艦これ がんばれ鯉住くん   作:tamino

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注・彼は人並みにはエロいです。


第47話

雑談をしていたら、いつの間にか港への出発の時間となっていた。

中型のバスが鎮守府に到着し、エンジン音を響かせているのが聞こえる。

 

なんだかんだ皆楽しんでいたので、時間の流れは速かった。

所属艦娘が提督と居てリラックスできる事は、諸々においていいことである。

 

4人は英国妖精シスターズを残し、出発することにした。

 

 

「それじゃ行ってくるよ。大丈夫だとは思うけど、留守は頼んだよ」

 

(おーけー、ていとくー! わたしたちにまかせるでーす!)

 

 

自信満々に胸を叩く彼女を見て、笑顔がこぼれる鯉住君である。

 

 

 

・・・

 

 

移動中

 

 

・・・

 

 

 

ポポンデッタ港に到着し、バスを降りる面々。

ちょうどタイミングよく、目の前では、定期連絡船が港に入ってきているのが見える。

ボゥーっという汽笛の低い響きは、旅立ちと帰郷の音だ。

それを耳にすると、日常が切り替わるような特別な気分になる。

 

 

「……さて、楽しみだけど、なんだか緊張もするな」

 

「そうね。別に何かしなきゃいけないわけじゃないんだけどね」

 

「皆さん、どんな感じになってるんでしょうか……」

 

「みんなに久しぶりに会えるから、秋津洲は楽しみかも!」

 

 

喜び8割、緊張2割といった心のバランスで、仲間を出迎える4人。

連絡船からは、続々と乗船客が降りてくる。

 

……そしてその中にこちらに向かって歩いてくる一行が。

 

 

「お、あれ、そうじゃないか?」

 

「そうみたいね。こっちから出迎えに行きましょう」

 

 

数か月ぶりに会う同僚であろう面々に向け、歩を進める一行。

 

 

「おー……い……」

 

 

……あれ? なんか変じゃない?

 

帰ってくるのって6人プラスひとりじゃなかったっけ?

8人いない?

 

ていうか、なんか、あれ? なんかおかしい……

みんなおっきくない? 俺の遠近感がおかしいの?それとも俺の記憶がおかしいの?

 

 

 

……困惑で立ち止まってしまう鯉住君。

それとは対照的に、向こうから走ってくる人影がひとつ。

 

 

ダダダッ!!

 

 

「ちょ、何……あぶなっ……!!」

 

 

ドゴォッ!

 

 

「ゲブウッ!!」

 

「ウオオォンッ!! 会いたかったぞーー!!」

 

「痛いっ!!何!?毛!?」

 

 

猛烈なタックルを食らい、よろめく彼の目の前には、一面の紫の髪の毛。

 

あっ。すごいいい香りがする。

シャンプーの香り……じゃなくて……

 

 

「初春さん!?」

 

「うむ!暫くぶりじゃのう!」

 

 

初春にがっちりと抱き着かれてスリスリされ、困惑していると、

彼女の後ろからぞろぞろと見知ったメンバーが近づいてきた。

 

 

「おっす、提督!久しぶりだな! 元気してたか!?」

 

「うふふ~。大変仲がよろしいようで~」

 

「やっほ~。北上様のご帰還だよ~。よきにはからえ~、ってね」

 

「……ただいま帰投しました。提督」

 

「あはは……初春さんに聞いてた通り、本当に仲が良いんですね」

 

「……ただいま」

 

「久しぶりだね!鯉住さん!これからよろしくねっ!」

 

 

2か月以上ぶりとなる感動の再会、なのだが……

 

 

「……えーと……」

 

「オイなんだよ。もっと喜んでくれてもいいじゃねぇか。

せっかくみんな無事に帰ってきたんだぜ?」

 

「いや、嬉しいよ? 嬉しいんだけどね……?

みんな、なんていうかその……おっきくなったねぇ……」

 

 

なんかみんな、でかくなってた。

それは概ね身長の事だが、身長以外の事であったりもする。

 

特に秘書艦コンビが顕著で、

叢雲は中学生くらいだったのに、高校生高学年くらいに、

古鷹は高校生くらいだったのに、新社会人くらいになっている。

 

 

……というか服装も軒並み代わっている。

なんていうか、はっきり言うと、露出がすごい上がった。

天龍龍田姉妹と北上大井姉妹が特にそうだ。

 

目のやり場に困り、非常に辛い。

気を抜くとロクでもない視線を送ってしまいそうになる。

なんでそんなに肌が出ているのか……最早それは戦闘服というより、水着とかそっちの方に近いのでは……?

 

 

天龍に龍田……なんなんだ、その出るとこ出すぎてる服は……

もっと大事なところを隠す努力をしてくれませんか……?

確かにラバウルは暑いから、ノースリーブで軽装の方が楽なんだろうけど、軽装過ぎはしませんか……?

 

北上に大井……なんなんだ、そのひたすらに丈の短い上着は……

おへそが見えちゃってるじゃないか……おなか冷えちゃうじゃないか……

キミたちの学生服冬服っぽい艤装は、俺が目のやり場に困らない素晴らしい服装だったというのに……

 

叢雲……なんなんだ、そのボディスーツのようなピッチリした服は……

中学生くらいだった以前なら、その服装でも良かったけど、今の大人びたスタイルでその服はよくないと思います……

 

 

古鷹の服装だけが落ち着いたものに変わっており、スパッツ……というか、競泳水着みたいなインナーを身につけてくれるようになったのが、唯一の良心といった具合。

流石は天使古鷹である。俺の心の平穏を守ってくれる……

 

 

(ほんとにしつれいですね)

 

(ほかにおもうところはないの?)

 

(せくはらあんけんです。けんぺいさんにれんらくです)

 

 

しょうがねぇだろ!みんな性的すぎるんだから!

今までは一ノ瀬さんのとこでの経験(混浴対局)のおかげで何とかなってたけど、これはまずいんだって!

真っ裸よりも服着てた方が破壊力あるとか、俺、どうすりゃいいのさ……!

こんな針の筵みたいな状況でも理性を保てているんだから、逆に紳士的と捉えていただきたい!

 

 

 

「シュッ!!」

 

 

ボグゥッ

 

 

「へぇあっ!?」

 

「キャッ!」

 

 

鯉住君が不埒なことを考えているのを読み取って、叢雲がいつものキックを繰り出した。

 

ちなみに叢雲の身長と身体能力が高くなったせいで、以前はふくらはぎあたりに飛んできていたローキックが、尻に飛んでくるようになった。

ローキック改めタイキックである。

 

この衝撃で吹っ飛ばされた初春は、頭をさすりながら立ち上がり、叢雲に詰め寄る。

 

 

「うぅ……いつつ……

……せっかくの夫婦の感動の再会だというのに、水を差すでない!

それでも鯉住殿の秘書艦か!?この暴力女!」

 

「うるさいわね!

どうせコイツ、またやらしいこと考えてたんでしょ!お灸をすえただけよ!

あと誰が夫婦よ!アンタが勝手に言ってるだけじゃないの!」

 

「実際夫婦なのだから、夫婦と言って何が悪いのじゃ!?」

 

「ちょ、ちょっと待って初春さん!夫婦て!

俺がプロポーズまがいの事をして誤解させちゃったの、前に謝ったじゃないですか!!」

 

「あ、分かったぞ!

お主、あまりにも鯉住殿とわらわの仲が良いので妬いておるのじゃな?

嫉妬など見苦しいだけじゃ!」

 

「だ、誰が嫉妬なんてしてるっていうのよ!?

それにアンタが一方的にくっついてるだけじゃない!何が仲が良いよ!へそで茶が沸くわ!」

 

「なにうぉー!?」

 

「なによ!?」

 

 

なんだか争いが始まりそうな気配。

誤解も解かなければならない鯉住君は、必死になって止めようとする。

 

 

「だからそういうのじゃないって!

頼むからふたりとも、俺の話を聞いて!!」

 

「師匠!プロポーズまがいの事って、どういうことですか!?

詳しく説明してくださいっ!」

 

「話がややこしくなっちゃうから、夕張は黙ってて!お願い!」

 

 

どうやら叢雲と初春は相性が悪い模様である。犬猿の仲といった様子だ。

提督である彼の言葉にも気づかないほどだ。

 

 

「ね~、大井っち。

何でアタシ達、必死になって研修してきたのに、帰って早々ほっとかれた挙句、ラブコメ見せつけられなきゃならないんだろうね~」

 

「ええ、非常に不愉快です」

 

「まったく……提督は女性関係になると、ものすごく弱いのよねぇ……

仕方ないから私が仲裁するわ」

 

「ありがとうございます、足柄さん。

早くあのヘタレに代わって、場を治めてください。お願いします」

 

「まぁそう怒らないであげて。彼も必死みたいだし」

 

 

ジト目を向ける北上大井姉妹を見て、足柄は事態の収拾に一肌脱ぐことにした。

本人的には見てて面白いので、このまま見ててもいいかな、と思っていた。

しかし今は彼の秘書艦。提督の補佐はしなければならない。

 

 

「はいはい。ふたりともその辺にしなさい。

公共の場で言い争いなんて、はしたないわよ。もっと余裕を持ちなさい」

 

「ムム……足柄殿にそう言われてしまっては仕方ないの」

 

「私としたことが……面目ないわ」

 

「よしよし、ふたりともいい子ね」

 

「さすがは足柄さん……ありがとうございます。助かりました」

 

「鎮守府に帰ったら、いくらでも彼に追及するといいわ」

 

「あしがらさぁん……そんな無慈悲な……」

 

 

足柄による仲裁で、その場の鎮静化に成功することとなった。

問題が先送りになったっぽいことは、鯉住君以外は気にしていないようである。

 

 

「はぁ……迎えに来ただけで、なんでこんなことに……」

 

 

(じごうじとくです)

 

(いんがおうほうです)

 

(くいあらためて?)

 

 

「俺、そんなに悪いことした……?

無難に慎ましく生きてきただけだと思うんだけど……」

 

 

やれやれ、というジェスチャーをとっている妖精さんたちを見るに、彼の意見はどうやら的外れである模様。

自分の行動が周囲にどう影響するかは、自分ではなかなか分からないものである。

 

 

 

・・・

 

 

 

「……コホン。

みんな、大変見苦しい姿を見せてしまって申し訳ない。

気を取り直して、改めてキミたちの帰還を歓迎しようと思う。

よくやってくれた」

 

「「「 ハッ! 」」」

 

 

場を切り替える意味も含めて、姿勢を正し、敬礼する鯉住君。

すると、研修組プラスふたりは、答礼をしてくれた。

 

 

「……と、こんな感じでいいでしょ。

色々と聞きたいことはあるんだけど、まずは一番気になっていることを聞いてもいいかな?」

 

「一体なにかしら~?私達の服装の事~?」

 

「うっ……ち、違う、違うからね」

 

 

龍田にも先ほどの思考は読まれていたようだ。ニヤニヤしている。

胸を強調するポーズ(サッカーでゴール前に壁を作るときのあの姿勢)をとっているのを見るに、これは確実にからかわれている。

……これからの共同生活がホントに不安な鯉住君である。

 

 

「……一番気になるのはね、何で君まで居るのか?って事なんだよ。

子日さん」

 

 

そう。メンバーの中にいた新顔は、初春だけではなかった。

彼女の妹である、初春型2番艦の子日の姿もあったのだ。

 

もちろん彼にとっては懐かしいふたりであるので、新顔という感じではなく、むしろ嬉しさの方が大きいのだが。

 

 

「あれ?鼎提督から聞いてないの?

姉さんのお目付け役に、ってことで、私も一緒に異動になったんだよ!よろしくね!」

 

「む~。そのお目付け役というのは、わらわとしては納得していないのだがのう」

 

「姉さんは生活能力が高くないから、私がサポートするよっ!」

 

「お主はもう少し歯に衣を着せるのじゃ……」

 

 

実は今回の異動の件は、大将権限で鼎大将が事務手続きを完了してくれたのだ。

だからラバウル第10基地側では、委任状1枚しか提出していない。

てっきり初春ひとりの異動と思いこんでいたので、それでも良いか、という話になったのだが、まさかふたりの異動だったとは……

 

 

「そ、そうか……

まぁ、そういうことなら別にいいか……」

 

「わ、わらわの生活能力は低くないぞ!?お前様には誤解してほしゅうない!」

 

「その呼び方、なんなんですか……もっと普通に呼んでください……

ともかく、子日さんまで来てくれたのは、戦力的に大きな収穫です。

もちろん俺自身も久しぶりに会えて嬉しい。

これからよろしくお願いしますね」

 

「うん!頑張るからねっ!」

 

「……それじゃみんな、色々と言いたいことがあるだろうし、俺も聞きたいことがある。

ここで立ち話もなんだから、それは帰ってからにしよう。

軽い宴会みたいなものも開くつもりだから、楽しみにしておいてくれ」

 

 

「「「 了解! 」」」

 

 

 

予期せぬメンバーも増え、戦力も大幅に強化され、再出発することとなったラバウル第10基地。

これからどのような出来事が待っているのだろうか?

平穏な生活が送れるといいなぁ、と、叶いそうにない願いを胸に秘め、鯉住君は新たなスタートを切るのであった。

 

 

 

余談であるが、帰りのバスで初春が彼の隣にナチュラルに座ろうとしたのを見て、叢雲が突っかかるという事件があった。

彼女曰く、秘書艦が隣に座るのが普通とのこと。

そこでまたひと悶着起こりそうだったので、現秘書艦の足柄に隣に座ってもらうことで事なきを得たのだった

 

 

 

 

 




現在のラバウル第10基地戦力


重巡洋艦   古鷹改二(Lv68 足柄改二(Lv88

重雷装巡洋艦 大井改二(Lv82 北上改二(Lv80

軽巡洋艦   夕張改(Lv46 天龍改二(Lv99 龍田改二(Lv99 

駆逐艦    叢雲改二(Lv71 初春改二(Lv73 子日改(Lv58

水上機母艦  秋津洲 (Lv29
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