艦これ がんばれ鯉住くん   作:tamino

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失踪してませぇん!! 疾走もできてないですけども!!
ウマ娘とかカイロソフトさんとかばっかやってるからこうなる!!
あとビートマニア(インフィニタス)でレベル9が初めてひとつ埋まりました!!やったぜ!!そんなことしてるからこう(前の投稿2か月以上前)なる!!


第180話 前線じゃなくても戦場は戦場なんですよ

 日本海軍全体をあげての大規模防衛作戦がぬるりと始まってから2週間が経った。

 

 最初の1週間は索敵と海域偵察がメインであったので、いくら鯉住くんのところでラバウル基地大半の攻略部隊を預かっているとはいえども余力は十分にあった。

 しかしこれが1週間を越えてきた辺りからそうでもなくなってきた。敵の哨戒部隊と接敵する頻度が露骨に上がってきたのだ。敵が支配しているエリアまで踏み込む段階に来たらしい。

 

 従って、帰還してくる部隊の損傷もそれに合わせて激しくなってきた。

 

 

「第4基地第1部隊帰投! 損傷はそれなりかも! 1班に余裕あるなら回しちゃうよ!?」

 

「1班ちょっと厳しいですね! 2班はどうです!?」

 

「いいですよ預かります!」

 

「頼りになりますね! それじゃよろしくお願いします!」

 

 

 部隊の損傷とは艤装の損傷であり人命が失われるというわけではないので、艦娘の戦闘は人間同士の戦闘より悲壮感が少ない。

 だが、メンテ班としてはそこは問題ではない。1部隊の帰投につき中破者が3,4名は出る。一番楽な駆逐艦一隻分の中破艤装でも直すのに普通なら一晩はかかってしまうのだから、それが日に3部隊は帰投するとなるとその仕事量はシャレにならない。

 

 よって現在のメンテ班はかなりの修羅場である。

 各地の基地からそれなりの数の応援が来ているとはいえ、現在の人数の3倍はいないとこなせなさそうな仕事量なのだ。それはもう修羅場オブ修羅場である。

 そんな全力でさじを投げたくなる状態でも余裕を残した状態で1日を終えられている辺り、メンテ班の中心であるラバウル第10基地の面々の実力は頭いくつも抜けていると言える。

 

 メンテ班は今のところ暫定的に1班から3班で班分けしており、1班から順に班長を明石、夕張、鯉住くんとしている。

 ちなみにメンテ班リーダーの鯉住くんが1班でなかったり、主力のひとりである秋津洲が組み込まれていないのは、それぞれ提督の仕事と厨房の仕事を兼任しているからだったりする。

 そのことを聞いた応援の皆さんは最初は揃って唖然としていた。こんだけの艦隊のメンテをこなしてまだ他で働けるのかと。これから実際に忙しくなるのは目に見えてるのに、そんな現場をほっぽりだして他の仕事なんて正気ですかと。

 しかし修羅場になってきてから自分たちの3倍以上のスピードと正確性で仕事をこなす姿を見ていたら、なんかもうどうでもよくなった。自分たちが必死でこなす一日仕事を半日もあれば余裕で終わらせてるのだ。もうなんも言えなくなるのは仕方ない事だった。

 それに加えて、『提督から大事な場面を任された』と明石と夕張がキラキラ笑ってるのを見てしまっては、そりゃもう何も言えなかった。実際にそのおかげで彼女たちのパフォーマンスは3割増しくらいになっているので、鯉住くんがちょろっと抜けるくらいなんでもないことである。

 

 

 とにもかくにも、大規模作戦が本格化してきたことでラバウル第10基地もにわかに忙しなくなってきた。メンテ班はもちろんそうだし、首脳陣である提督と秘書艦たちもそうである。

 

 

 鯉住くんは元々事務仕事が苦手なので、彼が提督とメンテ班の二足の草鞋を履いているのは別に大丈夫なのだが……そもそもの仕事量がかなり増加しているのだ。

 各部隊が帰投するごとに報告を受け、部隊メンバーへその後の指示を出し、各部隊から受けた報告を基に敵の動きを予測し、次の出撃予定を意図含め作成。さらにそうしてできた資料をラバウル全体の他の基地に報告する。さらにさらにもちろん通常業務も普段通りこなさないといけない。これを毎日やっている。

 

 高雄が応援に来てくれているとはいえ、鯉住くんはあまり戦力にならないし、3人目の秘書艦である大井はここに来ている他基地の艦娘に対する演習監督で手が離せないしで、実質執務室を回しているのは叢雲、古鷹、高雄の3名となる。普通はこの人数でこの仕事量はどうあがいても不可能だ。

 しかし叢雲と古鷹は秘書艦としてトップレベルである呉第1の千歳から徹底指導を受けた身であるし、高雄は言わずもがなラバウル基地全体をまとめる第1基地のブレーンである。執務室もメンテ班と同様に、まるで問題なく回っていた。

 

 

 普通の鎮守府なら半日もあれば立ち行かなくなる状況を、普通に涼しい顔して回すメンバーを見て、増援として送り込まれた面々はしみじみと思うのだった。

 

 

『あれ? ここの人たち思ってたのの数倍おかしいな?』と。

 

 

 そしてたまに行われる第10基地同士の演習を見て思うのだった。

 

 

『もしかしてこの人たちメチャクチャ強いのでは?』と。

 

 

 ラバウル第10基地の面々は気づかない間に周りからの高評価を稼ぎ続けていたのだった。

 

 

 

・・・

 

 

 

 そんな感じで忙しくも別にまだまだ平気ですといった日々を送っていたラバウル第10基地なのだが、ひとつのイベントがやってきた。それはまったく予期しない方向からのものだった。

 

 

「2班一通りメンテ片付きました! 手伝うことあります?」

 

「3班は問題ない。明石、1班はどうだ?」

 

「ないよ! 夕張ちゃん、2班は今日は早上がりしてもらって大丈夫ですよ! 昨日から多めの仕事頑張ってもらいましたからね!」

 

「わかりました! それじゃ班員に通達して……って、アレ?」

 

 

 今日の仕事が終わりかけていた夕方ごろ、班長達である3人が班ごとの報連相をしているところに彼女は現れた。

 

 

「ん? どうかした夕張……って、なんでここにキミが???」

 

 

 普段なら絶対に工廠に来ることはない人物。もっと言えば部屋とトイレと食堂以外には滅多に足を運ばない人物。

 工廠の入り口に眠そうな目をこすりながら現れたのは、この鎮守府でもトップレベルの実力を持ち、トップレベルの怠惰さも持つ艦娘、天城であった。

 

 

「ふわぁ……おはようございます、皆さん……」

 

「おはよう天城。もう夕方だけどね……なんでキミが工廠に? なんかあったの?」

 

「お客さんのようです……」

 

「……マジ?」

 

「マジですね……ふわぁ……」

 

 

 まさかの報告だった。天城の言う『お客さん』とは普通のお客さんではない。深海から来る理性ある皆さんのことである。ちなみに理性無い皆さんに関しては日々の近海哨戒で駆逐してるので不在である。

 そしてそんな皆さんがやってくるという報告は……端的に言って爆弾であった。この各鎮守府から事情を知らない面々が集まっている中で、提督と深海の皆さんへの繋がりをこれでもかと見せつけるのは非常によろしくない。

 

 

「ちなみに天城……お客さんたちはいつごろ到着しそう?」

 

「だいたい10分くらいかなと……」

 

「もうすぐじゃないの!?」

 

 

 考えてる暇はなかった。もうちょっと早く報告してよと思いつつも、天城にそんなこと求めても無駄だし、そもそも未然に不可避な敵襲を教えてくれるだけでも本来は感謝の土下座ものである。とりあえず色々考える暇もないので、最低限の準備だけして対面することに心を決める鯉住くんである。

 

 

「明石、夕張、本当に申し訳ないけどあとは任せる!! 俺はちょっと行ってくるから!!」

 

「鯉住くんも大変だねぇ。なんとかなるんだろうけど、護衛を連れてくの忘れちゃだめだよ?」

 

「任せてください師匠! 2班メンバーは上がらせて私は3班メンバー見ますので!」

 

「スマン助かる! 護衛は例によって天龍に頼むか」

 

「あの提督……」

 

「どうした天城、まだなんかあるの!?」

 

「お腹減ったので一足早くご飯食べたいんですが」

 

「天龍呼ぶついでに足柄さんに連絡しとくね……」

 

「わぁい」

 

 

 なんだか緊張感が足りない、いつものラバウル第10基地メンバーなのであった。

 

 

 

・・・

 

 

 

「やっほー。こないだぶり」

 

「ハァイ! ミー達が来たわよ!!」

 

「会いたかったわマイダーリン!!」

 

「お久しぶりと言いますか、なんと言いますか……」

 

 

 天城に教えてもらった接岸ポイントまで行くと、そこには既に艦娘の姿になってくれてる現ガンビア・ベイと現アイオワ、現コロラドの姿が。そして……

 

 

「みんなも揃ってきたんだねぇ。ご主人様のこと置いてきちゃってよかったの?」

 

 

 顔なじみとなった深海艤装達の姿が。

 マッチョマン艤装のアンドレ君にわんこ艤装のタッフィーくん、そしてシロナガスクジラ艤装のバルター君は主人と一緒なので居るのは当然だが、こないだ来たメンバーで今回不在の面々の艤装達も同伴している。こないだメンテを受けてスッキリし、祭りで雰囲気と美味しいものを楽しんだのが相当嬉しかったのだろうか。

 

 具体的には、ヤンキーみたいな姫級(南方戦艦新棲姫)のロブスター艤装のロブソン君、パンクロッカーみたいなちびっ子姫級(戦艦新棲姫)のタラバガニ艤装のキングくん、やたらうるさい鳥海みたいな姫級(ルンガ沖重巡棲姫)のチョッカクガイ艤装のクラッカーちゃんとコーンちゃん、妖精さんたちが夏を刺激しそうな服を着ている姫級(バタビア沖棲姫)のオウムガイ艤装のロウトちゃんとズキンちゃん。

 

 ともかく、本体が居ないだけでも二つ名姫級艤装ともなれば威圧感は抜群なので、この大勢の魑魅魍魎の存在感はそれはもうとんでもないことになっている。

 これ見られたら詰みだな? と鯉住くんが冷や汗を流すのは無理からぬことであった。

 

 

「こいつらの主人はめんどくさいから置いてきたよ。あいつら艦娘の姿になるのめんどくさがるし」

 

「お気遣いありがとうございます……そもそもどっちの姿でも艤装達がいる時点でどうしようもない気がしますが……」

 

「ちょっとはマシでしょ」

 

「それはそうですけどね……」

 

「今日はミー達の艤装のメンテナンスを頼みに来たんじゃないわ!! 別のサムシングトゥドゥ(用事)があって来たのよ!!」

 

「あ、そうなんですね」

 

「バルター君たちはメンテナンスして欲しそうだったから、そうしてもらえるに越したことはないわよ? 本題っていうのはね、私とマイダーリンの愛を確かめ合う事よ! これから毎晩抱いてもらうために来たわ!!」

 

「えぇ……?(困惑)」

 

「いや違うからコロラド」

 

「あ、あぁ、違うんですね。それ聞いてホッとしましたよ……」

 

「別に私はどうでもいいけど」

 

「いやお願いだから止めてくださいね!?」

 

 

 話の主導権を完全に持ってかれてる鯉住くんである。横で護衛として着いてきた天龍もこれには苦笑い。

 

 

「私達がここに来たのはね、めんどくさいやつにめんどくさいこと頼まれたからなんだよ」

 

「えーと……聞いてるだけで関わりたくなさそうな案件ですね……」

 

「そーなの、ホントめんどいったらないんだけどさ。この前私達さ、人類への大規模侵攻に手を貸さないことにするって約束したよね?」

 

「ああ、覚えてます。あとで思い返してみたら、メチャクチャありがたい申し出でしたよね……皆さんが敵になったら日本海軍半壊までありましたよ……」

 

「後から思い返すまで気づいてなかったの逆にすごいと思うよ。やっぱりadmiralさん頭おかしいわ」

 

「いや、まぁ、その……あの時は色々と楽しくなっちゃってたので、忘れていただけると嬉しいかなって……」

 

「分かるわadmiralさん!! ブラックヒストリー(黒歴史)なんでしょう!? でも忘れるのなんてノー! とってもエンジョイしたメモリーを忘れるなんてノーセンキューだわ!!」

 

「あんなに刺激的な夜を忘れろなんてひどい人ね!! そんなこと言われてもアイオワの言った通りよ。忘れてあげないわ! ウフフッ!」

 

「みんなひどいや……」

 

「ひどいのはあの時のadmiralさんの情緒でしょ? そんなことよりこっちの要件聞いてよ」

 

「はぃ……」

 

 

 やらかしにやらかしを重ねて黒歴史のミルフィーユみたいになってる記憶を掘り返されて、鯉住くんは完全に意気消沈してしまった。そんな彼のしょんぼり姿を気に留めず、ガンビア・ベイはここに来た事情を話し出した。

 

 

「あの時は大規模攻勢に手出ししないって言ったんだけどさ、それを先約相手に伝えたら『約束と違う』とか言ってキレられてね」

 

「あー……お相手からしたらそうですよね……」

 

「そそ。だからこっちもさ、ちょっとは手助けするフリでもしとかないといけなくなったんだよ。建前ってやつ」

 

「つまり、こっちに攻撃するフリをして、実績作っときたいってことですか?」

 

「そゆこと。だから比較的落ち着いてるこの3人で来たのさ。他の奴らにそういう事情だって伝えたら『行キタイ行キタイ蹂躙シタイ攻メ滅ボシタイ!!』とかなんとか五月蠅かったから、お仕置きして置いてきたんだよ。すごいめんどかった」

 

「いやそれはホントありがとうございます……」

 

「ガチで戦ってもいいことないからね。そっちズタボロにしたら艤装のメンテしてもらえなくなるし、美味しいご飯も食べられなくなるし、息抜きもできなくなるし、コロラドが多分大暴れするし、ホントにロクなことない」

 

「マイダーリンに手を出す相手は世界と私の敵よ!!」

 

「ね?」

 

「いやなんというか、重ねてありがとうございます……なんかガンビア・ベイさんには頭が上がらないですね……」

 

 

 一連の話を聞くに、先約から『契約不履行だー!』と攻められて、しぶしぶポーズだけでも取るためにやってきたようだ。それで『めんどいし本格的に攻撃しちゃおう』とならない辺り、本当にありがたい話である。ガンビア・ベイが交渉役になってくれているおかげで、なんもかんもうまい事回っている印象だ。

 鯉住くんの中でのガンビア・ベイの『頼れる相手ランク』が急上昇した瞬間である。ちなみに1位は大和。ガンビア・ベイはベスト10に食い込んだ。

 

 

「しかしそうすると、やり方を考えないといけませんね。今ここには色んな所から艦娘や人間が集まってますので、そちらに色々と配慮が必要となります。……とは言ってもそれは皆さんには関係ない事ですよね。できるだけそちらの都合を優先してそれっぽいところに着地させられるように相談してみます」

 

「うん、それでいいよ」

 

「ということでちょっと席外しますね。……天龍、皆さんを人目に触れないけど飽きがこないところ……そうだな、アークロイヤルが館長してる水族館にでも連れてってもらえるか?」

 

「……お? ああ、わかったぜ。それはいいけどよ、アークロイヤルの奴が機嫌損ねるんじゃねぇか? アイツの大事な場所に他所モンぞろぞろ引き連れてったらよ」

 

「施設を破壊とかしたらそうだろうけど、このお客さんたちなら大丈夫でしょ。落ち着いててもらえるように、食堂から大量に作ってある干し芋たくさん持ってきて支給してあげて。美味しいもの食べてる時は誰でもおとなしくなるもんだからさ」

 

「了解だぜ。しかしなぁ、深海棲艦のしかも艤装を落ち着かせるための適切な処置なんて、一瞬で出せるモンじゃねぇんだよな普通。流石は提督だぜ」

 

「褒められてるのは分かるけど、変人って言われてる気がしてちょっとモヤるな……」

 

「いいじゃねぇか変人でも。俺にとっても他のヤツにとっても替えの利かない人間なんだからよ」

 

「うーん……まぁいいかぁ」

 

 

 ちょっとモノ申したい気分を味わいながらも、天龍に後を任せて執務室に向かう鯉住くんなのであった。




鯉住くん「また深海からお客さんが来た」

秘書艦ズ「「「 えぇ……? 」」」

鯉住くん「政治的な理由で戦闘したフリがしたいんだって」

秘書艦ズ「「「 政治的な理由……??? 」」」
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