かくして世界の危機は救われた。法王は頭が一回り大きくなって異世界へと帰っていた。
ー法王が神へと応援の言葉を届けたことは素晴らしい功績として神に認められた。
だが褒美は特にない。
神がいうには「これ以上は神になるしか与える褒美がない。よって褒美はあげられん。悪いな?」
全く悪いと思っていないのが伝わってくる。もう100も異世界転生を繰り返した自分はそろそろ神様になっても良いのではないかと割と本気で法王は思っていた。
だがそれはそれとして法王はやることがあった。
「おい、副官」
「はいなんでしょう?」と副官は答える。
「俺はオモシロイ劇を思い付いた。邪神の手先が勇者と組んで神を倒す話だ。」
「それより勇者殿の栄光を劇にしましょうよ。」
「そんなものは劇作家がやれば良い、俺が作りたい話を作るんだ。」
勇者を称える劇は山ほど作られたがあの怪物達を称える劇はひとつもないのだ。一つくらい奴等のための劇があっても良いだろうと法王は考えていた。
副官は仕方ないですねと答え、ふと気になることを尋ねた。
「題名は決まっていますか?」
法王は自信満々に答えた。
「異世界転移の話」
ーー勇者、田中太郎と佐藤勇一はもとの世界へ帰った。
今回の旅は彼らにとってどんな意味があったのだろう。
ひとつはっきりしているのは彼らは愛してくれる人がいて彼らも愛を返しそれなりに幸せに暮らしていくだろうということだけだ。
では。怪物はどうなったのだろう?
ーー
「いつまでも田中太郎とは名乗れない、だからといって真の名前×××××はこの世界では誰も聞き取れない。」
というわけで改名しよう。
「だったら良い名前があります。ご主人達」
「おお、なんだ?聞きたい」
「それはですね」
「 です」
この名前は彼らだけのものです。今回は内緒ということをお願い申し上げます。
ただ、彼らは楽しくやっているとだけ伝えておきます。
竜神の背にのり異世界の海を渡る怪物二人と花。彼らの目の前には竜の群れが渡りをしている光景が広がっている。
「うわ凄い、竜があんなにいっぱいいる!?」
「本当だなんだアレすごいな !?」
「 さん さん落ちちゃいますよ」
竜神様の背中から落ちる二人。悲鳴をあげながら竜神の翼を背に生やすことで事なきを得る二人。
「危ない危ない、気をつけておかないとな?」
「だな」
「お主ら本当に忙しそうじゃなぁ?しばらくは退屈せんで済みそうじゃわい。」
「取り敢えず花の故郷の手がかりと竜神様の里帰りくらいかなあやることは」
「楽しそうだなぁ?」
「ああ!!」
怪物は語る。
世界は希望で満ちていて時に辛いこともあるけれど生きてりゃ案外いいこともある。未来が楽しいかはまだわからない。けれど僕らは今元気です!!
異世界転移の話、これにて完結でございます。
それでは応援してくださったかた。一緒に連載をしてくださった方、お気に入り登録をしてくださった方、しおりをはさんだ方皆さまありがとうございました。