ミリエルと僕が会って数時間。
あまり様変わりしない風景だがミリエルには新鮮らしく、変な子だと思った。
だがこの子の服装や歩き方、全てにおいてどこか気品を感じさせる。
貴族辺りなのは分かるが今思えばやはり面倒事だ。
それでも放っては置けないし、最悪死んでも構わないだろう。
「ねぇ、ユーリ」
「・・・なに」
「私って・・・どう見える?」
「・・・どうって」
「私ね、王族なの。第三王女なのよ?」
「・・・そうですか」
貴族だとはわかっていたがまさか王族だとは思わなかった。
これは些かまずいもので、王族誘拐犯として僕は処刑される。
それは構わないけれど確実に捜索隊が組まれている。
「話し方変えなくても良いのに」
「・・・いいえ。王族だとは見抜けず申し訳ございません」
幾ら貧民だろうと自分より立場が上のものに対して先程の話し方は処罰の対象になる。
どうせ死のうと構わないが、そこら辺はしっかりとしておきたかった。
「ミリエル様ー!」
「ミリエル様いらっしゃいませんかー!」
すると遠くの方からミリエルを探す声が聞こえる。
恐らく捜索隊だろう。
このまま合流してしまった方がいい・・・か。
「ヴァーテ!来てくれたのね!」
「ミリエル様ご無事でしたか・・・!」
「ええ。あの人が助けてくれましたの」
「・・・貴方が」
ヴァーテと呼ばれた騎士は僕を見極めようと見てくる。
別にどうでもいいけれど、どうなるのだろうか。
「貴様、ミリエル様を誘拐したのだろう?」
「ち、違うわ!助けてくれたんだから!」
「・・・ミリエル様、本当なのですか?」
「ヴァーテ様までも!?こいつは貧民ですよ!誘拐犯として疑ってもおかしくはありません!」
ほら、こういう雰囲気になる。
すぐに解決できる簡単な方法があるし、それを実行しよう。
「・・・なら、連れていって処罰を下しても構いません。僕は信用に値する者では無いので」
僕は姿勢を低くし、ひざまずいた。
僅か6歳の子供が出来る作法ではなかったからか、全員が驚く。
「ユーリ、大丈夫だから!処罰なんてさせないからね!」
「・・・ミリエル様」
僕は両手両足に枷を嵌められる。
逃げる気も無いが、年のためといったところだろう。
そのまま馬車に運び込まれるとその場を移動した。
「ユーリ・・・ごめんね・・・ごめんね・・・」
「・・・いえ」
「処罰なんてさせないから・・・」
何を彼女はここまで僕を助けようとしているのだろう。
あの場で疑われてもおかしくはないし、どうせ知れた命だ。
貧民一人の命よりも王族の自身を優先すべきだろうに。
「ユーリ様・・・でしたね。ミリエル様を助けていただき有り難うございます」
「・・・いえ」
「私の部下が貴方を疑ってしまいそれも合わせて謝罪を。申し訳ございません」
「・・・大丈夫です」
「貴方はミリエル様誘拐の犯人ではないでしょう。確証はございませんがそのように感じ取れます」
「・・・そうですか」
「国王陛下には私も言い伝え、処罰は無いようにしていただきます。貴方は被害者なのですから」
「僕は、貧民です。王族や貴族からすれば・・・知れた命でしょう」
「・・・どうしてそう思うのですか」
「価値観の違いでは?僕は既に死人同然です。処刑された所で誰も悲しみませんから」
僕はそこで会話を止めた。
これ以上話しても無駄だし、有意義とは思えない。
ただ処刑宣告を受ける待ち人なのだから。
国王の謁見をすることになった僕は服装を着替えて身嗜みをしっかりとする。
そのまま兵士に連れられて国王の間へと案内された。
そして陛下の前で僕はひざまずいた。
これが普通なのだ。
「顔を上げよ」
「・・・はっ」
顔をあげると僕をひたすら見つめている目があった。
国王陛下のそれは何者かを慎重に見抜こうとするもの。
「ユーリと言ったか。此度のミリエルの救助、感謝をする」
「・・・勿体亡きお言葉」
「恐らく処罰を言い渡されると思っているのだろう?だが我とて非道ではない。ミリエルの恩人にそのようなことをすればミリエルが激怒する。そこで褒美を与えたい、何か望みは無いか」
褒美といわれても僕は何も望みはない。
名誉や爵位が欲しくて助けたわけじゃない。
ただやりたくなっただけだから。
「いえ、何も望むものはありません」
「・・・なんと、何も無いと申すか。理由があれば述べよ」
理由・・・か。
貧民の生活で出来ることなど知れている。
僕は身体能力と不思議な力があるが、言えばそれだけだ。
簡単に言えば、生きる理由はない。
望むものがあっても手が届かない、貧民という立場では不可能なものばかり。
だから諦めた。
「・・・陛下。望む物が無い理由ですが、簡単です。私には生きる理由がなく、故に欲しいものはございません」
「・・・生きる理由がない・・・と?」
「はい。貧民だから故に諦めました」
「くっくっくっ・・・そうか。ならば我が決めてよいな?」
「・・・はい」
「ユーリよ。お主の家名はあるのか?」
「・・・はい」
「それはなんという」
「・・・」
「・・・申せぬか」
「スカーレット。それが私の家名・・・です」
「そうか。ならばユーリ・スカーレットよ。爵位をそなたに授けよう。我が娘のミリエル第三王女を助け出したその褒美として受け取るがよい」
その瞬間、この間にいた誰もが驚いていた。
僕も驚いていて、爵位というのは王家に認められて公に出来るもので、言わば貴族の仲間入りをする。
国王陛下が僕に授けた爵位は伯爵であまりにも大きすぎるのではと考えた。
子爵や騎士爵など辺りかと考えていたから余計に。
「陛下!このような貧民にそれはあまりにも寛大過ぎます!」
「どこに貧民がおる?」
「此処に!貧民の子供がいるではありませんか!」
「我の目には貧民の子供ではなく伯爵当主がいるようにしか見えぬな?」
「なっ・・・」
「・・・ではユーリよ。申し立てが無ければ下がるがよい」
「・・・はっ」
僕はそうして国王謁見を終えた。
緊張はしなかったが、まさかの褒美にどうすれば良いのかと思うほどに。
「・・・どうなんだろう・・・」
不安だけが残る僕は貧民から貴族へとその日からなったのだった。
会話文がおかしいように思いますが、慣れてないため稚拙な文章となりました。
頑張って書いていきますが、書き方はまだまだ模索中・・・です。