名探偵と探索者でいあ!いあ!   作:犬(ゆきいろ)

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諸事情により、大分更新が遅れてしまいましたがちゃんと続けて行く所存でございます。

あの世界の探偵って、絶対ニャルに目を付けられているか、自信が化身なんじゃないのだろうか…。



かまど旅館でいあいあ!15

物怖じしない江戸川少年が、あちこちと家探しをしてくお陰で魔導書やおぞましい物の目撃を回避出来ている。有難いことだ。

その成果として、少年が一冊のノートをじっくりと検分している。

暫く覗き込んでいても何の異常も無さそうなので人巳も背後からそれを覗き込んだ。

 

そこに書かれて居るのは人名に日付に、高温の温度と時間。

江戸川少年から得た情報を考えうると、恐らくここに書かれた人間は死んでいるのだろう。…あの部屋にあった死体の様に燃やされて。

しかしこのノートに羅列されたあ人物たちは、何てことはない。ただ人間に殺されただけだ。

邪神の類は絡んで居ないのだろう。

 

その中で気に成る名前。竹城、といったかこの江戸川コナンや小夜林が目撃し、忽然と消えた男の名前が記されている。

死んだ男が出歩くものだろうか?

昔の自分ならば、そんな馬鹿な、と笑い飛ばしただろうが今は違う。散々けったいな事象に巻き込まれたのだ。今ならばその問いに「是」と答えるだろう。

 

恐らく、竹城は魔術師の類で、時間に関するアレを信仰していたのだ。

それが何らかの理由で殺された。

殺された魔術師はそれを良しとせず、己が信仰するものに縋ろうとした。召喚し、時を巻き戻し殺された事を無かった事にする為か…。

恐らく殺したのは支配人か…。竹城の後にも名前が連なって居るのを見るに、彼より後に死んだ者は贄か。

 

「なるほど…。黒は彼か」

 

支配人は恐らく、自信が邪神召喚の為の贄を作っていることは気づいて居ないだろう。と、成ればニーアの依頼を解決するには竹城…いや、人巳には死者をどうこうする能力は無いので、知らない内にはとは言え、贄を運び続ける支配人か、例のアレとの接点を持った呪物を壊せば良いのだろう…。

 

と考えた所で、江戸川少年が此方を見上げて居るのに気づく。

 

「…加賀知さんは、どうするの?」

 

どうする、というのは恐らく人理の内の殺人者の方の事だろうが、正直人巳にとってはどうでも良い。そんなものは此方に向かなければ無害という物だ。

だが、ヨグ=ソトースの召喚に関しては、

 

「止めなければ成らないだろうね」

 

「どうやって?」

 

話が食い違って居るのは承知しているが、ここで余計な行動を起こされても面倒になってくる。このまま無能共に嗅ぎつけられた場合、諸悪の根源の魔術師や召喚の為のリンクを排除する事は出来ないだろう。

 

「そうだねえ。先ずは、確固たる証拠でも確保してみるとしよう」

 

勿論、支配人の行いのではなく魔術的痕跡の抹消の為の、だが。

 

「江戸川君は、もう少し私に付き合ってくれるかい?」

 

一拍置き、少が真面目その物の顔で頷く。

その意を決した様な表情に何とはなしに微笑ましいものを感じる。

知りたいという事は、今現在は無知だという事。無知で有るが故の探求心は知ってしまった後には味わえない興奮を齎す。

初々しい事だ。

何れ、知る事が恐怖と同義になる時が訪れ、知る事が失う事に転化する日が来る。

 

 

 

 

「この旅館で妙な所って、後はここだよね?」

 

スタッフルームからそそくさと出るが誰にも見とがめられたりはしない。先程無能共が到着した際に少し、認識を歪めて彼らには私が認識できないものとなって居る。

「私達」の良く使う手だ。

稀に効果の薄い者が居るのが面倒なことだが、小夜林が彼方に残り意識を逸らせて居るだろう。

…ただ、あのこは所謂コミュ障である。逆に事情聴取に時間がかかり好都合なのかも知れないが。

 

そんな訳で楽々とやって来た扉の前には旅館の作りとは些かそぐわない扉。

しかも電子錠が設けら0~9までの数字をいくつか入力しなければならない。

 

「…あからさまに怪しいが…しかしなぁ」

 

残念ながらこの数字の鍵について、人巳にはさっぱり手掛かりがない。…少なくとも、奥方の誕生日や記念日などでは無いだろう。

あの時計への異常な執着心を考えるに、最も気に入った時計の製造番号や、そんな所だろうか…。

 

しかし今、彼らには人巳は認識できない物となっている。この時点から話を聞きに行くのはほぼ不可能だろう。

という障害に美しい顔を歪めた人巳の視界で、江戸川少年が酷く困惑した様な自分自身が信じられない、という様な顔をしながら電子錠へ、恐る恐るという様に手を伸ばす。

 

「…江戸川君は心当たりが有るのかい?」

 

いや…と、子供らしからぬ冷え切った、しかしどこか不安げに揺れる声で否定する。

 

「さっき…黒井さんがこっくりさんで『地下に行くには特別な手順は要りますか?』って聞いた時に、ちょうど数字を示してたから…まさか、と思って」

 

そう、何故自分がそんな事を試して居るのか理解できない、でも試されずには居られない…と言う様に小さな少年の指が順に数字を入力していく。

 

そして、がちゃりと音を立てて扉は解錠された。

 

「まじかよ…」

 

ぼそりと呟く言葉に礼儀正しいが好奇心旺盛な子供の影が無かったが、人巳は今現在超常的な現象の結果を目の当たりにどうこの事象を受け止めるべきかと同様する少年の為にスルーして置く事にした。

 

こっくりさんで、コインが動く事はまま有る。参加した人間たちの筋肉の僅かな震えが影響し合い、何らかの言葉の様な物を綴り、期待感からか人間は勝手に脳内で補正を加える。

その程度のものだ。

その程度の筈のものが、正確な答えを与えたのだ。

 

暫く考え込んだ江戸川少年の表情は面白い程ころころ変わる。

その変化を眺めて居る人巳は思わず苦笑を零すが、少年は自分の思考に囚われていて気付かない。

 

「加賀知さん…本当に黒井さんって何者なの…?」

 

結局、現実的な回答である小夜林がこの件に絡んでいる可能性に落ち着いたらしい。

この子供、幼い割に頭が固いらしい。超常的な物は受け付けられないと見える。そのくせ探求心は旺盛。

これは、『あいつ』に目を付けられ易そうだ。

非常な現実を目撃し、それを否定する方法を失った瞬間、彼は狂気に陥るだろう。その様はきっと『あいつ』を大いに愉しませる。

 

「…ひとつ忠告しよう。小夜林は、まぁまだ問題ない部類だが、いいかい?少年。全身真っ黒な男に出会ったら全力で逃げるべきだ。関わってはいけない。今君が小夜林を怪しんだ思考手順で持ってあいつらに挑む事は危険だ。小夜林は今は無害な可愛い仔山羊なのだからね」

 

 

江戸川少年の目が驚愕に見開かれた。

 

 




加賀知「ぜったいあの這い寄る胡散臭さ10割の真っ黒くろすけの良いおもちゃに成る事間違い無しだから、出会う以前に逃走するしか無い。或いは死ぬしかない。稀に死ぬんでも逃げられないけど」

黒井「僕をあの辺りと同列にしないでください。僕たちはあんな害悪ではありません」

そろそろメタ的クトゥルフ神話技能でオリキャラ?な探索者達の正体が割れそうですね…。
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