前回のボケ全振りに対して今回がシリアス過ぎる。 マンネリ化してる状態で週一更新を破らないように書いたから短い、マジでめんご。
図書室の本の整理と整頓、バラけたタイトルを順番通りに戻す作業を行っていると、俺の横で同じ作業をしている雪花が世間話でも始めるみたくあっけらかんとした声色で言ってきた。
「元の世界に戻りたくないって言ったらさ、キミ怒る?」
「――――いや、別に?」
「へぇ、意外。」
意外なのか。
雪花を見ると、眼鏡の奥の理知的な瞳が俺をじっと見ている。 北海道の勇者、秋原雪花。
神居古潭の勇者でもある彼女は、棗と同じく日本の端を守っていたが、聡明な雪花の事だ、自分の末路はなんとなく分かっているのだろう。
「今のお前がワゴンセールに並んでるような口当たりの良い、当たり障りのない正論を望んでる訳じゃないのは分かるが、正解の言葉が見付からないし、これは単なる一意見に過ぎないが―――。」
最後の一冊を本棚に納めてから雪花に向き直る。
「良いんじゃないか、そんな意見を持つ奴が一人や二人居たって。 だってここ、居心地良いもんな。」
「…………良いのかな。」
「神樹はエグい奴だ。 こんな状況だとしても、こうやって色んな奴等と仲良くなれる空間に居たら、帰りたくないと思う奴が現れるって分かってるクセに。」
四つ分の棚の本を元通りにした辺りで、窓の外から夕陽が差し込んでいるのに気づく。
「……晩飯って食う予定ある?」
「え? ……あー、後でスーパー寄ろうと思ってたけど。」
「じゃあラーメン食おうぜ、旨い味噌ラーメン作ってる店見つけたんだよね。」
それを聞いて雪花の目が輝いた。 北海道と言えば札幌、札幌と言えば味噌ラーメン。
雪花がよく作るのは醤油ラーメンだが、やはり味噌ラーメンも好きなようで。
「良いよっ! すぐ行こう!」
「おいちょっと、引っ張るなって。」
味噌ラーメンパワーって凄い。 俺は雪花にずるずる引き摺られながらそう思った。
◆
件の店に到着た二人は、早速注文した味噌ラーメンを堪能していた。
たっぷりのコーンと、ちょこんと乗せられてゆっくりと溶けて行くバター。 いつものセットだが、シンプル故に奥深い。
うどん人ばかりの四国でここまで旨い味噌ラーメンを作れる店なんて、恐らくはここだけだろう。 だって他のラーメン店、なぜかうどんも食えるんだもん。
「はぁ~美味しい~、こんな美味しい味噌ラーメンを食べられるなんてラッキーだにゃあ……。」
「俺も孤独のグルメごっこしてぶらついてたときに偶然見つけただけだしな、ほんとラッキーだ。」
ずるずると啜り、無心で食べ続ける。
けふっ、と小さく空気を漏らし、店を出てから伸びをした。
「また今度食べに来ようよ。」
「ああ、良いとも。」
しれっと紅葉に全額負担させた雪花は、それぞれ別の道を歩いて帰る。
どうやら買い物があるらしい紅葉の背中を見送って、ポツリと呟いた。
「――――また今度って、何時になるんだろうねぇ。」
◆
――――赤い。
――――紅い。
――――真っ赤なのは、自分の血。
「がっ――――ごぼっ」
雪が吹き荒ぶビル群の間で、積もった雪に埋まりながら倒れるアイヌ衣装風の勇者服を着こんだ少女は、至るところから流血させながら亀裂の走った眼鏡越しに夜空を見上げていた。
視界の端に落ちていた槍を掴もうと右手を伸ばそうとして――――千切れた右腕が落ちている槍を握っている事に気づく。
「…………ははっ。」
ここまでかぁ、と呟いて、かろうじて残った左手でずれた眼鏡を直す。
「はぁ……どうせなら、最後に食べるの味噌ラーメンにすれば良かったなぁ。」
醤油ラーメンは普通すぎたし、また今度、と約束をしたのに――――――? ……そんな約束をするほど仲の良い相手なんて、居ただろうか。
「あーーー……なんか、居た気がする。 なによ孤独のグルメごっこって。」
雪から体を起こして、引きずるように地面を這い、右腕がくっついたままの槍を掴む。
無気力且つ惰性で戦っていた少女の瞳に、闘志が宿る。 人が帰る家を守れば人を守れと罵倒され、人を守れば帰る家が無くなったと罵倒される。 そんな戦いに意味なんて無いと、早々に見限って逃げてしまえばよかったと後悔しつつ――――。
「――――絶対生き残る。 生き残って、死ぬまで奢らせてやる。」
そう呟いて、少女は――――秋原雪花は、異形の怪物達へと渾身の力で槍を投げつけた。
週一更新は続けるけど暫くはR-18の方に専念するからよろしく。 向こうも読んでお題箱で性癖を暴露するんだ!