この作品はにぼゆう、ぐんわか、あきはるを熱く応援しています。異論は認める。
皆も自分の性癖に従って書く方がいいよ。
確実にそれで離れる人は居るだろうけど、それ以上にこの先ずっと読んでくれる人もちゃんと現れるから。
私の上下するお気に入り数を見ろ、経験者は語るんだぞ。
園子からの爆弾発言に、部室の5人は凍り付いた。 いち早く硬直が解けた歌野が、さしもの精神力を持ってしてもその声を震わせて言った。
「紅葉が、死産……? あんな殺しても死ななそうな奴が? 冗談でしょ?」
「当時の記録を見たから間違いないよ、うたのん。 もーみんは間違いなく死んでいた。」
歌野の言葉を遮って続ける園子。
「いや、肉体の方はもーみんじゃないんだけどね。」
「…………ごめん、頭がこんがらがってきた。」
「そもそもの始まりは、神樹様が西暦から神世紀初期までを生きていた先人紅葉の魂を保管していた事だった。 いつか来る困難に立ち向かうことになる少女たちを支えさせるのに必要だからって事らしくて、それが、今この瞬間。」
それを聞いて、机の傍らに立っていた美森が机を強く叩いた。 眉を潜めて憤りを露にしているその顔は、憤怒一色に歪んでいる。
「支え『させる』…………?」
「……わっしー。」
「支えるって言うのは、お互いにする事なのよ。 紅葉くんにだけ私たちを負担にさせるのは、『支える』なんて言わない……っ!」
「うん。 そうだね、神樹様は間違っている。 それでももう、もーみんの体には限界が来てる――――とっくに限界を越えているんだ。」
一旦落ち着くよう促した園子に従った美森は、呼吸を整えて話を聞く。
「もーみんのあの体は死んでいる。 そしてそこに西暦の先人紅葉の魂を入れる事で人のように動かしている。 でも死んでいる事に変わりはない。 死体であるあの体は本来なら数日ともたずに腐敗してしまうんだけど、それを神樹様がリソースを分け与える事で防いでいるんだ。」
「つまりあいつ、マジのゾンビだったわけ。」
「夏凜ちゃん!」
「事実よ東郷。 しかし、成る程、神樹からリソースを分け与えられてる……ねぇ。」
考える素振りを見せた夏凜は、少し間を空けて、苦い顔をして園子に言った。
「神樹が世界を守る力がもう無くて死にかけてるって事は、あいつに渡すリソースにも余裕がないって事になる。 友奈が命を貰ったってそういう意味だったのね。」
「――――世界が救われても救われなくても、神樹様が居なくなるから…………どちらにせよ紅葉くんを生かす方法が、無くなる……?」
憤怒から、絶望に。 美森は――――勇者部部室の6人は、ようやく、紅葉がどう足掻こうが助からないことを理解してしまった。
スマホを握り締めて部室から出ようとした歌野を、咄嗟に夏凜が肩を掴んで止める。
「…………紅葉を探して、友奈を連れ戻す。」
「話聞いてた? あいつはもう助からな―――「分かってる!!」
掴んだ手の首を掴み返して捻り上げる。 関節を極められ、夏凜のは鈍く呻いた。
「う、ぐ……っ。」
「『どうせ死ぬんだから無理』とか、『どうせ助からないんだから助
扉に夏凜の背中を押し付け、手から首元に腕をやり、更に押し付けて縫い止める。
「あの人が昔の魂をリサイクルされた不良品だろうと、肉体が腐ってる死体だろうと、そんなの関係ない。 あの人は必死に生きてるの! 紅葉は生きてるの!! 私の大事な幼馴染を死なせたりなんてしない…………!!」
そう言い残して、歌野は部室を飛び出す。 咳き込んだ夏凜は、呼吸を整えた。
「……そりゃ、幼馴染が死ぬことを割りきれなんて無理か。 さっさと追いかけるわよ。」
「悪い夏凜、あたし達に代わって憎まれ役引き受けさせた。」
「なんのことだか。」
手首の関節の調子を確かめていた夏凜は、風にそう言われるも目線を逸らして誤魔化す。
素直じゃないわねぇ、と言われながら、夏凜はスマホを手に取り部室を出ていった。
◆
「
「あ゛?」
校門から出てすぐの壁に寄りかかっていた少女に煽るように呼び止められ、歌野は睨む。
この辺では見ないオレンジのジャージを羽織って腹部のポケットに手を入れている少女が居た。
艶のある漆塗りの黒髪を垂らし、その傍らには刃が折り畳まれた大鎌が添えられている。
「誰。」
「郡千景。」
「……紅葉の膝でゴロゴロ言ってたあの猫?」
「あの姿での特権だから良いのよ。」
表情を崩さず言ってのける千景に深かった眉の潜み具合がより濃くなる歌野。
それでも、淡々と言った。
「紅葉は何処?」
「教えない。」
「言え。」
「嫌よ。」
「どうして。」
冷静そうに見えて、その実、額には青筋が浮かんでいる歌野。 千景はカツンと大鎌の柄の底で地面を叩きながら、親が子供に言うように伝える。
「紅葉くんが死ぬのを邪魔されるのが嫌だからよ。」
「――――は?」
「…………なんて言おうと思ったけど、貴女に言っても聞く耳は持たないわね。 紅葉くんは瀬戸大橋記念公園の英霊之碑に居るわ。 行きたくば行きなさい。」
すい、と。 場所を開けるようにまた背中を壁に預けた千景は、それだけ言ってまぶたを閉じた。 話すことはもうない、とでも言いたいのかわからないが、歌野は一瞥してから変身して屋根伝いに跳躍する。
「ああ、ほんと。」
通行人の口から白い息が出るなか、千景の口からは出ない。 それは魂を神器に移して守護者になった千景、そして若葉が人ならざるモノになっている証拠だった。
「――――嫌になる。」
千景は静かに、絞り出すように呟く。 だがそれはまるで、吐瀉物を吐いているようにも見えた。
◆
「兎に角歌野さんを追わないと、お姉ちゃん!」
「そうね樹、でもあいつ何処行ったのよ……。」
小走りで校舎から出た風達勇者部のメンバー。 その5人が校門を出たところで、先ほどの歌野と同じように声をかけられた。
「――――知ってしまったのね、紅葉くんが死ぬことを。」
「…………誰だあんた。」
「……既視感あるわね。 郡千景よ。」
一瞬黙る5人だが、思い出したように美森が千景に問い掛ける。
「千景―――
分かりやすく嫌そうに顔を歪める千景は、嫌そうな顔を一切変えずに美森の質問に答えた。
「正直紅葉くん達の悪ふざけが歴史に残るとは思わなかったけど、あの千景。 初めまして……かしら、今の勇者さん。」
「ええそう、初めまして。 じゃあ退いてくれる?」
「会話って知ってる?」
夏凜と歌野の似通った我が道を行く具合に、千景は頭を痛めた。 咳払いをして会話の流れをリセットした風が、部長として代表で千景と話をする。
「千景…………さん、は、紅葉の状態を知っているのね。」
「呼び捨てで良い。 そうね、紅葉くんは死にかけている。 肉体を限界を越えて尚動かし続け、内包された魂ごと灰と化している状態よ。 生きているのが不思議なくらい。」
「それをどうにかする方法は無いんですか!?」
割り込んで千景に懇願する美森だが、それを千景は無慈悲に否定した。
「無理。」
「――――。」
「紅葉くんは死ぬ。 それを避けることは出来ない、これで良いのよ。」
「良い訳が―――「良いのよ。 もう、良いの。」
ジャージのポケットに両手を入れていた千景の、静かで、それでいて重くのし掛かる声色。 自分達とは違って出ない白い息。 光すら吸い込み尚も黒く艶めく髪。
その全てが、郡千景の人ならざる気配を増長させていた。
突如凄まじい重圧が5人を威圧し、透明感のある千景の声をその耳に浸透させる。
「悪いけど、綺麗事ならこの250年近くで散々聴いてきたわ。 守護者として世界を守れ、勇者は世界を守れ、巫女は神の声を聴け。 うだうだうだうだと、『それが世界の為になる』と大赦の連中に散々言われ続けて来たわよ。」
カツン、と柄の底で地面を突く。
「挙げ句の果てには紅葉くんを使って『勇者と巫女が世界を守った』という話の再現をしようとしていた。 頑張って頑張って頑張って、友奈さんだけを守れなかった事を悔やみながら必死に生きていたあの紅葉くんに―――。」
ガツッ、と地面を砕く。 憎悪に濡れた瞳が、5人を視る。
「『また戦え』って? 『また苦しめ』って? ふざけるな、紅葉くんは都合の良い消耗品じゃない。 貴女達がどれだけ紅葉くんが好きでもそんなの知ったことじゃないの。」
冷静であろうとして、作った握り拳の内側で、手のひらに爪を食い込ませる。 そうでもしないと感情のままに喚き散らしてしまいそうだったから。
それではいけない。 初代勇者・郡千景として、サポーター・先人紅葉の緩やかな死を邪魔させてはいけないのだ。
千景は世界を救おうとする明確な意思と、紅葉をどうにか助けようとする決意を持った現勇者の顔を見ないように、腰を曲げて心からのお願いを提案した。
「もう、紅葉くんを寝かせてあげてください。」
そうしないと、千景の決意まで揺らいでしまいそうで――――この人達なら紅葉を救えるかもと、思わされてしまうから。
そんな誰一人口を開けない現状に、茶々を入れるみたくズン、と世界が振動した。
空を見上げると、6人の視界には信じられない光景が見えた。
「なによ、あれ…………。」
「まさか……バーテックス……?」
風と夏凜が言うが、それを千景が訂正する。
「あれはたかだかバーテックスごときじゃない。 あれは、結城さんが神樹と結婚する事を―――人間程度が神の座に上り詰めようとする事を戒めるシステム。」
空間が裂け、夕焼け空におぞましい『赤黒』が割り込んでくる。 まるで樹海化の時のような動きで介入してくる『それ』を、千景はこう呼んだ。
「
遅くなってマジでめんご、いまいちやる気が出なかった。 あと次はひなた誕生日回ね。 その次は短編と番外の予定
説明回だからかセリフが多くなるのすまんな。
海堂ポジションと化した千景は紅葉の死について理解はしてるけど納得はしてなくて、もう辛い思いはして欲しくないから死なせてあげたい。
と思ってる。
ちなみに5人にした説明を歌野にしてたら強制戦闘始まってその辺の壁という壁がぶっ壊れてました、今の歌野に聞き流す余裕はありません。