「全く......何と言うクソガキどもだ......」
士は溜息をつきながら教壇に立つと、黒板にカツカツと白いチョークで文字を書いていった。大きく黒板に書き出された文字は『門矢士』。そう、彼の名だ。
「もやし?」
「誰がもやしだ‼︎」
青髪の少女の発言に士は怒鳴った。
「まず、俺はお前らを知らん!取り敢えずお前ら1匹ずつ自己紹介しろ!まずさっきから煩い青いお前!」
「ん?あたい?あたいはチルノ!サイキョーよ!」
「次!黄緑!」
「は、はい!わ、私は大妖精です!大ちゃんって、呼ばれてます!」
「次、ピンク!」
「私はミスティア・ローラレイだよ。みすちーって呼んでね!屋台やってるから良かったら来てね!」
「金髪!」
「私はルーミアよ!貴方は食べても良い人間なの?」
「最後!緑!」
「私はリグル・ナイトバグ!。え、えーと!虫の妖怪よ!」
「チルノに大妖精にミスティアにルーミアとリグルか。よし、早速授業を始める。算数だ」
「えー、算数ー?あたいきらーい!」
士の発言にチルノはブーブーと文句を言っている。しかし、士はそれを無視して黒板に文字を書き始めた。
「まずこれを解いてみろ1+1は?」
「いや、流石にそれはわかるわ」
士は馬鹿にしたつもりで書いたが冷静に突っ込まれたので、特に言い返さない事にした。
「じゃあ、曲線y=log x上の点A(t, log t)における放線上に......」
「いや、それは難しすぎ!」
ミスティアが文句を言うと士はやれやれといった感じで適正レベルの算数を教え始めた。やはり、何でも卒なくこなす士には教えるのも容易いことなのだろう。しかし、普通の人にならわかりやすい説明も、この面子には難しいようで、机に伏して寝てる者、仲間に消しカスを投げあって遊んでいる者、ボーッとしている者と、反応は様々だ。
「こいつら.....教えても無駄なんじゃないか......?」
「私もそう思います......」
士の言葉に唯一話を聞き、ノートを取っている大妖精が賛同した。
〜〜〜〜〜
「先生またね〜!」
人里は黄昏に染まり、生徒達が去りゆく姿を見送りつつ士は明日の事を考えていた。
「士くん!お疲れ様!やっぱりキレてましたねぇ」
いつのまにか光写真館の物であろう浴衣に着替えていた夏美は茶化す様に士には話しかけた。士はそれに対して溜息を吐きながら答えた。
「疲れた......あいつら何であんなにアホなんだ......」
「いやー、授業分かり易かったぞ!士先生!」
夏美と同じ様に浴衣のユウスケも茶化すように士先生と呼んだ。
この様な感じで談笑しつつ、光写真館への道のりを歩んでいると、不意に人の悲鳴が聞こえた。2人はすぐさま反応し、悲鳴の音源へと走った。
2人がその場所に着くと、女性が鮮やかな怪物に襲われていた。
「ファンガイアか!」
士がそう叫ぶと、ファンガイアはこちらを振り向き、襲いかかって来た。
士はそれをヒラリとかわして1枚の札を取り出し叫んだ。
「変身!」
KAMEN RIDE! DECADE!
その瞬間にマゼンタの光が士を包み込み、彼を仮面ライダーディケイドへと変身させた。ディケイドはライドブッカー・GMによる銃撃をしつつファンガイアにつめ寄る。そして、十分に近づき、ライドブッカーをSMへと切り替え、斬撃をお見舞いしていく。ファンガイアの体からは火花が散り、士の大きく振りかぶった一撃に大きく吹き飛んだ。
「これで最後だ。」
士はそう呟くと、ライドブッカーより一枚のカードを取り出し、ディケイドライバーへと挿入した。
FINAL ATACCK RIDE!
カードを展開し、その中を通っていく。光を纏った右足は、ファンガイアの胸部へとえぐりこんだ。その瞬間、ファンガイアの体はカラフルなチリとなり四散した。
〜〜〜〜〜〜
一方その頃。誰にも辿り着けない場所にある家で、鳴滝はお茶を啜っていた。
「いやはや、良いお茶ですな。」
「あら、お口にお会いして光栄ですわ」
鳴滝がお世辞を言い合っている相手は八雲紫、幻想郷の管理者とされる大妖怪だ。
「で、そのディケイドとやらがどうしたのですか?」
「奴がこの世界に来ているのです。ディケイド、奴は世界の破壊者だ。私は奴の事について、幻想郷の管理者である貴方に御忠告しに来たのです。」
「世界の破壊者、ねぇ」
八雲紫は不敵に笑う。その表情は厳格にも、妖艶にも思えた。
「そう、世界の破壊者だ!奴が現れた世界は、必ず破壊される!」
「あら、それは怖いですねぇ。ですが、私が気になるのはそれより他の異物ですわ?最近イヤーな気が幻想郷中に蔓延してますのよ?」
紫は口元に開いた扇子を当て、口を隠した状態で鳴滝を見つめる。それに対して鳴滝は敢えて何も答えずに言った
「まあ、私は忠告しましたし、帰らせていただくとしますよ」
「あらあら、御機嫌よう」
紫が別れを告げると、鳴滝は笑みを浮かべながら灰色の霧の中に消えていった。
「世界の破壊者....ねぇ....」
そう呟く管理者の口元には薄い笑みが浮かんでいた。