どうぞ
怪物達はいつかみた白い空間に立っていた。そこは人の神の居住区。異世界では良い神様と呼ばれている神の住む場所。
ーーつまり、「てめぇらぶっ殺してやる!!」と神に殴りかかられても文句は言えないのである。
「うおっあぶね」よける二人。
「ぢっ」舌打ちをして二人から距離を取る神。
二人の背後で禍々しい気配がうごめいている。
(あぁ、懐かしい、これは偉大な神だ。)
二人の後ろにはいつの間にか、否最初から外なる神である父が居た。
太郎と勇一は振り返える。
ねちゃねちゃとした音を立てている不気味な怪物がそこにいる。これは父の仮の姿のひとつにすぎない、けれどそれは間違いなく怪物二人にとっての偉大な父であった。
不意に父は不快な音を出した。二人にはその声がお帰りと言っていると理解できる。
二人は真の姿であるヌメヌメした触手の怪物になり父に向き合う。触手に触手を合わせようと父はその手を伸ばす。二人はそのゆっくりと伸ばされた手を
ーー人の手で弾いた。
そして告げる。
「父様、僕たちはこれから!!」
「あんたを倒す!!」と父を指差す。
「人の世界は綺麗でさ、俺もこいつも!!」
あんたを倒して!!世界を救う!!
神に向かって触手を放つ二人、だが最初の一撃以外はすべて弾かれ効いていない。
「やっぱ効かないか!?」
邪神の触手が二人を襲う、それは速く二人には避けられないものだった。
だが触手は弾かれた。
「神の加護あるかぎり、この程度の攻撃は意味がない」
法王二人を守るように立っていた。法王は言う。
「神よこのもの達は決してあなたの敵などではない。コイツらは」
ただのバカです。
「おい、ふざけてんのかお前。」と勇者太郎が呟いた。
「真面目にいってるに決まってるだろう?」と法王が返す。
邪神は触手をドリル回転させて発射した。それは衝撃だけで簡単に法王を吹き飛ばし法王をギャフンと言わせた。
だが、怪物二人には届かない。
なぜなら神が二人を守ったからだ。
「訳がわからん、だがお前らが世界のために戦うというなら今は仲間だ、そうだな?」
そうして怪物と勇者の太郎と勇一は答える。
「その通りだ」と。
勇者の剣が触手を切り裂き、怪物が触手で叩きつけ、神がビームで邪神を攻撃する。
邪神は苦しみから不快な声を発する。
「よし、邪神に攻撃効果ありだ!!もうひとふんばりするぞ!」
「何でもいいけどお前が仕切るな!仕切るのは神様たる俺だけだ!!」
一進一退の攻防が続く。神と怪物二匹と勇者達は決め手がなく攻めあぐねていた。
「くそう、ぜってぇ負けねぇ」と誰かが呟いた。全員が同じ気持ちだったが邪神はその姿を増やし対抗する。拮抗していた攻防が邪神に傾いた。神は全員を加護で守っているが触手は一撃一撃確実神の加護を砕いた。
「もう腕上がんなぃ」勇者が呟く。
そう、もう全員が限界を迎えていた。邪神が触手を伸ばしてくる、彼らにもう防ぐ手段なくもはやどうすることもできないその時
「頑張れーー!!」声が響いた。
振り向かなくても判る。花の声だ、違う、花だけではない馬主のおじさん、果物屋の店長、これまで太郎と勇一と出会ったことのある人たちの声がする!!
負けてはならない、自分達が諦めるということはこの人たちを死なせるということだから!!
「おおおぉぉおぁ!!」怪物二人は吠えた。負けてたまるかと。
そして竜の翼を背に生やし、触手を切り裂いた。
邪神が苦しいと悲鳴を上げる。神が立ち上がり何事かを呟くすると竜神が表れた。
「やっとワシの出番か。」
「いいからやるぞ」
それは竜が異世界で最強たる所以、神により世界のすべてを破壊することを許された魔法「核魔法」本来神と竜神しか放てない魔法だが、今回は例外が二人いる。
「おいガキ共!!俺たちに合わせろ!!」
太郎と勇一は邪神に向かって核魔法を放った。それは神の力、本来なら破壊することを目的としたもの、だが邪神たる怪物の父はこの程度で死にはしない。この神の世界から追い出される程度の威力でしかない。
もっとも今回はそれこそが勝利な訳だが。
邪神が不快な悲鳴を上げる、それは怪物にしかわからない言語だ、神が邪神の子達にアレなんと言っているか尋ねる。
邪神の子供は「わからない」と答えた。
そして勇者と邪神の子は目を合わせ頷き合い、異世界転移の元凶たる神様をぶっ飛ばした。
愉快な声を上げて神は綺麗に吹き飛んだ。太郎と勇一はやりきった顔をしていた。
こうして、彼らの異世界転移は終わりを迎えた。ここから先がもしあるならそれは蛇足である。
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