艦これ がんばれ鯉住くん   作:tamino

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 鯉住君と部下のみんなの個別面談は、ある程度カットする予定です。
 そんなん全部やってたら終わりが見えないんだよぉ! という理由からです。早く先へ進めたいからね。

 面談話は気分次第で入れたり、重要な部分があれば入れたりすると思いますが、過度な期待はご勘弁ということであしからず。



それと今回は短編集みたいな感じです。こんなのもたまにはね。




第130話

 空母コンビが転化体ふたりに研修を受け始めて、早1ヶ月が経った。

 この間は特にこれと言った出来事もなく、順調そのもの。鎮守府には平穏な空気が漂っていた(研修生ふたりは除く)。

 

 今日もそんな穏やかな日であったのだが、どうにも鯉住君はそわそわしているようだ。

 叢雲といつも通り執務中だというのに、心ここにあらずといった様子である。

 

 

「……」

 

「ちょっとアンタ、どうしたのよ? ペンなんかクルクルして」

 

「……ん? ああ、叢雲、ちょっと考え事をね」

 

「考え事? 執務中だってのに珍しいわね」

 

「最近さ、ウチの農場、結構安定してきたじゃない?」

 

「まぁそうね。野菜の収穫量はどんどん増えてるし、鶏も健康的に育ってるわよね」

 

 

 現在この鎮守府では、数々の生産品が日々作られている。

 

 

 

 ・農場関連では

 

 大豆、蕎麦、タロイモ、サトウキビ、桑、茶葉、ワサビ、鶏卵(烏骨鶏)、食用渓流魚(イワナ、ヤマメ)

 

 

 ・加工品では

 

 天然海水塩、味噌、醤油、緑茶、烏龍茶、紅茶、生糸、カイコの蛹(副次品、家畜の餌)

 

 

 ・その他では

 

 バイオマス発電(サトウキビのバガスから)、純水製造(妖精さん印の浄水器製)

 

 

 こんな感じで、鎮守府ってなんだっけ? レベルな有様となっている。

 

 

 ちなみにバイオマス発電設備については、妖精さんがハッスルして造り上げた。

 鯉住君の先輩である三鷹少佐から設計図を貰ってはいたのだが、なにやら謎のアレンジを加えたことで、エネルギー精製率が大幅に向上したらしい。オーパーツと言ってよい代物である。

 

 妖精さんつながりで言うと、彼女(?)たちは何故か通常の鎮守府運営業務よりも、農場の方を生き生きとして手伝うことが多い。

 そのおかげなのだろうが、作物の生育は異常なほど早く、出来も上々。連作障害もなし。世の農家さんが歯噛みしてしまうレベルの生産量と高品質を叩き出している。

 

 所属艦娘のみんなも、農場における自分のメイン担当がうっすらと決まってきたので、作業効率が最初よりも上がっている。

 具体的には、畑の世話は北上と大井(今はいないが天龍と龍田も)、ため池とワサビ田は古鷹、烏骨鶏の世話は秋津洲、生簀(と水族館)はアークロイヤル、天井裏のカイコと茶葉は子日と初春、発酵小屋の味噌醤油は叢雲といった具合。

 

 

 そんな状態なのだが、鯉住君が考えていたのはその生産に関わること。

 

 

「……慰霊碑を造ろうと思って」

 

「……いれいひ?」

 

「うん、そう」

 

「いれいひって言うと、あの慰霊碑? またアンタはワケわかんないこと言いだすわね」

 

「提督らしくないことは自覚してるよ」

 

「そんなアンタがラバウル基地で指折りの戦果叩き出してんだから、重ねてワケわかんないわよね。

……それで、慰霊碑ってどういうことよ? 誰を慰霊するつもり?」

 

「魚と鳥と深海棲艦」

 

「……」

 

 

 なんか提督がおかしなこと言いだした。

 なんで魚、鳥と食料が並んだあとに深海棲艦なのだろうか? そんな疑問を感じつつ、首をひねる叢雲。

 

 

「ほら、畜産業とかやってる人たちって、家畜の慰霊祭やったりするでしょ?

ウチでも同じようなことしたいなと思って」

 

「……そこになんで深海棲艦もくっついてるのよ」

 

「まぁそれは……ここって鎮守府でしょ?」

 

「……? 何が言いたいのよ?」

 

「まぁまぁ。それでほら、深海棲艦って、何故かこっちのこと凄い憎んでるでしょ?

なんとしても絶対に許さない! みたいな」

 

「そういえばアンタ、深海棲艦に殺されかけたって言ってたわね」

 

「そう。んでね、『鎮守府』って『鎮めて守る場所』ってことでしょ?

だったら深海棲艦の荒ぶる霊も鎮めてやらないと、なんて、前々から思っててさ」

 

「んー……そう言われるとそうなのかしら? アンタらしいというかなんというか……」

 

「そういうことで、この辺の石工さんに祭壇を造ってもらえないかなって」

 

「私にはアンタが言ってること、どうにもピンとこないから……ま、好きになさい。

どうせ資金はほっといても増えるんだし、なんとなく悪いことじゃない気もするし、アンタがやることは何故か良い方向に進むし」

 

「悪いね。それじゃ今度街で聞き込みしてみよう。石屋さんがあるかどうか」

 

「その時は一緒に着いてくわ」

 

「おっ。来てくれるのかい?」

 

「アンタひとりじゃうまく探せるかわからないから、着いてってあげるのよ」

 

「ふふ。その時はまた一緒に美味しいものでも食べようか」

 

「楽しみにしてるわ」

 

 

 そっけない風を装っていても、頭の電探がピンク色にピカピカしているので、彼女の気持ちはバレバレである。

 そんな秘書艦殿を見て、鯉住君はほっこりしながら「この前のフルーツパーラーにでも連れてってあげよう」なんて考えていたとか。

 

 

 

・・・

 

 

 また別の日……

 

 

・・・

 

 

 

「足柄さん、今日はよろしくお願いします」

 

「ええ、こちらこそ」

 

「他のみんなとの面談は心底気が休まらないですが、足柄さんに対してはそういうところがないので、本当に助かります……」

 

「だいぶ疲れてるわねぇ」

 

「はい、とっても……」

 

 

 本日は足柄との個別面談。ふたりは現在娯楽室(お茶の間)で机を挟んで対面している。

 

 

「それで、他のみんなとはどんな感じで話が進んだの?

なんとなく想像できるけど、一応聞かせてくれるかしら?」

 

「ハイ……なんていうかですね……

夕張とだけ夫婦になってズルいと言われ、そのまま夫婦宣言をすることになったこと多数、

肉体的な行為はしないというところに非難を浴びせられること多数、

不妊治療という名目の肉体改造が成功したら、子供は何人欲しいかと詰問されることそこそこ、

『毎晩日替わりで添い寝までならセーフ』と言わせられそうになること多数……」

 

「あらー……みんな正直すぎない?」

 

「いいんです……心にモヤモヤを溜めてほしくないですから……」

 

「結局それでもアナタ、『夫婦の営みはしない』っていう肝心なところは譲らなかったんでしょ?

だったらモヤモヤは晴れてないんじゃない?」

 

「そうかもしれませんが、そこは俺としても譲れないところでして……

そんなこと許したら、女たらしの鬼畜野郎みたいなことになっちゃうじゃないですか……」

 

「半分くらいは合ってると思うけど」

 

 

 足柄は今や、この鎮守府における彼の一番の心の支えとなっている。次点は古鷹。

 そんな彼女からの無慈悲な一閃に心をぶった切られ、鯉住君は目から光を失ってしまった。

 

 

「うっくぅ……と、とにかく、これ以上そうはなりたくないんですよ……

ていうか、みんな揃いも揃って肉食系で……艦娘ってもっと淡白なはずじゃなかったんですか?

俺はそう聞いてたんですけど、全然そういう感じがしなくて……」

 

「他所だともっと淡白なのよ。あの阿修羅だらけの加二倉中佐のところだって、そうだったでしょ?

私が元居た横須賀第3鎮守府とか、三鷹少佐のところなんかは、だいぶ毛色が違うからそうでもないけど」

 

「いや、まぁ、その……はい。

言われてみれば、俺が元々いた呉第1鎮守府でも、男性職員と艦娘の恋愛話みたいなことは聞かなかったですね。

いくら仲が良い相手でもご近所さんくらいの距離感でしたし、同僚で艦娘に告白した奴もにべもなく断られてたし」

 

「でしょ? それが普通なのよ。そもそも私たちは戦いが第1意義だもの。本来はね。

……ていうかアナタ、明石に対して鈍感系主人公してたのって、それが原因なの?」

 

「なんすかその鈍感系主人公って……

まぁ、アイツの『好意』を『いじり』だと思っていたのは本当です。

明石が妙に馴れ馴れしすぎてかなり引いてたってこともありますが、そもそも『艦娘と恋愛なんて成立しない』って思ってましたからね。

いくら目が覚めるような美少女や美人しかいないと言っても、そこはほら、別の存在だと割り切ってましたから」

 

 

 実は鯉住君は言うように、普通の鎮守府での艦娘はそんな感じである。

 実際に多くいる海軍所属の男性職員でも、艦娘とお付き合いしてる人はごく少数。それも基本的には提督に限られている。

 その事実には、艦娘側がその気にならないということと、人間側に『艦娘は違う生き物』という認識があり、心の底で線引きをしているということの、両方が関係している。

 

 だから、たかがイチ艤装メンテ技師であった彼が、艦娘の方からすり寄っていくほど好意を寄せられていたことは、イレギュラー中のイレギュラーと言ってもいいことだった。

 そのうえ妖精から気に入られ、あまつさえ会話することができるようになったというのだから、びっくり仰天案件である。

 

 鼎大将が彼を無理やり提督として抜粋したのは、実はそういった事情もあったりする。

 妖精の一件は当然ながら、艦娘からもそこまで慕われる人間は現役提督の中でも片手で収まるほど。既存の概念をぶっ壊す事案だったのだ。

 

 だからこそ逆に言えば、彼以外の人間と艦娘の関係であれば、お互いが事務的で非常に淡白なものであるのは普通のことだったりする。

 

 

「それはまぁ、普通はそうよね。

だから明石のあんなにストレートな愛情表現を、捻じ曲げまくって捉えてたのねぇ」

 

「そもそも本来ありえないじゃないですか。提督以外の人間と艦娘がお付き合いするなんて……

まぁ、その、今となっては、アイツの本心に気づいてしまったわけですが……」

 

「何をそんな、気づいちゃいけない事実に気づいたみたいな顔してるのよ」

 

「実際そうなんですよ……

そう意識すると、アイツの過度なボディタッチとかが心臓に悪すぎて……」

 

「もういっそ抱いちゃえばいいのに」

 

「バカ言わないでくださいよ……

そんなことしたら、なし崩し的に他のみんなとも堕落した感じになっちゃうじゃないですか……」

 

「どう転んでもそうはならないと思うけど……

まぁいいわ、今日は私の話を聞いてくれるんでしょ?」

 

「え、ええ。そうでした」

 

 

 そう。今回は足柄と腹を割って話をするために時間を作ったのだ。愚痴を聞いてもらってばかりでは、忙しい中時間を作ってくれた彼女に申し訳が立たない。

 

 

「それじゃ、何か普段から感じていることがあるなら、話しちゃってください」

 

「わかったわ……と言っても、言いたいことは他の子があらかた言っちゃったと思うのよね」

 

「と言いますと?」

 

「ほら、夫婦なのに距離感があるって話よ」

 

「ああ、その類の……え?」

 

「なに? どうかしたの?」

 

「あ、いや、その、こう言っちゃなんですが、足柄さんはそういったことには、そこまで興味がないと思っていまして……」

 

「なに言ってるのよ。いくら私が将棋と勝利に熱を上げる戦闘狂チックな一面を持ってるとしても、他の子と一緒で恋に憧れたりもするんだからね?」

 

「そ、そうなんですね。てっきり足柄さんは将棋盤が恋人とか思ってるんだと……」

 

「アナタたまにものすごく失礼よね」

 

「すいません……」

 

「ま、私がそういうこと考え始めたのも、アナタの下に来てからなのよね。

それまではアナタの思ってる通りだったから、失礼なこと考えてるのを責めはしないわ」

 

「やっぱりそうだったんですね……

ていうか、なんで異動してきてからそんなことを考えるように……?」

 

「自覚ないの?

アナタと一緒に居ると、今まで必死になってたのが馬鹿らしくなって、心に色んな余裕が出るのよ。

勝利だけが目的だったあの頃は、強くなること、一番になることがすべてだったわ。それこそが艦娘の使命であり、喜びなんだ、ってね。

聡美ちゃんはそれを無自覚ながら最短最速で叶えてくれてたのよ。だから艦娘から人気あるのよね」

 

「ええと、それはちょっと寂しいんじゃ……」

 

「そう。アナタはそう思ってて、他の提督はそう思ってない。それがアナタの特別なところなのよ。

それで、そんなアナタを支えてあげないと、って庇護欲が出ちゃったのよね。私も、他のみんなも。

だから私たちは誰よりも強くなろうと頑張ってるし、目的が『勝利』から『提督を護る』になってから、色々と心に余裕が出てきたってわけ。それが愛情につながるのは、普通のことだと思うけど?」

 

「そう言われましても……なんていうか、照れますね」

 

「照れなくてもいいのよ。私達をここまでオとしておいて、照れる必要もないじゃない」

 

「オとしてないんだよなぁ……」

 

 

 足柄は嬉しいことを言ってくれたが、自分に対する認識が女たらしで固まっていることに寂しさを覚える鯉住君。

 そんな感じで遠い目をしていると、足柄が爆弾をぶっこんできた。

 

 

「で、本題だけど、夫婦のアレコレはいつから始めるの?」

 

「!!? な、何言ってるんすか!? いきなり!!」

 

「だってアナタ、姉さんからも催促されてるんでしょ?

『さっさと手籠めにされて、天龍龍田のように良い艤装出してもらえ』って連絡来てるわ」

 

「あのバトルマニア!! 妹に送っていいメール内容じゃないでしょうが!!」

 

「他の足柄からもメールもらってるのよね。

『さっさと本格的に物理的にくっつきなさい!! うらやましい!!』みたいな感じで」

 

「いくら自分に対してっつっても、それはおかしいでしょう!?」

 

「そういうことで周りからの期待にも応えないとだから。

で、いつから同衾するの? 海域解放も終わったし、ちょうどいい区切りじゃない?」

 

「なんでそんなに淡々としてるの!? そういった意味での淡白なの!?

足柄さんが最後の砦だと思ってたのに!! 古鷹と並ぶ俺の癒しがぁ!!」

 

「何言ってんの。私なんてサッパリしたものじゃない」

 

「態度はね! 要求内容がディープすぎるの!!」

 

「夫婦生活以外について不満はないから、安心してちょうだい。

いつもありがとう、提督。アナタのおかげで私は大きな世界を見ることができたわ」

 

「ここでいい話ブッこむとか、話の流れを考えてください!! ありがとうございますチクショウめ!!」

 

「どういたしまして。

あ、それと聡美ちゃんは別に初めて同士じゃなくてもいいって言ってたから、私が先でも問題ないわよ? そこは気にしないでちょうだい。

鳥海や他のみんなもその辺気にしてないというか、殿方にお任せしますって子も多いし、やっぱり艦娘は性に対して淡白よね」

 

「なんでそんなワケわかんない情報をブッこんできたの!?

ああ! わかっちゃいそうだけどわかりたくないぃ!!」

 

 

 一番平穏に済んだ足柄との個別面談でもこの有様だった。

 他の面々との面談については、今回の結果から察してもらえるとおりである。

 

 

 

・・・

 

 

 またまた別の日……

 

 

・・・

 

 

 

「て、提督っ!! 大変ですっ!!」

 

「ど、どうした古鷹!?」

 

「ラバウル第1基地の白蓮大将から、電文が届きましたっ!!」

 

「マジ!? あのテキトーの化身のような白蓮大将から直々に!? 高雄さんを通してではなく!?」

 

「ハイ! 私が元々所属してた鎮守府の大将でもある、テキトーの化身である白蓮大将直々に、です!!」

 

「なんてこった……! その電文読みたくねぇ!」

 

「私もです……!!」

 

 

 執務室で鯉住君と古鷹がお仕事していると、普段は秘書艦である高雄を通してからしか連絡のない、ラバウル第1基地から、大将直々の連絡が入った。

 高雄を通してないということは、品質チェックが済んでいないようなものなので、どんな爆弾発言が書き込まれているかわかったものではない。

 それを理解しているふたりは、電文に目を通すことを心底嫌がっている。

 

 ……ちなみにふたりのテンションが若干おかしいのは、この日は半期に一度の棚卸的な備品チェックイベントがあったからで、疲労が溜まり過ぎて一周してハイになっちゃっているせいである。

 時間は現在深夜の1時。朝8時ごろからぶっ続けで働いている。叢雲は倉庫でまだ頑張っている。プチ修羅場である。

 

 

「……考えていても仕方ない。電文開けるぞ。古鷹も一緒に見てくれ」

 

「わ、わかりました」

 

 

 

 カチッ

 

 

 

・・・

 

 

 

from:ラバウル第1基地・白蓮大将

 

 

題名:よう

 

 

本題:

 

おう、久しぶりだな。

大本営の精鋭空母をふたりも鍛えてるそうじゃねぇか。やっぱお前んとこおかしいわ。

つーわけで、ウチからもふたり送るから、鍛えてやってくれ。

よろしくな!じゃあな!

 

 

 

・・・

 

 

「「 …… 」」

 

 

 あまりの雑さと、無茶振りと、こんな忙しい時にお前ぇ! という気持ちが重なり、うまく言葉が出てこないふたり。

 

 

「……あの人は……ホントにあの人は私が居た時から変わらないんだから……!!」

 

「つーわけで、って、なにがつーわけなんだろうな……?」

 

「もう! とにかく今はこんなのに構ってる暇はありません!!

さっさと備品チェック終わらせますよ、提督!!」

 

「こんなのって……古鷹は強くなったよなぁ、ホントに……」

 

 

 考えたくもない厄介な連絡だったが、とりあえずは目の前の棚卸を終えねばならない。

 大将からの電文は見なかったことにして作業を再開するふたりだったが……

 

 

 

 ガララッ!!

 

 

 

「た、大変よっ!!」

 

「叢雲さんっ!?」

 

「どうしたっ!?」

 

「備品のボルトの数がデータ上と合わないから数えなおしてたんだけど……

英国妖精の子たちがニコニコしながら、大量の同型のボルトを持ってきちゃったわ!!」

 

「そ、そんなぁっ!! ダメですぅっ!!」

 

「古鷹多分それキミのセリフじゃない!!

大方『ぱーつがたりないの? わたしたちにおまかせでーす!!』とか言って造っちゃったんだろうな!!」

 

 

(ざっつらいとでーす!!)

 

(さすがはていとく! おみとおしですね! はいっ!!)

 

(ていとくと、いしんでんしん……はずかしいです! きゃっ!)

 

(わたしのけいさんによれば、これだけあれば、すうねんかんたたかえます!!)

 

 

「アンタ達、着いてきてたの!?」

 

「あぁ、やっぱりそういうことなのね!!

気持ちは嬉しいけど、今回はそういう目的で部品の数を数えてたわけじゃないんだよなぁ!!」

 

「あ゛あ゛あ゛! 部品造ったってことは、資材減ってますよね!? 数えなおし!?」

 

 

(これだけじゃたりないとおもって、ほかにもこしらえたねー!)

 

(さすがはおねえさまです! ぜんぶのぱーつをすこしづつふやしました!)

 

(これで、ぶひんのかずはばんぜんです! だいじょうぶです!)

 

(もとめられるいじょうのかつやくをしました!)

 

 

「そうかそうか! パーツ全種類造るとか、お前らは偉いなぁ!! ありがとな!!

気持ちは嬉しいけど、今それをやられると……いや、なんでもない、嬉しいよ、ありがとなぁ!! チクショウめぇ!!」

 

 

 英国妖精シスターズは、100%の好意から、全部のパーツを増やしてくれたらしい。

 当然資材はその分減っており、パーツは全て数え直し。棚卸的には状態が初期化され、もう一度遊べるドン! みたいなことになったようなものだ。

 

 とはいえ彼女たちは何も悪くないのだ。良かれと思ってやってくれたことなのだ。そして、そこを厳重注意しても何も変わらないのが妖精さんであり、この叫びたいほどの情動を彼女たちにぶち当てても、何も解決しないのだ。

 

 ということで鯉住君は、心の中で血の涙を流しつつ、彼女たちの頭を撫でてあげることにした。

 

 

 

 ナデナデ……

 

 

((( あぁ^~~~ …… )))

 

 

「あ、あはは……全、全種類、数え、数え直し……あはは……」

 

「古鷹……戻ってこような……

今日は徹夜だろうけど、俺も頑張るから……」

 

「大丈夫……大丈夫よ、私……研修の時を思い出すの……

あの時に比べたら、この程度のイレギュラー、おままごとみたいなもんよ……!!」

 

 

 そのあと翌日の昼までぶっ続けで棚卸業務を行い、なんとか3人は無事に事を済ませることができたとか。

 その時の3人からは、深海棲艦顔負けの負のオーラが沸き上がっていたとかなんとか。

 

 

・・・

 

 

 そしてそこから数日後……

 

 

・・・

 

 

「ハーイ!! 連絡してマシた、ラバウル第1基地所属の、金剛型戦艦1番艦の『金剛改二』デース!!

初めマシてデスネー!! よろしくお願いしマース!!」

 

「あの……あの時はお世話になりました。金剛型3番艦の『榛名改二』です。

少佐……ではなく今は大佐でしたね。榛名達を鍛えなおしてください。よろしくお願いいたします」

 

 

「「「 はい…… 」」」

 

 

 棚卸が地獄過ぎて、この時この瞬間まで、大将にぶん投げられた研修の話をすっかり忘れていた3人。

 そんなこと正直に言えるはずもなく、準備してましたよ的な空気で新たな仲間を受け入れるしかないのであった。

 

 




3本立てとかサザエさんみたいですね。

じゃん、けん、ぽん! うふふふふ~。

ハイ、俺の勝ち。

なんで負けたか、明日までに考えといてください。

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