアップロードするイメージなど西住家の人々には無い。間違えてアップロードしたのかその写真はもうみれなかった。
だが、たまたまその写真を保存している人物がわかった。それを見せてもらい写真の存在がわかったのだ。
西住しほは厳しい人物だと言われている。西住流であることを優先し、娘たちにもそうあるように教える。
撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心 それが西住流。
だからこそ、黒森峰十連覇がかかった試合。自身の役目を忘れ、川に落ちた味方を助けに行ったみほを厳しく叱責したのだ。
戦車道に関してそこまで厳しいしほが、娘たちと一緒に写真を撮っているのである。
これは西住流に影響を与えている人物だというのは間違いない。
だから、いまの大洗に必要だと思った。
しかし、達真自身の情報がなさすぎた。現在実家にもおらず、一つのところにとどまらずふらふらとしていて何処にいるのかわからなかった。
もう時間もない。そんな中、桃が荷物を運んでもらった男性。最初は姿を見てもわからなかった。
しかし、名前を聞いたときにはっきりとわかった。いま目の前にいる人物が、探していた扶桑達真本人だと。
なんとしても協力をしてもらう。そのためにここまで連れてきたのだから……。
「…美味しかったよ。会長さん料理上手なんだねえ…」
こたつの上にある鍋は見事に空で、食材もなくなっていた。
「いやー。ものすごい食べっぷりだったねー」
言葉通り達真の食べっぷりはすごかった。それだけでなく料理を一口運ぶたびにうまいの嵐。
こんなに美味しい料理は初めてだとものすごい喜びようだった。
そんな反応に作った杏本人もまんざらでは無いようで終始ごきげんだった。
「さすが会長ですね」
うんうんと嬉しそうな桃。
「美味しかったです。あ、お茶をどうぞ」
みんなにお茶を注ぎ。ほっと一息。
お茶を飲む達真を見つめる杏。飲み終わるときに話をきりだそうと機会をうかがう。
しかしそれはできなかった。達真が湯呑を置く前に切り出したのである。
「さて」
ことっ。と湯呑が置かれる。
「少し聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
雰囲気が変わった。
道場の張り詰めた、場を整えるような空気。
それに押されたのか桃と柚子は少し緊張している。
「なにかな?」
普段とかわらないトーンで杏は聞き返す。
急に空気が変わったね。何を聞くつもりなんだろ。
「俺に、用があるんじゃない?」
その言葉に達真以外の3人はドキリとする。
「…さすがに露骨だったかなー?」
両手を後頭部に回し、達真を見やる。
「まあね。荷物運んだだけでここまでもてなされることなんて無いからさ」
ここまで荷物を一人で運んでくれる人もいないと思うけどねえ~。
「バレちゃってたら仕方がない。はっきりと言っちゃうかー」
頭を空に向けて、視線を宙にさまよわる。
「…扶桑さん。貴方に大洗学園戦車道の指導をお願いしたいんだ。」
言葉と同時に顔を前に向け達真をしっかりと見つめる。
達真も杏の目を見つめかえす。
………
桃と柚子も達真を見つめる。
時計の音だけが聞こえる静寂。桃は横にいる柚子の手をぎゅっと握る。
柚子もまた桃の手をぎゅっと握りかえす。
カチ、コチ、と時計の針が進む。
どれくらい経ったか。曖昧な中、達真が声を出す。
「その前に、俺からも質問良いかな?」
「どうぞ?」
と杏。
「大洗学園が戦車道を始めるのは。廃校になるから?」
その言葉に桃と柚子の手に更に力が入る。
「…知ってるんですね」
「まあね。ちょっとコネと言うか色々あって」
やっぱりそうか。意図してなかったけど。俺が知りたかったことがわかったな。
廃校、か。
「今の大洗学園は戦車道もなくなり、他に目立ったこともなく、生徒も減少しているからねー」
「だから廃校って言われちゃって」
「…そんなのやっぱ嫌だからさー。だから戦車道で優勝すれば廃校を取り消すって向こうと約束をしたんだ」
「だからさ」
その言葉を合図にさらに杏はまっすぐと達真を見つめる。
「指導。お願いします」
「お願いします!」
「頼む!」
……
カチ、コチ、カチ、コチ
再び時計の音が意識に入ってくる。
……だめ……なのかな?河嶋や小山も頑張っている。不安な心を押し殺して学校生活を送っているんだ。なんとしてでも協力して欲しい。
…達真の考えを読もうと意識して顔を見つめる。
何を考えているのかわからない。しかしふと、達真がため息を付き視線を横にずらす。
桃はその反応に落胆を示し、柚子は泣きそうな顔をしている。
そりゃいきなりこんな事言われたら当たり前だよねー…
…強行手段しか無い。
杏は手に持っていた携帯電話をこたつの中で操作し、警察を呼ぼうとしている。
ごめんねー扶桑さん…。こんな手段を使うのを許してね…。
携帯のボタンを押そうとした瞬間に達真が杏を見た。
「いいよ」
三人がビクッとする。今までの沈黙や先ほどのため息が嘘のように明るい声で達真が答えたからである。
「ほ、本当に…協力していただけるんですか?」
恐る恐る柚子が聞く。
「いいよ」
先ほどと同じ明るい声で答えた。
「本当…か?本当に協力してくれるのか?」
驚きのあまりにずれた眼鏡そのままに桃も恐る恐る確認を取る。
「本当に、本当」
明るく、先程よりも優しい声。
「でも…うちは予算とか無いから、お金とかあんまり出せないよー?」
少しだけ、ほんの少しだけ不安そうな声。
「いらないよ」
そんな不安を吹き飛ばすようにはっきりと答える。
「戦車道に携わる子を助けるのも、戦車道だよ」
それに、と付け加える。
「美味しい鍋を食べさせてもらったから、充分だよ」
優しく、微笑んだ。
「~~~~~~~」
その瞬間、杏が体ごと達真に抱きついた。
桃と柚子もまた、握っていた手を離し抱き合って喜びを表すのだった。
これでやっと…私達の戦車道…始められる。絶対に、廃校になんてさせない。
それから少しだけ時間が経ち。落ち着いたころ
「そういえば」
「ん?」
「なぜ一度ため息を付いて断るような雰囲気を出したんだ?」
「あー、それは…」
「それは…なんだ?」
「いや、お金なくてね。野宿の準備どうしようかなーと考えてたんだ」
「そ、そんなことで我々を不安にさせたのかーーーー!!」
「も、桃ちゃん落ち着いて」
「落ち着いてなどいられるかーーーーーー!!」
「なんだそんなことかー」
「だったら私の部屋に来ればいいよー」
「かかか、会長!?何を言ってるんですか!?」
「そ、そうですよ!」
「あはは、冗談冗談。宿直室を使えばいいよ、だーれもつかわないからね」
「(まんざら冗談でもないけどね。あんなに私の料理を美味しいって言って食べてくれる人、いなかったから)」
「(…うーん、でも今までの反応見ると、河嶋と小山も……かなあ)」