名探偵と探索者でいあ!いあ!   作:犬(ゆきいろ)

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探索者はわりと不法侵入する。あの手この手で侵入しようとする。そういうもの!!そういうものなんです!!


黒き地母神に奉げるいあいあ!6

「さっぱり分からなかったネー」

「……うん…」

 

神無宅を、お礼を言って後にする。お暇する際に、九十九が持ってきた百代が描いたという『黒山羊』の絵を写真に収めさせてもらった。

それを眉根を寄せながら見つめる。

 

「下手ダね?」

 

その画面をのぞき込むようにしてリートがそう評価する。

 

「まあ、子供の描いたものだしね…」

 

確かに、お世辞にも上手いとは言えない。

クレヨンで描かれたっもので、黄色で星や月。黒で、山羊…と言うよりもぐちゃぐちゃと適当に引いた線の塊の様な物が画用紙いっぱいを埋めている。

山羊、と言うよりも子供の描いた平面的な樹木に見えなくもない。

 

「コナンも小さいくせに。これより上手く描けるノカー!わたしは無理だけど!」

 

何故か妙に自信満々なリートだ。

 

「山羊でしょ?それならボク、もうちょっと上手く描くよ。少なくとも、足は四本にするし」

「何時から山羊の足が四本だと錯覚していた…?」

 

…前足は手とか言い出すのだろうか?

 

「これね、昔お姉ちゃんが描いた黒山羊だヨ」

 

しばしスマートフォンの画面を弄った後に、画面をこちらに向けて来る。

 

「山羊…?」

「山羊らしいよ。お姉ちゃん的ニは」

 

そこに写って居たのは、一体どこがどう山羊なのかさっぱり分からないナニカが画かれたキャンパスだ。

正直、山羊らしさを見つける方が難しい。

ソレは、大部分が雲の様な実態のない不定形のもので占められ、口だとでもいう様な亀裂が数多存在し全てに牙ぎっしりと並んで居る。蹄を備えた足は確かに偶蹄類らしいがそれだけだ。

その足も、角も、山羊にはあり得ない触手が数多不定形の身体から垂れ上がり、或いは天を突く様に伸びている。あえてそう描かれているのか、或いは技法の問題なのか、デロリと融けだしたように黒が滲み落ちている。

 

「……」

 

何とは言えない、正体不明の嫌悪感と寒気が背に這い寄る感覚がする。ぶるりと、知らずに身振いしてしまう。

…しかし、リートの姉が描いた『黒山羊』と百代の描いた山羊のへはその力量に大きな差は有れど、どことなく似ている、という印象を受けた。

 

「これ、何かモチーフとか有るの?」

 

一瞬走った怖気を追い払う様にリートの顔を見上げて尋ねる。

 

「うーん。お姉ちゃんハ『啓蒙が、高まるぅうう!!』って言いながら描いてただけだから、ちょっと分かんないヨ」

 

「そう…」

 

取り合えず、リートの姉が中々変わった人間なのは分かった。

 

「それより、次はどうスルの?わたしには何のあてもないぞ!」

「ああ、ここも行方不明になった子供の家なんだけど…」

 

そこまで言って、また『友達』という言い訳で押し切れるか考えて口を紡ぐ。

 

「ぼっろーい!お前んち、おっばけやーしきーって言えばイイのかな!?」

 

…大丈夫そうである。

リートは見た目は中学生位で、新一として見れば年下のなのだが…彼女はなかなかに中身が幼い、と言うよりも些か異常なものを感じるが…。

 

「叫ばないでいいよ…」

 

一応平日の住宅街だ。絶賛義務教育中の様な二人がうろついて居るのは不審がられるだろう。

そもそも、この家に関しては通報したのは近隣住民だ。元々保護者にあたる両親共々姿を見ない、と言うので通報が成された様だ。

後に警察が捜査に入った結果、数日間大人二人のみが生活して居た痕跡が見つかって居る。どうやら、子供が居なくなった後に、通報する事も無く日常を送り続けていた様だ。そしてそのご両親の失踪。

 

それも有って、当初は別の事件とされていた様なのだが…同じく近隣の住民の目撃情報で怪しげな女に声を掛けられ会話を交わしていた、という事実も発覚した。

 

ふと、静かになったと思いリートの方を見るとから揚げが串に四つ連なった物をもぐもぐと咀嚼している。

 

「リートお姉さんはちょっと待ってて!」

 

此処までの言動を見るに、家主不在の家を調べるのにリートは不向きの様な気がする。

 

「え!一緒にいくヨー!!」

 

残念ながら、つて来る。

 

「スニーキングミッションなら任せろー!」

 

そんなことを言って、黄色のダッフルコートのフードを被り姿勢を低くして忍び歩く様な動作をするが、そんな歩く卵焼きみたいな様子では何の効果も無い。

 

本人に忍ぶ気持ちが有るなら、まぁ…とリートが発言した通りになかなかに古い一軒家の敷地内に入り込む。

外壁は雨風に薄汚れたトタンで窓枠も木だ。

玄関のドアも、随分と古ぼけたもので塗装どころか木の表面もはげかけて居る。扉の脇に赤い郵便受けが付けられて居るが、錆びつき元の赤さが殆ど残って居ない。

 

一応、と言う様にインターフォンを押そうとしたが壊れているのか、かちり、とボタンを押した感覚しかない。

 

「ごめんください…」

 

控え目に声を掛けるが何の反応も返って来ない。

がちゃがちゃとリートが躊躇いなくドアノブを回すが鍵がかかっているらしい。

 

「うーん。ルス?コナンはここ入りたいの?」

 

こてり、と金色の髪を揺らしてリートが尋ねる。

それは、まぁ、出来る事なら入って調べたい…。

 

「任セロー!」

 

妙に元気な、歩く卵焼きと化したリートが背に背負っていたリュックを降ろしそこから何かを取り出す。

 

「ちょ、ちょっと待て!じゃなくて、待ってお姉さん!」

 

その取り出したものを見て、コナンは焦る。

リートが取り出した物は、10㎏と書かれた、鉄アレイだ。…それで何をするつもりだ!?

 

「これで鍵開けをするヨ!」

「鍵開け…って鉄アレイでか!?」

 

嫌な予感しかせず、ひしっと、小学生の細い腕でリートの腕に縋りつく。

 

「鉄アレイでぶん殴れば、だいたい何とか成るナル!」

「やっぱりか!!」

「鉄アレイはステキな魔法のステッキだよ」

「何言ってんだアンタ!?」

 

 

 

少々、リートと揉めた後にコナンが玄関わきに置かれた、枯れた植木鉢の下から合いかぎを発見することが出来、リートによる魔法のステッキごり押しは回避された…。

 

「ちぇー」

 

なんて言いながら、10㎏もある鉄アレイをリュックに戻すリートを横目に見ながら、様々な意味で、『大丈夫か、この人…』と何度目になるか分からない思考がコナンの脳を巡って居た。

 

何とか穏便に、と言いつつも他人宅に足を踏み入れたコナンは違和感を感じる…。

内装も外観同様に酷く古びたものだが、玄関に並ぶ女性ものの靴、が収められていたであろう箱は新しく有名なブランド物ばかりだ…。

子供が居た筈なのに、子供の靴は見当たらない。行方不明になった際に履いていた一足のみ、という事なのだろうか。

 

がさがさ。

静かだと思ってリートの方を振り向くと、再びリュックから何かを取りだして居た。

 

「…ねぇ。リートお姉さんって普段何してるの?」

 

リュックからさも当然の様にシューズカバーを取り出して、一組を此方へ差し出してくる金髪碧眼の卵焼き少女にジト目に成ってしまう。

 

「えっ!要らナイ!?だって急に逃げる時、靴脱いでたらアブナイよ!!コレ着ければ靴のまま上がりこめるよ!!普段は教会で歌ってるお姉さんだヨ!!」

 

そんな事をさも当然の様に考えてシューズカバーを持ち歩いて居るって…なんのプロだ。なんのとは言わないが…。

まぁ、今が有難く受け取る。

もしも一緒に行動していき、何か怪しい動きが有れば容赦はしない。と思って居る横で再びナゲットを食べ出したので、気勢を削がれる…。

 

 

がさりがさりという独特の足音を立てて、古びた家屋内を進む。ご丁寧にリートは手袋まで持っていた。中学生女子の彼女のサイズで用意された手袋は少々大きいがなにも無いよりはましだろう。

 

…それにしても用意良すぎだろ…。

 

「なんか、あんまり子供が居た感ジしないね?」

 

毛羽だった畳の上を進みながらリートが呟く。

それは正にその通りだった。見える範囲は女性ものの服や鞄が散らばり、子供のものらしき物は見当たらない。散乱するゴミの様な物のショップの紙袋やネット通販の段ボール箱ばかり。

子供の玩具や、本の様な物も見当たらない。

ふと目をやったキッチンの一角に、折り畳みに机と一枚の座布団。その一角にのみ黒いランドセルと教科書が一まとめに積まれていた。

子供の居た痕跡はその程度だ。

 

ざっと家の中を見回しただけでも想定される、この家の子供の生活環境にコナンは知らずに眉を顰めて居た。

 

「コナンー。ちょっとコレ!!」

「何かあったの?」

 

部屋の隅で、何かを摘まみ上げる様にしたリートに呼ばれそちらを向く。

 

「これ…!!」

 

手渡されたそれは、小さなパンフレット、と言うには文字数の少ないチラシと言った方が良いような代物。

 

『望まぬ子どもを真なる母の下へ。双方の幸福を願い、子を愛する母の元へ還しましょう』

 

その様な文句とその下に、数日前に見たシルエットで黒く抜かれた揺りかごのロゴ。

 

『黒のゆりかご』

 

その下には、しっかりと住所が印刷されていた。

 

 

 

 

 




元探索者達
今後使いつぶしのNPCとして出てくるかもしれないし、出てこない来ないかもしれない元探索者達。特に読まなくても何の支障もないです。
※私のPCだったり、許可を得た友人のPCだったりします※

◇リート・神崎
高校生探索者。基本的に殴って解決する系探索者。
学生探索者の技能制限のせいで、下手に技能取るより拳で何とかしたタイプ。
ロスト済み。
あるシナリオの結果、物を食べ続けないと時間経過でMP減少。MP減少後、異食症を発症する特殊な狂気を発症して居る。
現在19歳だが、あるシナリオでティン犬に時間を食われて中学生位の年齢に見える。うっかり胎児以下の細胞に成りかけた。地味に神話技能が高い。

◇レイト・神崎
職業芸術家の元探索者。APP18という美女。
ハスターの招来/退散を覚えて居る。SAN値は全て蒸発して、ハスターを信仰する教団で司祭をしている。
某祭典にて、ニグラス×ハスター(1d100×1d100)とかいう冒涜的なウ=ス異本を作成した。
知り合いPC、PL達からは「レイちゃん」呼びされている。なんかその内ゼロちんとかも呼ばれ始めて、このお話で使うべきか…?と思い始めてしまった。

◇戌威ぬい
APPとSIZ18のホラー作家。初期SAN値30とかいう修羅の道を歩いたが、生きてる。辛うじて。
とあるシナリオ時のKPのアドリブ設定により、そのKPの世界線ノーデンスを信仰して(萌えて)居る。こいつもノーデンスの薄い本を書いた。
夜鬼の招来/従属、門の創造が使える。

◇戌威きい
SIZ、APP、STA8とか言う生き抜けるか不安だったけどPOW18で生き残る精神力お化け。ぬいの弟。
現在SAN値が100超えた仙人か何か。ニャルに毛嫌いされてる正気の狂人。だいたいPLのせい。

◇ジル・フール(偽名)
フランス人女性。おっぱいSIZ18.職業狂信者。機械の狂信者で、全人類機械化計画をPC時代から掲げていた。死亡ロストしてネクロニカの黒幕に転身した。
ショットガン、ライフルをぶっ放して来る。ゴミさん、ミ=ゴと仲良くなった。SAN値は65あった筈なのに発言がヤバイ。
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