緋弾のアリア ルートF   作:たかめ

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日常の一幕
プロローグF


俺はしばらく味わっていない安全な行事『武偵戦友会(カメラータ)』にて、アリアが平賀さんに発注していたホバースカート『YHS/02』を箱に戻す。

今からはしゃぎすぎて時間が遅くなってもアレなので、今日はここで武偵戦友会はお開きとなった。

俺はホバースカートの入った箱を持ってこの場を後にする。なにやら機嫌がいいらしいアリアはピンクブロンドのツインテールを揺らしながら着いてくる。

おそらく新型の武装が手に入ってワクワクしているのだろう。俺だって、さっき平賀さんに情報をもらった武器やらを今すぐにでも欲しい。

まあ、交渉が巧いリサに発注してもらうまでしばしの我慢だ。武偵というのは、案外普通の高校生のように自分の身に着ける武装(モノ)に関してこだわるのだ。

 

「ねえ、キンジ。」

 

「なんだアリア。トイレにでも行きたくなったか?」

 

「ば、馬鹿じゃないの?!それよりも!・・・気づかないわけ?」

 

声を潜めてアリアが言う。気づいていましたとも。何やら俺たちを気配を隠すこともなく尾行している奴がいる。

若干重たい箱を左手に持ち替えて、ベレッタに手を掛ける。アリアと目で合図を交わし、一気に尾行している奴に強襲する。

アリアは現在『強襲科(アサルト)』のSランク武偵。こちらには問題ないだろうが、一方の俺は"ただの"Eランク武偵にすぎない遠山キンジ。

俺も以前は強襲科にいたからある程度は合わせられるだろうが、今の俺ではアリアの動きについていけなくなるだろう。

まあ、なるようになるさ。

 

「いくぞ!」

 

俺はホバースカートの入った箱を真上に投げる。中身に関しては問題ないだろう。なんたって防弾素材の箱に衝撃吸収材で覆われているのだから。

瞬間、俺は右手でベレッタを抜き、すぐさま真後ろにいた奴に威嚇射撃を二発、直後にアリアが二丁のガバメントを抜き、対象との距離を縮める。

これは二人組で組んだ時の基礎中の基礎の戦術のため名前はない。が、俺はどこかこの戦術をアリアと組んでやるのが気に入っているので、

勝手に『短距離接近術Ⅱ(アサルトレンジ)』と呼んでいる。最も、これは本当に基礎のためしっかりとした呼び名が考えられなかったのだが。

俺とアリアの短距離接近術Ⅱならば並の相手どころか、場合によってはAランク武偵の隙を作ることだってできる。

とりあえず、これで相手の技量を図るにはちょうどいい。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!アリア先輩!」

 

「あ、あなたは・・・」

 

この声は聞いたことがある。確かアリアの『戦姉妹(アミカ)』である間宮あかり・・・か?

振り返ってよーく見てみると、アリアより小柄なその体格は顔を見るまでもなく間宮あかりだ。

 

「なんだ。あの尾行は挑発じゃなくてただ下手なだけだったか。」

 

「な、なんですかこの遠山キンジ・・・先輩!私だって、結構尾行上手くなったと思いますよ?!」

 

「まあ、ミジンコからアリには昇格したかもな。」

 

アリアの後輩だけに。

 

「いいえ、まだこの子はミジンコレベルよ。相手の技量を見誤るなんて、キンジらしくないわね?」

 

「そういうアリアは結構判定が厳しいのな」

 

「うう、酷いですよアリア先輩~!」

 

いつの間にか和気あいあいとしているが、なぜこの子は俺たちを尾行していたのだろうか。

そういえばこの間宮あかりは、前々から俺を敵視していた。理由は未だに不明だが、俺の弱点を見つけ、そこに漬け込んで俺を倒そうって魂胆か?

・・・いや、それはないな。コイツは、武偵高の中でも頭のネジが吹っ飛んでそうなぐらいアホだからな。

その根拠に何を言われたかは知らんが、そのアホ面をアリアが横に引っ張っている。うん、アホだ。

 

「先輩後輩で仲睦まじくやっているところ悪いが、俺はそろそろ帰る。アリア、あのホバスカは俺の部屋に置いておくから、あとで気が向いたら取りに来いよ。」

 

「あっ、待て!バカキンジ!」

 

「せんはいいはいれふ!」

 

武装した奴らに待てと言われて待つ武偵はいない。

 

 

 

帰ってきてすぐに自室のベッドに腰掛ける。リサに丁寧に掃除されたおかげか、やはり以前よりもふかふかなベッドだ。

ベッドの下にアリアから預かっているホバースカートの入った箱を置く。

同時にコンコン、と扉がノックされた音がした。

 

「入っていいぞー」

 

「失礼しますご主人様。ご夕飯は何時頃がよろしいでしょうか?」

 

「リサか。20時ぐらいに頼む。あと、できるだけ早くこれを平賀さんに発注しておいてくれ。」

 

そう言って平賀さんから渡された注文書をリサに渡すと、

 

「わかりました。翌日にでも平賀さんに交渉してきますね。」

 

俺に仕えるのがうれしいらしいリサは、こちらまで笑顔にしてくれそうなぐらい顔を綻ばせてそう言ってくれた。

このメイド、やはりできる!

部屋から出ていくリサの後ろ姿を見送り、今度はベッドに横になる。

今日もいろいろなことがあったが、その内容はつい先日まで送っていた俺の日々とは違う、むしろ真逆な平和な日だった。

武藤や不知火、平賀さんと普通の高校生のように集まって、家に帰ればメイドが飯の準備をしてくれる。

アリアとだって、最初の頃よりも素直に会話ができるようになったし、してくれるようにもなった。

できればこのまま平和な日々が続いてほしいが、そうも言ってられない。

ワトソンから見せられた写真は、あの鬼どもが日本に上陸したことを裏付ける確かなものだった。

圧倒的な種族の差を見せつけられた閻、周りの鬼だって閻ほどではないにしろ相当な強さだろう。それにあの覇美という少女、得体のしれない化け物の可能性だってある。

俺はこの複雑な状況から目を背けたくなって、とりあえずベッドに横たわって目を閉じた。

 




ただの思い付きで始まってしまった緋弾のアリア ルートF。
FはFutureのFです。いつか出てしまうであろう最終巻に繋げられるように、やや原作沿いで進んでいきます。
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