転生者は静かに過ごしたい   作:紅風車

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初めての一次創作の小説でかなり拙いとは思います。
それでもよければ読んでいってください。


転生者は始まる

人は人に非ず。

それは人の内にある闇の部分と僕は思う。

醜い欲望や汚い思考。

誰しもが持つそれは、無ければ人として確立できないからこそ存在する。

 

転生者として生まれた僕は前世の記憶を持つ。

それは日本という東洋の国で、とても豊かな所。

どうして転生したのかと言えば交通事故で僕が死んだからだ。

一緒に帰っている幼馴染も巻き込まれないように僕は幼馴染をその死への道から外した。

大好きだった幼馴染だけでも救えただけ良しだ。

それだけでも大きな理由になるのだから。

 

転生した先では僕は赤ん坊の姿だった。

母親と父親が笑っていてそれに釣られて僕も笑った。

でもそれは長く続かなくて、僕は5歳で捨てられた。

王国の貧しい地方のスラム街に一人ぼっちで。

だけど食べるものには困りはしなかった。

僕の身体能力は高くてその辺の人では追いつけない。

それを活かして食べ物を盗っていた。

 

「・・・美味しい」

 

あまり変わらない味だけど美味しいことには変わらない。

でも食べる量はとても少なくて、極力体力を使わないように寝ていることが多くなった。

 

 

 

 

 

スラム街で過ごして1年。

もう貧困生活には慣れて、あまり何も思わないようになった時に少し騒がしい声が聞こえた。

何かを盗ってきたようで、その声はかなり上機嫌。

 

「兄貴、やりましたね!」

 

「ああ・・・かなりの上玉だ」

 

「やっちゃってもいいすか?」

 

「駄目だ。売り物にするから、処女のが良いに決まってんだろ」

 

盗み聞きした内容は人身売買。

この世界では人権は無いような物で、スラム街ならよくあることだ。

こういうものは基本的に奴隷商人に売られるが、時には自分達の慰め物にしたりする。

僕もこれには慣れたから助けるほどでも無いと思った。

だけど袋から見えるのは銀色の髪の毛。

そこそこ小さめであるから女の子だろうと思った俺は何故か目を離せなかった。

 

助けるか。

 

そんな選択肢をすればこのスラム街では居づらくなる。

だがこのまま放置も何故か嫌だった。

大人二人ほどしか見えず、気配も二人分以外には無い。

前世でよく手合わせ的なことをやることがあったから鎮圧方法は分かる。

身体能力も高いからこそ、それは可能になるのだから。

 

静かに足音と気配を消し去る。

暗殺者ならば誰でも出来る歩行法であるが、とても高度なテクニックだ。

そして大きい方の男に手刀を落として気絶させる。

それに驚いたもう一人にも同じく。

 

「・・・呆気ない」

 

高々子供一人に気を失うとは呆気ないと思ってしまう。

だけど構わない、所詮はその程度なのだから。

 

「よいしょ」

 

袋から捕われた女の子を出して背中におぶる。

年齢はあまり変わらないような感じで、軽々と持ち上げれる。

 

「・・・どうしよう、かな」

 

助けたは良いけど、今分かったことがある。

この子の服装はかなり豪華で予想できるのは貴族だ。

つまりは捜索隊が組まれている訳で、見つかれば僕は殺されるだろう。

だがそれでも良いかなと思った。

僕が死ぬだけで女の子一人の人生が救えたのだから。

 

「ん・・・ぅ・・・」

 

すると女の子が気がついたようで、景色を見渡すように視線を動かす。

そしておぶられている事に気づくと小さく悲鳴をあげた。

 

「ひっ」

 

「・・・家、分かるなら逃げれたら良いよ」

 

このまま捕まえる訳ではなく、気がついたのならこの子から移動してもらった方が良いだろう。

僕は貧民でこの子とは存在が違うのだから。

 

「あ、あなたは」

 

「・・・聞く必要も無い。逃げるなら早くして」

 

いきなり落としはせず、しゃがんでちゃんと足が着いてから背中から下ろす。

それをされて女の子が驚いたような表情をしていた。

 

「・・・どうかした?」

 

「優しいのね」

 

「そんなことはない」

 

照れ隠しで言った訳ではない。

そもそもスラム街に住んでいる時点で優しいとは思わないはずだ。

現にこの女の子は同じスラム人にさらわれているのだから。

 

「えっと・・・一緒に来てもらっていい?」

 

「・・・理由は」

 

「道が分からないの。スラム街なんて初めてだから」

 

「・・・そう」

 

このスラム街は広い方で地理を知らなければすぐに迷う。

入り組んだ道ではあるが、どの方角に行くか決めていれば簡単だ。

 

「貴方、名前は?」

 

「名前・・・」

 

そういえば名前なんて捨てられた時に一緒に捨てたんだった。

このまま答えないわけにはいかないみたいだ。

 

「・・・ユーリ」

 

「そう・・・!ユーリって言うのね。私はミリエル・ヴェイエルというの。よろしくね」

 

それが初めて彼女との関わりで、大きな変化の始まりだった。

 

 

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