艦これ がんばれ鯉住くん   作:tamino

3 / 194
鯉住君のペットは
福ちゃん(ミドリフグ)
ハッちゃん(ハチノジフグ)
ムーブ(テトラオドン・ムブ)
箱助(テトラオドン・ミウルス)
の4匹です。
全部フグです。


第3話

そっけない(そっけなくなってしまった)昼飯を食べて、工廠に向かう。

午後の仕事はこれからだってのに、これでもつかなぁ……

 

(ふぁいといっぱつです)

 

(さっさとやろう)

 

(よわねははいちゃだめ)

 

こいつら……

俺の昼飯が質素になったのは誰のせいだと思っているのか……

 

 

せめてもの反抗として、

妖精さんたちのほっぺをぶにぶにしながら工廠に入ると、

一人の艦娘が足をパタパタさせながら座っていた。

 

??「お、来たか、貴様。待っておったぞ」

 

鯉住「何かありました?初春さん」

 

 

彼女は初春型1番艦駆逐艦「初春」。

俺が担当している駆逐艦であり、初春型ネームシップだ。

 

特徴は……もうなんかたくさんありすぎてすごい。

 

まず目につくのは、どんだけ長いの?ってくらい長い髪。

身長より長いんじゃないの?それ。毛根強すぎだろ。

 

そしてお姫様みたいな口調。

眉毛は麻呂みたいだし、扇持ってるし。

ていうかその扇、鉄でできてない?

その鉄扇で、普段から深海棲艦と殴り合いしてんの?RPGか何か?

 

あと何故か超ミニのワンピースを着ている。

確かに小学生くらいの見た目だから、

ワカメちゃんスタイルはおかしくもなんともないんだが、違和感がすごい。

ミスマッチがすごい。なんかこのギャップがウケる層にはウケそうだけど。

 

 

初春「のう、貴様。

よもやわらわに対して失礼なことを考えていないかのう……?」

 

鯉住「そんなことありませんです。はい。」

 

 

また読まれた。この子もエスパーかよ。

 

 

鯉住「というか初春さん……

その服装で足をパタパタさせないで下さい……」

 

初春「ん?何故じゃ?」

 

鯉住「自覚がないんですか……

とにかくおとなしくするか、立つかしてください」

 

パンツ見えそうなんだもの。

 

(せくはらです)

 

(みそこないました)

 

(このむっつり)

 

直接言ってないからセーフだろが!

誰がむっつりだこの唐揚げ泥棒!

 

初春「よくわからんが、わかった」

 

そういうとピョンッと椅子から飛び降りて、こっちに近づいてきた。

挙動は完全に小学校中学年くらいなのに、

なんなんだろうね?この色っぽい感じ。

 

(ろりこんだ)

 

(ろりこんあにき)

 

(けんぺいあんけんですか?)

 

やかましいわ!憲兵案件は唐揚げの窃盗罪だろうが!

考えるのは自由なの!行動とか発言に移したらアウトなの!

ていうかロリコンと違うわ!!

俺は綺麗なお姉さんが好きなの!小学生は対象外!

ここの鎮守府の駆逐艦は何故か色気ある子が多いけど、対象外なの!

ドゥーユーアンダスタンンンンン!?

 

初春「何じゃ急に黙って妖精さんと見つめあって……

何か話してたのか?」

 

鯉住「あ、い、いや、すいません、何でもないです」

 

初春「そうなのか?それなら伝えることを伝えるぞ?」

 

鯉住「あっはい。なんでしょう?」

 

初春「今日の午後の遠征なんだがの、中止になったのじゃ」

 

鯉住「遠征中止ですか?めずらしいですね」

 

初春「まあのう。理由は軍事機密なので言えんが……」

 

鯉住「それはそうですよね」

 

艦娘はみんな軍人扱いであるため、

一介の技術屋である自分とは触れられる情報が違う。

当然俺が軍事機密を知ることはできないし、

そんなもの知ってしまっても厄介だから、知らない方がいい。

 

初春「まあ貴様になら話してもいいか。提督候補じゃからのう」

 

鯉住「ファッ!?」

 

何言ってんだこいつ!?

自分で軍事機密って言ったろ!話していいわけないだろ!

ていうか提督候補って何だ!?

俺は丁重にお断りし続けてるんですがねぇ!?

 

鯉住「ちょ、ちょっと!軍事機密なんて知らなくていいですから!」

 

初春「実はのう、周辺海域で未確認の深海棲艦反応が出たんじゃよ」

 

鯉住「聞いちゃいねぇ!!」

 

初春「それでその反応があった地点がな、遠征ルートと被っておったのじゃ。

それで今日の遠征はひとまず中止。わらわたち初春型は待機になったんじゃよ」

 

鯉住「へ、へぇー……そうなんですかー……」

 

初春「だからわらわたちは午後から暇。

そこでわらわは報告がてら、

貴様の仕事ぶりを見ようと工廠まで足を運んだ、というわけじゃ」

 

鯉住「は、はぁ」

 

初春「あ、もしや貴様、後学のために提督の指揮を見たいのか?

もうすぐしたら呉第一鎮守府、第一艦隊が出撃するぞ?」

 

鯉住「ふぇ!?な、何でそうなるんですか!?後学のためって何ですか!?」

 

初春「遠慮せずともよいぞ?我が鎮守府の提督は大将じゃ。

その指揮はわらわたちも、うんと信用しておる。

貴様が独り立ちする際には、必ず参考になる」

 

鯉住「会話がかみ合わない!」

 

ダメだこの駆逐艦!マイペースすぎる!

フフ、話を聞いてくれません!

妖精さんかよ!麻呂眉妖精か何かかよ!

 

(またしつれいなことかんがえてる)

 

(しんせつでいってくれてるのに)

 

(おとめのあつかいがわかってない)

 

アレは乙女じゃねえよ!人の話を聞かない小学生だよ!

なんで技術屋の俺が新米提督みたいな扱いされてんだよ!

 

ンッフゥー……ここは落ち着け……落ち着くんだ……!

いくら大人びているとは言っても、相手は小学生(相当)……

いい大人が小学生にムキになってしまっては、

それこそ大人げないというものだ……

 

ここは大人の余裕をもって対処すべきそうすべき。

 

鯉住「提督の指揮が素晴らしいのは知っていますが、

俺は提督になる気はないですし、午後からの仕事もありますし……」

 

初春「ぶー、つまらんのう……」

 

ほっぺを膨らませて拗ねている。かわいい。

 

(やっぱりろりこん)

 

やかましいです。違います。

 

鯉住「とにかく、初春さんは俺の仕事を見ていくってことでいいんですか?」

 

初春「邪魔にならないなら、そうしたいところじゃ」

 

鯉住「構いませんよ。でもいいんですか?

艤装のメンテなんて、見ていて楽しいものではないですよ?」

 

初春「いいんじゃよ。艤装は艦娘の命。

それを調整してもらっているのだから、見ていて退屈など思うはずもない」

 

鯉住「おぉ……」

 

初春「? 何を感心しておるのじゃ?」

 

鯉住「いや、何か……すごくまともなことを言ってるのが意外で……」

 

初春「……ほう?貴様、わらわの事をどう見ているのじゃ……?」

 

鯉住「あっ……」

 

や、やばい!あんまりまともな発言だったから、つい本音が漏れてしまった!

正直に思ってることを伝えたら、この小学生は絶対拗ねるか怒るかして

やたら面倒なことになってしまう!

昼飯の時の大将ショックからまだ立ち直り切れていない今、

そんなメンタルをゴリゴリ削られるような状況を招くのは愚の極み!

ここはうまいこと口八丁で切り抜けるしかない!!

 

鯉住「い、いえ!そんな初春さんが思ってるようなことは思ってません!

いつも守ってもらってる艦娘の皆さんに対して

そんな失礼な事考えてるわけないじゃないですかやだなぁ!!」

 

初春「ふーん……本当かのう……?」

 

鯉住「当然ですよ!初春さんたちが毎日のように長時間遠征に出ているのも、

鎮守府の資材を集めるため、つまりは他の頑張っている皆のためなんでしょう!?

そんな初春さんのことを俺は尊敬してるんですから!」

 

初春「そ、そうなのか?」

 

鯉住「そうです!俺は貴女と一緒に居られてよかったと思ってますよ!」

 

初春「えっ……!? ふ、ふーん……そこまで言われたら、許してやるしかないのう」

 

鯉住「ありがとうございます!初春さんの事を悪く思う奴なんていませんよ!!」

 

よし!何とかごまかせた!

なんか自分でもよくわからないことをべらべらとしゃべっちゃったけど、

なにも問題はないはず!

嘘もついてないし!普段から思ってることしか言ってないし!

 

これで今日の午後は平穏無事に仕事ができるぞ……!!

 

初春「そ、それじゃ失礼するぞ」

 

ズリズリ……

 

鯉住「……ん?」

 

んんん?

なんでこの子は椅子を持ってきて、俺の椅子の隣に並べるのかな?

距離感近くない?あれ?俺の感覚が変なの?

 

(あなたのかんかくはおかしい)

 

(やっぱりろりこん)

 

(このたらし)

 

ちょっと君たちは静かにしてて。今俺余裕ないから。

 

鯉住「えーと……初春さん?近くないでしょうか?」

 

初春「わ、わらわと居られてよかったと思っているんじゃろ?

だったらこのくらい、よ、良いではないか」

 

鯉住「ええ……まぁ……構いませんが」

 

初春「そ、それにこちらの方が仕事がよく見えるからのう!

わらわの艤装のメンテナンスなんじゃから、しっかり見ないとのう!」

 

鯉住「えーと……はい。ご立派だと思います」

 

初春「そ、そうじゃろう?」

 

何だこの空気?

さっきまでのマイペース小学生は一体どこへ行ったのか。

ここに来て大人の俺と一緒にいるのが恥ずかしくなったのか?

そんなに恥ずかしいなら椅子離せばいいのに……

 

(ちがう、そうじゃない)

 

(おとめごころがつたわらない)

 

(ざんねんなおとこです)

 

うるさいな唐揚げ泥棒。人の事をダメ男呼ばわりしないように。

おやつ抜きにしますよ。

 

(((すいませんでした)))

 

わかればよろしい。

 

……まあもじもじしてる理由なんてなんでもいいか。

自分の艤装メンテをしっかり見ておきたいなんて、素晴らしいことだしね。

 

技術屋としては、そういう姿勢で道具を大事にしてくれるのは

本当に嬉しいことなんだよなあ。

こっちとしても自分の仕事に興味を持ってくれるのはありがたいことだし。

 

隣でプルプルしている初春さんを見ると、

うちのペットの福ちゃん(ミドリフグ)を思い出す。

帰って電気をつけると、胸ビレをプルプルさせて出迎えてくれるのだ。

ソーキュート。

 

鯉住「よっしゃ。

今日はお客様もいることだし、気合入れていきましょ」

 

(((おー)))

 

初春「よ、よきにはからうんじゃぞ」

 

 

恋する乙女とペットのフグを比べるという

無礼千万な思考の持ち主、鯉住君。

 

彼の午後の仕事が始まるのだった。




アツい視線を浴びながらのメンテナンスを無事に終えられることができるのか!?

次回「子日死す」!

お楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。