【完結】先人紅葉は一般人である   作:兼六園

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この時空の杏は園子先生の影響で少女漫画的行動に極度に興奮する体に改造されてるショッカー怪人・ワザリングハイツみたいなフィーリングなのであしからず。

ひとまず思考回路を停止させて読みましょう、辛うじて致命傷で済みます。




祝福 伊予島杏は暴走機関車である

 

 

 

「じゃあ、とりあえず紅葉さんはひなたさんと絡んでください。」

「なんて?」

 

開口一番、ベレー帽にサングラス、口許にはココアシガレットと映画監督みたいな面構えの杏がそんな事を言ってきた。

俺にはヤの人にしか見えないんだけども。

 

 

「さあ早く、私は今冷静さを欠こうとしています。」

「もう既に欠けてる!」

 

サングラスの奥の血走った目が、俺と横のひなたを貫いている。

 

事の発端は、杏の誕生日プレゼントで悩んでいた若葉が杏に言った言葉が原因だった。

 

 

 

 

 

『どうした杏、我々に出来る事であれば()()()()()()ぞ?』

『ん?』

『え?』

 

ぐりん! と首を回して、杏は若葉に鋭い目を向けて詰め寄った。 あの若葉が咄嗟に後退りする程、と言えばどれだけ珍しいか分かることだろう。 俺も少しビビった。

 

 

『今なんでもするって言いましたよね?』

『あ、ああ…………。』

『まさかあの若葉さんが前言撤回なんてするわけ無いですよね?』

『…………ああ。』

 

壁際に追い詰められた若葉は、杏の威圧感に圧されて壁を背に縮こまる。

 

 

『ふふ、ふふふふ、ふふふふふふふふ。』

『ひぃ……。』

 

 

なんでもする。

 

それは創作を行い、作品を読む事が好きなタイプには絶対に言ってはいけないワード第一位だろう。 なにせ俺の後ろで園子ズまで過剰反応しているからな。

 

かくして杏(とおまけに何故か園子)は、若葉からの『なんでもする』を言質に好き放題やり始める部室の帝王と化したのだった。

 

 

 

 

 

嫌な予感がしてひなただけでも連れて避難してから数十分、そろそろ落ち着いただろうと思って戻ってきたらこれだよ。 絡めってなんやねん。 タコかなんかか。

 

…………いやそれだと昔の春画みたいになっちゃうな、葛飾北斎のやつ。 そうなるとまず間違いなく俺は生大刀の錆びになってしまうのでNG。

 

 

 

「あのぉ……杏さん、絡むとは具体的にどういう事なんでしょうか?」

「そりゃあもう、蛇のようにぬるぬるとお願いしますっ!!」

「はい?」

「ひなたやめとけ、こいつもう日本語通じてない。」

 

 

死屍累々の部室には、抵抗したのか眼鏡を指紋でベタベタにされた雪花や、無理矢理ゴテゴテのドレスを着せられ拒絶反応で痙攣しながらぶっ倒れてる須美と美森。

 

歌野と夏凜に至っては何故か頭にネギが突き刺さっていたのでより深く捩じ込んでおく。

 

 

 

抵抗してこいつらと同じ末路を辿るのは嫌なので、俺はひなたを押して壁際に立たせた。 …………別に役得とかそんな事は考えてないぞ。

 

「あ、あの、紅葉さん……」

「さっさと終わらせて杏にお説教したい所だが、なんだかんだで年に一度の祝い事なんだ。 今日くらいは好きにさせてやろう。」

「……なんだか、楽しそうですね?」

 

「ソンナコトナイヨ」

「口許、にやにやしてますよ?」

「ソンナワケナイヨ」

 

 

視界の端でカチンコを構えてにじり寄ってきた杏に、誤魔化すように顔を向ける。

 

「で、杏さまよ。 なにをどうしろって?」

「そうですねえ…………紅葉さんとひなたさん、身長差が20センチ位なので……それを活かして壁ドンしましょうか!」

「杏さん、本当にイキイキしていますね。」

「というかお前150くらいだったんだな。」

 

杏に言われて改めて確認すると、ひなたは壁と俺の間に挟まれている。 その身長は見下ろす必要がある程で、俺を見上げたひなたと不意に視線がかち合った。

 

 

「(う、わーあ、紅葉さんにこんなに近付いたの初めてかもしれないですね…………あ、意外と筋肉あるんだ……。)」

 

「(まつ毛長いなぁ、相変わらず学生には見えないくらいに大人びてるし。 いかん変なスイッチ入りそう。)」

 

 

まじまじと容姿を見ることなんて滅多に無かったせいか、杏や園子ズが居ながら視線を逸らせない。 ひなたの赤い瞳が、ただただ、俺を見ている。

 

 

 

「見つめ合ってるだけなのにまるで熟年夫婦みたいだね~」

「なんでしょう、胸の奥でなにやらキュンと来るものが……!」

「ふふふ、あんずんもその段階に到達したんだね~、それが『尊い』っていうモノなんよ!」

「これが…………TOUTOI……!!」

 

 

新生3馬鹿トリオが落ち着くのは、俺が冷静になって一旦ひなたから離れるまで続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方の空き教室、そこに上里ひなたは呼び出されていた。

 

遅れて現れた紅葉が、扉をスライドさせる。 その音に気付いたひなたが、窓を見ていた体を反転させて紅葉の姿を視界に入れた。

 

 

「紅葉さん、こんなところに呼び出してどうしたんですか?」

「…………あー、いや、ちょっとな。」

 

言葉を詰まらせる紅葉は頭を掻いては、その場で行ったり来たりを繰り返している。

 

それを見ていたひなたは首を傾げた後、紅葉の横を通り教室から出ようとした。

 

 

「なにもないようでしたら、すみませんが若葉ちゃんが待ってますので……。」

「っ…………ちょっと待って」

「え、きゃっ……!」

 

 

慌てた紅葉がひなたの腕を掴み、壁に背中を押し付けた。

 

「も、紅葉さん」

「ひなた――――――お前はいつも若葉の隣に居るな。 学校でも、寄宿舎でも、いつもお前の横にいるのは決まって若葉だ。」

 

 

壁と自分でひなたを挟んで見下ろす様は、威圧感すらある。

 

流石に危機感を覚えたひなたももがいてみるが、肘の内側を掴まれ壁に押し付けられ、体でブロックされているせいでピクリとも逃げ出せそうにない。

 

それでも痛みを一切感じないのは、紅葉に傷付けるつもりが無いからか。

 

 

「……今の紅葉さん怖いです、どうし――――ひゃいっ!?」

「お前の隣に居るのが俺だったら……なんて考えたのは、一度や二度じゃないんだぞ。」

 

そう言いながら紅葉はひなたの足の間に膝を挟ませ、自分の体をよりひなたに近付けた。

 

豊満な胸が紅葉の胸元でぐにゅっと形を変え、互いに体温が上昇するのを感じる。

 

 

壁に預けた右手に、ひなたを押さえ込んだ左手。

手を離してもひなたが暴れないのを見て、紅葉は二本の指でひなたの喉仏の両側をなぞった。

 

ゾワゾワと鳥肌が立つと同時に、手から逃れようとする思考すら薄れどうにも逆らえない。 指の動きに合わせて顔を上げたひなたと紅葉の目が合い、その赤い瞳が潤んでいるのを見てしまう。

 

 

一瞬で紅葉の中の張っていた理性がブツンと切れ、喉を撫でた動きからそのまま頬に手をやり、親指で瑞々(みずみず)しい唇に触れる。

 

 

「あぅ……」

「――――。」

 

紅葉は徐々にひなたに顔を近付け、ひなたもまた潤んだ瞳を閉じると、すい、と口を紅葉に向ける。 距離がゼロになりかけた時、不意にカチンコを叩く音が教室に響いた。

 

 

 

「はいカーット! 熱演でしたよ二人とも!」

「………………ん、終わりか。」

「は……あ、え?」

 

教室の扉を開けて入ってきた映画監督(いよじまあんず)は、何故か鼻に真っ赤に染まったティッシュを捻って突っ込んでいた。

 

声を聞いて即座にひなたから離れた紅葉が、杏に不審者を見る顔で質問する。

 

 

「その鼻どうした?」

「いえいえお気になさらず、ちょっと興奮しすぎて血が出ただけなので。」

「うわあ…………。」

 

幸せそうに笑いながらメモ帳にガリガリと削るように文字を書き込む杏に、露骨に引いた顔をする紅葉。

 

 

「いやはや、わりと早い段階で台本に無い動きをされたときはちょっと焦ったんよ~。」

「中々アダルトな演技だったね~~。」

 

園子たちの言葉に、ひなたが噛みついた。

 

 

「あっ……あの動き、演技じゃなかったんですか!?」

「ふっ…………さあ?」

 

含みのある笑みを浮かべて、紅葉はずいとひなたに顔を寄せる。 つい数分前にしそうになった()()()()()()を思い出し、ひなたは顔を赤くした。

 

 

からからと笑って、紅葉は園子たちの首根っこを掴んで空き教室から出て行く。 残された杏はどこか残念そうな、複雑そうな表情で開いたままの扉を見ているひなたに横目でふと呟いた。

 

 

 

「今ひなたさんが考えてること、当てましょうか。」

「はい?」

「『あれが演技じゃなかったら良かったのに』…………なんて考えてるんでしょう?」

「――――ふふ、まさか、そんな。」

 

あくまでも『皆を見守る巫女』としてのスタンスを崩そうとしないひなた。 そんなひなたに、一瞬だけ眉を潜めた杏は挑発するように斬り込んだ。

 

 

「最近の紅葉さん、銀ちゃんと()()()()()()()()ですよね。」

「…………ええ、微笑ましい限りですが、それが?」

「良いんですか? 取られちゃいますよ?」

「――――。」

 

 

杏の言葉に、ひなたの口から笑みが消える。 感情を剥き出しにしたその顔に、杏は満足気に頷くとスマホを指だけで弄りながら言った。

 

「ひなたさんは、我慢のし過ぎですよ。 欲しいものは欲しい、手に入れたいなら手に入れる。 それで良いんですよ。」

「…………そうなんでしょうか。」

「そうですよ。 あと、それあげます。」

 

 

ピロン、と。 そんな音がして、ひなたの懐に入っていたスマホが着信を知らせる。

 

取り出して確認するとスマホにはメールが届いていて、開くと、一枚の写真のデータが有った。

 

 

「――――――こ、これは……っ!?」

「ふふふふふふ。 絶妙なアングルでしょう、苦労しましたよ。」

 

 

写真の内容は、先の寸劇のカットが入る直前の光景――――狙ったようなアングルで、まるでひなたと紅葉がキスをしているかのように見える一枚だった。

 

「……お礼は、言いませんよ。」

「ええ、ええ。 勿論。 ひなたさんは善意を押し付けられただけで、それを捨てられずにいるだけなんですから。 ふふふふ。」

 

 

悪魔のように笑う天使。

 

ひなたは杏の顔を見ながら、漠然とした感性でそんな事を考えて――――さりげなくその写真をスマホの待受に登録していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきのもーみんの演技、あれ演技じゃなくて殆ど素だよね~?」

 

「さあね。」

 

 






構想からたったの二秒で『よし、杏に暴走させるか!』ってなった話。 そろそろ怒られそう。

それ以前に杏誕生日回に見せかけた巧妙なひなもみ回になってしまった気がするけど、まあいっか(白目)




怪人ワザリングハイツ
・ひなもみ尊い。 ぎんもみも良いけどひなもみ派だからちょっと煽ってみた。 あ、なんか目の色変わった。

妖怪ソノコズ
・ぎんもみなんだよね。 ひなもみはアダルトで良いけどミノさんに幸せになってもらわないといけないんよ。


巫女の胸がでかい方
・ただただ、貴方が欲しい。

ゆゆゆ世界の受け担当
・銀が好きだが、この世界のひなたにも惹かれている。 どうすれば良いのかわからん。


謎の日本庭園K
・ハーレム得意じゃないけどもう面倒だしぎんもみひなでいいのでは……うわなにをするやめろ

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