【完結】先人紅葉は一般人である   作:兼六園

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もう連載から2ヶ月越えですか。
毎度毎度更新が遅くて本当に申し訳ない



二十八話 三好夏凜は勇者である・前

 

 

 

 

 

『特別警報発令』

 

 

スマホにそんな文字が浮かび、アラームが鳴り続ける。

 

 

「なんなのよいったい……」

「言ったろ、美森が壁をぶっ壊した。」

「それは分かったわよ! でもなんで東郷がそんな事を……!?」

 

 

歌野が疑問符を浮かべ、紅葉が答え、風が更なる疑問符をぶつけた。

 

腰に抱きついたままの樹が不安げに風にしがみつき、友奈が夏凜の腕を支えに立ち上がる。

 

 

「美森は園子……お前らの先代勇者に壁の外の事を教えられたんだよ。 まあそりゃ壊すよね、あんなの見ちゃえば。」

「なんで知ってるのよ。」

「『見たことあるから』以外に何て言えってのさ。」

 

歌野の問いに簡素に答えた紅葉に、なんで、と聞こうとして頭突きを食らったのを思い出した風は言葉を選ぶ。

 

 

「…………壁の外は、ウイルスで滅んでる土地があるだけなんじゃなかったの?」

「嘘に決まってんじゃん。 そもそも、たかが四国の外を滅ぼしたウイルスごときに『バーテッ(頂点)クス』なんて名前付けるわけねーだろ。」

「まあ……言われてみれば確かに。」

 

そう言われては食い下がるしかない。

 

 

「他にも色々助言しておきたいが……時間か。」

 

紅葉は壁の方から迫ってくる光を見て、それから全員を見ると何時もよりも真面目な声で言った。

 

 

「時間がないから、最後に言っておく。『死ぬな』じゃない、『勝て』じゃない、『負けるな』じゃない。」

 

 

一度区切り、友奈を、夏凜を、風を、樹を見る。 そして歌野を見て、絞り出すように言葉を吐き出した。

 

 

「―――――ただ、生きてほしい。 美森を連れて、生きて帰ってきてほしい。」

 

 

花びらと光に包まれて、全員の視界が塗りつぶされる。 目の前が白に埋め尽くされる直前、歌野の口が動いているのを紅葉は確認して、解読した。

 

 

『任せときなさい。』

 

 

きっとそう言ってる。

そんな確信が、あった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無意識に閉じていた目蓋を開く。

ほんの数秒前と変わらない景色。

 

世界が終わることは、無かったらしい。

 

 

「……どうにかなったか。 あーーーいってえ……くっそ、風の野郎……ぜってえそのうち財布空になるまで蕎麦食わせてやる……」

 

 

アドレナリンが切れたことで、全身の激痛がぶり返す。 うどんが燃料と言っても過言ではない風に対して悪魔のような提案を決意しつつ、塀に背中を預け倒れるように座る紅葉。

 

気だるげにスマホを取り出して下書きしていたメールを送ると、ふとその肩に蒼い身体のカラスが止まった。

 

 

「……よう、若葉。」

 

無言で紅葉の顔を覗き込むカラスに、初代勇者の名を向ける。紅葉はため息をついて続けた。

 

 

「少しは呆れるか怒るかしてくれて良いんだぜ。」

『―――――。』

 

「馬鹿だよなぁ。友奈のお陰で成り立っていた壁を破壊したその犯人を連れて帰ってこいなんてさ。」

『―――――。』

 

「でも仕方ないだろ、美森は俺たちの大事な仲間なんだから。」

『―――。』

 

 

カラスは、じいっと紅葉を見る。

 

そして

 

 

 

「―――いでぇーーー!?」

 

 

紅葉の額を突いた。

かなり強めにどつかれて、一筋の血が垂れる。

 

「この野郎……怪我人だぞ……!」

 

 

親指に引っ掻けて溜めた人差し指で弾こうとするが、あっさりとかわされた。

 

避けた動きでそのまま地面に降り立つと、カラスの体が光に包まれる。 光が晴れるとカラスは、桔梗の花をモチーフにした勇者服に身を包む一人の少女に姿を変える。

 

混じりっけ無しの金髪をポニーテールにして揺らす少女の鮮やかな紫の瞳が、慈しむように紅葉を捉えた。

 

 

「―――お前の何処に呆れて、何を怒れと言うのだ。」

「ちょっと良いこと言ってる感出して誤魔化すなコラ。」

 

ふっ、と笑い、少女は紅葉の横に体育座りして並ぶ。 手を伸ばして汗と血で張り付いた紅葉の髪を分けると、カラスの時に突いた傷を撫でた。 その傷は既に癒えている。

 

「寧ろ、怒られるべきは私の……私達の方だ。 勇者でも巫女でもないお前に、また重荷を背負わせてしまった。」

「……それに関しては結構怒ってるし恨みもあるけどまあいいさ、こうやってまたお前に会えたし、今の生活わりと気に入ってるし。」

 

 

例え嘘でも『怒ってない』『恨んでない』とは言わない紅葉に苦笑いを溢しつつ、少女―――――若葉は言う。

 

「我々過去の老いぼ(亡霊)れに、若い連中の考えやその先の答えを否定する権利なんてない。

出来ることは行く末を見守り、時として少し手を貸す程度だ。」

 

「ババア具合が様になってるな。」

「うるさいぞ。 お前こそ記憶が戻る前から無意識に歳上として振る舞っていたせいで、同年代に年寄り扱いされていたじゃないか。」

 

「―――。」

「………。」

 

 

言葉が途切れ、静寂が訪れる。

それを破り、紅葉が口を開いた。

 

「―――――しかし、なんかこう…………『友奈』が大好きな人間は必ず暴走するって決まりでもあんのかな。」

「いっ、言わないようにしていたことを…………!」

「あれこれ言ってたらあの世で千景にぶん殴られそうだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夏凜ちゃん! 待って!」

「駄目よ、ここは一旦引いて。」

「……とんでもないことになったわねぇ。」

 

背後からの爆撃を肌で感じつつ、3人は壁の向こうから樹海内部に避難するために跳躍していた。

 

 

世界の真相を知り、戦いが終わらないことを知った歌野。 壁を破壊し、過去に星屑と呼ばれた異形を招き入れ、世界を殺そうとしている犯人が親友だったことを確信させられた友奈。

そして友奈を脇に抱えて、歌野と共にその場から離脱した夏凜。

 

 

「さて歌野、これからどうする?」

「言われた通りよ。 東郷を連れて、生きて帰る。」

「あぁ……全く、骨が折れそうなこと。」

「実際に全身バッキバキの奴に言われたんだから覚悟決めなさいな。」

 

風たちの元へ紅葉を抱えて跳んできた歌野は、紅葉の体のあちこちが骨折ないし打撲やアザなどの、誇張抜きに『お前どうやって立ったうえで意識保ててんだよ』と言われて然るべき怪我を負っていることを知っていた。

 

言わなかったのは単純に余計な心配をさせるべきではないと考えたからだが、それ以前に紅葉のボロボロな風体を見れば言わなくてもわかるだろうと勇者の理解力に任せただけである。

 

 

ともあれ、まずは風と樹の元に集まろう。 そう考えていた歌野は背後からの威圧感に脊髄反射で振り返った。

 

 

「やばっ―――夏凜!」

「っ……!」

「夏凜ちゃん!?」

 

3人の背後の巨大な穴から現れた乙女座の(ヴァルゴ)バーテックスが、爆弾を吐き出すように撃ち込んできた。

 

歌野は腰に吊るしていた鞭を居合のように抜いて爆弾を直前で破裂させるが、友奈と言う荷物を抱えていた夏凜は刀を出す暇もなく、咄嗟に友奈を抱き締めて爆発を甘んじて受け入れた。

 

夏凜と友奈は普段戦いの足場にしている樹海の根の上層部に落下し、歌野は下層部に隙間を縫って落ちた。 その先で、星屑を相手に立ち回っていた風と樹の二人と合流する。

 

 

「風さん! 樹君!」

「歌野! 東郷は!?」

「……あれは直接見た方が良いわ。」

「は?」

「今はそんな事言ってる場合じゃないけど、ね!」

 

鞭を振るい、近付いてきていた星屑を消し飛ばす。

 

風の大剣が真っ二つに切断し、樹のワイヤーが細切れに寸断する。 歌野は数体打ち倒すと、二人に提案した。

 

 

「穴が開いたせいで再生成されたバーテックスが入り込もうとしてるの。 こっちはこっちでどうにかするから、二人は樹海の根っ子の下層部を通るこの白いのを片付けてから東郷の元に行ってくれる?」

 

「分かった―――樹、行ける?」

「―――――!!」

 

樹は風の言葉に強く頷く。 自分の遠く及ばないところでいつの間にか成長している樹の姿に、じわりと涙が滲む。

乱暴に涙をこすって拭い、樹と背中合わせに立ち、星屑に視線を向けた。

 

 

「ここは私達に任せて行きなさい!」

「……よろしくっ!」

 

そう言い終えると、膝を曲げるとバネのように伸ばす。 地面を陥没させて上層部へと跳んだ歌野が居なくなった後で、風は呟く。

 

「今のちょっと言ってみたかったのよネ」

「―――……」

「……さ、行くわよ!」

 

 

からかうように言った風に、樹は呆れながらも笑って返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――ハァッ!!」

 

夏凜はコマのように回転し、気絶している友奈に群がる星屑を纏めて切り裂いた。 腕を起点に変身した後に、友奈の頬を叩いて起こす。

 

 

「起きろ!!」

「……うぅ……」

 

虚ろな目で、ぼやけながらも夏凜を見る。 鈍く痛む体に鞭打って起き上がると、夏凜に掴み掛かりそうな勢いで聞いた。

 

「夏凜ちゃん! 東郷さん……は……」

 

「まだ壁の方よ。 あいつをどうにかしないといけないのは山々だけど、その前に白いやつらと復活したバーテックスを倒さないと。」

 

「…………私……気付かなかった……」

 

勇者端末を握り、そのまま砕きかねない力を込めながら、友奈は涙を溢す。

 

 

「知らない間にあんなに追い詰められてたのに、東郷さんならきっと大丈夫だって、駄目な信頼の仕方をして……」

 

「……友奈」

 

「私、友達失格だ……っ」

 

 

勇者端末が友奈の手から落ちる。

画面にはエラーが吐き出されていた。 不安定な精神状態のせいで、霊的回路を繋げられないと書かれている。

 

何か言わないと。

 

だが何を言うべきか。

 

かつて競いあったライバル(楠芽吹)程青春を捨てている訳ではないが、友人との交流なんてものは勇者部との触れ合いが初めての夏凜に、ここぞと言う時に相手を立ち直らせる決めゼリフ(ボキャブラリー)は無かった。

 

 

そんな時、渡りに船とばかりに歌野が下から跳んできた。

 

 

「夏凜、友奈。」

「歌野」

「歌野ちゃん……」

 

歌野は夏凜と友奈を一瞥して、察する。

 

「(口下手と泣いてる子は一緒にするもんじゃないわね)……友奈……は、戦えないか。」

「状況は?」

「あまり良いとは言えない感じ。」

 

二人が黙り、友奈の嗚咽だけが響く。端末のレーダーを確認していた歌野が夏凜に呼び掛けた。

 

 

「夏凜、不味いことになったみたい。」

「どうした……の―――――冗談でしょ」

 

 

歌野の居る方に視線を向けると自然と背後の穴に目が行く。 美森が空けた『それ』から、獅子座と先に出てきていた乙女座を除いた11体が顔を覗かせていた。

 

合計11種類12体。 2体1対の双子座をカウントしている事から、恐らくは獅子座すら再生成されているのだろう。

 

 

「獅子座がまだ出てきていないのを幸運と取るべきかしら。 風さんと樹君には東郷を任せているし、友奈は戦えないし。」

「……やるべきことは一つって訳ね。」

「ええ。 12体なら一人で6体、簡単な計算よ。」

「……あんたもしかして馬鹿なんじゃないの?」

 

はい? と聞き返す歌野に、頭痛のような感覚がして顔を押さえる。 そうではないのだ。 夏凜が言いたいのは、『そんな計算言われなくても分かるわ』ではない。

 

 

「バーテックス6体を相手にするってことは、私たちは満開をしなきゃいけないのよ。」

「そうね。」

 

「何処を失うか分からないギャンブルを何回しないといけないと思ってるの?」

「さあねぇ……1体につき1回なら、6回?」

 

「…………身体機能ならまだましなんて言わない。 でももし、東郷の時みたく記憶を失ったら、あんたや私は勇者部の誰かを忘れる。」

「……そうね。」

 

片手に持つ刀の切っ先を歌野に向けて、誓いを立てるかのように夏凜は問う。

 

 

「―――耐えられるの?」

 

「…………大丈夫よ。 貴女が私たちを忘れても、私たちは貴女を忘れない。 私が紅葉を忘れても、紅葉は私を忘れない。」

 

歌野は、哀愁の漂う笑みを浮かべた。

 

「『だから』大丈夫。」

「……あんたって、やっぱり馬鹿だわ。」

 

 

自分の代わりに相手が。

相手の代わりに自分が。

 

シンプルな答え。

歌野はただただ単純に、友達を信じていた。

 

 

「……先行ってて。」

「りょーかい。」

 

歌野は右手に巻いた鞭を握って、ゆったりと侵攻してくるバーテックスの元に歩いて行く。

残った夏凜は、いまだ泣きじゃくる友奈の近くに屈んだ。

 

 

「もう……ほら、泣かないの。」

「夏凜、ちゃん……?」

「どいつもこいつも馬鹿ばっか。 友達に失格だの合格だの有るわけないでしょ、あんたは東郷をどうしたいの?」

 

指で目元の涙を拭い、友奈の頬を両手で包む。その暖かさに触れ、友奈の冷たくなっていた心は溶ける。 呼応するように腰に吊るされた籠手が揺れた。

 

「私は、東郷さんを…………助けたい。」

「―――そう言うと思った。 それなら、私と歌野で道を作ってあげる。」

「えっ……?」

 

「あのバーテックス共をぶっ倒してやるから、真っ直ぐ突っ切って、東郷を引っ張ってきなさい。」

「そんな……いくら二人が強くても無茶だよ!」

「大丈夫よ、まだ私たちには満開がある。」

 

立ち上がり、夏凜は歌野の元に向かう。 思い出したかのように振り返ると、夏凜は、出来る限りの笑顔を作って言った。

 

 

「じゃ、()()()。」

 

 

返答を待たず、夏凜は走った。

歌野の横に立つと、左手に刀を呼び出す。

 

「一人6体、簡単に言ってくれるわほんと。」

「あら、私出来ないことは言わないのよ?」

「ふっ……言うじゃない。」

 

前を、バーテックスを見据えて、夏凜は横の歌野に右手を伸ばす。 横目でそれを見た歌野に、一言ポツリと言う。

 

 

「死ぬんじゃないわよ」

「―――貴女も、ね。」

 

コツンと、歌野は伸ばされた右手の握り拳に、自分の左手の握り拳をぶつけた。 鞭を垂らし、刀を握り、二人は跳躍する。

 

 

「うおおおおおおおおーーーーッ!!!」

 

「はああああああああーーーーッ!!!」

 

 

迫り来る星屑を切り裂き打ち払う。

限界まで溜まった満開ゲージの力を解放し、二人は空中にサツキと金糸梅の花を咲かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「3っ、体っ、めえええええッ!!」

 

 

4つの追加アームが握った大太刀が、牡牛座の体をバラバラに引き裂いた。

 

2()()()()()で牡羊座と魚座、そして今しがた牡牛座を倒した夏凜は、根っ子の上に着地。 弾けるように追加アームが消し飛び、満開が解除された。

 

 

「ちっ…やっぱりおさがりじゃ定着が浅い……!」

 

 

視界の奥から近付いてくる残り3体のバーテックスを見て、歯痒いように言う。

三好夏凜の勇者端末は三ノ輪銀のおさがりである。 そのシステムを十全に扱うには、夏凜には『なにか』が足りないでいた。

 

もっとも1分以内に効果の切れる満開を2度行って3体のバーテックス倒すなんてことは、夏凜以外には歌野くらいしか出来ないだろう。

それだけ、二人の戦闘能力は他の追随を許さないでいた。

 

 

「……三ノ輪銀、あんたは私に何が足りないって言いたいの?」

 

片手に勇者端末を出して語りかける。 当然、端末が喋るなんて事はなく、無言が返ってくるだけだった。

 

 

「私はもう『自分を無下にした親を見返したい』とか、『才能マンの兄貴より上に行きたい』とか、そんな理由で戦おうなんて思っちゃいない。」

 

端末内のアルバムを開き、いつぞやの誕生日に撮った集合写真を見る。

 

 

いつも優しくムードメーカーだと認識していたが実は誰よりも臆病で争いを好まない友奈。

 

友奈が大好きで、それ故に暴走してしまった東郷。

 

唯一の歳上で、色々と抱え込む質の風。

 

弱いように見えてその心は誰よりも強い樹。

 

姉御肌な歌野と、そんな勇者達に振り回されながらも等身大で接してくれる紅葉。

 

 

色んなモノを貰い過ぎたな、と思った。

返しきれるか分からないな、と思った。

 

 

 

「ただ皆を守りたいと思って、皆とあいつの所に帰りたいと思った。 だからお願い、力を―――貸して欲しい。」

 

 

 

だが、無言。奇跡なんてものは起きなかった。 ギリ……と歯軋りをした夏凜に蠍座が不意打ちを叩き込んでくる。

その後ろには、射手座と蟹座が待機している。

 

バーテックスもまた、()()()()()()()()()()()()()()()と学んでいるのだ。

 

ふと、夏凜の心に黒い炎が灯った気がした。

 

 

「っ―――!!」

 

 

訓練された夏凜だからこそ反応できた偶然。 バリアが有るからと慢心せず、夏凜は刀を蠍座の尾の軌道から我が身を守るために添えると―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――その身体をヤスリ掛けするかのような、凄まじい衝撃が襲いかかった。

 

 

 

「が、あっ、あ、あああああああッがああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!??」

 

ガリガリガリガリと、チェーンソーか何かを押し付けられているように体が微振動し、腕に衝撃が走り、足元の根が踏ん張った事で削れて行く。

 

激痛、激痛、激痛激痛激痛。

 

 

 

 

 

夏凜は1度目の満開で身体の何処かの戦いに支障を来さない場所を。 2度目の満開で―――――精霊バリアを失った。

 

 

 

 

 

そのまま振り抜かれた尾に身体を持ち上げられ、夏凜は樹海の盛り上がった根にその身体を強かに打ち付ける。

 

追い打ちだとでも言っているかのように、そこに後方待機していた射手座の矢が雨あられと降り注いだ。

 

 





尚夏凜から離れた位置では歌野がバーテックス6体を纏めて鞭でしばいている模様。 かつて諏訪でたった一人で戦っていた元英雄を舐めてはいけない。
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