私がしょっちゅうオリ主を血みどろのボロボロにしてるのは単純にメアリー・スー化を可能な限り避けようとした結果です。 原作へのリスペクトは…………忘れないようにしようね!
ストーリーの都合上、勇者の章では歌野の誕生日(12.31)を祝えないのです。 リアルの12.31で誕生日回書くから許せ…………。
クリスマスのコスプレ職質珍事件も過去の記憶となり、一年を越し、正月が終わってから数日。
ようやく体が動かせるようになった俺は、勇者部部員と一緒に遅い初詣に来ていた。
「あんた、もう大丈夫なの?」
「味が濃いやつ食べると胃がものすごいことになる以外はだいたい完治してるよ。」
「それ大丈夫なの…………?」
夏凜に心配されるが、まあ、へーきへーき。 度数の高い酒が呑めなくなったり、味の濃い飯食うと胃が拒絶反応起こしてゴジラの熱線みたいに色々出るだけだから。
あと少し視力落ちた。
「はあ、あたしの卒業までまた一歩近付いてしまったのね…………。」
「留年すれば?」
「お前は鬼か!?」
無慈悲な歌野に真顔で、当然かのようにそう言われる風。 それは流石にやめてやろう?
歌野に絡まれてる風を熱心に撮影する美森の横でぼけーっとしていると、更に俺の横で友奈がぼーっとしていた。
「どうした?」
「………………へっ? なに?」
「――――なんでもねぇ。」
数拍遅れてようやく反応した友奈は、心ここに在らずとでも言える雰囲気で視線が虚空を向いていた。
俺はそう言って断りを入れ、視線を前に戻す。
「ちょっとま、言い過ぎたのは悪かっぐえええええ」
眼前では歌野が風に首の関節を極められていた。 うわすげえ綺麗に入ってる。 あれもう少し強く絞めたら首の関節の数増やせるぜ?
いけー、やれー、とヤジを飛ばして煽ってる夏凜と樹を見ていたら、不意打ちで背中に衝撃が走った。
「ど~~~ん!」
「うおっ、と。 園子か。」
「ねーねー、甘酒呑みたいなぁ~?」
着物に身を包んだ園子が腕で俺の腹をホールドしたまま、器用に前に回ってくる。
蟹かお前は。
「…………はぁ。 全員分買ってこい、俺は要らん。」
「わ~い! ありがと~!」
そう言いながら財布を渡すと、園子はテンションMAXで甘酒を買いに行った。 夏凜に目配せして着いて行かせておく。
「なんか、紅葉くんの孫みたいだね。 そのちゃんって。」
「あとでお年玉でもやるか、お前も要る?」
「うーん……私はいいかなぁ。」
友奈はやんわり断ると、美森の横に立って風にコブラツイストされてる歌野を心配している。 こいつ、妙に枯れてるんだよな。
オーズの主人公っぽいって言うのは罵倒に入るのか果たして。
「みんな~甘酒飲も~?」
「…………命拾いしたわね、歌野。」
「あ、危うく絞め落とされる所だった……!」
夏凜と一緒に甘酒を七個トレーに乗せて持ってきた園子は、俺以外にそれを渡してから売っていた巫女の人にトレーを渡す。
風達がいい呑みっぷりを見せている裏で、友奈だけが、甘酒の入った紙コップを手のひらでくるくる回していた。
「呑まないのか。」
「……あ、うん、ちょっと熱くて。」
「そうか。」
……嘘だな。
友奈はここ最近、あまり元気がない。 どことなく、死期が迫った病人のような雰囲気を醸し出している。
マジな方が俺なんですがね。
余計な詮索が地雷となっている以上、俺と風、あと歌野はもう友奈の秘密に首を突っ込めないでいる。
時期を見て、あいつに頼まないとなぁ。
「あはははは!! おねーちゃーーん!!」
「ぐおわああああああああ………!!?」
「なにやってんだあいつら……。」
一向に甘酒を呑もうとしない友奈から視線を外すと、甘酒なのに何故か酔っている樹が風を振り回していた。
こいつらまた暴れてるよ。
「歌野、夏凜、止めに行け。 最悪風の体が引き裂かれても構わん。」
「そっちの方が面白そうではあるわね。」
「………………馬鹿言うな、行くわよ。」
夏凜お前今同意しようとしたろ。
「美森、あれは撮っといた方が良いぞ。 逃したら後悔するぜ。」
「ええ、全て余さず撮って見せます!」
家電量販店で良く見る高性能のビデオカメラを片手に、美森は撮影を続ける。
樹と歌野……そして夏凜と何となくで加わった園子に四肢を掴まれ、古代原始人の処刑方のように四方に力を加えられている風。
流石に同情を禁じ得ないその光景を嬉々として撮影する美森に少し引きつつ、友奈の完全に冷めきった甘酒を横から掠め取って一気に呷った。
「あっ……!?」
「…………うぇ、冷めた甘酒まっず。」
空の紙コップを友奈に渡してから、ぐしゃぐしゃっと髪を掻き乱す。
「うわわわわっ」
「お互い、苦労するな。」
「―――――うん。」
その後、なんとか四肢を引き千切られる事は避けた風の説教が始まったのは言うまでもない。
俺は当然逃げた。
うわあいつ足早――――
◆
夕焼けが照らす街並みを、友奈は窓を開けて眺めていた。 この数日で、友奈と部員達でいろんな事をしては、何かしらでボロが出そうになっている。
迷子の猫を探そうとした時は、まるで友奈の体に刻まれた刻印の祟りを察知したかのように件の猫に避けられ。
カラオケ店では熱が出たような体の痛みと気だるげな重さがのし掛かり、歌うことは叶わなかった。
「…………はぁ……。」
重苦しいため息が、口から漏れる。
風に話そうとしたせいで、車に撥ねられた。 どこかで聞いていたのだろう歌野まで巻き込まれ、なんの関係もない紅葉までもが死にかけた。
言いたいのに、言えない。
八方塞がりの状況に、友奈はただ、ため息をつくことしか出来ないでいる。
「よお、友奈。」
「――――夏凜ちゃん?」
不意に聞こえた声の方角に顔を向けると、右目に帯のような眼帯を包帯ように巻き、左目の鋭い眼光が自分を貫く夏凜の姿があった。
夜道で出会ったら人斬りかと疑うレベルで、夏凜の神経は研ぎ澄まされている。
「ちょっと面貸せ。」
「へっ……?」
「間違えた。 ちょっと付き合え。」
それだけ言うと、夏凜はコートを羽織って階段を降りて行く。 後ろ姿を一瞬置いて追いかける友奈は、その急いだ動きだけで息を切らすことに、もう違和感を抱かなくなっていた。
「それで、どうしたの?」
「…………まあ、座れ。」
港に着いた二人は、夕焼けを浴びながら立っていた。 ビットに座るよう勧めた夏凜に頷いて、友奈はそれに腰掛ける。
「少し聞きたいことがあったのよ。 他人に聞かれると困るから、二人になりたかっただけ。」
「そうなんだ…………それは、それなんだけど……」
「あ? どうした?」
「夏凜ちゃんだけコート着てるのズルいよぉ……」
「…………ああ、悪い。」
一月の冷たい風が、海の向こうから運ばれてくる。 夏凜は座りながら震えている友奈に、自分が着ていたコートを羽織らせた。
「と言うかなんで着てないのよ、アホ。」
「えへへ……朝は暖かかったからつい。」
「――――そうね。」
夏凜は、朝の気温を知っている。
当然だが、とても暖かいとは言えない気温だった。 寧ろ寒いとすら言える。
そのことを指摘するかで一瞬悩むが、夏凜は黙っている。 間を置いてから、友奈に視線を合わせるように屈んだ。
「私は……正直、回りくどい言い方は好きじゃないの。 だから簡潔に、且つ分かりやすく聞くわね。」
「…………う、うん。」
威圧するような言い回しに、友奈は気圧された。
覚悟を決める風な雰囲気で軽く息を吐くと、夏凜は言う。
「あんた、何か面倒な事に巻き込まれてるでしょ。」
「――――ううん、
目を逸らす事もなく、友奈は言った。
少しも考る素振りを見せず、少しも否定せず。
普段の友奈なら、必ず覚えが無いか考える事を、夏凜は知っている。
「嘘つけ。」
「…………夏凜ちゃん……?」
「私に何か話したらあいつらみたいに事故に遭うかも、とか考えてるんならお門違いよ。」
片膝を突いていた体勢から立ち上がり、友奈が見上げる形で、夏凜はあっけらかんと言ってのけた。
「この完成型勇者様とあの三馬鹿どもを一緒にしないで頂戴。」
腰に手を当てて、夏凜は続ける。
「女子力馬鹿と農業馬鹿と、あとただの馬鹿。 大怪我負ったからって、あいつらは別にあんたを責めたりなんかしないわよ。 勿論そうなったとしても……私もね。
――――
夏凜の出来る限りの優しい笑みに、友奈はつい、甘えそうになった。
友奈は、言おうとした。
『天の神に祟られている』と。
『助けて欲しい』と。
『もういやだ』と。
だが――――。
「っ――――!?」
「……どうしたの。」
開こうとした口を咄嗟に押さえて顔を下に向けた友奈。 その目に、はっきりと見えてしまったのだ。
確実に重い災いが降り掛かる程の、濃い刻印が。
「…………見えたのね。」
「……う、あ……そんな、つもりじゃ……っ!」
「わかってる。 わかってるから。」
顔を押さえて嗚咽を漏らす友奈を胸元に抱きよせ、後頭部を撫でる。 夏凜の脳裏に、紅葉から事情を話されたときの言葉が甦った。
『友奈は神に祟られている。 恐らく、体の何処かに刻印が刻まれている可能性があるんだが……流石に何処かまではわからん。』
『で、私にどうしろってのよ。』
『あいつから事情をどうにか聞き出せ…………と言えたら良いんだが、無理だろうしなぁ……。』
『そりゃ不安よね、誰にも頼れないんだから。』
『ああ。 だから、お前が
『は?』
『だって俺たちの中で一番死ななそうなのがお前だったから……。』
『人柱じゃねえか、鬼かお前。』
「……帰ろう、友奈。 あんたの家に送ってくから。」
手を引いて友奈を立たせる夏凜。 その手の燃えるような熱さに、夏凜は顔を顰める。
「(なるほど、寒くないんじゃなくて、友奈の身体が風邪引いてる時みたいに熱かったのか。)」
火傷してしまいそうな程に熱い手。 夏凜は、それを離そうとは欠片も思わなかった。
暫く無言が続き、やがて友奈の家に着く。 美森はまだ帰っていないのか、隣の東郷宅に人の気配は無い。
玄関の前まで来て友奈の手をほどくと、友奈の口から物寂しげな声が小さく漏れた。
「―――――ぁ……。」
「っ…………じゃあ、また明日ね。」
これ以上長くいては、帰りたくなくなる。 長くいることは、夏凜への進行度の深まりを意味し、友奈のストレスに繋がる。 故に、夏凜は迷いを振り払うようにして踵を返した。
玄関前の扉を跨ごうとした時、ふと、夏凜の無造作に振られた手に何かが引っ掛かる。
「――――ん?」
「――――ぁっ」
振り返ると、友奈の手――――指が、夏凜の小指に引っ掛かっているように絡まっていた。
全く力の籠っていないそれは、下手したら気付けず、そのまま立ち去っていた可能性もある。
だが
「ああ、もう。 仕方ないわね、友奈は。」
「あ、えっ、と…………。」
「ほら、おいで。」
『仕方がないなぁ』とでも言いたげに、夏凜は両腕を広げる。 一拍置いて躊躇った友奈は、夏凜の胸元に抱き付いた。
「う、うぅうう゛う゛…………ああぁ……!!」
「私は死にゃしない。 だから、何度でも言ってあげる。」
後頭部と背中を別々に擦りながら、夏凜は友奈にそっと呟いた。
『―――また、明日。』
◆
「うーーー、カルシウム足りねぇ……」
慣れないことをしてげっそりしている夏凜はそんな事をぼやきながら、先人宅こと今の自宅へと足を進めていた。
「……あー、友奈め…………なんだってこんな気持ちにならなきゃいけないのよ、くそっ。」
いつもの快活な態度が鳴りを潜め、大人しくなった友奈の顔を思い出して、夏凜の体温は上がる。
「……いやいやいやいや、ないから。 ないない。 私が? 友奈を?」
住宅街で、家に挟まれた道路を歩きながら、夏凜は友奈の一挙一動を想起した。
「……あっ、コート返してもらってない。」
貸したまま返してもらうのを忘れたコートもついでに思い出した夏凜の首筋を、冬の夕方の寒い空気が冷やす。
まあいいか、と頭を振って帰路を歩く夏凜の近くの物陰。
その影から、ぬるり、と。 泥のような、涅色の人形が現れる。
気の抜けた夏凜の背中めがけて振り抜かれた泥人形の無機質な拳が、不意打ち気味に迫り――――。
「――――あ?」
カウンターで放たれた夏凜のローリングソバットが土手っ腹に突き刺さり、ブロック塀に叩き付けられた泥人形はべちゃっと弾ける。
そんな夏凜の視線の先では、蹴り飛ばした泥人形と同じ人の輪郭をなぞっただけの異形が、大量に蠢いていた。
「…………なんだこいつら。」
ちなみに勇者部の猫探し依頼はひっそり野良猫界のトップに君臨している千景猫の野良コミュニティによって即座に解決出来るようになってます。
ぅゎちかげっょぃ。
尚この作品はわかちかでにぼゆうです。
あー私もアニメ1クール分だけで良いからとじみこ二次創作書きたい。 でも1話切りしたからストーリーわかんない。
力(Blu-ray)が…………力(お金)が欲しい……!!