艦これ がんばれ鯉住くん   作:tamino

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久しぶりの本筋です。


第163話 突撃! 隣の鎮守府5

 こちらラバウル第9基地の入場門。

 鯉住くんのお隣さん鎮守府である第9基地には、もうすぐ第10基地一行が到着する予定となっている。そのため提督である鈴木大佐と筆頭秘書艦の吹雪で出迎えのために待機している状態だ。

 

 まだ到着時刻より10分も前なのだが、「私が鯉住大佐からみんなを守るんだから!」と吹雪が意気込んでおり、鈴木大佐は付き合わされている形だ。

 まぁ別に急ぎの仕事も入れていないので、問題はないのだが。

 

 

「司令官! 車が見えてきましたよ!」

 

「ふむ。早めに来ておいて正解だったな」

 

 

 まだ早いと思っていたが、それは杞憂だったらしい。指定の時間よりも少しだけ早く到着する姿勢は鈴木大佐的には好印象である。

 

 

「絶対に鯉住大佐の悪行を暴いてやるんだから……!!」

 

「うむ。意気込んでいるところ悪いが、吹雪は口を出さないように」

 

「ええっ!? なんでですかぁっ!?」

 

「先入観が勝ちすぎるところは吹雪の悪い癖だ。

白雪と初雪の話ではかなりの好人物であるという話。もし吹雪の言う通りならそれなりの対応をとらねばならないが、あのふたりの評通りなら友好な関係を築く必要がある」

 

「絶対鬼畜スケベ提督なのに……」

 

「そうであるならば敵対的に接しても間違いではないが、そうでないなら致命的になる。そのくらい吹雪も分かるだろう? ……と、車が止まった。話はここまでだ」

 

「う~……!!」

 

 

 自分の考えに自信はあるけど提督の意見は正論なので、吹雪は納得いかないけど黙ることにした。納得いかないけど。

 

 そんなふくれっ面の吹雪をよそに、車からぞろぞろと第10基地のメンバーが降りてきた。

 お供には艦隊演習をする予定とあって6名の艦娘がついている。

 秘書艦の叢雲改二、古鷹改二、大井改二。天龍改二に足柄改二、そして新入りの補給艦、速吸改である。

 

 

「こんにちは、今日はよろしくお願いします。……って、も、もしかしなくても鈴木大佐ですか!? わざわざ正面玄関まで!?」

 

「うむ。その通りである。こちらこそよろしく頼むぞ、鯉住大佐。

それと同じ大佐であるのだから、敬語など使わなくてもよい。それでもこちらはまったく気にしない」

 

「いや、そういうわけには……鈴木大佐は提督としても個人としても私よりもずいぶん先輩なんですし、敬語は当然です。

それに私が大佐なんて重要な役職に就いているのも、部下の働きによるところが大きいですから。私の提督としての実力なんて知れたものですし」

 

「なんだ、随分と謙虚なのだな。それならその調子で構わんが……こちらも合わせて敬語にした方が良いか?」

 

「いえいえ、滅相もないですよ! 今日はこちらが勉強させてもらいに来たので、その調子でお願いします!」

 

「わかった。それでいいと言うならそうさせてもらおう。

正直言うとキミがどういう人物か不安もあったのだが、まったくの杞憂だったようだな」

 

「あー……まぁ、色々と言われてるのはなんとなく知ってましたので。そう言ってもらえると嬉しいです」

 

「おそらく勉強させてもらうのはこちらになりそうだ……と、立ち話もなんだ。

応接室まで案内する。こちらの秘書艦、吹雪についていってくれたまえ」

 

「はい、わかりました」

 

「そういうことだ。吹雪、私は資料を取りに行ってくるから、鯉住大佐一行を案内しておいてくれ。くれぐれも粗相のないように」

 

「……はい、わかりました司令官」

 

 

 自身の提督と鯉住大佐の会話を聴きつつも、吹雪は警戒心を緩めていなかった。

 

 

 

・・・

 

 

 

 今の吹雪の頭の中はこんな感じ

 

 

 

 ……イケメンと言ってよいかきわどいラインの鯉住大佐。見た感じだと、切れ長の目で悪いやつに見えなくもない。

 物腰は柔らかだし、すごくいい人っぽいけど、油断しちゃダメ。司令官があっさり受け入れてしまったっぽいから私が最後の砦として気を張っておかないと……!!

 

 それと、部下の皆さんはというと……

 

 って、叢雲ちゃんがなんかすごい大人っぽい雰囲気になってる!? あれが吹雪型の改二なの!? 私も改二になったら、あんなふうに色っぽくなるのかな? 楽しみだなぁ、ウフフ!!

 それから他の秘書艦の古鷹さんと大井さんも、すごく落ち着いてて余裕な感じ……!! すごい大人って感じ!!

 憧れちゃうなぁ、私もいつか改二になったら、大人の魅力ムンムンになるんだろうなぁ……!!

 

 ……ていうか秘書艦が3人ってどういうこと!? 聞いてないよそんなの!!

 ……ハッ!? まさか、鯉住大佐が3人とも侍らせてるってことなの!? これはとんでもないよ……!! とんでもないスケベ女たらし提督だよ!! この鎮守府を鯉住大佐の魔の手から護るために、私がしっかりしなくっちゃ!!

 

 そして那智さんから色々聞いてる足柄さん。こ、こっちもすごい余裕な感じ……!! 初めてくるところだっていうのに、全然緊張してないよ……!!

 あ、古鷹さんと話して……ほ、微笑んでいる!! ウッ!! 心が締め付けられるほどキレイなんだけどぉ!? ずるいよ、なんでそんなにキレイなの!? 私もあんな風になれるかなぁ……いつかなれるよね……!!

 

 あとは天龍さん……て、すごいスカート短いよ!? 大丈夫なのそれ!?

 普通にしてるのに強者のオーラが漂ってるとか、そのおっきな剣って砲雷撃戦でどうやって使うの? 使えなくない? とか色々思うところがあるけど、スカート丈が気になって他が全部ふっとんじゃったよ!? 叢雲ちゃんのはワンピースだからギリギリわかるけど、スカートでその短さはマズくない!? そのすごいボディでそのスカートは風紀違反じゃない!?

 ……ハッ!? これってまさか、鯉住大佐の趣味!? こんなに短いスカートに艤装を改造させてるなんて、とんでもない鬼畜スケベ変態提督だよ!! やっぱり私がしっかりしなくっちゃ……!!

 

 残るひとりは、えーと、確か補給艦の速吸さん……だったよね? 他の皆さんと比べて遠慮がちにしているし、新入りさんっぽいね。最近ラバウル基地に補給艦が赴任してきたって話はあったけど、速吸さんのことだったのかな?

 って、すごく珍しい非戦闘艦でもある補給艦を、演習もあるのに連れてくるなんてどういうこと……?

 ……ハッ!? まさか、鯉住大佐は新入りをわざわざ対外演習に参加させて、いたぶって楽しむつもり!? と、とんでもない鬼畜だよ!! 鬼畜外道人でなし提督だよ!! 絶対いじめながら『これは教育だ』なんて言ってるに違いないよ!! 私がすごくしっかりしなくちゃ、ウチのメンバーにもその魔の手が延ばされかねないよ……!!

 

 

 吹雪の今の頭の中は、こんな感じである。

 いっつも彼女は全力全開なのだ。猪突猛進ともいう。

 

 

 

・・・

 

 

 

「……おい、吹雪、どうしたのだ。ボーっとして。早く鯉住大佐一行を応接室まで案内しなさい」

 

「……ハッ!? すみません司令官!! 少し考え事してしまいまして……」

 

「やれやれ……客人を目の前にそれでは困るぞ。反省するように。

それはそれとして、本当に頼むぞ。粗相のないようにな」

 

「は、はい!!」

 

 

 なんだか変な吹雪の様子に、頭の上にクエスチョンマークを浮かべる鯉住くんたちであったが、「し、失礼しました! こちらです!!」と一生懸命に案内してくれる吹雪の姿は好印象であり、「これはいい関係が築けそうだな」なんて考えるのであった。

 

 

 

・・・

 

 

 

 応接室に通された鯉住君たちは、鈴木大佐の意向もあり、一部メンバーに鎮守府見学をしてもらうようにした。

 具体的には、鈴木大佐と色々話を進めるのは鯉住君と大井、その他は吹雪の案内により見学、といった具合。

 

 特に叢雲と古鷹、足柄はこちらに姉妹艦がいるということで、見学組に回された。

 叢雲が『まだ秘書艦として新人の大井に、色々抜けてる提督を任せるのは不安』とか言ってちょっとだけ駄々をこねたが、吹雪のひと押しもあってしぶしぶ承諾することになった。

 

 叢雲が『提督と一緒にいることで、自分が提督の筆頭秘書艦(一番)だって他所様に認知させたかった』なんて思っていることは、新人の速吸以外には気づかれていた模様。

 鈴木大佐にも叢雲の考えは気づかれていたあたり、彼女はやっぱりわかりやすいのだ。

 

 とにもかくにも、ながーいことやってこなかったご近所付き合いは、ここから始まる。

 

 

 

・・・

 

 

 応接室にて

 

 

・・・

 

 

 

「いや、なにか済まなかったな。あの叢雲、この場に残りたがっていたようだ」

 

「あー、気にしないでください。叢雲は秘書艦としてかなり責任感が強いので。

こちらこそウチの部下がゴネてしまって申し訳ないです」

 

「いや、それだけ鯉住大佐が信頼されている証だろう。良好な関係を築けているようで羨ましい限りだ」

 

「いえいえそんな……私がもっとしっかりしていれば、あんなに心配かけることもないと思うんですよね。彼女には本当に支えられています」

 

「あの鯉住大佐への態度を見るに、心配なだけではないと思うが……まぁいいか。

こちらとしては鯉住大佐が答えられるであろう範囲の質問しか用意していないので、キミさえ残ってくれていれば問題はないよ」

 

「そう言ってもらえると助かります。……と、忘れてた。こちら、つまらないものですが……」

 

「ム、それはなんだ? 和菓子……最中か?

わざわざ用意してくれたのか。すまないな」

 

「ええ。つい先日ウチに甘味工場ができまして。

まだそちらは稼働していないんですが、そこで増産する甘味の試作品です。給糧艦の伊良湖が作ってくれたので、味は保証しますよ」

 

「なんと、あの給糧艦の伊良湖が……?

それはまたたいそうな貴重品を。ウチの部下も手放しで喜ぶだろう。心から感謝する。

こちらも何か用意しておけばよかったな……」

 

「いやぁ、毎日作ってくれるので貴重品というわけでもないですから。その気持ちだけで十分です」

 

「恩に着る」

 

 

 なんと、お土産を持ってきていた鯉住くん。なんだか本当にご近所付き合いの体を成してきた。アイスブレイクは上々といったところ。

 ちなみにその様子を見て大井はため息を吐いていたりする。提督間でのあいさつでお土産持って行くなんて普通はないことなのだ。まぁ、なんだかんだ提督らしいと受け入れてはいるようだが。

 

 和やかな空気ではあるが、時間がたくさんあるというわけではない。

 鈴木大佐はさっさと本題に移ることにした。

 

 

「さて、早速で悪いが話を進めさせてもらおう。

今回の訪問ではこちらの鎮守府を見てみたいということだが……私が案内しようと思う」

 

「鈴木大佐自らがですか? それはありがとうございます!」

 

「なに、こちらの『演習を受けてほしい』という要望に応えてくれたのだ。その程度ならな。

それはそれとして、案内する前に、この場でお互いの情報交換をしたいのだ」

 

「それはそうですね。……では」

 

 

 色々と自分の鎮守府に居てはわからないことを聞いていく鯉住くん。

 一応ではあるが、自身と知り合いの提督たちが軒並み普通じゃないことは気づいてるのだ。普通の鎮守府運営はどんなものか知りたいと前々から思っていた。

 

 話を聞いていくと、やっぱり色々と自分のところは特殊だと判明した。

 

 勝手に妖精さんが施設を直してくれることはないとか、艤装の修正はあんまり行われず、貴重でないものは壊れたら直すことはほぼないとか、入渠施設は農家のお風呂っぽくも旅館の大浴場っぽくもないとか、旅館みたいな艦娘寮なんて存在しないとか、畑も生け簀もないとか、味噌とか醬油を作ってないとか。

 

 わかってたとはいえ、実際に鯉住くんの鎮守府運営話を聞いて、頭からクエスチョンマークが頻繁に出てる鈴木大佐を見ると、『やっぱりウチっておかしいんだなぁ……』という実感が出てくる。

 

 

「……鯉住大佐。キミが運営してるのは本当に鎮守府なのか……? 田舎の集落とかではないのか……?」

 

「鎮守府です……鎮守府です、一応……。だよね? 大井」

 

「鎮守府機能もある村落、という言い方しかできませんね」

 

「そっかぁ……」

 

 

 秘書艦からの同意を得られずしょんぼりする鯉住くん。

 

 鈴木大佐もいい加減わかってきた。鯉住大佐はメチャクチャとっつきやすいうえ、部下の艦娘からはそれ故に信頼されているんだろうな、と。

 とはいえ、戦争の最前線で戦ってきた記憶のある彼女たちが、ただの優男に嬉々としてついていくはずもない。その辺もハッキリさせるため、鈴木大佐は気になっていることを聞くことにした。

 

 

「まあなんだ。鎮守府運営については提督に一任されているので、だいぶ特殊ではあるが問題があるということではないだろう。犯罪に加担しているわけでもないしな。

……それはそれとして、私からも聞きたいことがある。以前そちらで行われた、大本営との演習についてだ」

 

「あー……元帥殿との話の流れですることになった、あの演習の……」

 

「話の流れで演習となったのか……なんだその緩い動機は……」

 

「まぁ、その、元帥殿が気を遣ってくださったんですよ。

しかしウチみたいな末端鎮守府の演習記録を調べてくださったなんて、なんだかありがとうございます」

 

「こちらの興味から調べさせてもらっただけなので、別に気にしないでほしい。

それで、その際の編成と戦術について話を聞きたいのだが……話してもらえるだろうか? もし機密が含まれているならば、諦めるが……」

 

「ああ、いいですよ」

 

「そ、そうか」

 

 

 夜戦装備を積んでいるのに昼戦で勝負を仕掛けてたり、潜水艦に対して対潜特化の龍田が居たのに潜水艦大破による勝利を狙わなかったり(その演習では大破艦が出た時点で決着だった)。

 色々とツッコミどころ満載の演習記録だったので、なんらかの秘密があるのだと踏んでいた鈴木大佐だったのだが……鯉住くんはそれはもうアッサリと説明を受けてくれた。肩透かしである。

 

 それはそれでありがたいので、気を取り直して質問していったのだが……

 

 

「ああ、夜戦装備の件ですか。夜戦まで粘る可能性もあるとは思ってたんですが、みんなの感じだとやれそうだったので、昼戦で決める方がいいと判断しました」

 

 

 とか

 

 

「対潜での決着……それも演習前の作戦会議では出たんですが、対潜に警戒心割き過ぎると航空隊に対応できないかなと思いまして。その辺は現場の判断に任せました。

元帥殿が鍛えた潜水艦は尋常でない潜伏能力を持っているという話は聞いていましたので」

 

 

 とか、けっこうボンヤリした理由で不可解な行動をとっていた。

 

 

 演習での勝利を優先するというよりは、自艦隊の力量を披露するということを目標にしていたらしい。

 そして、本人も言っていたが戦術を考えるのは苦手なようで、艦娘の判断を重要視する運用を心がけていることもわかった。

 

 自身の足りない部分は部下に任せ、決定だけは責任もってする、というスタイルとも言えるだろうか。

 

 能力の高い提督たちの中ではあまり見ない……というか、聞いたことのない艦隊指揮の方針である。

 個性が強く、戦時の記憶もあり、判断力も優れ、それでいて命令に従順。そんな艦娘を率いるのには揺るぎない実力と信頼を勝ち取れるだけの判断力が必須。

 ……というのが提督間での常識であるのだが……彼はそのような事は考えていないということになる。

 なかなか軍属の気風からは生まれない考えだ。

 

 

 鈴木大佐は鯉住くんが元技術屋で提督養成学校を通っていないということを思い出し、なるほどそういう人間かと納得する。

 

 そんな彼の人間性は、いくつかした質問のひとつからも伺えることだった。

 

 

「甲標的を積まなかった理由、ですか。

それは、そうだな……ここには本人である大井がいますので、ちょっと……」

 

「別に気にしていただかなくても大丈夫です。もう分かっていますので」

 

「あー……本当に?」

 

「北上さんもよく理解しています。理由を話していただかなくとも、そのくらいは察することはできますよ」

 

「そっかぁ……そうだな。要らない気遣いだったか。

ええとですね、甲標的ってその、あまり言いたくはないですが、特攻兵器に似てるじゃないですか。

北上は艦だった時代にそれを載せていたこともあり、搭乗員の心情をその目で……当時は目はなかったでしょうけど、ともかくよく見てきたことでしょう。甲標的を使うたびに辛い記憶を思い出すのなら、それは相当にしんどいことですよ。

幸い彼女は甲標的がなくとも十二分に活躍できる実力をつけてくれたため、だったらそれで頑張ってもらえばいいだろうと判断しました」

 

「フム……実力向上よりも、心情を取った、と」

 

「甲標的がなくても、北上の実力は一級品ですよ。彼女が対応できない状況に置かれたというならば、それはその状況を作り出した俺の責任です」

 

「それは……鯉住大佐がそう言うなら、そうなのかもしれないな」

 

「普通に考えたら甲標的を積まない選択はないですからね。それは分かります。だからこれは俺のワガママですよ」

 

「ム……そうか。ちなみにそちらの大井が甲標的を積まなかった理由は?

軍艦の大井が例の兵器を積んでいた記録はないはずでは?」

 

「それは、まあ……自分が大事に想っている相手が辛く感じることを、自分がその横でするなんて……考えたくもないでしょう?」

 

「……それもそうか」

 

 

 なるほど、納得だ。そういう男か。優しい男だ。

 艦娘のことを心底大事にしている。部下として、信頼できるパートナーとして、人格を持つ個人として、とても大事にしている。

 

 それは彼の話を横で聞いている大井の表情を見ても明らかだろう。強い絆があるのだろうな。

 あながち初雪が言っていた『艦娘バキューム』というのも間違いではなさそうだ。

 

 

「……うむ、話はよく分かった。ありがとう。鯉住大佐の人となりもよく分かった」

 

「それはよかったです、って、私の性格まで分かっちゃったんですか?」

 

「それはもう、な。キミ達のような信頼できる実力者が近くに居ること、頼もしく思う。これからもよろしくしたい」

 

 

 そう言って鈴木大佐は頭を下げる。

 別に鯉住くんに直接失礼な態度をとったわけではないが、色々とウワサに踊らされて疑ってしまったことへの『けじめ』である。真面目な男なのだ。

 

 

「ちょ、ちょっと、頭をあげてください! よろしくしたいのはこちらの方ですから!」

 

「おお、そうか。それは都合がいいな。ハハハ」

 

「からかわないでくださいよー……」

 

「提督が気にしすぎなだけですよ。もっと堂々としていてください。私たちの上司なのですから」

 

「大井も叢雲と同じで手厳しいなぁ……」

 

 

 お互いに気になることが確認でき、友好的な関係にもなれた。

 非常に実りのある時間を過ごせてホクホク顔な両名なのであった。

 




鯉住くんは鈴木大佐の運営のやり方(自分が部下を引っ張って艦隊運用していくスタイル)を聞いて、『やっぱエリートは違うなぁ! カッコいいなぁ!』なんて、目をキラキラさせながら感動してたとか。
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