ガールズ&パンツァー ~乙女達の恋愛道~   作:ペスカトーレ

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遅くなって申し訳ありません。
今回はまほとエリカの関係についてのお話になります。いちゃいちゃ成分は…
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
(9/3文章の追加と修正)


ガールズ&パンツァー ~乙女達の恋愛道~ 西住まほ 逸見エリカ 過去とこれから編

「今日の訓練はここまでにする」

 

お疲れ様でした!!

 

訓練が終わり、みなそれぞれ談笑しながら更衣室へと歩いていく。

 

帰りにファミレスに寄り道などの相談をする部員、カラオケにいくことが決まり、足早に歩を進める部員達。

 

彼女たちを見送っているまほ。その瞳は部員以外の何かを見つめているようだ。

 

「隊長!」

 

そんな彼女の変化に気づいたのか、会話も終わったエリカが小梅に手を振りながらまほへと近づく。

 

 

「ん?どうしたエリカ」

 

「なにか考え事ですか?」

 

「…いや、なんでもない…」

 

そう答えつつも視線はまた部員たちの後ろ姿へと向かう。

 

………考えていた。

 

自分は誰かと帰りにファミレスに行ったりカラオケにいくことがなかったと。

 

戦車道にうちこむことがおおく、あまり女子高生らしいことをしていなかった。

 

今まではそれに疑問をいだいたことがなかったが色々な事があり、ふと、考えることが多くなった。

 

仲間や、友人たちとそうやって過ごすのも、戦車道にも。そしてそれ以外にもきっと大切なことなんだろうと。

 

…エリカを誘ってみようか?

 

しかし…いきなり誘って迷惑ではないだろうか?

 

いきなり自分となんて……。

 

いろいろな思考が巡る中、携帯電話の着信音がなった。

 

「あ、すいません」

 

エリカがポケットから携帯電話を取り出し、ディスプレイに目を向ける。

 

「…ふふ、なんて顔してるんだか」

 

エリカの言葉になんとはなしに彼女を見る。

 

携帯電話のディスプレイを見つめているエリカは、普段、あまり見たことがない顔だった。

 

学園以外でのエリカのことはまほはあまり知らない。

 

それはエリカもそうであるのだが。

 

いつもどこか不機嫌そうな雰囲気を漂わせているエリカ。

 

他人にも、何よりも自分に厳しくあることの現れでもあるのだが、やはり他人には近寄りがたい雰囲気を与えてしまう。

 

しかし今の彼女の表情は、まほも部員たちも見たことがないものであった。

 

あの顔のエリカは珍しいな。

 

「…何か、嬉しいことがあったのか?」

 

「え、い、いえっ。別に嬉しいこと無いんてないです。いつもどおりです」

 

少しだけ染まった頬のまま、否定する。そう、そんなわけはないと自分自身に言い聞かす。

 

送られてきたメール。そこにはある画像も送られてきていた。

 

それはどこかのファミリーレストランだろうか。

 

みほがあんこうチームのみんなと一緒に楽しそうに笑っている姿だった。控えめなVサインも彼女らしい。

 

「多分、隊長にも送られてくるんじゃないですか?」

 

そう言われて察した。

 

―ああ、そういうことか―

 

 

 

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――いつからだったか、今まで携帯電話などを持たず、特定の連絡手段がなかった達真が急に携帯電話を持ち出したのだ。

 

そうだと思ったら西住家に急にやってきて、しほに携帯電話をプレゼントしていたようである。

 

……どうやって私の分まで契約したのですか。本人もいないのに…。質問しても答えてくれないですし、全くあの人は…。

 

とはしほの談。

 

色々と思うところがあるようであったが、最終的には嬉しそうなしほであった。

 

 

 

そんなこともあり、達真はまほ、しほ、そしてエリカ達にみほの画像つきメールを送ることがあった。

 

内容はみほが仲間たちと楽しそうにしているものがほとんどである。

 

しかし、携帯電話を買ったからと言って、なぜそのようなことを始めたのか疑問に思ったまほとエリカは達真に聞いてみたことがある。

 

「人が楽しそうにしている姿って…いいよね」

   

とのことである。

 

「…はぁ?だからってなんでみ、あのこが楽しそうにしてる姿をみないといけないのよっ」

 

達真の言葉に納得がいかないエリカ。

 

   

「……そうか…達真さん。ありがとう……」

 

「…隊長?」

 

言葉の真意を探ろうとまほを見つめる。

 

目を細め、懐かしいものを見るかのような表情を浮かべている。

 

自分のことはあまり語らないまほ。

 

そんな彼女の言葉の真意を理解しようと自分も考える。

 

  

 

全く、あの人らしいというべきなのか。

 

きっと、みほがうまくやっていけてるかを私達に教えてくれているんだろう。

 

あのこはとても優しいこだ。黒森峰十連覇をなせなかったこと。戦車道から離れてしまったこと。

 

何より事情があったとはいえ、何も言わずに大洗で戦車道を始め、我々の敵となったことに不安と責任感があっただろう。

 

そんなみほが自分から近況の報告などできないだろう。姉である私やお母様。

 

そしてエリカにも。

 

私自身もみほに連絡を入れようと思ったことがある。

 

心配することはない。次に活かせばいい、と。

 

だが、私はどうにも気の利いた言葉などは上手く言えない性格だ。

 

私が何か言葉をかけるだけでみほを萎縮させてしまうかもしれない。

 

西住流、そのものでもある私では……

 

達真さんはそのことで私達に心配をかけさせまいと、急にこのようなことを始めたのだろう。

 

わざわざ携帯電話を買ってまで。

 

 

 

閉じていた瞳が開く。 

  

「…気を使わせてしまったな」

 

どこか独り言のようにつぶやく。

 

「…別に、こんなこと、頼んでないんですけどね…」

 

エリカも同じように。

 

不機嫌そうに抗議の声を出しているが、その声色はどこかホッとしたような、嬉しそうなものだった。

 

…何よ…楽しそうにしちゃって…。心配して損したわ。

 

だからって、私は手を抜かないから。…精々がんばりなさい。

 

    

   

今度は、ライバルなんだから。

 

 

 

ライバルとしての大洗学園。みほに闘志を燃やす。

 

 

送られてきた画像をみつめるエリカ、その顔は、微笑みを浮かべているのだった。

 

   

 

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「なーにへらへらしちゃってるんだか。見てください隊長。この顔」

 

自身の携帯電話を隣のまほへと向けると。横からエリカの携帯電話のディスプレイを見つめる。

 

フッ とまほから笑い声が漏れる。

 

みほは沙織が食べているパフェを勧められているらしく あーん を促されているようだ。

 

困惑を残しつつも、今のこの瞬間が楽しくて仕方ないと言った表情だ。

 

「楽しそうにしてられるのも今のうちよ、次は私達が勝つんだから」

 

「見てなさい!」

 

携帯電話を見つめながらもう片方の手をぎゅっと握りしめる。

 

「…そうだな。私達も、負ける訳にはいかないな」

  

「はい!」

 

 

まほとエリカ、しっかりとお互いを見つめ、新たな闘志を燃やすのであった。

 

   

 

「ところで…」

 

「?」

 

「私に送られてくるよりも、エリカのほうが送られてくるのが早かったな?」

 

「え?」

 

言葉の意味がわからず思わず聞き返してしまう。

 

「いや、達真さんからメールが送られてきた順番が、エリカのほうが早いなと思ってな?」

 

それは普段と同じようにみえる、まほの顔だった。

 

黒森峰で同じく戦車道を学び、近くでまほを見ている部員たちでもわからないだろう。

 

しかしそれはエリカにはわかった。

 

黒森峰戦車道 隊長 西住まほ がすねているのだ。

 

メールが送られてくる順番が、エリカより遅かった。それだけのことで。

 

「そ、それは、たまたまじゃないですか?何人かに同時に送ってるでしょうし」

 

「電波にもよるでしょうし…今回は私のほうが早かっただけで特に深い意味は――」

 

なんとかフォローしようと必死に、早口にまくしたてる。

 

そんなエリカを見つめていたまほは突然吹き出すと 冗談だ と笑った。

 

「た、隊長~」

 

両手を落としつつ安堵のため息を付く。

   

…あながち、冗談でもないがな。   

 

「すまないな。そろそろ帰ろうか」

 

その言葉にエリカもうなずき。まほにならんで歩く。

 

「ああ、そうだ」

 

ふっ と歩みを止めたまほにならいエリカも歩みを止める。

 

「どうしました?」

 

「もしよかったら。どこか食事に行かないか?」

 

「え?」

 

「いや、みほ達が楽しそうに食事してるのを見て、な」

 

はっきりと不安が見て取れる声と表情でつぶやく。

 

それはみほもしほも、エリカも知らない表情だった。

 

「仲間とそうやって交流するのも、きっと私に必要なものだと思うんだ」

 

「だから」

 

「私とどこか、食事に行かないか?」

 

不安そうな言葉を残しつつもはっきりと伝えた。

 

エリカは口を開け、ポカーンとしていたがすぐに口を閉じると。

 

 

 

   「はい!喜んで!」

 

 

 

    あふれる笑顔でそう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    おまけ

 

 

 

「エリカの好きなハンバーグを食べに行こうか」

 

「いいんですか?」

 

「ああ、500ḡくらいのを食べるといい」

 

「そ、そんなに食べませんよ!」

 

「そうか、ふふ」

 

「もう!」 

 

 

「あら?」

 

「どうした?」

 

「いえ、さっきのメールにもう一つ動画…?とメッセージが」

 

まほも自分のメールを確認してみる。同じように動画となにかメッセージがあるようだ。

 

 

  「「……‥‥‥」」

 

 

   もう一つの添付されたものにあったものは。

 

 

龍真もみほと一緒に撮ろうと誰かが達真の携帯電話から撮影したものであるようだ。

 

 

その内容は 麻子の口元についたケーキを指すくって咥えたものだった。

 

揺れる画面、頬を赤くする麻子、自分自身もそうされる想像をしたのか同じように頬を染めるあんこうチームの面々の動画だった。

 

 

  「ごめん。最後の動画は間違えて送ったものだから消しておいてくれるかな」

 

   

動画のあとに書かれた龍真のメッセージ。もはや二人の目にも届かない。

 

 

 

  「「………………」」

 

 

 

 

 

「ハンバーグ…500g食べれそうです……」

 

 

「奇遇だな。私もだ…」

 

 

 

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「これ…達真さんのからのメール。……ふふ、みほさん。楽しそうで良かった…」

 

「あれ?まだなにかある?」

 

「動画?」

 

「……」

 

「……‥‥‥」

 

「………羨ましい………」

 

  

 

  

 

  

 

  

 




おろしハンバーグが食べたい。

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