第一話エルフの森消滅
「おまえを殺してやる」と神様に告げられた。
次の瞬間には周りは木、木、木。
それが僕の異世界転移だった。
周りは見渡す限り森の中、ゲームに出てくるエルフの森を連想してしまうそんな豊かな緑の森だ。
現代日本に住んでいる僕、田中太郎はこんな場所など見覚えなどあるわけもなく戸惑った。
「なんじゃこりー!?」
と叫んだことは覚えている。
叫び疲れて黙っていると変な歌声がどこかから聞こえてくる。
「今日も森は清々しいぞー鳥は歌い花は咲き乱れこんな日はーー」
その声は自分の後ろから聞こえてることに気づき僕は振り返った。
「ーーバーベキューでもしたくなるー」
振り返るとドラゴンが僕の目の前にいた。
目と目が合った瞬間(あ、これやばいやつや)と僕は内心思った。
「もちろん焼くのはお前の肉だぜ!!」
ドラゴンは僕に向かって炎を吐いた。
僕は自分の体を尻尾で覆った。
元々僕の身体に尻尾が生えていた訳ではない。
神様の異世界転移の特典として僕はみたことがある生物に変身できるのだ。
ドラゴンは僕に火が通用しないと気が付いたらしく、火を吐くのはすぐにやめた。
「お前が神の言っていた男、で間違いないようだな。」
ドラゴンが言葉を操ることも日本語を話せることも異世界ものならよくあることだ。
そんなに不自然なことではない。
そんなことよりもドラゴンの放った火によってエルフの森(仮)が死の森になってしまったことのほうが一大事だろう
田中太郎は知ってるよ、エルフの森を燃やしたのはドラゴンさんなんだよね。
僕からすると今はドラゴンに殺されかけているほうが一大事なのだけれど。
「今ならお互いに平穏で済むと思うんです。お願いします。食べないでください。」
今思うと食べないでください以外の言葉はカミカミで聞けた声ではなかったと思う。
ドラゴンは大声で
「我々の世界の平穏のため貴様は死ね!!」
と言いながらその爪を振り下ろす。
僕は思い切り力を込めてその爪を払いのけた。
「何!?」
人が本来ドラゴンに力で叶うはずはない。
だからこれは神様が僕に与えた力「あらゆる生物に変身できる」力によるものだ。
僕は人でありながらその両手は竜のモノへと変化していたのである。
それだけではない、その力もドラゴンと同等のモノへと変化していた。
死の森にてドラゴンが何度も爪を振るう
僕は必死にドラゴンの爪を払いのける。
うまれてから喧嘩をしたことがない僕にとってはそれが精一杯だったのだ。
やがてドラゴンは息を切らせ空へ飛ぶ。
今ならわかる、自慢の炎も防がれ、殴り合いでは決着がつかない。
ならば魔法で一気に決める、そう考えて距離を取ったのだ。
当時の僕は離れていくドラゴンは僕を焼肉にすることを諦めたのだと思い、ドラゴンをただみていた。
やがてドラゴンが見えなくなり、(助かった)そう思ったところで
僕の視界は白く染まった。
そうしてエルフの森(仮)はこの日地図から消え去った。
次回、焼肉太郎。