そして誤字報告ありがとうございます。直ぐには直せませんが、とても助かります。
それにしてもクトゥルフ世界の警察は、事件についてはがばがば無能ですがPCを豚箱エンドにぶち込む時だけはとても有能だと思うのです。
うちのKPが鬼畜仕様なだけかもしれませんが。
すっと階段の踊り場まで折、折り返しもう半分下るところで小夜林は立ち止まる。
二階を見上げればトイレに行くと言っていた筈の少年はこけしを一つ一つに手に取って眺めている。しばらくその様子を見ていた小夜林は、またため息をついてから、蹄を模したブーツを脱ぐ。
また声をかけられては面倒だと、否応なく足音が響いてしまう靴を脱いでそっと階段を上がって行く。
「…」
どうやら、余程集中している様でこちらに気づきそうにはない。
こちらに来ないのならば、まぁ、別に何をやっていても良いだろうと無視し死体の有る部屋まで戻った。
「遅かったね。小夜林」
部屋の前にはすでに人巳が居て、腕を組んで待っていた。
「あの子をここから離したかったんですよ。15、6のまだ幼い人間に見せるものではありませんから。…人巳の方は問題ありませんか」
「問題ないさ。私は人に『お願い』するのが上手だからね」
何か含みを持たせて笑む顔に、若干面白くないものを感じながらも小夜林は少々顔を顰めるも、既に長い付き合いで散々風変わりな事件に共に巻き込まれ、彼女はそういった性格なのだとあきらめる事にし早々に探索を始めようと件の部屋へ踏み込む。
「無能共を呼んだ様ですから、手早く済ませましょう」
「おや。手厳しいことだ。…そうは言っても私は今回あまり役に立てそうにないね。これはどう見てもオカルト10割の現象だろう?」
「もし、僕が何か見落とした時によろしく」
まぁ、無駄に探りすぎてショッキングな物をひっぱりだしてしまう事もあるのだが…。
小夜林は、残念ながら、という訳でもないが人間の死体如きなんとも思わない。正直ただの有機物、肉、という認識だ。
なので必然的にこちらを調べるのは小夜林だろうと、部屋に転がる顔立ちも性別も分からない黒焦げの人間だったもの。完全に炭化しきり、皮膚も肉も骨も同じ炭に成り下がっている。
これだけ豪快に焼けているにも関わらす、その人物以外はまったく焼けた跡も無い。焼けた人間を持ってきてここに置いた様な有様だ。
そうなると、気になるのは部屋全体に広がるヨグ=ソトースの球霊の印だろう。魔術師でもない様な人間二人の魔力で如きで神格を呼ぶ事などできるのだろうか。
それならこの部屋に何か、マジックアイテム等が落ちていないかと探す。無能な癖に此方の動きを制限してくる警察がつく前にそれだけでも回収して置きたいのだが…。
「おっと。小夜林。面白い物が落ちてるよ」
できるだけ死体を視界に入れないように部屋中を探索していた人巳が屈みこみ何かを摘み上げるようにして、呼びかけた。
「…ウィジャボード、という奴ですか?」
「の、ようだね」
娯楽、遊具として作られた交霊術を占いゲームとして作られたものだ。要は日本でいうこっくりさんだ。文字をなぞる為のプランシェットも一緒に見つけだした。
「交霊術、しかもこんなゲーム用の玩具で神格は呼べ無いと思いますが…。この部屋の彼らとは別に術者が居て、偶然この炭の方とお連れの方はその招来の中で交霊に手を出してしまったんですかね…」
意見を求める様に長身の相方を見るが、人巳は大仰な仕草で額に手をやり天を仰いでいた。
「なんですか」
「相変わらず、小夜林の言葉は頭が痛くなるよ…」
「僕も人巳の使う薬物はさっぱりですけど…難しい事を成し遂げようとする人巳は、好きです」
芝居がかった仕草から、虚を疲れた様な表情になった人巳はふふっと笑ってかなり低い位置にある小夜林の頭をなでる。
「君は突然可愛い事を言う」
「…失言でした。無能共が着く前に他の人間の所に合流しましょう」
照れ隠しにそっぽ向き、奇妙な形の蹄のブーツを履きなおしてそそくさと部屋を出た。
小夜林「割と気付いてる方だらけだと思いますが、僕は人間ではないのでSAN値の概念がありません」