艦これ がんばれ鯉住くん   作:tamino

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ひっさしぶりに艦これやってるんですが、通常海域で知らない艦娘いっぱいドロップして楽しいです。
朝日ちゃんちょっとセクシーがすぎないか? これだから練巡は……(先輩ふたりを見ながら)


第191話 おいでませトラック泊地

「初めまして尼子中将。いつも部下の三鷹さんにはお世話になっております。あ、これお土産です」

「……」

「あ、あれ? 何か問題ありましたか……?」

「……ハァ。貴方からすると、目の前のコレは問題ではないのね」

「これはまぁ、その……説明はしないとと思いましたが、先に挨拶をしとかないとと思いまして……」

「あなたから見れば、この光景はその程度の優先順位ということなのでしょう? 頭が痛くなってくるわね……」

 

 数日間の船旅を経て、トラック第1泊地のウェノ州に到着した鯉住くん一行。

 到着したタイミングが都合よく昼前だったので、そのまま挨拶を済ませようと尼子中将に打診して許可をもらった次第である。

 

 そうして始まった初顔合わせだが、鯉住くんは早速やらかしていた。

 具体的には、彼のおつきである妖精さん一行が張り切って、巨大な海水浄水器をドカンと設置したのだ。

 妖精さんたちが言うには『あいさつは、だいいちいんしょうがだいじ!』とのことだった。英国妖精さんは『ぜっかいのことうだから、まみずがよろこばれまーす!!』とか言ってた。

 

 言ってることはその通りなのだが、だからと言ってやりすぎだった。完成品のビジュアルと性能の破壊力がありすぎた。

 

 どうして海水取り込みに直径2mものクソデカホースが必要な出力のモンスターマシンを用意したのか。

 真水噴出口の方のクソデカホースから消防車の放水以上の勢いで放出されてる真水によって、なんか新しく池ができている。一方逆方向では海に向かって噴出されるとんでもない量の塩によって、海面がスコールの最中みたいに激しく打たれている。

 

 誰がどう見ても異常事態だったからこその、冒頭の尼子中将の指摘だった。しかし悲しいことに、鯉住くんからしたらこんなのよくあることだった。認識のズレが真水と一緒に噴出してしまった形になる。

 

「大規模作戦の最中に本部の通信ジャックして花火大会の映像流してくるし、あの三鷹くんからとんでもない信頼を置かれてるしで、私としてもある程度の覚悟はしていたのよ? けれどもこうして実際に相手してみると……私じゃどうにもできないわね」

「いや、あの、こちらとしては普通の提督同士の付き合いをしたいかなって……」

「普通の提督はね。勝手に人の鎮守府にあんな大きな機械を置いたりしないのよ」

「ごもっともです……」

「貴方気づいてないでしょうから細かいところまで言うとね、普通の提督は挨拶でお茶菓子なんて持ってこないの」

「……えっ!?」

「伊良湖謹製の和菓子なんてありがたいものを持ってきてくれたから、そこはいいんだけど」

「そんな……これって普通のことなんじゃ……!?」

 

 どうでもいい部分でよくわかんないほどショックを受けている鯉住くんを見て、ため息をつく尼子中将。そんなこと気にするくらいなら、目の前で大瀑布よろしく轟音を立てている降り注ぐ大水を気にしてほしい。

 いや、確かに真水はありがたいことこの上ないのだが、限度ってものがあるだろう。横にいるトラック第1泊地・筆頭秘書艦の矢矧も、いつもの凛とした態度を保てず呆気に取られている。

 

 こんな常識外れな光景を作り出されても、そこは元一流女優にして現トラック泊地の頭を張る女傑である尼子中将。やれやれとため息をつきながら頭を振るだけで、気持ちを切り替えることにした。

 

「この際もう細かいことは気にしないわよ。貴方のやることにいちいち口を挟むのは得策じゃないわ。好きなようにおやりなさい」

「ええと、好きなように、というのは?」

「貴方のような私の器に収まらない大物はね、ニコニコ笑って話を聞いてあげるだけでいいのよ。あとは何が起こってもうなづいてあげれば、それだけでいいの。だから、好きなようにおやりなさいな。何かあったら一緒に謝ってあげる」

「えーと……ということは、俺はどうしたら……?」

「もっと自信持ちなさいな。貴方たちの宿舎と作戦会議の日だけ教えてあげるから、あとは好きになさい」

「あ、ありがとうございます」

 

 後はよろしくと秘書艦の矢矧に案内を任せ、尼子中将は鎮守府まで戻っていってしまった。伊郷元帥ほどではないが、彼女も相当に肝が据わっている。

 後に残された鯉住くんと矢矧は互いに目を見合わせ、申し訳なさそうに改めて会釈する。

 

「提督がすみません。いつもああしてマイペースなんです」

「いえいえ、元帥みたいで頼もしいじゃないですか。俺もああいうかっこいい大人になりたいなぁ」

「鯉住少将では、その……鯉住少将には鯉住少将の魅力があると思います」

「なんだか俺フォローされてません?」

「気のせいですよ、気のせいです」

 

 なんか釈然としない鯉住くんだったが、部下のみんなを連絡船で待たせていることもあって、余計なことは言わず部下たち全員と矢矧の指示通りに宿舎に入っていくのだった。

 

 ……

 

 秘書艦である矢矧から案内され、宿舎に入った鯉住くん一行。いい感じの部屋割りを終えた後は自由時間となった。

 ラバウルはトラック泊地から近かったので、他鎮守府の面々の中では鯉住くんたちが一番乗りだったからだ。つまりほかのメンバーが来るまで暇なのである。

 

 そんなこんなで自分の時間ができた鯉住くん。彼はせっかくトラックまで来たのだからと、三鷹提督一行にも挨拶に行くことにした。

 三鷹提督率いるトラック第5泊地のメンバーは、もうすでにこちらの第1泊地に到着してのんびりしている。

 

 ちなみにお付きの秘書艦や部下はおらず、彼一人での行動である。

 普段だったら秘書艦である叢雲か古鷹が付き添いで同行する場面なのだが、初めてくる鎮守府を好きに見てよいとのお墨付きも矢矧からもらっていたり、自分たちよりも地位が高いトラック第1泊地メンバーに挨拶しておかないといけなかったり、自分たちのやるべきこと、やりたいことを優先した形になる。

 

 もっとも、叢雲は最後まで『筆頭秘書艦の私がアイツと一緒に挨拶しないでどうするのよ』と息巻いていたのだが、古鷹の『第1泊地の皆さんへの外交の方が大事だと思いますけど……』との正論を受けて、渋々そうすることにしたという経緯がある。

 鯉住くんとしては、研修以来会えていなかったトラック第5の面々が来ていると聞いていたので、再会を懐かしむためにも古鷹の判断は正直助かったのだとか。これを言うと叢雲が拗ねるので口には出さないが。

 

 そうして三鷹提督率いるトラック第5泊地メンバーが宿泊している宿泊棟までやってきた鯉住くんは、エントランスロビーでそれはもうにぎやかな歓迎を受けていた。

 

「やあやあ龍太くん! キミの方からこっちに来てくれるだなんて嬉しいなぁ!!」

「いやそんな三鷹さん、普段からお世話になってるんだから当然ですよ。それにいっつも足を運んでいただいちゃってるので」

「まあまあそんな堅苦しいのはいいからさ! みんなだって龍太くんに会いたいって思ってたんだよ? ね~、電ちゃん!」

「はいなのです! お久しぶりに龍太さんに会えて、電もとっても嬉しいのです!!」

「そう言ってもらえてこっちも嬉しいですよ、電さん」

 

 最初に出迎えてくれた三鷹提督と、その初期艦である駆逐艦・電は、ふたりともそれはもうニッコニコだった。

 三鷹提督は言わずもがな鯉住くんに対してクソデカ信頼を置いているし、電からしてもそれは同じである。

 

「龍太さんは本当にすごいのです! 電の目指す理想は、龍太さんがほとんど叶えてくれているのです! 八紘一宇の志なのです!」

「そんな、褒めすぎですよ電さん。俺には俺のできることしかできないですから」

「謙遜しないでほしいのです!」

 

 ヒマワリのような笑顔でこぶしをブンブンしながら褒めそやす電と、彼女の目線に合わせるためにかがみながら手を頭後ろに当てて照れている鯉住くん。そしてその光景を『平和な世界だね……』と呟きながら満面の笑みで眺めている三鷹提督。

 三鷹提督は心の中で『龍太くん、電ちゃんもお嫁さんにもらってくれないかな?』とかいう、鯉住くんが聞いたら表情が凍り付きそうなことを考えていたのだが、それを除けば実に微笑ましい空間が展開されていた。

 

「それにしても三鷹さん、教えてもらった今回の作戦参加メンバーって、あんまり戦闘要員がいない気がするんですけど……?」

「ああ、そのこと? 僕たちの鎮守府は前線には立たない予定だからね」

「やっぱりそうなんですね」

 

 鯉住くんは今回の三鷹提督の参加メンバーを事前に教えてもらっていたのだが、そのリストを見るとどうにも戦闘は厳しいんじゃないかと思わざるを得ない面々だった。

 

 具体的には、

 初期艦であり平和主義でもある戦闘は不得意な電、

 不運により敵から尋常でなく狙われやすいため戦闘は不得意な翔鶴、

 常に謎の体調不良に苦しめられているため戦闘どころじゃない狭霧、

 この世ならざるものが常に見えるせいで戦闘どころじゃない山風、

 果物で釣られて転化体となった戦闘に興味のない阿賀野、

 そして、戦闘になると主砲が機能不全となる扶桑。

 

 艦種で言えば、航空戦艦2、正規空母1、軽巡1、駆逐3と、火力制空水雷戦と抜けがないメンバーなのだが、それぞれの個性を考えると戦闘は厳しいと言わざるを得なかった。

 だからこそ鯉住くんは、クエスチョンマークを頭に浮かべていたのだが、先ほどの三鷹提督の話を聞いて納得した。あくまで支援艦隊としての戦闘程度なら問題はないだろうからだ。

 

「正直言って、今回のメンバーどうこう以前に、僕たちの鎮守府は戦闘って苦手なんだよね。むっちゃん(陸奥)や大鳳ちゃん(大鳳)くらいしか、超強い相手に対抗できないからさ。それにしたって色々特殊な事前準備を整えてからだし」

「陸奥さんは1日1爆発の感覚的な調整、大鳳さんは艦載機が墜落しないための儀式めいた調整ですよね?」

「そうそう。本人にしかわかんない感覚的なものだからこっちは手伝えないんだよね」

「だから連戦は苦手だって本人たちから聞いたことあります。大変ですよねぇ」

「ホントだよね。龍太くんみたいに戦わずに解決できたらいいんだけどさ、僕はそんなにできた人間じゃないから」

「いえいえいえ、ウチだって普通の相手とはちゃんと戦ってますから……」

 

 久しぶりに会ってゆっくりしゃべれるからか、提督同士の会話がなかなか弾んでいる。

 しかし鯉住くんは三鷹提督の鎮守府でも人気者だっただけあり、ここにはいないメンバーも今は自室で会いに来てくれるのを待ちわびている状態。いつまでも談笑していては、首を長くしている面々からのちのちに非難の視線を浴びてしまう。

 その辺りを分かっている電は、話を切り出すことにした。

 

「司令官さんも龍太さんも、積もる話があるのはわかりますけどその辺りにしてほしいのです! みんなも龍太さんとお話ししたくて待っているのです!」

「ああ、それもそうだったね。僕たちだけで龍太くんを捕まえちゃっててもいけないか。それじゃ他のみんなのところに案内するから、ついてきてね」

「はい、よろしくお願いします。いやぁ、久しぶりに会える人たちも多いから楽しみだなぁ」

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