仮面ライダーとゆゆゆのファンを兼業してると仮面ライダーの主題歌を聴いてる時にゆゆゆの映像が曲に合わせて切り貼りされて脳裏を流れる奇病を患うのは良くある話。
仮面ライダー4号の主題歌こと『time』は良いぞ。 最近こればっかり聴いてる。
どっかの返信で言った気がするいつもみ回も兼ねてるので初投稿です。
勇者部が時折打ち上げに使う事のあるカラオケ店に、紅葉と樹は訪れていた。
声を出せない時期が長かった事でオーディションを1から受け直すことにした樹の、リハビリを含めたストレス発散の歌唱大会に付き合っていたのだ。
「~~~~~~~♪ …………ふぅ。」
「相変わらずなにを歌っても上手いな、樹は。」
「それ褒めてるんですか……?」
「褒めてる褒めてる。」
ジトっとした目を向けるが、へらへらした顔でかわされる。 一旦マイクを置いてジュースを持つと、一口飲んでから樹が切り出した。
「それにしても良いんですか? 私に付き合っても、あまり面白くないですよ?」
聞いている方が好きだからと、紅葉は歌おうとしない。 ただ樹が歌い、飲み、歌うのを繰り返している様子を見て楽しんでいる。
からかうように片目を閉じて紅葉は言った。
「馬鹿だなー。 未来の歌姫様の生歌を今のうちに、好きなだけ聞けるんだぜ? これ以上の役得があるかよ。」
「…………もぅ……褒めても何も出ませんからね。」
「高得点は出てるんだよなぁ」
歌詞が表示される画面では、直前まで歌っていた曲の採点が行われていた。 96点と、かつての姉の記録を容易く抜き去っている。
メンタルや歌唱力であっさりと先を行く樹の成長に、陰ながら風も涙していることだろう。
「……なんか樹、肌の艶良くなってない?」
「そうで―――――なにふるんれふか」
不意打ち気味に、紅葉は選曲するためにパッドを弄っていた樹の頬をつまんだ。 擬音で言うなら『もちもち』か。
それもそうだろう。 歌野の家を借りるようになってからは、畑を弄れないが早起きな事に変わり無い歌野に巻き込まれ、嫌でも朝早くに起床してしまうのだから。
それに加えて一日三食野菜尽くしと、無理矢理健康的にさせられる変則的な拷問を受けているようなモノなのだ。
「まあ、あいつの家に居たらこうなるよな。 良いんじゃないか? 女子力上がるぜ?」
「……嬉しいような、何とも言えないような…………お姉ちゃんが野菜多めの生活にうんざりし始めてるんですよね。」
「あいつ肉食系だもんな」
「ちょっと意味が違ってきますよそれ」
樹は、いや紅葉さんには肉食系か……と考えるが、言葉には出さない。 ジュースを飲みきると、思い出したように紅葉に聞いた。
「紅葉さんって、子供が苦手……だったんですよね?」
「前はね。」
「今は嫌いじゃないんですか?」
「こうやって樹と居られるんだから分かるでしょーよ、好きだぜ?」
「…………むむむ。」
イタズラ小僧のように目元が笑っている事からからかわれている事は分かるが、それでも反応してしまうのが悔しい。 反撃代わりに膝を叩くが、力は篭っていない。
「はっはっはっ。」
「…………やっぱり紅葉さん嫌いです!」
「悪かったよ。 怒るなっておい、叩くな揺らすな。」
「……むうううううう!」
「いでででででっ!」
ひとしきり紅葉を叩いて揺らして、部屋に居られる時間が残り十数分となった所で、樹は紅葉の膝を枕に寝転がる。
「うおっ……どうした?」
「………………。」
「急に甘えん坊になったなぁ。」
さらさらと、紅葉は樹の髪を撫でる。 樹は何も言わず、紅葉のジーパンの膝部分を握った。
「なんかちょっと、疲れちゃった?」
「………………。」
握る手に力を入れて、肯定した。
「……頑張ってるもんなぁ。 姉は来年卒業だし、いつか始まる戦いにオーディション。 色々ありすぎたもんなぁ。」
されるがまま無抵抗で撫でられる樹の心は、弱かった。
姉の後ろから顔を覗かせないと人と話すことも出来なかったほどに小心者で、なんだってできた姉と比べられた事だってある。
だからこそ、タロット占いが出来ることは密かな自慢だし、自分から進んで歌手になりたいと思った事が誇らしかった。
「ゆっくり、な。 お前は十分頑張ってるんだから。」
それを応援してくれる人が居ることが、嬉しかった。
だからこそ、夢があって、応援しくれる人が居て、こんな順調で、果たしていいのかな? なんて思う事だってある。
自分の夢とやることを否定する人が一人も居ないというのも、案外不安になるのだ。
不安。 その感情を振り払うようにカラオケに逃げた事に紅葉を巻き込んだことで、樹は若干の罪悪感を覚えた。 だって紅葉は勇者の頼みを断
きっとこの人は、『勇者のために死んでくれ』と言われたら簡単に死んでしまう。
駄々をこねる子供のように、樹は紅葉にしがみつく。 紅葉は樹のジーパンを掴む手に自分の手を重ねた。
「お前なりに不安なんだよな。 分かるぞ、俺も今中身がジジイなのにこの先学校に通うべきかで悩んで―――いったあーい。」
無言でつねられる。 紅葉渾身の場の和ませ方も空回りした。
「ごめんて。 うん、年頃の女の子の扱いはいつの時代もわからんな。」
記憶が戻ったせいで感性まで時代を遡っている現状、おそらく何をしても失敗に終わるが、残念なことにその事に気付くのは暫く後である。
「あー、樹見てるとあいつ思い出すなぁ。」
「…………あいつ?」
「ああ。 ……これ誰にも話してなかったな。」
「……良ければ、話してください。」
「―――うん、いいよ。」
少し間を置いて、ゆっくりと話し出す。
「樹…………俺な、昔ある人に、兄みたいに慕われてた事があったんだ。 そいつを妹だと思ったことはなかったんだけどね。」
樹は、紅葉の言葉に無言を返す。
「馬鹿で真っ直ぐで欲も無くて、そのくせ争いやいざこざが嫌いな奴でなぁ。 戦う度に、力を振るう度に、他の勇者が傷付く度に、苦しそうに顔を歪めて泣くのを我慢してた。
ポーカーフェイスが上手くて、自分の泣き顔を隠すのがムカつく程に得意だったのは、今でもムカついてるよ。」
樹の髪に付いた埃を取り除いて、続ける。
「もっと早くあいつに……あいつらに寄り添えば良かった。 でも俺があいつらを支えようと誓う頃には、何もかもが遅かった。 あいつの『馬鹿』よりよっぽど愚かな『馬鹿』みたいに意地張って、仕方なく支えてやってるんだって、ずっとそう思ってたから。」
紅葉は、樹の手を握る。
その手は、震えていた。
「もっと早くに、兄らしく振る舞えば良かった。 もっと早くに、妹として接すれば良かった。」
「…………紅葉さん……」
樹の頬に、水滴が当たる。 その正体を樹は知っていたが、なにも言わなかった。 そっと紅葉の手に自分の手の指を絡める。
「俺は―――――嗚呼……俺は……本当に、馬鹿野郎で……っ」
ポタポタと、樹の頬に水滴が幾つも垂れる。 その雫が、樹の涙のように、頬を流れて床に落ちた。
それから樹は、終了数分前の通告の電話が受付から来るまで、ずっと紅葉の手を握り続けた。
紅葉は『勇者の方が大変なことを知ってるから自分が弱音を吐くことなんて許されない』と考えてるので、実は西暦含めて『勇者を相手に泣き言を言った』のは樹が初めてと言う。
『夢を紅葉に暴露した樹』と『樹に弱音を晒した紅葉』で五話との対比にしたつもり。
ふと本編読み返してたら紅葉が春信さんに刺されて入院した辺りまではまだ歌野と夏凜が女の子してたのなんか面白くて笑ってしまった。
あそこからどうやったら二人揃ってメンズのコート着こなしそうなハードボイルド系になるんだよおかしいだろそれよぉ!