やっと4話後半辺り。 このペースなら30話は行かなそう(希望的観測)
エグい話を書くとどうなるの?
知らんのか、お気に入り数が減る。
「だーっ、くそ、数が多すぎる……っ!」
「口動かさないで手を動かす! 右から3!」
芽吹が合流してから都合数分。 夏凜が指摘通りに右から襲い掛かってきた泥人形3体の首や胴体を刀で撥ね飛ばし、芽吹は左から現れた剣豪タイプの刀を銃剣の弾丸で弾く。
「ナイスアシストぉ!!」
手荒な動作で投擲された刀が剣豪タイプの頭部に突き刺さり、爆発。
愉快な音ね……と言い、ストレスから邪悪な笑みを浮かべる夏凜を見て、芽吹はこの人こんなだったかしらと疑問符を浮かべた。
「それにしても数が減ってる気配がしないのだけど。」
「私がどんだけ斬っても補充されるのよ、もうずっとこの状態。」
「……冗談でしょ……?」
なわけあるか。
とでも言いたげに無言で左目を芽吹に向ける夏凜に、ゲンナリとした表情で返す芽吹。
―――――そんな芽吹の背後に、不意打ちのように泥人形が現れた。
「ッ――――芽吹!!」
「な、しまっ…………!」
拳を振りかぶる泥人形に、芽吹の防御は間に合わない。
「使えッ!」
「は―――うぉおお!?」
突如として芽吹に拳を振り上げた泥人形の顔面に、装飾の施された刀――――夏凜の武装が突き刺さった。 芽吹の髪を数本切り落として行ったのは、些細な誤差である。
「あぶ、危なっ…………私に刺さったらどうするつもりだったの!?」
「めんご。」
「三好ィ!!」
泥人形に刺さった刀を掴み、蹴り飛ばしつつ抜いた芽吹。 続けて上投げで放られた刀を見やると、夏凜が叫ぶように言った。
「
「……壊さないで、よっ!!」
交換するように銃剣を後ろを見ずに投げ、飛んできた二振り目の刀をそのまま受けとる。
夏凜の刀で二刀流の構えを取った芽吹と芽吹の銃剣を受け取った夏凜は、体勢を立て直し、泥人形へと突撃した。
「これ結構使いやすいわねぇ……!」
鈍器のように銃剣の刃を頭に叩き付け、その後ろにいたもう一体の胴体に突き刺し、銃口を捩じ込んで発砲。 逃れられず、泥人形は破裂したように爆散する。
更に横から現れた剣豪タイプの刀を、槍のように握り直した銃剣の刃先で弾き、刀を握るのに必要な腕の
なまじ人の形を成していたが故の弊害により刀を落とした剣豪タイプの頭部に、夏凜は静かに銃口を向ける。
―――――ボンッ、と。
そんな音を立てて、頭が弾けた。
「芽吹ー、そっちはどう?」
「誰に、質問、してるわけっ!」
「……ま、そうね。」
言葉を句切る度に、芽吹の振るう刀によって泥人形のパーツが宙に舞い上がる。
仮にも元勇者候補。 加えて三ノ輪銀の勇者システム継承候補だった事もあり、二刀流は芽吹と夏凜の
泥人形を足場に跳躍した夏凜の下で剣豪タイプとの剣戟を繰り広げていた芽吹は、上から降ってきて剣豪タイプの肩に着地した夏凜に驚きつつ、夏凜の刀の機能を思い出す。
流れで銃剣の刃を半ばまでを頭に捩じ込んだ夏凜は、芽吹が自分の刀を腹部に突き刺したのを見てから、銃剣を引っこ抜いて退避していた芽吹の横まで跳んで着地する。
「…………これだけやって、また復活するのね。」
「別に千日手になろうが構わないけど、流石にめんどいわ。」
背後の爆発に目もくれず、二人は兎に角その場から離脱しようと走り出す。 芽吹が後ろから聞こえる泥人形の蠢く音に眉を潜めていると、不意に夏凜の勇者端末が震えた。
「んげ、噂をすれば紅葉。」
「何故嫌そうなの。」
走りながらスマホの着信に出ると、マイク越しに男の声が聞こえた。
『もしもしー。』
「今あんたの呑気に付き合ってる暇がない! 玄関開けといて!」
『……やっぱり祟られたか。』
「そう、芽吹と向かってるからね、切るわよ!」
『おう。』
簡潔に伝えて乱雑にスマホを消した夏凜は、横に並走する芽吹に言う。
「紅葉んとこに行くわよ。」
「何か策でも?」
「知らん、でも紅葉ならどうにか出来る。」
「ふーん……。」
そんな紅葉への無条件の信頼に、芽吹は肩をすくめながらも、その口許は笑っていた。
◆
「ふぅん、大変だったみたいだな。」
「まったくよ。」
二人が帰る頃には辺りは夜になり、夏凜は居間に座ってお茶を啜っていた。
「それにしても、まさかあの泥達がこの家どころか敷地にすら入れないとは…………。」
「そりゃ俺んちパワースポットのど真ん中に建設されてるからね、あんな雑魚な地縛霊程度が侵入できる訳無いじゃん。」
三人の脳裏に浮かんでいるのは、逃げてきた二人の前で先人宅の敷地から弾かれた泥人形の姿。 見えない壁に遮られ、敷地の中に一歩も入れず、やがて諦めたように消えた異形の姿。
兎に角、異質であった。
「……雑魚、ねぇ。」
「どうせお前ら切った張ったしてたんだろ、ああいうのは光に弱いから閃光手榴弾でも使えば簡単に逃げられたのに。」
「学生がそんなもん持ってるわけ無いだろ。」
「裏の倉に何個かあるよ。」
「…………そう。」
人間武器庫と言ってもあまり過言ではない程度には殺傷力の高い武器を当然のように持っている紅葉に、夏凜は何とも言えない顔で返した。
その横で荷物を抱えてそわそわしている芽吹を見て、紅葉は朗らかに接する。
「芽吹ちゃんも久しぶり、わざわざ悪いね。」
「いえ……車にはねられたと聞いた時は驚きました。」
「そんな心配しなくても良いのに…………というかそれなに。」
芽吹の抱えている荷物を見て、紅葉は首を傾げる。 ああ、と言って、芽吹は中身を取り出して渡した。 それは、保冷剤と一緒に入れられた――――。
「カツオのたたきです。」
「カツオのたたき。」
「はい。」
「なんで?」
紅葉からの至極当然の疑問に、ばつの悪そうな顔で弁明するように芽吹は語り始める。
「……すみません、あの人の妙な勢いに圧されて……しかも元々渡すつもりだったカステラが手違いで雀としずくに食べられまして。」
「夕海子か。」
「……はい。」
問題児揃いか、と呟いたお前が言うなとばかりに夏凜に軽く睨みを効かせた芽吹。
カツオのたたきのパックが入った袋を受けとると、紅葉は台所に向かった。
「あんたの部隊は、なに、変人しか居ないの?」
「…………ノーコメントよ。」
思い当たる節が多すぎる芽吹は、ただそう言って、静かに片手で顔を覆う。
台所から戻ってきた紅葉は、手にスマホを握って戻ってきた。
「アレは後で頂くけど、それよりもう暗いしタクシー呼ぼうか?」
「いえお気になさらず、神官……上司に先ほどの事態の説明をしたら、防人システムを使ってでも早急に帰れと言われたので。」
「そっか。 次来るときは、亜耶ちゃんも連れてきな。」
「はい、あやちゃんも貴方に会いたがっていました。」
「まあ、今は忙しいからこの話も大分後になるだろうけどね。」
やや疲れの目立つ表情で柔らかく笑うと、芽吹は玄関に向かう。 見送りをした紅葉は、逆に表情をを強張らせて夏凜に話した。
「さて、と。 夏凜……友奈はどうだった?」
「…………なんとも言えないわ、言いたいけど言えない――――話そうとする姿勢の時点でアウトみたい。 直接話を聞いた訳じゃないのにアレに襲われたんだから相当ね。」
頭を振ってため息をつく夏凜に、あっけらかんと紅葉が言う。
「よし、じゃあ友奈の家に行ってくるわ。」
「なんて?」
「ちょっと、親の様子を見に行く。 状況が状況だからな。」
「…………大丈夫なの? あんた、もうこれ以上の祟りは命に関わるんでしょう?」
「――――――。」
紅葉は、肯定せず、否定もせず。
ただ、にっこりと笑った。
そんな紅葉が隠すようにポケットに入れている左手の、小指の第一関節から先が無くなっている事は、紅葉以外は知らない。
さらさらと体の大事な所が無くなってゆく感覚を、静かに、静かに体感していた。
芽吹と夏凜に互いの武器を交換させて使わせるワンシーン、実はめっちゃ書きたいシーンランキング上位だったりした。
惨いとかグロい話って言うのは理由がなってないとただのリョナになるから気を付けようね