伊豆が存在するだけで活力がもらえる日々で幸せだなぁ!!!!
……投稿遅れたうえちょっとボリューム不足なのは本当に申し訳ない(メタルマン並感)
受け入れていたメンバーへの卒業試験合格を受けて強敵に立ち向かえると太鼓判を押し、元居た鎮守府に返還したラバウル第10基地。
ひとつ大きなイベントが完了して一息つきたかったところだが、そうは問屋が卸さない。なぜなら今現在ラバウル基地では敵戦力不明な深海棲艦の軍勢に攻勢をかけられている真っ最中だからだ。そしてそれ以上に、ラバウル第10基地は統括である白蓮大将からの無茶ぶりを受けて、大規模作戦の総督府として運営しないといけない状況にあったりする。
つまりどういうことかというと、これからは自分たちだけではなく他の艦娘も受け入れられる基地としないといけない、ということ。
最前線で戦ってきた艦娘たちの心身ともに回復させ、ボロボロになった艤装を復帰させ、燃料弾薬ボーキサイトをフルに補充して送り出さないといけないのだ。
現在のラバウル第10基地メンバーだけで見ると、これらのうち大半の業務はなんとかなる。伊達に今までバカンス勢を接待しまくっていたわけではない。50近い艦娘たちに衣食住を提供していた経験がこんなところで活きることとなった。
しかし、どうにもならない事が一点。それは艤装のメンテナンス。
いくらここの技術班がぶっ飛んで世界最高だったとしても、頭数が足りなすぎる。鯉住君、明石、夕張、秋津洲の4名だけで毎日代わる代わるやってくる20以上の破損艤装をどうにかするのは現実的ではない。
ということで。研修生返還から数日たったところで、ラバウル第10基地は他の鎮守府からの応援の技術者を受け入れていた。
その数なんと20名。今までバカンス勢を大量に受け入れていたので感覚がマヒしそうだが、これでも十分に大所帯である。
「ハイ皆さん、よく来てくださいました。ここの提督兼技術班リーダーをやっております鯉住です。よろしくお願いします」
「「「 よろしくお願いします! 」」」
「いい返事ですね、とても良い事です。では詳しい工廠の説明はこちらの明石からありますので、彼女についていってください」
「ハーイ、ご紹介に預かった明石です! まずはこちらの鎮守府の各所を案内、次に仕事場となる工廠の案内、最後に秘書艦の古鷹に交代して宿舎の案内となります。では皆さん、荷物をもってついてきてください!!」
明石の声に従ってぞろぞろとついていく応援技師たち。かなり若いメンバーで構成されており、全員20代というフレッシュさだ。
ラバウル第10基地としてはもっとベテランの連中をよこしてくれと言いたいところだったが……よく考えればそういった技師たちは、そもそもその鎮守府工廠の中核を担っているため動かしづらく、新しい現場で働かせるよりも現状維持の方がパフォーマンスが出せるという現状があったりする。
それにメンテ技師はここ10年くらいで出てきた新職業とはいえ、仕事内容からして職人も職人である。頭が固いのだ。今まで別の工場で働いていた技師が、深海棲艦出現に合わせて艤装メンテ技師に転向したという人間の数がかなりを占めている。
つまり出向させて新しいリーダーの指示で新しいルールで動けるような技師は、大抵の場合若者に限られるということになる。悪く言えば実力不足だが、よく言えばまだまだ頭が凝り固まっておらず、成長の伸びしろが多いということでもあるのだ。
そんなフレッシュな技師たちは、明石についていきながら「おお、本物の明石さんだ……!! クッソかわいい!!」とか「あの立派な旅館が宿舎ってこと? ウチと全然違うんだなぁ」とか「憧れの鯉住さん率いるメンテ班に私も……サイン貰わなきゃ!」とか、それぞれ初々しい反応をしている。素直そうな反応を見てこれには鯉住くんもニッコリ。
「新しいメンバーが来るとなると人間関係とか心配だったけど、なんとかなりそうだな」
「そうだな。奴らを良く統率してやれよ?」
「そうですね。……ハァ」
「なんだ、何ため息なんて吐いている? 不安が解消されたんだろうが」
「それはそうなんですけど、別の不安がありまして」
「組織の長ともあろうものが頼りないことを言うなよ。士気に影響が出るぞ」
「いやその不安って貴女なんですけどね……」
「なに?」
鯉住くんが半ば諦めの目で見ているのは、彼の隣でパイプをふかせながら仁王立ちしている銀髪の美女である。
「確かに三鷹さんから研修のお願いはされてましたけど、このタイミングなんですね……ガングートさん」
「ハッハッハ!! 提督からの地獄のような研修を乗り切った今の私は無敵である!!」
「テンション高いなぁ……」
そう。前々から『人間のすばらしさを教えてやって欲しい』と頼まれていたガングートが、このタイミングでやってきたのだ。
このクソ忙しい時期にと思うものの、勝手に自分のことを拉致していくような鬼ヶ島の首魁である加二倉提督や、隙あらば将棋デスマッチを申し込んでくる修羅の国のトップである一ノ瀬提督に比べれば優しいもんだと思いなおす鯉住くん。かわいそうに無茶ぶりの基準がだいぶおかしくなってしまっている。
「そもそも人間のすばらしさを教えてやって欲しいって言われても、何したらいいんですか? 三鷹さんからはいつも通りにしてればいいなんて言われてますけど」
「それを教えられる側の私に聞くなよ。提督からは頑張ってきてとしか言われてないから私にもサッパリだ」
「三鷹さんらしいなぁ……俺のこと信頼してくれてるのは嬉しいんですけど、信頼が重すぎるんですよねぇ」
「なにっ!? お前、提督に信頼されていることがどれほど恵まれているか理解できていないのか!?」
「いや理解はできてますよ。三鷹さんは世界的に見てかなりの権力者でもありますから、そういう人から信頼されているのは悪い気はしないと言いますか」
「そんな甘い話じゃあない! 私がどれだけ提督指導の研修で恐ろしい目に遭ってきたか……!! お前はもっと根本的なところで恵まれているんだぞ!!」
なんかガングートの顔色がより一層白くなり、ガタガタと震え始めた。鯉住くんはこの症状を知っている。天龍と龍田が地獄の研修のことを思い出した時になるアレだ。
つまりその見立てが正しいのなら、彼女も三鷹提督に相当しごかれたということになるのだが……基本的には菩薩のように優しい三鷹提督がそんなに部下を追い込むのかと言われると、疑問符が浮かぶ。
「落ち着いてくださいよ……そんなに怯えるなんて、三鷹さんの研修って何したんです? そんなにハードなものだったんですか?」
「聞きたいか、聞かせてやる! いや、聞いてくれッ!! どれだけ提督の指導が常軌を逸していたのかっ!!」
「うわテンション高い。そんなに話したかったんですねぇ……」
・・・
解説中……
・・・
「……というわけだっ!! お前の考えが甘いというのはそういうことだ!! この世には提督に愛される人間とそれ以外の人間の2種類しかいないッ!!」
「うわ」
ドン引きである。鯉住くん、今年に入って一番のドン引き。
三鷹提督の研修は肉体的なものでなく精神的なものだったので、天龍龍田とはちょっと違っていた。のだが、その激しさでは引けを取っていなかったようだ。
話に聞いた範囲でも地域単位でふたつみっつ犠牲になっている。いくら治安が最悪な地域だったからと言ってやりすぎである。
深海棲艦のせいで人類の栄華が失われたこのご時世、そういったスラムみたいなところはかなり存在するが、いくらなんでもやりすぎである。
「話聞いといてなんですが、三鷹さんのそういうところはノータッチでいきたいんですけど……」
「私も話をしておいてなんだが、今の話を聞いてその程度の反応しかしないのは相当に感性が死んでいるとしか思えんが」
「なんていうかもう、世の中どうしようもないところはどうしようもないって色々諦めがついてるんで……」
「なんだお前も苦労してるんだな……」
「そうなんですよ……まぁ、細かい話するのに立ち話もなんですから、執務室でも行きましょう。鎮守府棟(豪農屋敷)の中は涼しいですよ」
「ム、涼しいのはいいな。北国生まれの私にはこの暑さは堪える」
謎の一体感が出てきたところで、これからの流れを話し合うために執務室へと向かうことにした両名。
そしてそのまま彼女の研修、運用について、執務中だった叢雲と一緒に話し合うことになった。
その結果、もうなんか普通に鎮守府の一員として過ごしてもらえばいいんじゃないかというところに話が落ち着いた。
特に指示も受けていないし、『人類の支配者になる』とかいう物騒な夢を持つ彼女を放置するのもよくないし、それだったらこの鎮守府流で動いてもらうのが一番丸そうだなということになったのだ。
この決定に当のガングートは「提督の機嫌が損なわれない内容ならなんでもいい」とどうでもよさそうな反応だった。どれだけ提督のこと怖がっているのだろうか。
・・・
一方そのころ
・・・
「皆さんお疲れさまでした! これで工廠の案内は以上となります!! 案内は私、明石と夕張ちゃん、秋津洲ちゃんでお送りしました!!」
「突然案内に混じることになっちゃったけど、これから一緒に働いていく仲間として早めに交流できたのはよかったわ。ししょ……提督のメンテの腕はここの明石さんと並んで世界一だから安心して何でも聞いてね! もちろん私に聞いてくれても優しく教えるからね!!」
「秋津洲のことも遠慮せずに頼るといいかも! 最近は食堂でご飯作ってることが多いし、お客さんが増えてきたらそっちに移ることが多くなると思うから、それまでにみんな秋津洲が抜けても大丈夫なようにしておいて欲しいかも。だからわかんないことはなんでも聞いて!」
こっちでは新入りのためのガイダンスが工廠案内まで終わっていた。工廠で任務中だった夕張と、本日の晩御飯の仕込みが終わってぶらぶらしてた秋津洲も途中から加わって、かなり賑やかな時間となっていた。
そんな一通りの案内を終えて新入りのメンテ技師の反応はというと……
(3人ともかわいすぎる……結婚したい……)
(俺のいた鎮守府の艦娘さんよりも美人……美人じゃない?)
(女の私でも見惚れるくらいキラキラしてる……敗北感で狂いそう……!!)
(同じ女性だけど明石さんたちからのいい匂いでおかしくなりそう……!!)
(こんな綺麗な人たちと一緒に仕事出来るとか、ここは桃源郷だった……?)
(工廠が新築みたいに綺麗に保たれていた……これが世界一のメンテ班の実力!!)
(歴史の教科書で見たモダンな建物みたいだったな。それはそれとして明石さんたちみんなかわいすぎる。フリーだったりしないかな……)
なんか全体的にぽわぽわしていた。普段から油臭い職場で仕事している若手に対して彼女たちのキラメキは特効を持っていたらしい。
艤装メンテ技師には女性が少なからずおり、今回のメンバーの3割くらいは女性だったりもするのだが……そんな同性の彼女たちからしても明石たちは魅力的に映っていたらしい。恋する女はキレイとかいうあれだったりする。
「明石さん、案内は順調ですか? 夕張さんと秋津洲さんもご苦労様です」
「おっと古鷹さん、丁度いいところに。それじゃ皆さん、案内を引き継ぎますね~。今から鎮守府棟の宿泊スペースについて、こちらの古鷹が案内してくれますので!」
「はい、ご紹介に預かりました古鷹です。こちらの鎮守府で秘書艦のひとりとして活動させてもらっています。今から皆さんの生活スペースを案内させていただきますね!!」
案内を引き継いでにこにこしながら話をする古鷹を見て、新入り技師たちは……
((( またとんでもなくかわいい人が出てきた…… )))
言葉はなくとも心をひとつにするのだった。
こんな感じで総督府としての戦力も整い、ラバウル第10基地も大規模作戦傘下の準備を着々と進めるのだった。
おまけ
※極端にぼかしていますが内容がアレなので読み飛ばし推奨です。すごく穏やかでない内容となっております。
・ガングートちゃんの研修の締めに行われた現場実習
「龍太くんから人間の美しいところを学べると思うから、ボクは人間の汚くてどうしようもない所見せてあげるからね。気は進まないけど必要だと思うからさ」
との提督の言葉から始まった実地研修。提督命名『無脳実験』。
1.
とある国のとある治安が最悪な地域。そこに根付く社会通念上不適格とされる行いが激しい団体を選び、そこのトップ、組織の規模により加えてナンバー2,3辺りを合計30名ほど選び出す(当該個体は以下『サンプル』と記載)。
2.
その選別されたサンプルの人間関係の対象から本体の順に精神を薄弱にする。
3.
サンプルとして選択しなかった組織の権力者たちに内部抗争を焚き付け、本格的に抗争が激化するのを待つ。
この際、地域の治安の急激な悪化を理由に一般市民の避難、誘導も行う。
4.
機を見て深海棲艦を地域に投入(近海の駆逐イ級を15隻使用。鹵獲と輸送はガングート担当)。1週間かけて遂次投入することでその間の抗争中の人間がどのような行動をとるか観測する。
結果:
深海棲艦の脅威は正しく理解しつつも、互いに手を取ることなく人間同士の戦いに明け暮れた結果、全ての組織が全滅。逃亡しようとした者は内部粛清により始末された。
その中でも逃亡に成功しかけた一団はあったが、偶然にも現れた駆逐イ級により全滅した。
「頭が潰れたトカゲはなんにも見えなくなっちゃうんだよねー。すぐにみんなで逃げればよかったのに」とは三鷹提督の談。
「人間の醜さなんてチープなものよりも、蹂躙劇を見ている中で眉ひとつ動かさず、あまつさえ欠伸までしていた提督への畏怖が心に焼き付いた」とはガングートの談。
・三鷹提督が所有する『資料館』(研修の一環で見学)
人類のあらゆる行いが生データとして展示されている資料館。五感で感じられる超臨場感。
行き過ぎて反抗的な人間はこちらの見学ツアーに参加させられ、大抵の場合は精神的に再起不能となる。その後は非常に協力的になるか、消息不明になる。
コンセプトは『いかに効率的に人間の心を折るか』。非友好的な人間と極力関わらずにおとなしくさせるために生み出した施設。
「そんなこと(敵対者への教育)よりもやりたいことで世の中一杯だからね。頑張ってる人たちへの支援もしなきゃいけないし。ちゃちゃっと終わらせるための施設だよ」とは三鷹提督の談。
「元深海棲艦の私ですら1時間もたなかった。二度と思い出したくないし近寄りたくない。提督でなく私に征服される人類は幸せな生き物なんだと深く感じた」とはガングートの談。