PC視点のお話。
妙な現象が起こると、スマホの存在を忘れがちな探索者達ですが、私の作ったシナリオで「実は警察を呼べば力技でシナリオを終了させられ、バッドエンド」をやったら電話が繋がっても警戒して図書館もしてくれなくなりました。悲しいです。
旅館、と聞いていたがホテルと言われた方がしっくり来る様な建物だった。
「ホテルと旅館の違いは和室と洋室の部屋数と、大きさらしいです。ぱっとみ洋風の建造物ですが、ここはどうやら和室がメインみたいですね」
「そうなのか。私はてっきり温泉が有るのが旅館だと思ってた」
かたんかたんと蹄を模したブーツで不安定に歩く小夜林を支える様に自然に腰に腕を回した人巳がスマホの画面を見ながらも、エスコートする様に進む。
「ここ、かまど旅館はなんでも珈琲が美味しいらしいな。宿泊施設としての評価より、ここで独自に炒ってる豆が美味しいそうだ。そう言った口コミが数件。それだけさ」
「ニーアは『繁盛している』と言って居ましたが…あくまでも『裏が繁盛している』という事なんでしょうか。人で賑わっている様に、わっ…!!」
人巳が腰に手を回していたと言っても、蹄を模して、極端なつま先立ち状態でヒールも存在しない。背後からやって来た別の客にぶつかり前方へよろける。
とっさに支えられて、小夜林が転ぶ事は無かったが染みに足を捻った様で顔を僅かに顰める。
「小夜林。怪我は?」
「僕は平気」
「ごめんなさい!」
「お姉さんごめんね…怪我してない?」
女性の謝罪の声と、幼い男の子の気遣う声が聞え振り返る。後から来てぶつかったのはどうやら、四人組の客の内の小さな子供だった様だ。
大人三人を見上げて会話をしながら歩いて居たらぶつかってしまったようだ。
いち早く謝罪したのはその眼鏡の少年の姉か、中々に美人な長髪の女性だ。半歩後ろに居たチョビ髭の男性は「余所見してんじゃねぇよ…」と呆れ顔だ。彼がこの姉弟の父親だろうか。もう一人、二十代半ばの女性は一体どういった間柄だろう。二人の母親にしては若いが兄弟にしては些か男性と歳が近すぎる。
「大丈夫です。…ごめんなさい。僕らも歩きスマホをしていたから君に気づかなかったんです」
振り向いて真正面から向き合った、小夜林と人巳の派手な、言ってしまえば割る目立ちする奇抜な様相に四人組は呆気に取られた様にする。
真っ黒な人形染みたゴシックのワンピースの少女に見える人物と、これまた何の衣装だと言いたくなる様なベルトと装飾過多な、上下真っ白な服のスキンヘッドの美女。
「小夜林。邪魔に成っている様だよ。彼らもかまど旅館に用の様だ。お先にどうぞ」
人巳が笑顔で道を空け、四人組を先に正面玄関へ向かわせる。
道を譲られた四人組みはどぎまぎして、ちらりちらりと人巳を伺いながらも、会釈をして通り過ぎて行く。特に小夜林にぶつかった少年が興味深そうに、堂々と隠しもせずに振り返っていた。
「やっぱり私の外見は目だつ様だよ」
「小さな子にはその鱗が怖いんじゃないですか。…僕は人巳ならどんなでも好きだけど」
小夜林「少女だとは言っていない」
pc達の正体に感づいたり、探索者のメタ読みをやってくれたりしたら、私は楽しい。