本当は、PCが探索する場所を超人的化学者が済ませてくれます。コナンくパイセンの探索部分をカットしてくれますぜ。
『黒い仔山羊』に案内されるままに訪れた食堂は、やはり一般家庭のそれでは無かった。十数人の人間が一度に席に就ける様にダイニングテーブルが数組置かれている。
併設されたキッチンも、一般家庭の物に比べれば大きい。業務用、といった程では無いが…。
そんな大き目のキッチンには、4口程コンロが有るというに持ち運びできるカセットコンロが置かれ、シンクにはレトルト食品のからが押し込まれている。あちこちを見渡せば、非常食用の乾パンの空袋や、缶詰の空ばかりが溢れている。
到底も子供の生活環境として、相応しいものの様には思えない。
「ごめんなさい。最近『おかあさん』の子供が増えたので、もう残りが少ないんです。どうぞ」
灰原よりも遅れ、足を引き摺る珪がやって来る。
沢山あるダイニングテーブルの一つを示し、座る様に促されるが、その前に常に足を引き摺りよろよろと歩く珪を見兼ねて進められた椅子の目の前席を引いてやる。
「…ありがとう。それで、何ちゃんでしたっけ」
「哀よ」
この目の前の女性と共にやって来た、と言うが彼女は灰原の名前さえ把握できていない。
「お茶どうぞ」
相変らず表情の読めない、というよりもお面でも被っている様なつるりとした感情を表す事を想定されて作られていないとさえ言えそうな『黒い仔山羊』が目の前にマグカップを置いていく。
些か色の薄い液体が揺れてた。
「それで、私はどうしてここに居るのかしら」
カップへ手を伸ばす前に、最もな質問をする。
「昨晩、私が『おかあさん』の子に成りたい子達を探している時に哀ちゃんに会いました。あなたはそのまま私に着いてきましたが…覚えてませんか?」
「記憶に無いわね…」
「僕を見て動転して居たのではないですか」
思い起こしてみても、やはりそんな記憶が無い。
…ただ、窓の外に…窓に…黒い…。
ぞっとした何かが背を這い上がり、それを振り払うように軽く首を振る。
「…ここはどういう場所なの?」
何や思い起こしていけない記憶を探りそうになり次の質問を投げかける。
先程気づいてしまった、どう考えても健康状態の宜しくない子供に、投薬の結果に寄る不自然な痩せ方。大人の無い環境に、『大人は要らない』という珪の言葉…。
「ここは、『おかあさん』の元に還りたい子達の、一時的な居場所です」
また、『おかあさん』という単語がでる。温もりがある筈のその言葉に何か悍ましいものが潜む気がする。
「『おかあさん』は絶対です。絶対、私達を愛してくれる。私達は、愛してくれる『おかあさん』の元に還りたいんです。ここは、そんな子達の集まり。皆ずっと待って居ました…哀ちゃんは運がいいですね。今晩ですよ。もう、数時間で『おかあさん』が迎えに来る」
昨晩の記憶の中で、はっきり残る物。突発的に母の声が遺されたテープを引っ張りだし繰り返し再生させていた記憶…。
「もう何も心配しなくていい。『おかあさん』の腕の中全てを委ねて眠りにつけばいい」
『母』という物への異様な信頼と傾倒。まるで質の悪い宗教の様に生き物な当然の様に持つ『母親』への敬神。珪の口調からはそんな物は伺える。
何となく、ここに居る子供たちの経歴に察しが付く。
親に蔑ろにされた子供達が、偶像の様な『母』を信奉し逃げ込んだ場所だ。一体誰が始めたあ事は分からないが、目の前の珪でさえ、誰かに教えられたかのような、信者の顔で語る。
灰原が言えたことでは無いが、成人の様な見た目と中身の年齢が合って居ない。珪の場合は、逆に、まるで幼子の様なのだが…。
彼女に誰がその思考の発端で、子供を集め始めたのか聞いても無駄の様に思えた。
ならば、まだ得体の知れない『黒い仔山羊』に話を聞いた方が良い気さえしてしまう。それ以外は皆、余りにも幼い。
「えっと…他に何か気になる事はありますか?もうちょっと前だと、使うベッドとか、皆と話し合って決めていたりしたんだけど」
「……、あなたもそうだけどここの子供たちの怪我はどうしたの?」
珪は不思議そうに首を傾げる。
「皆それぞれですよ。私は…どれが何で付いたか覚えて居ませんが、目は昔院長先生に酷く殴られて真っすぐ向かなくなりました。…まあこんな感じで大丈夫ですか?私は今晩『おかあさん』を迎える準備がありますから」
歪みの残る顔で、珪は笑って手を伸ばし灰原の頭を撫でる。
「一緒に『おかあさん』の元に還りましょう」
◆
もともと出会った時から珪に、正気と言われる物は乏しかったですが…ここ数日はお母さまを呼ぶための儀式の準備を行う関係上少し思考が狭まり、精神性が幼く成ったように感じますが、それも彼女やここの子供たちの望んだことなので何の問題もありません。
人間の母親は誰も彼女達を救わなかったのだから、僕たちの信奉すする母なる地母神へ縋ったのでしょう。
何を信じようが、個人の勝手です。僕らはお母さまが信仰と贄への返礼として遣わす者なので彼女達の望みを叶えるべく協力するだけです。
彼女達の願いは『母への回帰』ですから僕は、シュブ=ニグラスの招来に必要な手順を教えたまで。
「…あなた…えっと…」
「『黒い仔山羊』と呼び辛ければ…クロエとでも呼んでください」
先程もまで珪と話していた子供が振り仰ぎ、言い淀むのでそう伝えます。黒井小夜林でも良いのですが、バンドメンバーの妹で、彼女の様に毛色の異なる人間は上手く発音出来ずに「クロエサニョ、サニョリ?」などと言うので、予めの配慮です。
「そう。じゃあクロエ…ここは、何かの新興宗教なの?」
宗教。
人間的感覚から言えばそうでしょう。でも、ここには教義を広めようとする者は居ません。誰一人。純粋な信仰のみで、僕らは召喚されました。
言葉に変換する事の不可能な、純然たる『母』への渇望だけ。それが信仰心と認められるほどの、純然たる祈りです。そこに偶然贄が捧げられた。
なので、以前僕が他所で巻き込まれた事件の様な魔導書も、手記も、狂信者もここには居ません。ただ母を求める心があるだけです。
なので、
「違いますね。単純に絶対的な存在の『母』を求めた子供の集まりに過ぎません。君もそうなのではないですか?何かが怖くて、何かに抱きしめられて、何も心配する事無く眠りたい。母に抱かれたい。だから、珪に着いて来たのでしょう?」
哀と名乗る少女が一瞬戸惑った表情をしました。
「分からないわ…。覚えて無いもの」
それは昨晩の事?それとも母と言う存在を?
「ついでにもう一つ聞いていいかしら?」
「はい」
「…ここの子供達、さっきの珪も含めて痩せ方が尋常じゃないの。薬物の過剰摂取によるものみたいな…心辺りはない?」
薬物ですか…それは、人巳の得意分野であって僕自身は詳しくないのですが…。恐らくこの園の裏の林、その奥にある農園の物の事でしょうか…?
「僕は詳しく無いので分かりませんが…後ろの林の奥に、畑の様な物があります。一種類だけ、葉が茂る植物が植えられて居て…足りない食品の足しにしようと皆、食べて居ます」
ええ、と思い起こし確認する様に一つ頷きクロエは相変らずの黒く虚の様な瞳で続ける。
「怪我や空腹や不安が紛れると言って、喜んで食べて居ましたが…名前は知りません。それでもわざわざ土を耕して育てられて居たので食べれない物では無いと思いますが、食べた後は少し反応が鈍くなりますね」
その昔、地母神として崇められていたシュブ=ニグラスには人の生贄を捧げられた。対価としてもたらされる黒い仔山羊は、その巨体から豊富な食糧てして信者たちの飢えを満たした。人一人の肉と巨木の様な生物の肉。人間一人の見返りにしては十分だ。が…この時代神からの授かりものをそう言った用途に捉えるものは無い。
その結果、子供だけで資金源はクロエがもたらすもののみで、食い扶持の無くなった子供たちは林の奥に見つけた野菜らしき物を食べている。
「…そこ、案内して貰える?」
「はい。ではついて来て下さい」
妙に険しい顔の少女を連れ、クロエは歩き出す。相変らず人懐っこい子供が『御子様』と声を上げにこにこと纏わり付いて来た。
『 』のイカレタメンバーを紹介するぜ!
ヴォーカルとベースは散々出てるのでカットだ!!
次ぃ!ドラム!
司祭服の上に黄色いローブを着た、怪しさしかない女!見ての通り、ハスター信者の教団司祭だぁ!!妹をパシリに使い、姉の理不尽を発揮してるぞぉ!
次ぃ!ギター!
包帯塗れの足の無い男だぁ!クトゥルフ信仰する、深きもの(の奇形)だぁ!!インスマス面では無く、純正水の中がホームグラウンドの奴!陸上に居る間は皮膚が乾いて爛れてるぜぇ!
加賀知「うちのバンド、何で宗教戦争に発展しないんだろうねえ?」
黒井「地味に起きてますよ。新譜を出す度に誰を讃えるかで割ともめてるじゃないですか」