【完結】先人紅葉は一般人である   作:兼六園

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前回の話をあんな時間にゲリラ投稿したのは、夜中に目が覚めたらやること無いうえで無駄に創作意欲がビュオオオオオしたから。

高嶋神のくだりで読者は混沌の渦に落ちたんでしょうが私は元気です。



最終話 結城友奈は勇者である

 

 

 

まばたきをした一瞬で、友奈の意識は現実に引き戻された。

 

 

数時間夢の中を過ごしたにも関わらずほんの数分しか経っていないかのような奇妙な感覚に困惑するが、自分と夏凜を除く四人がレオ・バーテックスと言う名の太陽を押さえている姿を見て思考は再起動する。

 

 

 

不思議と、恐怖は消えていた。

 

 

 

「高嶋さん―――――私も、貴女みたいな勇者になれますか?」

 

右手に籠手を嵌め、左手に勇者端末を握る。

 

 

友奈に迷いは無い。 高嶋友奈と言う後ろ姿を思い描き、霊的回路を接続。 山桜が全身を包み、暴風が掻き消す。

 

 

その姿は、直前の勇者服と少しだけ違っていた。

 

 

右腕を中心に服の胴体部分の半ばを深紅の色が侵食し、額には左側が折れ、右側だけが無事な鬼の角が生えている。

 

 

「が、アぁ!? ごふ、ごぼ……っ!?」

 

 

そして友奈は、水の染み込んだスポンジを握り潰したような勢いで血を吐いた。

 

忘れてはならないのが、酒呑童子の力の強さがそのまま肉体を蝕むデメリットになると言うこと。

籠手に宿る断片的な力と言えど、高嶋友奈の場合は一目連で慣らしてのアレだったのだ。

 

 

()()()()()()()()()()()の勇者に扱える力ではなかった。 血と吐瀉物の混じった液体が足元を濡らし、視界が揺れ、吐き気が止まらない。

 

『時期が早かった』のではなく、『単純に結城友奈には使いこなせない力』なのだ。

 

 

 

―――――故に

 

 

 

「ッ―――――ウオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!」

 

友奈は『使いこなせる段階』まで満開による力の上昇を行った。 本来なら樹海から伸ばされる筈の満開を許可するアクセス権限をはね除け、()()()()()()()()()()()()0()()()()、満開による追加アームを身に纏う。

 

 

無茶な戦闘を行い、挙げ句、ゲージが貯まっていないのにも関わらず満開をした。 その対価は生半可ではない。 友奈は、体から少しずつ感覚が無くなっていくのを感じていた。

 

 

人間性が喪失して行く。

 

痛い。 恐い。 辛い。

 

 

「―――――でも、大丈夫!!!」

 

 

追加アームを地面に叩き付け、作用反作用で体をレオ・バーテックスに向かって跳ぶ。

 

「私はッ!! 讃州中学二年、勇者部部員―――結城友奈っ!!!」

 

 

侵食が進み、深紅に染まった右側の追加アームを振りかぶり、太陽と化したレオ・バーテックスを全力で殴り付ける。

 

「勇者ッ―――――結城友奈ぁぁあああアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

 

太陽をぶち破り、追加アームが破損する。

 

勇者服が消え、制服姿に戻る。

 

 

 

「届けぇぇぇええええええええっ!!!」

 

 

 

レオ・バーテックスの御霊に友奈の指先が僅かに触れ、直後にレオ・バーテックスは爆発を引き起こす。

 

視界が白く染まり、友奈・美森・風・樹・歌野がその爆発に巻き込まれた―――――。

 

 

 

 

 

 

 

こうして美森の暴走は終わり、世界の終焉は先延ばしにされた。 結果だけで言えば、勇者達は勝利したのかもしれない。

 

束の間の平和が訪れ、勇者達は唐突且つ不意にお役目から解放された。 時間の経過で満開の後遺症が治って行き、いずれは、勇者全員が五体満足で青春を送れることだろう。

 

 

 

―――意識不明の友奈と、重態の夏凜が入院したままと言うことを除けば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここ、は……?」

 

 

友奈は、上下や前後の区別が出来ない不可思議な空間に体を丸めて浮かんでいた。

 

 

「死後の世界……なんちゃって?」

 

おどけて見せるが、その体は、魂が抜け出したように桜色が友奈の輪郭を見せていた。 幽体離脱、そんな言葉が脳裏をよぎる。

 

無茶な満開が友奈の肉体の殆どを散華によって散らしていた。 水の中に居るような浮遊感を覚えた体が、灰色の世界を遊泳する。

 

 

暫く進んだ所で、眼前に現れた少女が友奈を止めた。

 

 

「それ以上は、ダメだよ。」

「…………貴女は……」

「こんにちは結城ちゃん。 何度か体を借りたこともあったよね。」

「高嶋……さん……?」

「ふふっ、さん付けしなくていいよ。」

 

友奈にそっくりな赤毛の少女、高嶋友奈。 友奈の腕を掴み、背後の空間の奥へと向かえないように押さえていた。

 

 

「えっと……高嶋……ちゃん? 高嶋ちゃん、ここは何処なの?」

「ここは、勇者が英雄になる過程の空間だよ。」

「勇者から、英雄……」

 

「まあ、聞こえは良いけど要するに『現世とあの世』の間かな。 つまりこの先に行ったら結城ちゃんは死んじゃうんだよ。」

 

 

ひゅっ、と、友奈の喉が鳴る。

 

「私っ……帰らなきゃ……」

「うん、わかってるよ。」

「あの……どうやって帰れば……?」

「残念だけど、私単体じゃなにも出来ないんだ。 だから待ってるんだけど……あ、来た来た。」

 

 

高嶋が友奈の後ろを見て、それに釣られて友奈も背後に振り返る。 そこには、蒼い体のカラスと―――――赤目の黒猫が居た。

 

「待ってたよ、若葉ちゃん、()()()()()。」

「それって……さっきの」

「……見たんだ?」

「あ、うん。」

 

ふぅん、と言う高嶋を余所にカラスと黒猫は一瞬光に包まれると――その姿を変える。 カラスから桔梗の勇者に、黒猫から彼岸花の勇者に。

 

 

「……無茶をしたな、結城。」

「まさかここに来てしまうとはね。」

 

若葉と千景の二人に、それぞれ反応は違うが友奈は呆れられていた。

 

「えっと、ごめんなさい」

「ああ全くだ、友奈の籠手を満開で力を上昇させることで無理やり適合させるなど、無茶にも程がある。」

「あうぅ……」

 

「やめなさい若葉さん。 あの場ではああするしかなかった、ただそれだけよ。」

「……すまん」

 

説教が熱くなる前に、千景が若葉の肩を掴んでやめさせる。 流石に言い過ぎたと若葉は一歩下がって反省の意を示す。

 

 

「若葉ちゃんとぐんちゃんは勇者の武器を媒体に現世に留まっている守護霊みたいな存在だから、此処と向こうを唯一自由に行き来できるんだ。 だから、二人に案内されれば結城ちゃんは外に出られる―――意識を取り戻せる。」

 

「ほんと!?」

 

「ほんとほんと。」

 

 

片目を閉じて軽く、あっけらかんと答える高嶋に友奈は食いつく。 なんか段々紅葉に似てきたな、と後ろで若葉と千景は考えていた。

 

「じゃあ、二人とも結城ちゃんを頼める?」

「任せろ。」

「結城さんを現世に送れば良いんでしょう?」

 

そう言って、二人はカラスと黒猫に姿を戻す。

 

先導する二人に浮遊する体が引き寄せられ、意識が遠退いて行く。 その前にと、友奈は高嶋に質問をした。

 

 

「あの、高嶋ちゃん!」

「はい?」

「私、は……」

「……なぁに?」

 

意を決して、友奈は言った。

 

 

「私は……私も―――高嶋ちゃんみたいな勇者に、なれますか?」

 

その言葉に目を見開き、数瞬思考すると高嶋はにやりと笑って言い返した。

 

 

「―――『誰か』の『何か』じゃないと、何にもなれないの?」

 

 

なれないと遠回しに言われた。 そう考えてしゅんとする友奈に、苦笑いを浮かべて高嶋は言い直す。

 

「ごめんごめん。 なれますか? なんて聞かれても、ちょっと困るんだ。」

「…………えっ?」

 

薄れ行く意識と視界のなかで、友奈は高嶋の言葉を朧気に聞いていた。

 

 

「大丈夫、出来るよ。 だってもう貴女は勇者なんだから。」

「もう、なってる……?」

「『自分は勇者だと名乗りを挙げる』。 ただそれだけで良いんだよ、神を相手に啖呵を切るんだもん。 凄くかっこよかった。」

 

じわり、と、友奈の目に涙が浮かぶ。 報われた。 そんな気がして、ただただ嬉しかった。

 

完全に意識が途切れる直前に、友奈は高嶋に言われる。

 

 

「あと、紅葉くんに『約束守れなくてごめん』って言っておいてくれない? 私が直接言うのは暫く後になりそうだし、自分で言うと格闘技掛けられそうなくらい怒ってるから……」

 

「……はい?」

 

 

 

なんとも締まらない会話を最後に、友奈の意識は完全に途切れた。

 

 

灰色の世界に一人残された高嶋は、ポツリと呟く。

 

 

「自己犠牲は貴く綺麗なモノだけど、必ずしも正しいとは限らないんだよ。」

 

膝を抱えて座る体勢を取り、続ける。

 

 

「こんな戦い、私たちの代で終わらせられたら良かったんだけど……ねっ。」

 

 

高嶋が手を虚空に翳すと、外の光景がフィルムの映画のように映し出される。

 

そこには、車椅子に乗った友奈と、涙を流している美森、そして少し離れた位置で球子と杏の子孫の3人で様子を見ている紅葉の姿。

 

 

「……ああ、綺麗だなぁ……」

 

 

世界は、四国は嘘の景色を見せられている。

 

大赦のしていることは許せなくとも、それが人類存亡に必要だった、と言うことは納得は出来なくても理解はできる。

 

出来るような大人になるくらい、高嶋は長い時の間世界を見続けてきていた。

 

 

だが、それでも、高嶋はきっと言うのだろう。

 

 

 

 

『この世界は尊く美しい』―――と。

 

 






この作品での血生臭さや暴力描写、友奈へのセクハラが残念だといった感想が届いたのでここで弁解させていただきます。 言い訳はしません。



それ全部100%私の趣味です。



ハードな内容のゆゆゆ二次創作が読みたかったのに誰も書こうとしないので自分で書いただけです。

自分でも分かってるけどこの作品読む人選びますし、なら突き抜けよう。 と開き直った次第です。


……お前そんなんだから後から出てきたゆゆゆ二次創作に総合評価で追い抜かれるんだぞ(自虐)





・血生臭さ

普通のゆゆゆ二次創作がフォーゼとかエグゼイドだとしたら、この作品多分アマゾンズ枠ですよね(自覚はしてる)

勇者が壮絶な死を遂げる原作のわゆと比べたらまだ、今はまだ比較的マシですが、勇者の章以降はこれより血生臭くなると思います。 勇者にも紅葉にも相応に無茶させるので。



・暴力描写

紅葉より遥かにメンズのコートとか着こなしそうな奴(農業馬鹿と煮干馬鹿)が二人も居て、そんな描写が行われない筈がなく…………

ぶっちゃけると日常編での些細な奴は兎も角、風vs紅葉とかはもう少し過激にするつもりだった。 紅葉の喉潰したり腕の可動域を越えるくらいに曲げてへし折ったり脇差が手のひら貫通したり。 描写の段階で痛々しすぎたから止めたけど。

日常編に置ける軽いやつは、同年代へのじゃれつきみたいなもんとして適当に読み流していただければ。 細かく考えるところでもないので。

ただキャラクターが嫌いだからやってるわけではないのです。これだけは真実を伝えたかった。



・友奈へのセクハラ

小学生組回想の時のスパンキングだと思うんですが、こいつはあれ以降セクハラはしてません。 拷問さんに東郷されてから防衛本能で記憶無くしたうえでその手の行動を慎んでるので。

でも男オリ主が勇者部とかいう美少女所帯の空間にいながら性欲がないとか全く説得力無いですからね…………R-18案件になるから一切描写してないだけで一応ちゃんと性欲あるし、バレないように処理もしてますよ。

精神年齢が高いどころか前世と合計したら100年近く生きてるクソジジイだからねこいつ。 加えて、勇者は純粋無垢な存在でなければならないという前提から手を出せないだけです。

というか、友奈へのあれは本人も言ってたけど『頭隠して尻隠さず』の状態だとその尻叩きたくなるよね?を有言実行したに過ぎませんから本人も投稿者もあんまり難しく考えてないんですよね。





この作品を読むことで少なからず不快に思う方は居ると思いますが、だからといってこの作風を変えるつもりは毛頭ありません。

ですが『否定的な意見は悪』な風潮すらあるこのご時世に、このような意見を言われたのは逆にありがたいくらいです。 というか貴方が正しい。 この作品他のを見習えよって位酷いし。


改めて感想、有難うございます。

アマゾンズ枠を自称していますが、season2並にグロくなるとかではないのでご安心を。
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