艦これ がんばれ鯉住くん   作:tamino

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ケッコンカッコカリについて

この世界でも実装はされているのですが、ゲームとは少し仕様が違います。
こちらでは練度99になっていなくても、装備することができます。
というかそもそも練度99艦娘がほぼいません。大本営最強の大和ですら、練度90です。
1日に1出撃とか2演習が限界なので、経験値の取得が難しいというのもあります。

その効果は練度にして5~10ほど上がるというもの。有用っちゃあ有用です。
上限解放についてはよくわかっていないというのが現状です。

ちなみに誰でも装備できるわけでなく、上司である提督と相当信頼関係が築けていないと、その効果は発揮されないようです。




第31話

 

 

衝撃的な大和との会話から一晩明け、ようやく正常な思考回路に戻った鯉住君。

龍田の言う通り、冷静になってみれば、自分が処刑されるとか、そんなことあるはずがない。

想定外が起こったとき冷静でいられないのは、自分の良くないところだなぁ、と反省する。

 

そして反省と言えば、昨日天龍と龍田に多大な迷惑をかけてしまった。

何かしらの埋め合わせをしなければならない。

そしてついでというわけではないが、秘書艦のふたりにも埋め合わせが必要だろう。

取り乱してしまったのは3人とも同じだが、あそこは上司である自分が冷静でいなければならなかった場面だ。

 

……それにふたりが必死になって自分を庇おうとしてくれたのは、本当に嬉しかった。

あのプライドの高い叢雲が、土下座も辞さない、とまで言ってくれたのだ。

提督としてではなく、ひとりの人間として、これには応えないといけないだろう。

 

 

「埋め合わせ……こういう時は、相手が喜ぶものを贈るのが無難かな」

 

 

幸い今日は出撃も遠征も予定になく、近隣哨戒が2時間ほどあるだけだ。

仕事がほとんどない上、少しだけある書類は、今日の秘書艦の古鷹が整理してくれるだろう。

港の雑貨店まで行ってお土産を買う時間くらいなら十分ある。

こういったお詫び・お礼は早い方がいいし、今日は外出の絶好の機会。となれば行くしかあるまい。

 

 

……しかし少しだけ問題が。

どうにも鯉住君はそういったプレゼントには疎く、女の子が喜ぶものを選ぼうとしても、自信がないのだ。

 

 

「となると、やっぱりセンスがいい子に聞くのが一番か……」

 

 

今日は鎮守府全体がのんびりした日なので、その辺を探せば、誰かしら見つかるだろう。

 

 

 

・・・

 

 

 

鯉住君はまず娯楽室(茶の間)を訪れることにした。

娯楽室にいる子なら、本格的に暇している可能性が高いからだ。そういう子になら業務外のことでも頼みやすい。

 

 

「誰かいればいいんだけどな、っと」

 

 

すぅーっ……たんっ

 

 

鯉住君が娯楽室のふすまを開くと、予想通りふたりの艦娘がだらだらしていた。

 

 

「あ、提督じゃん。やっほ~」

 

「ししょ……提督じゃないですか!

どうしたんですか? お茶の間に来るなんて、珍しいですね!」

 

 

雑談していたのは、北上と夕張だった。

 

このふたりは結構一緒にいるところを見る。

 

北上は大井と居なければ夕張と居る。夕張は古鷹と居なければ北上と居る。そんなイメージである。

ふたりとも機械に興味があるので、共通の話題で盛り上がるのだろう。

鯉住君としても気になる話題なので、いつか会話の輪に混ぜてもらいたいと思っている。

 

 

「ふたりとも、今暇かい?」

 

「ん~? 暇だよ~」

 

「私は午後から艤装メンテの練習する予定ですけど、今は暇ですよ。

というか、どうしたんですか? 何かお手伝いすることあります?」

 

 

ふたりとも暇しているようだ。

これなら少しこちらに付き合ってもらっても、問題ないだろう。

 

 

「そうなんだよ。昨日秘書艦の2人と天龍龍田に迷惑かけちゃってね……

それで何か贈り物をしようと思うんだけど、何を選んでいいのかわからず……」

 

「はっは~ん。それでアタシたちのナイスなセンスに頼りたいってわけね~。

ていうか提督、昨日はすごかったじゃん?」

 

「う……見てたのか……?」

 

「アタシじゃなくて大井っちが見てたみたい。偶然通りかかったんだって。

3人ともエライ取り乱しようだったみたいじゃんか。

大井っちがドン引きしたって言ってたよ~」

 

 

ニヤニヤしながらこちらを煽ってくる北上。

正直あれは3人にとって汚点以外の何物でもないので、一刻も早く忘れてもらいたい。

 

 

「まぁ、その、何だ……忘れてほしい……」

 

「どうしよっかな~。忘れられるかは提督次第ってとこかな~」

 

 

き、北上……! 人の弱みにつけ込むとは、したたかな奴め……!

 

 

「……何が望みだ?」

 

「ふっふ~ん。まぁそんな大したことじゃないよ。

なんかプレゼント買いに行こうと思ってるんでしょ?今日みんな暇だし。

アタシも一緒に連れてってよ。そんでなんか買ってよ」

 

「まぁ、それくらいなら……」

 

「アタシがいたほうがプレゼント選べるし、丁度いいっしょ?」

 

「……そうだな。それじゃ午後から一緒に行くか」

 

「いいねぇ~!痺れるね~」

 

 

一連の交渉で北上が一緒についてくることになった。

足がないため、艦娘ひとりでは町に出かけることができない。

だからチャンスがあればお出かけしたい、という気持ちはよくわかる。

 

話がまとまったと思った矢先、夕張から横やりが入る。

 

 

「ず、ずるいわっ!北上さんだけっ!

私だって提督と一緒にお出かけしたいっ! 私も連れてってくださいっ!」

 

 

どうやら夕張も町まで遊びに行きたかったようだ。

やっぱり艦娘の間ではお出かけ願望が高まっているんだろうか……?

 

確かに悪い言い方だが、部下たちは鎮守府に軟禁状態と言ってもよい現状だ。

これは近いうちに、ストレス発散のために、外出イベントを企画しないといけないかもな。

 

それはそれとして……

 

 

「夕張、キミはだめです」

 

「うえっ!? な、何でですかっ!?」

 

「午後から艤装メンテの練習するんだろう? だったらそっちを優先しないとダメです」

 

「い、1日くらいなら大丈夫です! 明日に今日の分まで練習すれば、大丈夫です!

だから私も提督と出かけたいです!」

 

「遊びに行きたいのはわかるけど、ダメ。

こういうのは『毎日やる』っていうのが一番大事なの。例外を作っちゃダメです」

 

「そ、そんなぁ……」

 

 

ちょっと厳しかったか? 夕張は涙目になっている。

 

でもやっぱりそこは譲れない。雨が降ろうが槍が降ろうが、毎日毎日継続すること。

そうすることでしか、自分を高みに持っていくことはできないのだ。

 

今は大変かもしれないけど、それに体が慣れ、近いうちに習慣になる。

そして習慣が続くと、いつの間にか信じられないほどレベルアップすることになる。

 

一番辛いのは今なんだ。

ちょっとお出かけしたい、くらいで、その辛い期間を延ばしてはいけない。

 

 

……ちなみに鯉住君はそんなことを考えているので、弟子の夕張のスケジュールは、自主練の時間が毎日とれるように組んでいる。

ぶっちゃけ職権乱用である。過保護である。

 

しかし親の心子知らず、師匠の心弟子知らず。

提督と一緒に出掛けたい一心の夕張には、その秘めた思いは届かないのだった。

 

 

「うぅ……提督のいじわるぅ……」

 

「いやいや、意地悪では……」

 

「まま、バリっちはいいじゃんか。たまに提督とふたりっきりで密会してるんだしさ」

 

「なな、何故北上さんがそれを……! ていうか密会じゃありません!修行ですっ!

たまに提督に見てもらってるの、バレてたの!?」

 

「逆にどうしてバレてないと思ってたのさ……

工廠にふたりして何時間も籠ってんだから、何かあるって思うっしょ。普通。

ほとんどみんな知ってるからね?」

 

「あ―……たまに工廠まで来て挨拶してく子がいたのは、様子を見に来てたからなのか……」

 

「えぇっ!? 提督も気づいてたんですか!? 言ってくださいよぉ!」

 

「いや……夕張すごい集中してたから、邪魔しちゃいけないと思って……」

 

「あぁもう、恥ずかしい……!!」

 

「そんな恥ずかしいことじゃないと思うんだけど……」

 

 

夕張は赤面してあたふたしている。

そんなに修行している姿を見られるのが恥ずかしかったのだろうか?

自分の努力は隠しておきたいタイプなのだろうか?

 

そういうことなら、次からは他の子の目に触れないよう、もうちょっと奥まったところで指導することにしよう。

こういった気配りも、師匠という立場には必要なんだろうな。

 

 

「そういうわけでさ、アタシもたまには提督とデートしたいってこと。

バリっちばっかりずるい~っ、てね」

 

「北上、キミ、デートて」

 

「女の子とふたりで出かけるんだよ? デートじゃなきゃなんだってのさ?

あきらめて午後はアタシに付き合うんだね」

 

「……ま、細かいことはいいか。よろしく頼むよ」

 

「この北上様にお任せあれ~」

 

「うぅ……!うぅぅ~っ!! ずる゛い゛~!!」

 

 

 

・・・

 

 

 

ブロロロ……

 

 

その後鯉住君は、なんとかゴネる夕張を納得させ、北上とふたりで買い物にでかけることができた。

車内で北上と贈り物の相談をしているのだが、彼女からは色々とアイデアが出てくる。

 

叢雲が最近コーヒーに凝っているから、コーヒーメーカーや珍しい豆がいいだろう、とか、

古鷹は物より思い出タイプだから、それに関係したものを贈るといい、とか、

天龍龍田はお揃いのプレゼントだと龍田が喜ぶから、ふたりとも満足できるものを選ぶのがいい、とか。

 

正直言って、鯉住君だけではここまで気の利いた発想は出てこなかった。

小さい女の子にあげるプレゼントとか、業務上必要な気配りとかには、かなり自信がある彼である。

しかしひとりの女性へのプレゼントとなると、途端に気が回らなくなってしまうのだ。

女性経験がほぼ皆無なことが、ここに来て響いたようである。

 

だから北上に頼った判断は大正解と言ってよい。北上様様様といったところか。

 

 

「なるほどなぁ……北上が来てくれて助かったよ。

俺ひとりじゃそんな気の利いた考えは出てこなかった」

 

「でしょ~? アタシ頼りになるっしょ?」

 

「いやホントに。……ところで北上」

 

「ん?どったの?」

 

「キミはどんなものが欲しいんだ?

せっかくたまの休みに、ここまで協力してくれたんだ。少しいいものを買ってあげるよ」

 

「アタシ? ……提督が一番アタシに似合いそうって思ったものでいいよ?」

 

「う……難しいことを言うなぁ……

せっかく一緒に来てるんだから、自分で選んでくれると助かるんだけど……」

 

「ダメダメ。デートで一緒に来た女の子へのプレゼントを相手に選ばせるなんて、ダメダメのダメだよ」

 

「それはそうだけど……い、いや、だからデートでは……」

 

「あ、もちろん大井っちの分も選んでよね?

あの子も提督に何かもらったら、絶対喜ぶからさ~」

 

「お、大井が……? そんなに気を許してもらえてるとは思えないんだけど……」

 

「ないわ~ 提督見る目ないわ~」

 

「キミの言うことは、どこまで本気でどこまで冗談かわからないな……」

 

「アタシはいつでも超本気だってば。ばっちこ~いってね~」

 

「ホントかなぁ……」

 

 

とりとめのない会話を楽しみつつ、ふたりは港へと向かうのだった。

 

 

 

・・・

 

 

 

車で約30分。港に到着したふたり。

 

 

「さっそくお土産を見に行こうか、と言いたいところだけど……」

 

「なんかやることでもあんの?」

 

「一応ね。明後日定期連絡船に乗らなきゃいけないから、一報入れとかなきゃと思って」

 

「あ~、それじゃアタシがやっとくから、提督はプレゼント選んでなよ」

 

「それは申し訳ないよ。俺が行く」

 

「自分が贈ろうってプレゼントを、アタシに選ばせちゃ意味ないじゃん。

提督はさっさとお店に行って、うんうん悩んでるんだね~」

 

 

北上はそういうと鯉住君の返事も待たず、ひらひらと手を振りながら、乗船事務所の方まで歩いて行ってしまった。

置き去りにされた鯉住君は、北上には敵わないな、と思いつつ、雑貨屋へ足を向ける。

 

 

 

・・・

 

 

 

北上が報告を済ませてくれたおかげで、鯉住君はあらかた贈り物を選ぶことができた。

 

叢雲には、三鷹青果ブランドの完全無農薬コーヒー豆。

古鷹には、写真印刷用インクジェットプリント紙。

天龍龍田には、高級手ぬぐい。天龍へのものには、登り龍がプリントされており(土産物屋で外国人向けに置いてあるアレ)、龍田のものには、彼女の髪と同じ薄紫と白の市松模様がプリントされている。

 

あとは北上と大井への贈り物を選ぶだけだ……

 

 

「おーい、提督~。プレゼント決まった~?」

 

「お、北上。問題なく報告はできたか?」

 

「ガキんちょじゃないんだから、それくらい、らっくしょ~よ」

 

「そうか。ありがとな」

 

「それより提督さ、プレゼント決まったの?

なんかいろいろ持ってるけど、それがそう?」

 

 

北上が視線を落とした先には、鯉住君が手に持つ買い物カゴと、そこに入った中身。

 

 

「そうそう。北上もチェックしてみてくれないか?

正直自分のセンスに自信がないんだ。女の子であるキミの意見を聞きたい」

 

「いいよ~。それじゃ提督のセンスを堪能させてもらいましょうかね」

 

「怖い言い方するなよ……」

 

 

・・・

 

 

チェック中

 

 

・・・

 

 

「うん……なんていうか……提督らしいね……」

 

「それどういう意味!?」

 

 

一通りプレゼントチェックを終えた北上は、何とも言えない表情をしている。

 

 

「いや、うん……まぁ、そうねぇ……

提督らしくていいんじゃないかな……? うん……」

 

「なにその反応! どんだけ思うところがあるの!?」

 

「なんていうかね……これはアレだね……

女の子に対するプレゼントではないね……旅行のお土産とかそういう部類だね……

 

たっちゃんのプレゼントはいい感じだけど、手ぬぐいって……

それに天龍用の手ぬぐいの柄、何これ? ネタに走りたいの?

ムラっちとフルちゃんに至っては事務備品だし……」

 

「そ、そうなのか……?実用的でいいと思うんだけど……」

 

「あのね、そんなだからダメなんだよ……ダメダメだよ……

実用的なのはいいけどね、実用性に偏りすぎてるんだよ……

正直言って、アタシがもらったら微妙な反応するしかないなぁ……」

 

「う……そんな……完璧だと思ったのに……」

 

「完璧にダメだね」

 

「ぐぬぬ……」

 

 

北上からのダメ出しにへこむ鯉住君。

 

 

「こういうのはさ、提督が考える相手のイメージに沿ったものを選ぶんだよ。

このチョイスじゃ、形式的なお礼としかとってもらえないよ?貰った子が悲しみに包まれるよ?

ただし天龍は除く」

 

「形式的でもこちらとしてはいいんだけど、そんな受け取られ方されるのは嫌だなぁ……

でもそんなメッセージ込めた贈り物なんて、重くない?」

 

「提督はみんなに愛されてるから、だいじょーぶだいじょーぶ」

 

「ホントかなぁ……」

 

「そういうわけで、選びなおしだね。

ちゃんと相手のイメージ通りのものを選ぶんだよ?」

 

 

 

……そこからは北上とふたりで港町の店を色々と回った。

流石に雑貨店1店舗だけではカバーしきれなかったからだ。

 

店をめぐりつつ、北上からのダメ出しを度々受けつつ、なんとか贈り物を見繕うことができた。

 

 

「つ、疲れた……」

 

「おっつかれ~。何とかいい感じのラインナップにできたじゃん」

 

 

叢雲にはシャープかつシンプルなデザインのコーヒーメーカー。

古鷹には壁に掛けても使える、写真が複数枚収納できるフォトスタンド。

天龍には活発に見える配色のアイパレット。

龍田にも天龍同様アイパレット。ただし龍田は落ち着いて見える配色のものをチョイスした。

 

 

「俺化粧品店なんて初めて入ったから、すっごい緊張したよ……」

 

「よくできました~。やったね」

 

「いやほんと、ありがとな、北上。

キミのおかげで、ものすごくそれっぽいものを選ぶことができたよ……」

 

「どういたしまして。……んで、大事なこと忘れてないかな?」

 

「忘れてない、忘れてないよ……キミと大井の分も選ぶからね……ハァ……」

 

「ため息つくとか、めっちゃ失礼じゃない?」

 

「あぁ……すまないね……

もうなんていうか疲れ果ててしまって……しっかり選ぶから、許して……」

 

「しょ~がないね、この人は全く」

 

「北上には肩肘張らなくていいから助かるよ……」

 

「はいはい。ありがとね」

 

 

慣れないことをして疲れ果てた鯉住君。

しかしここまで助けてくれた北上へのプレゼントを、適当に選ぶわけにもいかない。

大井にしてもそうだ。戦闘で古鷹と同様かなり活躍してくれている彼女へのプレゼントである。

雑な選択をするわけにはいかないだろう。……それがバレたら怖いし……

 

 

しかし北上と大井ね……彼女たちのイメージか……

 

 

「よし、もう少し頑張ろうか……」

 

「ファイト~」

 

 

・・・

 

 

プレゼント選定中

 

 

・・・

 

 

「これでどうだろうか」

 

「……」

 

 

鯉住君が選んだのは、オレンジの花が隅に一点入ったシルクのハンカチ。

北上の太陽のような明るさをイメージしたチョイスだ。

 

そして大井にも、同じデザインのシルクのハンカチ。

ただしこちらはオレンジの花ではなく、白いユリの花がプリントされている。

北上を陰で支えようとする、大井の慎ましい一面をイメージして選んだ。

 

鯉住君的には、少しキザで恥ずかしく感じるが、なかなかいいチョイスだと感じている。

 

しかし北上の表情をみると、非常に複雑なものとなっている。

 

 

「提督、これ、どういうつもりで選んだの……?

マリーゴールドって……ユリって……確かにアタシたちにピッタリだけどさ……」

 

「ん? ああ、北上はいつも陽気で太陽みたいだから、そんなイメージのオレンジの花が入っているものにしたんだ。マリーゴールドっていうのか、その花。

あと大井は縁の下のチカラ持ちってイメージがあるから、綺麗で尚且つしっかりしたイメージのユリの花にした」

 

「あぁ……そういう……まぁ、そうだよねぇ……中らずとも遠からずというか……

提督がそんなこと知ってるわけないもんねぇ……」

 

「お、おい、何かまずかったのか!? 俺が知ってるわけないって、どういうこと!?」

 

「なんでもないよ、提督がこれを選んでくれた気持ちは嬉しいし、これでいい」

 

「ホ、ホントにいいのか? なんだか消化不良っぽいけど……」

 

「まぁ今はこれでいいかな~

もすこし提督が女の子の扱いにうまくなったら、また何か買ってもらうよ」

 

「どういうことなの……」

 

「ささ、もういい時間だし、そろそろ帰るよ。 店員さ~ん。お会計しちゃって~」

 

「キミがそれでいいならいいんだけど……もやもやしちゃうなぁ」

 

 

北上に思うところはあったようだが、無事にプレゼント調達をすることができた。

 

その後鎮守府に戻ってプレゼントを配ったところ、みんな喜んでくれた。

その際天龍が「なんだこれ?何に使うんだ?」と言った時に、一緒にいた龍田が、ひたすらに笑いをこらえていたのが印象的だった。

 

また大井にハンカチを渡した時には、彼女の背後から怒りのオーラが見えるほど機嫌が悪くなった。

しかし鯉住君がしっかりとそれを選んだ理由を説明すると、怒りを引っ込め、ハンカチを受け取ってくれた。

北上から「大井っちにそれ渡す時は、ちゃんと理由を説明しないと知らないからね~」と言われていたのだが、その理由がはっきりと分かったのだった。

 

 

 

 




マリーゴールドの花言葉

『生命の輝き』『友情』『別れの悲しみ』

ユリの花言葉

『純粋無垢』『純潔』『威厳』


北上さんはこれら+αから、色々と感じ取ったようですが、
鯉住君が込めた気持ちを知り、納得することができたようです。

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