光写真館を出ると、そこには幕末辺りにありそうな景色が広がって居た。人々は浴衣を着ている。
「お、服が変わってる」
ユウスケの言う通り、士の服がいきなり紺色の浴衣に変わって居た。手には幕末〜明治辺りの時期に使われてそうな畳の様な質感の鞄を持っていた。士が鞄の中を確認すると中には筆記用具や教材などが入っている。
「この世界での俺の役割は...教師の様だな...」
それを聞いた夏美がプッと吹き出す。
「士君が教師って...プププ!」
夏美は口元を押さえて笑っている。そして、ユウスケもニヤニヤしながら言う。
「士が教師かぁ...すぐ生徒にムキになったりしそうだなぁ」
「そんな事しねーよ!.ったく...この中に寺子屋?のへの地図があったから、俺はとりあえずそこに行く事にする。お前らはどうするんだ?」
「私達は外から覗いてます。士君の授業を見てみたいですしね」
士が寺子屋に到着し、戸を叩くと中から青い髪の綺麗な女性が出てきた。その女性は士を見るなり、
「おぉ!君が講師として来てくれるという人か!いやぁ、助かったよ!私は上白沢慧音だ。よろしく。」
「よろしく。で、俺が受け持つガキどもは何処にいるんだ?」
士がそう問うと、慧音は苦笑いしながら
「いやぁ、君が担当する生徒はこの中に既にいる。ただ...」
「ただ?」
「最近は人間の子供だけではなく、教養の低い妖怪や妖精にも勉強を教えてやろうと思ってな?複数の妖精や妖怪を集めたんだ。君にはその子達の教師をしてもらう」
「妖怪...?」
(ファンガイアやら魔化魍みたいな化け物か...?)
「大丈夫、悪い奴じゃない。君ならできる筈だ。じゃあ、私は用事があるのでこれで...」
慧音はそういうと、忙しそうに去っていった。士は疑問を抱きながらも、寺子屋の中に入る事にした。戸を開け、廊下を進んで行く。奥の方から何やら子供達の騒ぎ声が聞こえて来た。
(騒がしいな...まあ、少しやんちゃな方が教え甲斐もあるし、ユウスケ達に俺の教師としての力量を見せ付けなければな!)
ガラッ!っと戸を開けて教室に入ろうとした刹那、ボスっ!と士の頭に何かが落下して来て、白い粉を撒き散らした。そう、黒板消しだ。
そしてそれが士の頭に直撃した瞬間、教室の中で愉快そうな声が聞こえて来た。
「キャハハハハハ!引っかかった!引っかかった!」
「お、怒られるよぉ、チルノちゃん...」
「わはー!引っかかったのだー!」
「むふふ!私の作戦が上手くいったわね!」
「ムムッ!みすちー!作戦は私が考えたんだよ!」
中にいたのはそれぞれ水色、黄緑、金色、桃色、緑色の髪をした少女達であった。
「この....クソガキども!席につけ!」
チョークの粉により髪が真っ白に染まった士は顔を引きつらせながら叫んだ。
「わー!怒ったー!」
水色の髪をした少女が茶化す様に言いながら席に着き、それに続く様に他の面子もそれぞれ席に着いた。
その様子を窓の外から見ていた夏美は吹き出した。
「やっぱりムキになってるじゃないですかー」
ユウスケは苦笑いしながら言った。
「まぁ、士らしいっちゃ士らしいね」