艦これ がんばれ鯉住くん   作:tamino

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待たせたな!(数年ぶり)

いや、なんかホントに待っててくれた人いるんですかね? すいませんねぇ……
PCが2台ほど代替わりして、設定詰め込んだ小説アプリがどっか行っちゃったりでね……

まぁ一度始めたものを終わらせないと、次に進むパワーも起きないのでね。なんとか完結までもっていきたいところです。


第186話 新しい出会い

 神風型による熱烈歓迎を受けた鯉住くん一行は、案内された部屋に荷物を置いた後にそれぞれ好き勝手に行動することにした。

 よそ様の鎮守府でそんな好き勝手してもいいのかという話だが、そこは自由人な鼎大将がトップである鎮守府。「別に身内じゃしええじゃろ」の一言で全施設立ち入り自由となった。あまりにも軍紀がゆるゆるである。ちなみに普通であれば規約的にもいろいろ問題なのだが、超絶万能優秀秘書艦である千歳が全部うまいことやったのでその辺の問題はすべて解決していたりする。

 

 鯉住くん一行の中でもこちらが古巣である面々は旧交を深めに、初めてこちらに来た面々は親交を深めにと、けっこう充実した時間を過ごしていた。名目的には慰安旅行、実質は新婚旅行だが、特に初見組では始めてきた場所についてはすごく興味深いところがあり、鯉住くんが誰かに常に拘束されるということはなかった。

 実際のところはそうしたそうな面々が別方向の興味により分散していたこともある。明石マートの現地視察に行った実は経営者の明石とか、千歳による秘書艦技能抜き打ちチェックを受けて冷や汗を流している叢雲&古鷹とか、こんなご時世でも頑張って運営していた宮島水族館に突撃していったアークロイヤルとか、統率されて一つの生き物のように動くハイレベルな工廠に興味津々な夕張とか、久しぶりの姉妹団らんで近くの街に出かけた初春(&子日)とか。

 そういったこともあり割と自由な鯉住くんは、工廠の先輩と話したり、食堂のおばちゃんと談笑したり、新しく入った工廠の後輩にちやほやされたりしていた。こちらにいた頃はほとんど艦娘とは交流がなかった(一部除く)ので、職員連中との交流ばかりなのだ。

 そうやって昔を懐かしみながらうろうろしている鯉住くんに、同じようにぶらぶら散歩していた鼎大将が話しかけてきた。

 

「やっほ。楽しそうにしてるようじゃの」

「おかげさまで羽を伸ばせてますよ。なんか初心を思い出せるので来てよかったです」

「ほっほっほ。そりゃ結構じゃのう。まだ童貞だったころのことを思い出せたようで何より」

「何言ってんすか提督は!? そもそもまだ童貞ですし!?」

「知っとる知っとる。さっさと抱いてやれって話をしとるんじゃ」

「ハァ……一応ですね、こんな情勢で、部下であり前線に立って戦う彼女たちに手出しするなんて不敬と思って我慢してるんですよ? それはもう必死でリビドーを抑えてるんですからね?」

「それも知っとるよ。まぁたいそうな的外れじゃが、妙に頑固な鯉住くんじゃ聞きゃせんじゃろうからその話は置いとくわい」

「的外れじゃないんだよなぁ……」

 

 ちなみに鼎大将が言う通りで、彼の意見が的外れなのは、艦娘尊敬フィルターがかかっている鯉住くん以外には周知の事実だったりする。

 

「それで提督、俺に話しかけてきたってことはなんかあるんですか?」

「おお、カンがいいのう。そうなんじゃよ」

「まぁ提督が俺に話しかけてくるときってだいたいそうですし。それで、何があるっていうんです?」

「いやー、新婚旅行中に悪いとは思ったんじゃが、火急の事態といえばそうなんじゃ。実はの、元帥殿の内密な相談で、この戦争にケリをつけに行かんかと打診があったんじゃ」

「へー……へぇぁっ!?」

 

 思ってたのの数倍大事な案件だったことに、鯉住くんは迫真の二度見をかました。

 深海棲艦との戦争(と世間では言われている争い)はずいぶんと前に口火を切られたのだが、人類側から決定打を加えられたのはここ最近になって初めてだ(ちょっと前の欧州遠征)。それまではなんとか文明の維持にギリギリなレベルの被害で押しとどめていただけであった。

 そんな情勢だというのに、元帥は何らかの決着を深海棲勢力とつけられるというのだ。そりゃもうびっくりするのも当然である。情報元があの頼りがいがあるというレベルではない元帥で、情報を持ってきたのが日本海軍トップ3に入る鼎大将というのも、この情報の正しさをガッチリ裏付けている。

 

「そういうわけでまた呉鎮守府の面々で会議するから、いろいろ決まったら鯉住くんにも協力してもらうことになるのう」

「それはいいっすけど、その会議俺も出なくていいんすか? いや、えらい人たちばっかの会議なんて、緊張するから出たくないってのが本音ですけど」

「通信ジャックして祭の映像流した傾奇者が何言っとるんじゃ。アレのせいで儂の腰が全治1週間になったんじゃよ?」

「う゛っ……いや、あれは明石が勝手に……」

「困った孫弟子じゃわい全く。まぁ無理に会議に出てもらわんでもええよ。せっかくの休みなのに仕事振るのもよくないじゃろ」

「は、はぁ。お心遣いありがとうございます」

「儂は今からその会議行ってくるから、お主がここにいる間にはなんか話振れるじゃろ。それまで嫁と仲良くしとくんじゃよ」

「いや、まぁ、それはそうさせてもらえると嬉しいですが、大事の前にそんな浮ついたことしてるのは申し訳ないといいますか……こちらのメンバーみんなに大仕事が控えてると伝えといたほうがいいでしょうか?」

「いらんいらん。そんなことよりもお前さん達がイチャコラする方が大事じゃよ」

「んなわけないでしょうが……」

 

 ため息をついて呆れる鯉住くんに背を向け、上機嫌で笑いながら鼎大将は去っていった。

 

「まぁ別に問題があるわけじゃないし、それでいいなら提督が言うようにしてりゃいいか……」

 

 

 ・・・

 

 

 そして特に鯉住くんに音沙汰があるわけでもなく、数日の時間がたった。

 その間に鯉住くんが予約していた店で買ってきた簪(かんざし)を初春にあげて大変喜ばれたり、その際のやり取りを初春本人から聞いた鳳翔さんに鯉住くんが激詰めされたり、旗風の伝手で仲良くなった漁師さんたちも交えて『呉第1鎮守府主催!瀬戸内釣り大会!』を開催したり、そこで優勝したアークロイヤルが漁師の皆さんに激烈な魚類活用論を叩きつけて震え上がらせたりと色々あったが、概ね当初の目論見通り全員が全員休暇を楽しむことができた。

 そんな感じでこちらの滞在もあとわずかとなってきたところ、ついに鼎大将から直々に呼び出しがかかった。鯉住くんも気構えはしていたので、やっときたかと思いつつ提督室へ向かった。

 

「ようきたのう。ずいぶん楽しんどったようで何よりじゃ」

「そうっすね。おかげでみんなでゆっくりさせてもらいました。それでどうです? 争いにケリがつくって言ってましたけど、なんとかなりそうです?」

「うむうむ、まぁなんとかなるじゃろ。というかなんとかするためにお主にも協力してもらうぞい」

「まぁそのつもりできたんでいいんですが……一体俺たちは何をすればいいんです?」

 

 事前に聞いていたところによれば、かなり大規模な動きが必要な作戦になるだろう。なにせ今までの争いを終わらせようというのだから。

 今度こそ、何かしらの覚悟をして臨まないといけないやもしれない。鯉住くんは無意識に生唾を飲み込み鼎大将の言葉を待つ。

 

「細かい話をすると面倒くさ……長くなるから、作戦までに必要なことをやってもらうことになる」

「今面倒くさいって言いました?」

 

 自分の覚悟は何だったのか。なんか思ったより余裕ありそうなので、ほっとしつつも鼎大将にジト目を向ける鯉住くん。

 

「言っとらんよ~。んで、作戦決行まではまだ時間があるから、下準備じゃな」

「物資や戦力の充実ですかね?」

「それも重要じゃが、ぶっちゃけ鯉住くんのところは戦力も物資も過剰なところがあるから、なんも用意してもらうものはないのう。それよりもじゃ。それだけ色々溜め込めたノウハウというか手腕をな、呉第2鎮守府のメンバーに仕込んでほしいんじゃよ」

「えーと……教導ってことですか。なんか自分たちが教える側にまわるのって新鮮ですね。っていうか呉第2って……!」

「うむ。お主の大学時代の教授でもあり、現役の提督でもある、そして何よりも羅針盤技術を確立させた艤装研究の第一人者として有名な、柳もろ子くんじゃよ」

 

 鯉住くんは大学時代に艤装のメンテ技師として活躍するために、柳教授の指導を受けていたことがある。その時から現役の提督だった彼女は、鯉住くんの非凡な努力を導き続けた彼にとっての大恩人であるのだ。当然鯉住くんからしたら、一生頭が上がらない相手のうちのひとりである。

 

「いやいやいやいや、無理ですって!! 俺ごときが柳先生に何か教えられることとかありえないですから!!」

「ホッホッホ! 思った通りの反応で満足じゃぞ!」

「この人俺をおもちゃにして遊んでやがる!!」

「まぁまぁ。呉第2鎮守府は柳くんが大学教授もしている関係で、副官の端間 九会(はたま くえ)中佐に実際の運用は任されているからのう。そこまで気負うことはないぞい」

「そ、そうなんですか……? 柳先生がいないならまだ……」

「大きい作戦の準備ということで、柳くんは戻っとるがのう」

「そんじゃダメじゃないですかヤダー!!!」

「ホッホッホ!!」

 

 めっちゃ冷や汗かいて頭を抱える鯉住くんである。鼎大将はからかい甲斐のある若者が大好きなのだ。

 

「ま、そういうことで休暇が終わったら……明日か明後日じゃったか? そうしたらお前さん達には呉第2に向かってもらおうかのう。あちらにはもう連絡してあるし、柳くんも久しぶりに鯉住くんに会えると聞いて楽しみにしとったぞ」

「うわー、突然すぎるっすわ……ていうかこっち来てるメンツだけでいいです? あっちに残ってくれてる北上、大井、足柄さんはいなくて大丈夫ですか?」

「うむ。お前さんのところのやり方が身についとる面々なら教えるのに問題なかろうし、頭数もだいぶそろっとるし問題ないじゃろ。当然ながら元深海棲艦の面々に対する理解もあるからの」

「それはありがたいですし、なんとかできるとは思いますが……気が重いなぁ」

「いつも通りでええよ。それが一番いい結果になるじゃろうし、なにより面白いじゃろ」

「面白いって、いっつもそれっすよね提督はね……ハァ、重要な作戦に関わるんだし、真面目にやりますけどぉ……」

「ホッホッホ! 期待しとるからのぅ!」

 

 ・・・

 

 そうやっておもちゃにされながらも承った任務のために、鯉住くんは任務詳細を秘書艦の千歳と擦り合わせたり、部下のみんなに準備を促したり、鎮守府で留守番してる面々に一報入れたりしていた。そんな感じで長期休暇で鈍ったカラダを慣らしながら時間を過ごしているうちに、約束の日となった。

 呉第1のメンバーに見送られて和歌山県にある呉第2鎮守府まで移動すると、あちらの官舎が見えてきた。海沿いに設けられた質素なブロック建築である。鯉住くんのところの鎮守府(日本家屋)(農村)(生簀)(製塩所)(酒造)(市民プール)とはえらい違いの一般的官舎だ。

 

「さて、ようやく着いたわね。アンタ、長ーいお休みで仕事勘が鈍っちゃいないでしょうね?」

「大丈夫だと思うよ、叢雲。なんだかんだ鼎大将から任務もらってからずっと動いてたしさ」

「ならいいんだけど……って、あら? 誰か鎮守府からこっちに来てるわね」

「わざわざ出迎えてくれるのかな? なんか悪いなぁ」

 

 そんな話をしている最中でも、あちらからの人影はこっちに向かってくる。どうやらひとりだけであり、船速と身の丈を見るに駆逐艦娘のようだ。

 そのまま鯉住くんたちが乗る船まで近づいてきた暫定呉第2所属の駆逐艦は、その身軽さを活かして巻き上がる波に乗って跳躍、なんとその勢いで甲板に乗り込んできた!

 

「おお、すごい身のこなしだ! さすがは柳先生のところの艦娘さんだなぁ」

「へぇ、結構やるみたいね。教えがいがあるじゃな……!?」

「う、うおわっ!?」

「ちょ、ちょっと!!」

 

 なんとその艦娘は、甲板に乗り込んできた勢いもそのままに、鯉住くんに抱き着いてきた!

 あまりに唐突な行動に、叢雲を筆頭に甲板に出ていた面々は驚くことしかできない。そんな突然の奇襲にも倒れず、鍛えた体幹でなんとか受け止め切った鯉住くんは、彼女が何者なのか確かめる。

 

「急に何を……というかキミはいったい!?」

「あなたがここに来てくれるのを、私は誰よりも待ってたのよ!」

「あ、えと、それはどういう……って、その艤装もしかして……!」

「やっっっっっと会えた! 陽炎よ!!」 

 







 描写を泣く泣くカットした呉第1でのやり取り

 鯉住くん「初春さんにも叢雲と同じくらい世話になったし、プレゼントをあげたいな。そうだ、呉の老舗の店でプレゼントを注文しておこう(べっこうのかんざしと櫛。最上品)」
 初春「こ、これは……(簪に櫛と言えば、婚約の際に渡すものではないか!)」
 鯉住くん「きれいな髪の毛だからそれに似合うと思って(他意がない)」
 初春「愛しておるぞー--!!」

 鯉住くん「日頃の感謝を込めてプレゼントしたんですよ(他意がない)」
 居酒屋女将・鳳翔「素晴らしいですね。結婚式はいつですか?」
 鯉住くん「仕事仲間としての感謝のしるしですので……それに愛されてるのはわかっていますが、初春さんを恋愛相手とみるのは抵抗が(見た目小学生を異性として見るのに未だに慣れていない)」
 鳳翔(鬼級)「簪と櫛を贈っておいてそのような口をきくんですか???? ……そこに正座しなさい(土間)」
 鯉住くん「ハイ……(説教3時間)」
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