もうちょっと涼しい期間が続いてほしいんだけどなぁ。秋は短いですねぇ……
波乱万丈な話題が咲き乱れた『甘味工場建設会議(とオマケ議題)』が終わり、このラバウル第10基地に集まってきた面々は、目的達成となった。
会議で出てきたトピックの多くは重要機密扱いで他言無用とのことなのだが、ラバウル第10基地に滞在して居る限りは、話題に出してもよいということになった。
会議に参加したのは全員ではないため、不参加だったメンバーとの情報格差が生まれるのもよくないだろう、という元帥の配慮である。
ちなみにこの鎮守府に来ていない留守番組に対しては、『提督が直接1対1で情報開示する』という条件なら、今回出てきた話をしてもよいということになった。こちらも元帥による配慮である。
そういうワケで、どの鎮守府でも不参加メンバーへの情報共有をすることにしたようだ。
さすがに会議があった当日は多くの参加者が疲れてしまったため、翌日にした鎮守府が多かったようだが。
鯉住君率いるラバウル第10基地組も例外でない。会議翌日に不参加メンバー全員を集めて情報共有することにした。
昨日会議をした大広間(宴会場)に不参加組が全員集まったところで、筆頭秘書艦の叢雲が口を開く。
「さ、それじゃみんな集まったことだし始めるわね。私は昨日参加してたけど、コイツだけだと話がややこしくなる部分が絶対出るから、私が仕切ることにしたわ」
「俺だけでも大丈夫だと思うんだけどなぁ……」
「そんなワケないでしょ。見通しが甘いのよアンタは。
……それじゃちゃちゃっと話しちゃうわね。みんなもある程度は知ってることが多いから」
提督の威厳がまるで感じられない鯉住君の隣で、叢雲が説明を始める。
その様子を見たメンバーは「いつものやつね」みたいな感じで平常運転である。夫婦漫才にも慣れたものだ。
鯉住君を挟んで反対側には古鷹が座っているが、彼女は苦笑いしている。どっちかと言えば叢雲の言い分に賛成なようだ。
相変わらず鯉住君は、信頼があるんだかないんだかわからない扱いをされている。
「先ずはみんなも知ってる辺りから。
えーと……今回色んなお客さんを迎えた流れの中で、ウチに新しく赴任してくる、もしくは研修とかワケありで預かることになった新入りをまとめるわね。
まずは大本営経由で赴任することになった、主に甘味工場勤務要員として働く予定の補助艦艇の4名。給糧艦の『伊良湖』と補給艦の『神威』に『速吸』、あとは潜水母艦の『大鯨』ね」
叢雲の紹介に合わせて、話に上がった面々はその場で軽く会釈をする。
ちなみに伊良湖は昨日の会議に参加していたが、同じ立場の同期ともいえる3人のために同席している。
鯉住君に対してだけはよく分からない押しの強さな彼女だが、基本的にはおとなしいけど気が利く性格をしているのだ。
「すでに食堂で頑張ってもらってるから、みんなもうウチの一員として受け入れてるとは思うけど。特に足柄と秋津洲はかなりの時間一緒に居るわよね?」
「そうね。調理は秋津洲と私でやってるから、一緒に厨房で動いてるわけじゃないけれども。食器洗いや注文取りで活躍してくれてるわね」
「秋津洲としては、そろそろ調理の方も手伝ってもらいたいかも……」
「ダメよ。『手助け無しでもやれる』って言ったの貴女でしょう?」
「それは……ちょっと調子に乗っちゃっただけ! 足柄ってば厳しいかも~!」
「いいじゃない。おかげで繊細さもスピードも大幅に向上したんだから。
自分を追い込んでこそ勝利がつかめるのよ?」
「そうかもだけど~!!」
半べそをかいている秋津洲だが、実際にその労働環境はとんでもないもので……毎日毎日朝から晩まで、休憩を計1時間程度しかとらずに食堂で働き詰めになっている。相当ハードである。
艦娘は長期遠征なんかだと1日中航行しっぱなしなんてこともあるため、艦娘だからこそ耐えられる労働環境と言えるが……耐えられるからと言って平気というワケではない。しんどいものはしんどいのだ。
それもこれも全部、最初に見栄を張ってしまったのが原因だったりする。新入り組に対して『厨房は秋津洲に任せればいいかも!』なんて言ってしまったのだ。
当然ながら、毎食50人以上、しかも大型艦も多数という修羅場を想定したうえでの発言ではなかった。
それが足柄に聞きつけられ『実力向上にちょうどいいから本当にそうしましょう』なんて死刑宣告されてしまったのだ。
なんだかんだ丸くなったとはいえ、勝利を貪欲に求める足柄である。弟子のレベルアップのチャンスは逃さないのだ。
「……まぁ、毎回おいしいご飯作ってくれてるから私は感謝してるわ。
食堂の運営の仕方については口を出す気がないから、好きにやって頂戴」
「叢雲ヒドイかも! もっと秋津洲のことフォローしてよ!」
「細かい事情は知らないから、足柄に任せるわ。足柄は料理の師匠なんでしょ? ちゃんと言うこと聞きなさい」
もちろん本当は経緯を知ってる叢雲。めんどくさそうだし、かけてやれる言葉もないので、スルーするつもりらしい。
ここに来た当初と比べると、たくましくなったものである。
「あんまりかも! 叢雲の人でなし~!」
「人じゃなくて艦娘だもの。話すことたくさんあるから次行くわよ。
……それで、それ以外の増員メンバーなんだけど……佐世保第3鎮守府から水上機母艦『コマンダン・テスト』を預かった……というかブン投げられたわ。
本人はアークロイヤルに任せてきたから、詳しいことは天龍と龍田に話してもらおうかしら」
コマンダン・テストはこの場にはおらず、アークロイヤルのオリエンテーションを受けている最中である。ふたりとも昨日の会議に出席済みだし、同郷と言えば同郷だしで、そういった流れになった。
もっともコマンダン・テスト本人は、アークロイヤルとふたりになるのをメチャクチャ嫌がっていたが。
本人いわくアークロイヤルは『魚を信奉するカルト宗教の狂信者』とのこと。間違っていると言い切れないのがなんとも言えないところ。
コマンダン・テストは相当な危険人物で、ピンの抜けた手榴弾みたいな存在だが、そこはアークロイヤルが上手くやってくれると信じることにした。
もしもの時は彼女に殺気を放ってもらって気絶させればいいという考えである。なかなかヒドイ話だ。
そんな経緯もあり、コマンダン・テストについては天龍龍田姉妹から説明が入ることとなった。
彼女たちがコマンダン・テストを連れてくる決め手になったという話だし、ちょうどいいだろう。
「そうだな、本人も居ねぇし俺から話すか。
アイツと遭遇したのはギリシャ辺りのエーゲ海の島なんだけどよ、アイツすげぇビビりだからっつって、自分以外の生き物を毒ガスで皆殺しにしてたんだよ。
それで流石にほっとけねぇってことになって、連れてきたわけだ」
「沈めてもいつ復活するかわからないからね~」
「龍田の言う通りだな。しかも本人がまたエグイ兵装ばっか積んでるから、アホみてぇに強いしな。……と、みんなここまでは知ってるだろ?」
うんうんとうなづく一同である。
加二倉提督がここにやってきたときにその話は伝わっているため、みんなその情報は知っているのだ。
危険性の塊みたいな存在をぶん投げられたわけだが、みんな『提督だし仕方ない』とすんなり受け入れたとか。鯉住君に対するよく分からない信頼は、部下にも浸透しているようだ。
「それで~、それ以外にも実は判明してることがあってね?
実はあの子、二つ名個体『レディ・ツェペシュ』のボスをやってたらしいよ~」
「ああ、本人も半ば都市伝説みたいな感じで『インビジブル』って呼ばれてたらしいけど、それとは別に二つ名個体を一体部下にしてたらしい。
つっても本人にはそんな気が無くて『勝手に食べ物持ってくるなんか強そうなやつ』くらいの認識だったらしいが」
「あ、そっちの部下の方の二つ名個体は、天龍ちゃんと私で倒したから安心だよ~」
「本当は一緒に出撃したメンバーと艦隊戦するつもりだったんだが、神通教官が『ちょうどいいからふたりで沈めてきなさい』とかヒドイこと言いだしてな……
ま、勝つには勝ったが胸糞悪い相手だったぜ。強えのはもちろんだったが、性格がな」
「そうだね~。もっと言うと、その個体を沈めたときに『私ヲ倒シタトコロデ、アノオ方ニハ勝テナイ』なんて捨て台詞を吐いてたから、遠征の帰りに天龍ちゃんが水母水姫(現コマンダン・テスト)の存在に気づけたのよね~」
「そうだな。ま、それはいいんだ。
とにかく俺が言いたいのは、アイツはとんでもなくビビりなだけで、性質としては悪いやつじゃねぇってことだな。
自分以外に敵対的なのも、もしかしたら自分に危害を与えてくるんじゃないかっていう疑心暗鬼からだしな。
つーことで、ウチの提督ならその辺なんとかしてくれると思って、ウチで預かることにしたってわけだ」
「そういうことなら、提督である俺にあらかじめ一報入れておいて欲しかったんだけど……
いきなり彼女の世話を頼まれたときは、本当に驚いたんだよ?」
「申し訳ねぇとは思ってるけど、しょうがなかったんだよ。
極秘作戦だったから遠征中は電文入れられなかったし、日本に帰ってきてからも転化体の情報なんて電文で流せねぇし」
「それはそうだけど……なんともなぁ……」
「それによ、佐世保第4(加二倉提督のとこ)にアイツを残してきちまったときのことを考えれば、提督だって自分で預かるってしたはずだぜ?
満場一致で『沈められないなら永遠に無力化するだけ』みたいな話になってたからな……」
「うわぁ……」
「提督は優しいからぁ、そんなの見過ごさないわよね~?」
「それはまぁ、そうだねぇ……見過ごせないよなぁ……」
「そういうことだぜ。俺たちは提督ならそう判断すると思って、アイツを預かることにしたんだよ」
「そう言われると、何も言えないなぁ」
「うふふ~」
なんだかんだ提督の方針はみんな理解しているのだ。天龍と龍田が勝手に危険物であるコマンダン・テストを連れてきたのも、それを踏まえてのこと。
そう言われてしまっては、鯉住君としても言い返すことなどできない。
「そう言えば、天龍と龍田はマエストラーレちゃんのことは知ってたのかい?
一緒に欧州から日本に戻ってきたんでしょ?」
「ああ、それはそうなんだが……実際はここに帰ってくるまで、マエストラーレとの接点はなかったんだよな。
テストのやつを預かったあたりから、俺たちふたりは教官たちに連行され……じゃなくて、教官たちに同行してたからな。
マエストラーレは横須賀第3(一ノ瀬提督のとこ)の二航戦ふたりと一緒に居たって聞いてるぜ?」
「だよね~? マエストラーレちゃん」
「ハ、ハイ。ソノ通リデス」
話に出てきたマエストラーレが返事をする。
マエストラーレとは言っても、今の彼女は『深海船渠棲姫』の姿なので、深海棲艦と同じような話し方になっている。
「ちょっと」
「ん? どうした叢雲」
「話に割り込んで申し訳ないけど、マエストラーレのことについて私からみんなに説明するわ。もうみんな知ってると思うけど、話の流れ的にね」
「あー、それもそうか。悪いね」
「いいのよ。アンタはそういうの苦手だから。
……そういうわけでみんな、横須賀第3から預かったマエストラーレについてよ。
彼女は昔色々とあって、悲しみの末に深海棲艦の姿になってしまったらしいわ。これは世界でも初めての事例らしいわね。
そういうことで、世間の目に触れさせるわけにもいかないから、辺境の地でもあるウチで面倒見ることになったのよ。
とりあえず気持ちが落ち着くまでって話になってるけど、結局いつまで預かるかの明確な指標は出てないわ」
「あー、一応俺からも。
彼女は年単位で一人で過ごしてきたらしいから、コミュニケーションのカンが取り戻せてないみたい。だからみんな、遠慮せずに話しかけてあげてほしい。
マエストラーレちゃんもそれでいいかな?」
「ハ、ハイ。ソノ……ヨロシクオ願イシマス」
「うむ! 鯉住殿に世話役を任されているわらわからも頼むぞ!
こやつは久しぶり過ぎて距離感がつかめてないだけで、元来は明るい性格だったようじゃからな」
「ア、アリガトウ」
「助かるよ、初春さん」
今のやり取りを見て、みんなほっこりとしている。この様子なら彼女が寂しい思いをすることはないだろう。
話が途切れたところを見計らって、叢雲が仕切りなおす。
「これで一通り新顔の紹介は終わったわね。
一応もうひとり、いつになるかはわからないけど、トラック第5泊地(三鷹提督のとこ)からブン投げられる予定はあるわね。
これも転化体で、今は戦艦『ガングート』の姿をしてるらしいわ」
「これももうみんな知ってると思うけど、なんか世界征服が夢だって言ってる物騒な人でねぇ……」
「そこはアンタがどうにかするって話でしょ。人間の良いところを教えるとかなんとかで」
「全然何していいかわかんないんだよなぁ……」
「それを考えるのが提督の仕事でしょ。それじゃ次の話題ね」
「それはそうなんだけど、どうするかなぁ……」
・・・
「新顔の紹介の次は、今後あるであろう私たちの任務についてよ。
白蓮大将から報告があって、ラバウル第1基地管轄の不可侵エリア……鉄底海峡(アイアンボトムサウンド)の辺りね。そこの解放作戦をやることになったわ。すぐにってワケじゃないけど。
で、問題はね……その大規模作戦の主導鎮守府が、ウチになっちゃったってことなのよ」
まさかの発表に、いろんな無茶ぶりに慣れているメンバーもざわついている。
「お! まさかの大抜擢かぁ!?
俺たちが欧州で頑張ってきたのが認められたのかもしれねぇな!!」
「そうだね~。天龍ちゃん頑張ったもんね~」
「フフッ、腕が鳴りますね!
工廠班の実力を見せてあげましょう! ね、夕張ちゃん?」
「ハイ! せっかく師匠の晴れ舞台なんだから、張り切っちゃいますよ!」
「だってさ、大井っち。これって私たちの出番じゃん?」
「はい、そうですね。北上さん」
「良かったじゃない、秋津洲。また大勢お客さん来るわよ。今回の経験がすぐに役立ちそうじゃない?」
「ひー! 勘弁して欲しいかもー!」
「大規模作戦の主役じゃと!? 大将殿も鯉住殿を選ぶとは分かっておるのう!」
「鯉住さんすごいね! マエストラーレちゃんも、またいっぱい人が来るみたいだから、知らない人と話すの慣れとかないとね!」
「エエト、ソノ……他ノ人ニ見ラレテ、大丈夫ナノカナ……? コンナ格好ダシ……」
「あー、もう慣れてしまったが、確かに初めて見る者には刺激が強いじゃろうな。
ま、その辺はわらわの旦那様がなんとかしてくれるじゃろ!」
「ソ、ソウカナァ……?」
「うふふ! 会議の時から分かっていましたが、大規模作戦の主役を任されるなんて……流石は提督ですね!
私、伊良湖の選んだ御方なだけはあります!」
「な、なんだかすごい話になっていますね……!?
普通は大規模作戦の拠点といったら、大規模鎮守府になるものなんですが……」
「神威さんの言う通りですよね……私たち、もしかしてとんでもない提督のところに来てしまったんじゃ……?
も、もしかして、もっと水戦を飛ばす訓練しないと、見捨てられちゃう!? 潜水艦がいない鎮守府では役立たずな潜水母艦だもの!!」
「お、落ち着いてください、大鯨さん!
速吸たちの任務はあくまで甘味工場での生産なんだから、戦闘が苦手でも大丈夫のはずです! だ、大丈夫、よね……?」
驚いているかと思いきや、一部を除いて意外と平気そうだった。
さすがは鯉住君への無茶ぶりに慣れているメンバーである。
「大規模作戦での拠点になるっていうのは、コイツが安請け合いしちゃったのが原因だけど、ラバウル第1からのサポートが期待できるから、そこまで大変なことはないわ。安心してちょうだい」
「それはまぁそうなんだけど、他の提督さんたちとの人間関係がなぁ……」
「そんな大事なこと後回しにしてたアンタが悪いんでしょ。私も協力してあげるから、なんとかなさいな」
「考えただけで、胃が痛くなるなぁ……」
・・・
「ま、そういうわけで、今回の会議におけるウチに影響ある報告って言うとそんなところね。
活躍の場があるってことだけわかってくれればいいわ。新入り含めてみんなで頑張っていきましょ」
「「「 はーい 」」」
割とすんなりと話が通ってしまった。
鯉住君としては、これなら自分が話しても一緒だったのではないか? なんて思わざるを得ないので、叢雲にそのことを聞いてみた。
「なぁ叢雲、これなら別に俺だけでも良かったんじゃないか?」
「ここまではね。ここまでは。
……さあみんな、次に話すのが一番重要な話よ。私たち艦娘と、深海棲艦の正体について。これについて元帥と鼎大将から発表があったわ」
そうだった。この大事な話が残っていた。
鯉住君としてはなんとなくアタリがついていた話でもあったので、そこまで驚きもなかったのだが……叢雲がわざわざ『提督に任せると大変だ』とまで言っていたのだ。本人にとってはすごく衝撃的なのかもしれない。
今の叢雲の言を受けてみんなどよどよしているし、やはりそういうことなのだろう。
鯉住君はそう判断し、口を挟まず見守ることにした。
「私たち艦娘も深海棲艦も、『思念エネルギー』とかなんとかいうエネルギーが核になって産まれた存在らしいわ」
ざわざわ……
「つまり、人間とは根っこの部分で違う存在ということになるわ」
ざわざわ……
「とはいえカラダの造りは人間とほぼ同じになってるわ。
違う存在とはいえ、人間の意志が私たちを造る基になっているようだから、その可能性は高いはず」
「……それもそうか。確かに叢雲の言う通り、人間も艦娘も同じ。それでいいじゃないか。うんうん」
ざわざわ……
「つまり!! 私たち艦娘と人間の間に、子供を作ることができる可能性が高まったということよ!!」
「……はい? 叢雲、今なんて……?」
ざわざわ……!!
「幸いにして、私たちのカラダがある程度チューニングできることは、明石さんと妖精さんの共同研究で明らかにされたわ。半分艦なのが幸いしたわね!」
「ちょっと俺用事を思い出して……」
「座ってなさい」
「アッハイ……」
ざわざわ!!!!!
「ちょっと叢雲!? 話の流れがおかしいでしょ!?
違う存在だとは言っても、みんな人間と変わらない気持ちで生きているんだから、自信もって自分の意志でこれからも生きて欲しいって話に持ってこうよ!?」
「うるさいわね! そんな当たり前の話しても仕方ないでしょ!?
あ、みんな、言い忘れていたけど、深海棲艦は人間がいる限り無限に湧いて出てくるそうよ。だからそこそこに沈まないように頑張ればいいわ」
「「「 ふーん。やっぱり 」」」
「重大発表のはずなのに、みんなリアクション薄いな!?」
「そんなことよりも! 明石さんはこの話聞いてどう思うかしら?」
「フフフ……! これは朗報ですよ!!
艦娘のDNAがヒトと完全に一致しているのは知っていましたから、子供を作るのも問題なく可能だとアタリをつけていましたが……私たちの基盤が純粋なエネルギーだってことなら色々と都合がいいですね! エネルギーの性質をタンパク質によせればいいだけですから!
妖精さんと合同で、うまいことカラダの性質をいじれる再生成炉みたいなのを作れるかもしれません! 『艦娘妊活プロジェクト』的には良い知らせでしかありませんね!」
ざわざわ!!!!!!!!!!!!
「ファッ!? なにその計画!? そういう実験するのやめろって言ったよな!?」
「提督命令でもそれは聞けませ~ん!
いいじゃない、夫婦なんだし。やることやってもさ。ね、夕張ちゃん?」
「そうですよ師匠!! あれだけ情熱的な気持ちにさせたのに手を出してくれなかったの、今でも覚えてるんだから!」
「ちょ、ちょっと待って……! 夕張のそれについては、その、ゴメンだけど……今は気持ちが追っつかないから! その話はまた今度ということで……!!」
「そうやってまた煙に巻こうとしてるんでしょ!? 私、師匠との子供欲しい!!」
「ちょ、そんなドストレートに……!? ていうか、なんでみんなそんなにヒートアップしてんの!?」
「そんなの決まってるじゃない。私主導でキミにバレないよう進めてたさっきの計画、みんな知ってるからだよ?」
「明石テメェーーーー!!!!」
その後もなぜかヒートアップし続ける会場に対して、焼け石に水レベルの消火活動を続けながら、鯉住君はなんとかその場を乗り切ったらしい。
どう乗り切ったのかは必死過ぎて覚えてないのだとか。
別に彼女たちと人間のような家庭を作ることに否やはない鯉住君なのだが、色々立て込み過ぎている今は勘弁して欲しいと切に願うのであった。
おまけ
明石の『艦娘妊活プロジェクト』に対する他の皆さんの反応
叢雲「秘書艦としてはそういう重要な試みを放っておけないわね! 秘書艦としては!」
古鷹「ええと、その、やっぱり私も女の子ですから、そういったことには興味があります……はい……」
夕張「協力は惜しみませんから!!!(大声)」
北上「いいんじゃない? アタシ達にどうしても護りたい相手が増えるってのはさ。ちっこいのはうざいから苦手なんだけどね~。アハハ」
大井「北上さんに悪い影響がでないように、私も聞いておきますから」
天龍「あんまり実感ねぇけど、気にはなるよな。俺も女だしな」
龍田「最新情報をちょうだいね~」
初春「ピンクにしてはやるではないか! 全速で進めるのじゃ!」
子日「子日には早い気がするから、別にいいかなぁ」
秋津洲「カワイイ赤ちゃんほしいかも!」
足柄「夫婦なんだし、やっぱり子供を授かるのは夢よね」
アーク(むしろ最重要資料提供者。主に深海棲艦側のデータを提供)
天城「私はご飯とお布団があれば十分ですので……」
伊良湖「素晴らしい試みですね! 私に出来ることがあれば協力しますよ!(大声)」
こんな感じです。他の新参メンバーは「やだ怖い……近寄らんとこ……」って感じです。