PLの選択とPCの行動に寄って、全てが決まります。
……書き始めた後に、感想でも頂いたとおりこのシナリオ物凄くコナンくんと相性悪い気がしました…。
もっと、ダイスを無視したリアルINT的に救ってくれそうなコナンさんパイセン…。
あと、本来PCが先に「黒のゆりかご園」に突入するルートはありません。
『母』を想う夢を視た気がした。
「目が覚めましたか?おはようございます」
その声で目が覚めたのか、意識が覚醒したお陰でその声を認識したのか定かではなく夢の余韻が幽かに残る視界に黒のリボンとレースで埋め尽くされた少女の様な姿の人物が覗き込んでいた。
覗き込む真っ黒な瞳は木のうろの様に空虚でその思考を読む事出来ない。それどころか…意思が有るのかさえ疑わしい程の深淵の様な目…。
その瞳から逃れるの様に、自身の置かれた環境を確認しようとするように周囲を見渡す。
「ここ、は…?」
見回してみたそこは、一般家庭にしては広く些か無機質なリノリウムの床と薄汚れた白い壁の部屋だ。まるで学校の様な印象を受けるが、教室にしてはやや狭い。
その教室の様な空間には二段ベッドがいくつか並べられ、灰原哀はその内の一つの下段で眠って居た様だ。
しかし、そこに至るまでの記憶が曖昧だった。
怪しい人間に声を掛けられた上に、誘拐の話も出て居たので、念のためと戸締りを確認していたさい、その、窓の、外に…。
「覚えていないんですか?君は昨晩珪と一緒にやってきたんですが…」
黒い少女が表情は変わらないままに、こてりと首を傾げて膝をつき伺う様に覗き込む。
そう言われても、さっぱり記憶にない。その一緒にやって来たという人物にも覚えはなく、記憶の欠落、自身のあずかり知らぬ内に見ず知らずの環境に置かれている事に恐怖を覚える。
覚えが無い。と示す様にせいぜいが15歳程度にしか見えない少女に対して首を振って見せる。
取り合えず、目の前の人形の様な服装の彼女からは悪意や害意は感じなかった。ただ、僅かに違和感を感じるのだが…。
「あなたが珪…じゃないわよね?」
「僕は『黒い仔山羊』という生き物です。珪ではないですね。…珪を起して来ますので待って居てください」
妙な事を言いながら、『黒い仔山羊』は立ち上がりその場を後にしようとするとその黒いふりふりとした人影に小さな影が飛びつき、抱きつく。
「御子さまー」
「みこさまおはよう」
「はい。おはようございます」
『黒い仔山羊』はにこりともしないままに、そのくせに優しい手つきで頭を撫でる。寄って来た子供たちは流れ弾の様に二段ベッドの下段に上半身を起こした状態の灰原にも子供が抱き着く。
「おねえちゃんも、おはよう。おねえちゃんはなにちゃんですか?」
『灰原哀』よりも幼い子供が舌足らずに名前を尋ねる。
「私は…し、哀、よ…」
「あいちゃんー」
「あいおねえちゃんも!今晩一緒におかあさんに会うの?」
「やったー!いっしょにおかーしゃんのところにいこうねー」
『黒い仔山羊』に明るい声を上げて、きゃっきゃっとまとわりついて居た子供たちまで、寄って来て一斉に高い声で人懐っこく話しかける。
「…すいません。多分君がここで二番目に大きな子なので、甘えたいのかと」
「あら、あなたはここの子じゃないの?」
「僕は実質二歳みたいなものなので」
『黒い仔山羊』の要領を得ない回答に内心で眉をひそめるのだが、嬉し気に話かける子供たちのその様相に実際に眉を顰める。
皆が皆、嬉しそうに明るい顔をしているにも関わらずその目には一切感情が無く暗く淀んでいる。その上殆どの子供が不健康に痩せている。
良く見れば、怪我をしている子供も多い。
その上でその怪我は子供の有り余るパワーで遊びまわって負った傷には見えなかった。
「ここに大人は居ないの…?」
小さな子供をこんな状態で放置している環境に不快感を覚え、背中に負ぶさる様にしている小さな女の子に尋ねるがきょとん、と首を傾げる。
「大人はいません。いりません。私達には『おかあさん』しかいらないんです」
不規則な足音、明らかに足が悪いと判断出来るものに振り向くと『黒い仔山羊』が二十歳目前、哀の本来の年齢と同じか少し上位の女を伴って戻って来ていた。
「あなたが珪…?」
「はい。おはようございます」
珪、と名乗る女性も酷く痩せていた。
足の骨を折った事が有るのか、そしてろくに治療をしなかったのか、歪に歪曲した足を引きずる様にしてあるき、小さな頃の傷なのか色素沈着をおこした皮膚が服から覗く部分だけでも目に付く程。
元来の顔立ちならば、それなりに美人だったのだろうが顔にも古傷が残り外斜視が目立つ。
「ちょっと…ここについて説明して貰ってもいいかしら…。どうして私はこんな所にいるの?あなたと一緒に来た、らしいけど私にはそんな記憶ないもの」
きょとん、と珪は不思議そうな顔をして見つめ返す。
「食堂の方でお茶でもいれておきましょうか?」
「御子様のお手伝いするー!」
「ぼくもする!おかあさんに、兄弟のおてつだいをするいいこだったっていってね!」
「あーずるいぃ」
数人きゃっきゃとすでに哀を置き去りに遊んで居た子供達数人も、『黒い仔山羊』についていく。
その様子を眺めて、彼女は有る事に気づく。
小学生の皮を被った彼女は、その本来の年齢であってさえもそぐわない程の博識であり有能な学者だ。些か畑違いの分野であろうが豊富な知識がある結論を見出してしまう。
此処までで目にしただけでも分かってしまう程明らかに、ここの子供達や珪、という女性の痩せ方はまるで不適切な投薬の結果のもだと理解した。
黒井「僕は大体の実年齢は判断して居ますが、子供は子供にしか見えません」
加賀知「実は私はそういう事は分からないんだよ」