のわゆ編は書くとしたら漫画版を資料にしてサクサク終わらせるつもりです、まあそもそも書くかも怪しいけど。
あーあー、唐突に高評価20個くらい増えたり推薦されたりUA30000くらい増えたりお気に入り数1000人越えたりしねーかな~(字書きは強欲)
「さっきの友奈、なんでお前を呼び出してたんだ?」
校門で待ち合わせた紅葉と樹は、戻ってきた風を交えて歩道を歩いていた。
うーん、と言いながら首を傾げる風を二人は不思議そうに見ている。
「なんか、戻ってきた端末の写真データとか消えてたっていう話」
「わざわざその話の為に風を呼び出したのかあいつ。」
「部室でも出来ますよね、それ……?」
うーん? と三人で首を傾げた。
謎を残したまま三人は誰も居ないのを確認して歩道を横にならんで歩いていると、不意に風が紅葉に聞く。
「そっちこそ、歌野と夏凜はどうしたのよ。」
「あー。 夏凜は木刀が折れたとか言ってたから、先に帰ってメーカーに連絡でもしてるんでしょ。 歌野は―――――」
そこまで言った所で、紅葉のスマホに歌野から通話アプリの通知が入った。
確認した紅葉は、スマホを肩に提げていた鞄に入れる。
「なんだって?」
「――――ああ、園子の久しぶりの外食に付き合うんだと。 ついでにかめやで晩飯食ってくから、お前らの晩飯は俺んちで作ってくれとさ。」
「へぇ、じゃあ食材とか買ってく?」
「昨日買い足したから大丈夫だ。」
完全主婦目線の会話に置いていかれている樹は、少し膨れっ面を晒して二人の間に立つと一言。
「折角だし……私も手伝いますよ、紅葉さん。」
「………………おう、期待してる。」
ぐしゃぐしゃと髪をかき回し、紅葉は間を置いて呟いた。 風と顔を合わせると、風は顔色を青くして首をぶんぶん振り回す。
「(ナゼコトワラナイ!?)」
「(片言やめろ。 いや無理でしょ、樹に悪意なんて無いんだぞ。)」
「(この子に料理なんて作らせたら……死人が出るわよ……!!)」
「(馬鹿だなお前、夏凜が居るだろ。)」
「(あっ……ふーん…………)」
哀れアイコンタクトで人柱に捧げられた夏凜は、今頃木刀を売っているメーカーに文句を言っている頃合いだろう。
心の中で合唱している二人とそんな事はつゆ知らずの樹は、赤になった信号の前で立ち止まる。
異様な程に体調が良い紅葉は、ふと、赤信号で止まったのを機に辺りを見渡す。 自分と風と樹を除いて人の気配は無く、車すら通ってない。
「(―――何か、おかしい。)」
だが、何がどうおかしいのかが分からない。 拭いきれない違和感と、奇妙な不快感。
心臓の辺りがざわついて仕方がなく、月並みな言葉を使うなら、『嫌な予感がする』だろう。
「ほぉら、置いてくわヨ~」
「…………分かってる。」
いつの間にか歩き出していた二人に置いていかれた紅葉は、肩越しに顔を自分に向けた風に簡素に返して追従する。
横断歩道の真ん中まで歩いたところで、紅葉はなんとなく、本当に気紛れや偶然から左を向いた。
「―――――樹ッ!!」
紅葉は脊髄反射で、近くに居た樹を後ろに引っ張る。 不意打ち気味の動きに、樹はそのまま歩道の側に倒れ込んだ。
「どうした、の――――」
そう言った風が最後に見たのは、自分に向かって手を伸ばす紅葉と、眼前に迫る乗用車。
ほんの数十センチ前に迫った車に、どういうわけか、風も樹も反応できず―――――。
ぐい、と紅葉に抱えられた瞬間、凄まじい衝撃に襲われ、無理やり電源コードを引き抜いたように風の意識は途切れた。
意識を落とす事を辛うじて防いだ紅葉は車に掬い上げるように撥ね飛ばされながら、胸元に風の頭を置いて後頭部と背中に腕を回す。
ぶちっ、と筋肉が千切れ
パキッ、と骨が砕け
ぱつん、と神経が途切れる。
最後にぐちゃ。 と、生肉を高いところから落としたような音を奏でて、風を庇って背中から落下した紅葉。
樹の眼前で五秒にも満たない早さで発生し、終えた事故。 目の前に残されたのは、足と手に擦り傷を作った樹と――――
「―――――お姉ちゃん…………紅葉さん―――ッ!!」
血液パックを破裂させたように赤黒い血をぶちまけた、深紅の花の真ん中で風の体に腕を回しながら、血まみれで呼吸を止めた紅葉の姿だった。
―――――焦りながらもスマホで救急車を呼べたのは、恐らくこれ以上ない不幸中の幸いだったことだろう。
ひらひらと舞い、アスファルトに落ちた黄色い花が、人知れず汚染されたように焼失したことを樹たちは知らない。
◆
ほぼ同時刻、夕方。 普段勇者部が集まっては食事をするのにも使われている食事処かめや。
そこに訪れていた園子と歌野は、それぞれが注文したたぬきうどんとニシンそばを食べていた。
平日の夕方にしては、妙に
「…………で、さ。」
半分ほど食べ進めた歌野が、一度箸を置いて対面の園子に話しかける。
心底美味しそうな顔をしてたぬきうどんを堪能していた園子は、歌野の声に反応して同じように箸を置く。
「な~に?」
「いや、貴女私と食事がしたくて呼んだ訳じゃ無いでしょ。」
「うーん……それも理由の一つだけど~やっぱりわかる?」
わかるわ。 と呟き、湯気の立つ緑茶を呷る。
「うたのんは―――――昔の自分を知ってるでしょ、西暦の時代、長野県の諏訪と呼ばれた土地を守護した元勇者。」
「そうねぇ。」
誰も居ないのを良いことに、園子は核心に迫る質問を投げ掛けた。 ちらりと園子を見ながら、緑茶を口に含み息で湯気を蒸かす。
「昔の記憶を持ちながら、また白鳥歌野として300年後のこの時代を生きている事に少しは疑問を持て、と言いたいワケ。」
「…………自覚はあったんだ」
「一旦戦いが終わった後で、ふいに思い出したのよ。 別に困ることもないから紅葉以外に言わなかっただけ。」
「……自分の出生の秘密にここまで興味が無い人は初めて見たよ~。」
言葉を区切り、歌野はニシンそばに箸を伸ばす。
呆れたような、諦めたような顔でその様子を見ていた園子。 思い出したように、唐突に歌野に言った。
「そう言えばうたのんってさ~、もーみんが好きなんだよね~?」
「ぶっ」
口の中のニシンとそばが、園子の顔面にぶちまけられた。ニコニコと笑みを崩さない園子に一言謝り布巾を渡す。
「今のは貴女が悪いからね。」
「うん。 そうだね~。」
気を取り直し、二人は会話を再開する。 園子が笑みを崩さないのは、そばをぶちまけられた恨みか他人の恋愛事情でたぬきうどんが旨いからか果たして。
「…………まあ、確かに、勇者になって少し経った辺りまでは、あのアホの事は好きだったわよ。」
「今は、そうじゃないんだ~?」
「なんか無駄にすっぱり綺麗に冷めた。 なんだろ、あの感覚は…………そう、洗脳、が正しいのかな?」
ピクリ、と園子が肩を震わせる。
「――洗脳。」
「そ、洗脳。 私も紅葉も元は西暦の人間で、私に関しては記憶が戻ったりしたら、もう一度戦ってくれるか怪しい人間。 そうならないために、神樹は私と紅葉に深い繋がりを作ろうとした。
―――と、私は考えてる。」
薄く口許を歪め、細めた目付きでじっと園子を見る。 別に、歌野は怒っている訳ではない。
一滴、冷や汗がこめかみを流れて顎を伝う。
「流石は、諏訪の英雄、かな~。」
「私は英雄じゃない。 みーちゃん……諏訪の巫女とか、西暦時代の紅葉のご両親の方がよっぽど英雄らしい人たちだった。」
すっかり冷えたニシンそばのツユを飲み干して、歌野は姿勢を緩く背凭れに背中を預ける。
園子は20回満開を繰り返した事で、ある主、人でありながら神に近付いた少女だった。
園子は知っている。 西暦から今に至るまでに起こった、乃木若葉の戦いを。
白鳥歌野が四国の為の囮に使われていた事を。
北海道の勇者が、人知れず、人に失望しながらも命を散らした事を。
沖縄の勇者が、人を愛し、海に愛されていた事を。
神世紀26年と少しから72年に至るまでに起きた、邪神崇拝者との長い戦いを。
先人紅葉がどんな人間で、何故勇者達にその身を捧げるように命を賭けるのかを。
園子は小説を読むように、二年間体を動かせなかった時期に、神々の視点からその全てを
だからこそ、紅葉が『この世界を生き抜いてきた人々の生き様とその尊さを理解しながらも、戦いを放棄したことで世界が滅んでも後悔なんてしない』と結論付けて生きている事を理解しつつ陰ながら賛同している。
だからこそ、かつて自分が全てを知らせた事で東郷美森が暴走した際も、大赦になにをどう言われようが戦いには参戦せず、行く末を見守った。
世界が終わっても、きっと園子は紅葉と同じ思考を以てして、後悔する事はなかっただろう。
「うたのんは、強いなぁ」
それに反して、と考えた。
園子は満開を何度も繰り返した最強の勇者だが、力だけが強さとは呼ばないとわかっている。
歌野が諏訪で培い、育んできた人との繋がりが。
紅葉が四国で作り上げた勇者と巫女との繋がりが。
大の大人が笑って聞き流すような、そういった精神面の強さ。 それを、人は『絆』と呼ぶのだろう。
「私は……うたのんの、友達なのかな。」
「は? 逆に聞くけど友達じゃなかったらなんなのよ、仲間?」
つい口から溢れた言葉を、歌野が拾って繋げた。 え、といい顔を上げた園子の鼻を、歌野の指がつまむ。
「んにゃ」
「馬鹿言ってないで、さっさとうどん食べちゃいなさい。 麺類は伸びると不味いのよ。」
「…………う、うん。」
大人の包容力とでも言えばいいのか、園子の不安感は、歌野の顔を見ていると全部が吹き飛んだ。
照れ隠しでうどんを一口すすってから呟いた。
「…………流石は合計年数がそろそろ三十路なだけはあるね~」
「うどんのツユで窒息したいんなら分かりやすくそう言え。」
「ひゅっ………………。」
歌野のその目は本気だった。
ったく。 と言い、ため息をついた歌野は、緑茶の無くなった湯呑みにお冷やを入れて飲むと、一瞬だけ眉を潜めた。
「―――――
「えっ、私~?」
「違うわ馬鹿、なんか
歌野に言われて、鼻をひくひくと動かす園子。
「あ、ほんとだ~、なんだろうこの臭い。」
「…………キッチンの方、から………………あ?」
カウンターを挟んで奥に見える台所。 そちらの方を見た歌野は、すっとんきょうな声を出す。
シュー、と、間の抜けた何かが漏れ出る音。
そして、誰も居ない台所。
歌野は目を見開いて、園子の胸ぐらを掴んだ。
「そうだ、この臭い前に戦ったバーテックスの出した―――うたのん? どうしたの?」
「っ―――――園子、受け身!!」
焦った顔で叫んだ歌野に聞き返す間もなく、園子は力任せにぶん投げられ、扉を粉砕しながらかめやの外に文字通り投げ出される。
あまりに突然で、辛うじて受け身を取って転がった園子は、頭の中で言葉の続きを完結させた。
―――――この臭いは、前に戦ったバーテックスが出したガスの臭いに似ていて―――。
直後に、閃光。
遅れて扉が破られた一部という抜け穴目掛けて火炎が噴き出し、鼓膜を破らん音量で爆発音が鳴り響く。
「う、あ―――っ!?」
反射的に顔を腕で覆い、倒れたまま衝撃に耐える。 キンキンと耳鳴りが酷く、眼前ではチカチカと星が明滅していた。
そして爆発と同時に、園子の前に人間大の塊が吹き飛んできた。 震える体を抑え、それに近づく。
「…………う、た、のん……!」
コートを着込み、体を濡らした歌野が、濡れた体の水分を熱で蒸発させながら転がっていた。
呼吸が荒くなる感覚に陥りながらも、園子はなんとかスマホで救急車を呼び、通話アプリで全員にメッセージを飛ばす。
紅葉と風が車に撥ねられたという知らせが樹のアイコンから届いている事実に目眩を覚えながら、歌野の容態を確かめようとしたその時。
悪夢を見て飛び起きたような動きで、園子の腕を歌野の手が掴んだ。
「うわあっ!? 生きてる!?」
「殺すな…………ああ、くそっ……もう、救急車は……呼んだの……?」
「うん、うん! すぐに来るから、ちょっとだけ待ってて!」
力無く、ずるりと園子に伸ばした手を地面に落とすと、歌野は深く呼吸をしながら言う。
「その顔……どうせ、風さんにも何かがあったんでしょ」
「なんでそれを……それに、もーみんまで車に……」
「…………なら、好都合ね……」
息も絶え絶え、歌野は最後の言葉を残すために、深く息を吸った。
「…………紅葉たちと同じ病院に、搬送して……話さなきゃいけないことが、出来た……」
「わかったから、もう喋らないでうたのん!!」
「ええ。 じゃあ、ちょっとだけ……おやすみ……」
すっ、と。 まぶたを閉じて、歌野は眠りについた。 しかし、呼吸はいまだ辛うじて続けられている程度。
「――――どうして、精霊バリアが作動しなかったの……?」
園子の言葉は、救急車のサイレンに掻き消されて夜空に消えた。 今の園子に出来るのは、歌野と紅葉達の無事を祈ることだけである。
うたそのと言う新しい可能性。 これは主人公がヒロインといちゃついてるごく普通の絵面ですね間違いない。
なお本来の主人公は不幸にもスピード違反の暴走車に追突された模様
ちなみにアニメ通りにこの段階で満開出来るのは東郷さんと樹と夏凜だけです、歌野は爆発に巻き込まれた時にバリアでゲージを一つ使いました。