マギカロギアは魔法にルールがあるので、そのルールを理解して考えてくれたら、分科会にとって最強の助っ人なのでは…?
それは衆目の前で起きた。
まるで己の技を誇示するかの用に、スポットライトの中を数々の仕掛けを潜り抜けた怪盗キッドがこの度の獲物であるビッグジュエルへ手を伸ばそうとする。
本来それは窃盗行為。非難されるだけのはずのそれが、観客のように集まった野次馬たちはまるで称えるように感嘆の声を上げる。
今回も、彼は華麗に宝石を持ち去るのかと思いきや、その想定は大きく裏切られる。
「偽物の羽しか持ち合わせない、哀れな鳥さん。これは私が頂くね」
舞い降りた。そう、比喩ではなく、白い大きな翼を羽ばたかせた人間がキッドの触れようとした宝石をさっと持ち上げ、飛び去って行ったのだ。
翌日の新聞、ニュース、話の種は怪盗キッドの獲物を掠め取った翼人で持ちきりだった。
いったいどんなトリックか、はたまた集団幻覚か…。
警察は何一つ痕跡を見つめる事は出来なかった。
◆
大法典に所属する第五階梯の魔法使いは、眠そうに瞬きをする。
「仕事が立て込んでいるのにごめんなさいねぇ。急を要する案件なのよぉ」
分科会に集められた面々は固唾を呑んで眠そうな魔女を見つめる。
「今回観測された魔法災厄は、禁書『怠惰の翼』だと考えられているのねぇ」
「はーい!センセイっ!断章二つの禁書がなんで急を要するんデス?」
金茶の髪をポニーテールにした青い目の少女が元気よく手を上げる。
「それは、魔法災厄の起こった地域と状況が問題なのよぉ…。その土地を米花町といいます。そして状況。来訪者であるリートさんはご存知かしらぁ?『怪盗キッド』という魔法使いモドキ…マジシャンかしらぁ?彼の前に現れたせいで日本全国に、魔法が晒されてしまったのぉ」
「それは問題ですね。これ以上目立って隠蔽の限界を超えてしまいます」
如何にも魔女、といった出で立ちの女が繭を潜める。
「そうなのよぉ。だからねぇ、事前の情報収集が間に合ってないのよぉ」
「それでもいくらか分かっている所あるんでしょ?」
片目を眼帯で覆った獣耳を生やした少年が首を傾げる。
「今のところ怪しいのは、この辺りねぇ」
眠そうな目をした魔女が、宙をくるりと指でなぞると幾人かの人物の顔が映る。
「断章に憑かれてると思われ人物に直接会った『怪盗キッド』…ただ彼は変わった魔力で守られて居て調査がまったく進んでいません。そしてこちら『毛利蘭』過去から現在までただの愚者で在りながら『怪盗キッド』との接点が多すぎます。そしてこの子『江戸川コナン』愚者達の中で、『キッドキラー』と呼ばれています。…本当になんの情報もないのよぉ…周辺から地道に埋めるしかないのぉ、ごめんなさい?」
情報不足の中、その分科会は動き始めた。
◆
「ハジメマシテ!リート・神埼と言いマス!イギリスからの交換留学生デス!短い間ですが、よろしくネ!」
帝丹高校に現れた、金髪青目の少女。
◆
学校からの下校中、江戸川コナンの後をちょこちょことついて歩く隻眼の黒い子犬。
◆
ある路地裏でぶつかる二人の魔女。
「大法典に敵視もされない妖怪風情が、小賢しいものですね」
「魔女の誇も捨てて傭兵に成り下がった奴が何を言ってるの?」
一触即発。
「『絞首の花』、セーレム・インスマンが魔女とは何かを教えてあげます」
「赤魔術の正当な後継者が魔法の何たるかを教えてあげるわ…!」
◆
飼い主の見つからなかった隻眼の子犬を、蘭の許しを得て家に上げたコナンはその小さな犬の頭をなで、寝仕度を整える。
犬は既に枕元で眠っている。
かつん。
窓に何か硬いものは当たる音がして振り向くが、なんともない。何かゴミでも風に飛ばされ、窓を叩いたのだろうか。
横で既に就寝している小五郎は鼾をかき、気づいた素振りもない。
丸まっていた筈の犬だけが、ピクリ、と耳を動かす。
「えーコナンくん?」
小さく名前を呼ばれた気がしたが、周囲に何の気配もない。
「エット…新一くん?」
「!?」
なぜ、そんな呼びかけが聞こえるのか。いったい誰が…?
闇の中で身構えると同時に、窓の外に人影が見えた。金髪の、高校生程度の少女。決して足場のない上階の窓の外に少女が僅かに上下しながら此方を見ていた。
◆
来訪者であるリートは己も馴染みのある高校へ毛利蘭の調査に向かったが…魔法を上手く使えずにその反動が運命変転となり、此度のアンカーである蘭へ向かった…。
それは悔やむことであり、魔法使いでありながら人間である事を忘れない彼女の心を大きく揺さぶったが、事件はそこで起こった。
蘭へ襲い掛かった運命変転は『別離』親友や恋人、親や兄弟、大事な人間との別れ…その魔力の歪みはは彼女の愛する想い人へ向かった…が、想い人である『工藤新一』へ不幸が降りかかった様子はない。
「なんでかと思って、俺が君を調査してみたら『工藤新一』は『江戸川コナン』だった分けだ。俺達風に言うと、君は一つの存在だけど、二つの名前と周囲への認知で世界に対して二重のアンカーを打ち込んでいるんだ」
コナンの後を付いて歩いた子犬は、見かけだけは同い年位の幼い少年になってそう説明した。
「新一クンは、凄い探偵なんだよね!?この魔法災厄を収める為に、手をかしてヨ!君もこまるでショウ!」
こうして、魔法使いと探偵の禁書を巡った騒動は幕を開けた…。
嘘です。エイプリル様の嘘予告みたいな奴でした…。
という、嘘予告でした。
金髪青目の来訪者が、クトゥルフでロストした元探索者の高校生探偵()です。魔法が大体冒涜的なアレで、特技も混沌系によってます。魔法名は『邪神の玩具』。彼女の人生がありありと…。基本的に物理で殴る系魔法少女☆なのですいりとかしないで怪しい辺りに魔法戦を仕掛けて殴りこむ。
コナン君の推理にかかっている。