転生者は静かに過ごしたい   作:紅風車

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転生者は学院に入学する

始まる前にどっと疲れが出僕はミリエルと一緒に特別席へと向かった。

 

「はぁ・・・」

 

「どうしたの?」

 

「いえ、なにも」

 

さすがにいきなりすぎて頭の処理が出来なかったが、陛下が許したのであれば僕とミリエルは許婚となる。

無論それは構わないが、それを良しとしない貴族がミリエルを唆しそう・・・と考えていた。

 

「あっ、始まる」

 

「はいはい。ミリエル様、お静かに」

 

王族なのだろうが、そういう面影すら出さない彼女はこれから始まる事に興味津々らしい。

一応ここに来る前に進行を聞いている。

 

「私ってどこのクラスになるのかな?」

 

「分かりません。とにかく大人しくしてください」

 

まぁ、前世でもこういった催し的なものは楽しみだったし、ワクワクしていたがミリエルのは少し度が過ぎる。

 

「これより、王立総合学院の新入生入学式を行う」

 

そういって出てきたのは女性。

だが並ではない魔力が溢れている。

 

「新入生達よ。私はこの王立総合学院の学院長であるアルメリア・マギルカだ。先に言っておこう、この学院においては爵位や地位は関係無い、ここでは生徒と教師だ」

 

これは平民だろうが貴族だろうが王族でも皆が同じ生徒という括り付けだろう。

正直ありがたいが、一部の貴族はそれが不満らしく表情に出ている。

 

「この学院では様々な基礎を学び、悪しき物に立ち向かう力を講じる。だがそれらは努力あっての力だ。努力をしない者にその力は扱えん」

 

 

「さて、長話はここまでにして早速新入生の君達にはある物を受けていただく」

 

恐らくそれはスキル鑑定だろう。

何のスキルがあるかで何を学ぶか変わるからだ。

僕の場合は・・・学ぶ必要は無い気がする。

 

「ユーリ、何を受けるの?」

 

「スキル鑑定でしょう。己の才能が何に奏でているかを知るためなので受けておくべきです」

 

「そっかぁ・・・。私は何があるのかな」

 

一応気にもなったので、ミリエルのスキルを鑑定してみよう。

《鑑定:スキル=ミリエル》

ミリエルに対して《鑑定》を使うと持っていた羊皮紙に様々な結果が現れる。

 

「ん・・・これは」

 

ーーーーーーーーーー

 

鑑定対象:ミリエル・ヴェイエル

 

《火属性》《光属性》《聖属性》

《物質合成》

 

ーーーーーーーーーー

 

羊皮紙に記されたそれはミリエルらしい属性が書かれていた。

この《火》《光》《聖》の3種類を併せ持つのは《天炎属性》と呼ばれる。

《火属性》は良く知られる一般的な物だが、《光属性》は神殿関係者と先天的、《聖属性》だけは先天性だ。

だが、これほどの才能を晒し出すのはあまりにも危険が生じる。

利用しようとする輩がいてもおかしくない。

 

「ユーリ、それなに?」

 

「ん・・・ミリエル様は天才とも言えるスキルがあったらどうします?」

 

「えっ?う、うーん・・・どうともしないよ。私は好きなことをしたいから」

 

「・・・そうですか。なら、大丈夫でしょう」

 

《火属性:ファイア》

羊皮紙を燃やすと、何事も無いようにした。

ミリエルの特殊スキルが気にはなるが後々分かることだろう。

恐らく彼女に取り入ろうと接触を図る者がいる。

悪意ある者からミリエルを守れば良い。

それ以外は彼女の方でどうにかするだろう。

 

「失礼、君らの番だよ」

 

後ろから来たのは先程の学院長。

単純に気を抜いていたが、元々そういった隠密をしている。

歩き方も音が発しない歩術だ。

一応学院であるが、念のためミリエルの隣を歩く。

 

「ふむ、君らは主従関係かな?」

 

「いいえ、私と彼は婚約関係です」

 

「これは失礼。名を聞いても?」

 

「ミリエル・ヴェイエルです」

 

「ユーリ・スカーレットと申します」

 

ミリエルは淑女らしい挨拶で、服の裾を軽く持つ。

僕は片手を後ろに回し頭を下げた。

主に自分の振る舞いに対して学院長は少し驚くような表情を見せた。

 

「第三王女様とその婚約者様だったんだね。国王陛下から私が君達の鑑定を行うように言われているのだが、構わないかな?」

 

「ミリエル様がよろしければ自分めも同様に」

 

「構いません。お願いしてよろしいでしょうか?」

 

「ああ。構わないよ」

 

学院長が魔力を集中させると《鑑定》を使おうとしているのが視える。

《鑑定》スキルは使うのには魔力ともう一つ紙が必要となる。

でなければ結果が分からないから。

 

「ふむ・・・。ミリエル君の結果が分かったよ」

 

そういうと学院長は鑑定結果の羊皮紙をミリエルに渡す。

だが、その結果が自分のとは違っていた。

 

ーーーーーーーーーー

 

鑑定対象:ミリエル・ヴェイエル

 

《火属性》《光属性》《聖属性》

 

魔力量:S

魔力処理能力:A

 

ーーーーーーーーーー

 

魔力の記述は恐らく必要としなかったから反映されていなかった・・・ということだろうか。

実際表記の方法はどういう鑑定方法なのかで変化するらしい。

だが、《物質合成》のスキルが無いのはおかしい。

となると術者の腕次第で鑑定結果も変わる・・・ということか。

 

「ミリエル君。君は俗に言う《天炎属性》の持ち主だ。その中でも《聖属性》が特化しているようだね」

 

「私が・・・」

 

「次にユーリ君。君のも鑑定を終えている」

 

そういわれ渡された羊皮紙。

それに記述されているのは見たことも無いスキルだった。

 

ーーーーーーーーーー

 

鑑定対象:ユーリ・スカーレット

 

《究極の一》

 

魔力量:F

魔力処理能力:F

 

ーーーーーーーーーー

 

それは、ぱっと見は最低の証明だ。

《究極の一》は恐らく何も無いという意味付けであり、遠回しの表現。

魔力の情報も全て最低ランクというのも同じだろう。

 

「え、えっと学院長様。ユーリのこれは・・・」

 

「・・・あまり言いたくはない。だがこれからの事を考えて言うよ。ユーリ君、君には魔法の才が無い」

 

「・・・そうですか」

 

《魔の頂》による効力で、()()()()()()()()()()()()にする物がある。

それによって《鑑定》スキルが弾かれて、この結果が出たのだろう。

 

「だが、もしかしたら私の実力が足らず・・・という事もありえる。言葉を真に受けず、勉学に励んでほしい」

 

「はい、元よりそのつもりです」

 

「さて、君らのクラスだがCクラスだ。場所は分かるかな?」

 

「園内の見取り図は見たので大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

 

「ふむ、なら行きたまえ。これ以上引き留めても意味が無いからね」

 

ミリエルと共にその場を離れるとCクラスに向かう。

見取り図は見ていないがそこは魔法で何とかする。

《闇魔法:気配察知》

本来なら気配を察する為のものを術式を変更する。

物の物体に対する察知を上げて校内の構造を全て頭の中に記憶させるとCクラスの場所を見つける。

 

「ユーリ、場所分かるの?」

 

「ええ。こちらですね」

 

少し歩いて3階へと上がるとA・B・Cと並ぶ教室があった。

その中でも一番右側のクラスがCクラスだ。

 

「ミリエル様、私は後で入りますのでお先に入っていただけませんか?」

 

「どうして?一緒でも良いでしょ?」

 

「私とミリエル様の関係はあまり公にされてないのです、主従ですら知れ渡っていないためあまり要らぬ問題を起こすのは私としても嫌ですので」

 

「むぅ~・・・」

 

「何かあれば呼んでくだされば行きますから」

 

「仕方ないなぁ」

 

ミリエルは我が儘な部分もあるけれど、根はしっかりしている。

後で何かしてあげるのも良いかなと考えながらミリエルと分かれると、とある物を創り上げる。

《空想具現化:物質創造》

具現化させるは、一つの刀。

蒼い桜が描かれた鞘と光を照らし出す刀身。

《物質創造=工程開始》

《工程:創造理念・構成物質・幻想概念=完了》

《幻想概念:絶対耐久・絶対切断》

そうして創り出されたのは日本刀。

鞘から引き抜くと光を反射する綺麗な刀身。

そしてもう一つは、この刀に秘められた幻想。

とても強い幻想が宿ったそれは神が創り出した兵器に等しい物だった。

 

「・・・名は、そうだな。『銀霜刀』」

 

銀霜刀と名付けた刀は、その名にある物から一つの幻想を自身に宿した。

それは《絶対零度》と呼ばれる《氷属性》スキルの最上級魔法だった。

 

「・・・時間は・・・もういいか」

 

校内でこんな武器を出していれば些か問題になる。

申し訳ないが、今はまだ待っていて。

《空想具現化:無限収納=銀霜刀》

銀霜刀を仕舞うとちょうど良い時間になっていたので、遅れてCクラス内へと入る。

《闇魔法:気配遮断》

僕の座る場所はミリエルの隣だった。

だが、今は自由時間なのかミリエルの周りには沢山の人が集う。

 

「・・・休憩するか」

 

自分の席は誰も座っていなかったのでそこに座ると少し体を伸ばす。

ミリエルは慣れているのか、楽しそうに話していたが少し寂しそうな表情を出していた。

 

「・・・早く来ないかな・・・」

 

「はぁ・・・」

 

甘くなったと思いながら魔法を解くと何もせずそのまま座りつづけた。

ミリエルは第三王女で王族の力は強い。

僕は伯爵の爵位を貰いはしたが、他の貴族に知られてはいないし、知らせる必要も感じない。

だがそれを知らない子供からすればいきなりミリエルと仲良くしだした自分を良くは思わないだろう。

だが、いつの間にか居て、ミリエルから話し掛けれられば違うだろう。

 

「ん・・・」

 

机に伏せると自分の長い髪の毛が視界に入る。

今更切ろうとは思えず、結局伸ばすことにした髪はいつからか僕も気に入りはじめた。

自由時間がかなり長く、初日の今日は授業はない。

学生同士の関わりを持たせる為だろう。

 

「んぅ・・・」

 

こうして伏せていると窓から太陽の光が照らされている。

暖かい光が僕の席に向かっているため、その暖かさに眠くなって来る。

 

「んにゃ・・・」

 

今は寝る、そうしよう。

起きたとき考えれば良いのだから。

 

 

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