やっと戦闘が始まると思ったら、砲雷撃戦じゃなく肉弾戦だったよ……
少年漫画っぽい戦闘になっちゃった……
本当に艦これである必要性が薄れますねこれは……
次に戦闘書くときは、それっぽくするから許してぇ!
「一応ルールの確認だ!
砲撃、雷撃は無し!それ以外の武器だけで戦う!負けを認めた方が負け!
それでいいか!?」
「問題ナイ!
フフ……久々ニ、マトモナ戦闘ガ楽シメソウダ!!
最近ノ相手ハ、ドイツモコイツモ手応エノナイ、タダ人間ノ命令ヲ聞クダケノ駒バカリ!
腑抜ケモイイトコロダッタカラネェ!!」
「安心しろよ!退屈なんてさせねぇからよ!
むしろ負けて悔しがる心配をしときなぁ!!」
「フハハッ!!威勢ガイイノハ嫌イデハナイワ!
ソノ自信、粉々ニ打チ砕イテクレヨウッ!!」
「……楽しそうねぇ……」
思った以上に、天龍とドレスの深海棲艦の相性はよかったようで、少年漫画のようなやり取りを楽しんでいる。
ふたりとも、すんごくいい笑顔をしている。
「天龍ちゃ~ん。頑張って~」
「いや~、なかなか面白そうじゃん。
天龍の武器ってあのでっかい剣でしょ?
研修で近接戦闘も習得してきたってことかな?」
「どうでしょうか。
天龍さんなら、ノリと勢いで決闘を申し出た可能性もありますね」
「あー。ありえるわー」
「zzz」
こっちはこっちで緊張感の欠片もない。
というか、なぜかビキニの深海棲艦を、巻き添え喰らわないように保護することになった。
それを天龍が申し出て、ドレスの深海棲艦がべた褒めするとかいう、謎の一幕があったりもした。
「戦イニ関係ナイ者ハ巻キ込マナイ!
腐ッタ脳味噌ノ人間トハ違イ、ヤハリアナタ、騎士道ヲ心得テイルヨウジャナイ!」
とか言ってた。
「なんで私達がこんな、よくわかんないことしないといけないのよ……」
思ってたような普通の戦闘が行われず、ちょっとだけ現実逃避する叢雲である。
・・・
ギャラリーはやんややんやと楽しんでいるが、当の本人たちは真剣である。
お互いある程度間合いを取り、戦闘の準備をする。
「俺の武器は、この剣ひとつでいい! お前はどうするんだ?
その両手で持っている、でっかいボウガンみてぇので戦うのか!?」
「ホウ……ろんぐそーど一本トハ、ナカナカ豪気ジャナイ。
シカシナ、私ハ遠慮スル気ハナイゾ?
当然コノぼうがんハ使ウガ、他ニモ色々ト使ワセテモラウワ。
本当ニアナタ、飛ビ道具ヲ使ワナイデモイイノ?
ソンナノデ勝負ニナルノカシラ?」
「余計な気遣いだぜ!剣一本あればお前をぶった切れるからな!」
「ナルホド……! コレガ『じゃぱにーず・さむらい』……!!
ソレナラバッ!遠慮スルコトハナイワネッ!」
バシャンッ!!
ドレスの深海棲艦はそう言うと、背中に背負う超巨大な艤装を海上に降ろす。
そして、その艤装の上部にある、これまた巨大な口のような部分に手を突っ込み、なにか取り出す。
ずるりっ
「……ん?なんだそれ?……魚?」
ドレスの深海棲艦が取り出したのは、全長1mはあろうかという、2対のヒレを持った、エイの形を模した艦載機(複葉機)。
しかしその艦載機には、機銃や魚雷などではなく、巨大な一本のノコギリ状の突起が前面についている。
どこをどう見ても艦載機というより魚にしか見えないので、天龍の言葉は的を得たものなのだが……
「魚……ダト……!?」
ズォッ……!!
「「「 !? 」」」
一瞬にして場の空気が凍り付く。
天龍の言葉の何かが彼女の琴線に触れ、機嫌を損ねさせた。
常夏のラバウルにおいて凍死はあり得ないが、この空間にもし覚悟無き者がいたら、それに近い状態にはなるだろう。
先ほどまでの楽しそうな態度から一変、彼女は不機嫌を隠そうともせず、表情は怒りで歪む。
……ギャラリーの面々も、これには冷や汗を流す。
研修前の自分たちだったら、間違いなく気絶していただろう。
それほどのプレッシャー。
性格はアレだが、相手はとんでもない化け物だということだ。
「お、おい……何怒ってんだ?
どう見ても魚じゃねぇか……」
「マタ言ッタナ!?『魚』トッ!!ドウ見テモ、『まんた ※ 』デハナイカッ!!
えれがんとナまんとニモ似タ、美シイふぉるむッ!!
ソレヲ貴様ッ!!!ソレヲッ……!!横暴ニモ『魚』扱イ……!!
絶対ニ許サナイワッ!!!」
※マンタ……エイの一種。オニイトマキエイなど。世界中の海を回遊する。
「えぇ……? 別に魚でいいじゃねぇかよ……」
「クソッ!!貴様モ品性ノ欠片モナイ、無粋な輩ダッタカッ!
少シハデキルト思ッタガ、期待外レダッタナァ!!」
「あぁ、もう、よくわかんねぇけどよ!
やることは変わんねえぜ!こいつでテメェをぶった切る!!」
「ヤレルモノナラヤッテミロ!!艦娘ゴトキガアッ!!」
・・・
切っ掛けはよくわからないが、とんでもないプレッシャーの中で、決闘が始まった。
ドレスの深海棲艦は怒りながらも冷静に、どんどん艤装の口内から、彼女が言う『マンタ』を引きずり出し、こちらに飛ばしてくる!
「喰ラエッ!!全方位カラノ突撃ッ!!
『まんた・そーふぃっしゅ・えでぃしょん ※ 』ッ!!」
※ソーフィッシュ……ノコギリエイのこと。ノコギリ状の吻が最大の特徴。
ブォンッ!!
彼女のマンタが、合計5機、その2対のヒレを羽ばたかせながら、天龍に突撃してくる!
今回は砲撃も雷撃も禁止であるため、機銃も同様に使用を控えているようだ。
しかしそれは、謙虚だとかそういうことではない。
機銃よりも効率的に、大打撃を与える手段があるということだ。
その手段とは、艦載機であるマンタによる、直接攻撃。
マンタの前面についたノコギリが、チェーンソーのように蠢き、唸りをあげている。
アレに触れればただでは済まないだろう。
「おぉ!やるじゃねぇか!!」
しかし天龍はこの危機にも動揺せず、自然体でいる。
日本刀を持った神通に近接戦闘を叩き込まれたのだ。この程度で怯んでいては話にならない。
ひらりっ
ザシュッ!
マンタの突撃に合わせて、うまいことそれをかわし、勢いのまま斬りつける。
しかし……
ギィンッ!!
(硬えっ……!)
天龍の剣はマンタのノコギリに受け止められる。
ノコギリ部分は非常に硬く、完全にチカラの乗った一撃でなければ通用しないだろうことが伺える。
「イイ動キヲスルッ!
ダガ、私ノ『まんた』ハ、ソノ程度デハ堕チナイワッ!!
ソシテ……喰ラエッ!!」
「……!! やべっ!!」
ドレスの深海棲艦の攻撃は、艦載機によるものだけではなかった。
むしろ艦載機は、敵の動きを鈍らせるための陽動の意味合いが強い。
本命は、今彼女が天龍に向かって引き絞るボウガン。
そこに番えられているのは、銀色に輝く、1mはあろうかという矢。
「なんなのよ!あの大きい弓と矢!
ていうかあの矢、銀色に光ってない!?もしかして、あれ、両刃剣!?」
「うわっ、エッグいわぁ……
あんなん喰らったら、一発大破じゃない?」
「そうですね。北上さん。
直撃したら制服艤装のバリアは一撃で吹き飛ばされそうです。
戦艦クラスなら1,2発は耐えられそうですが……」
「天龍ちゃ~ん。ファイト~」
「zzz……」
これにはギャラリーの面々も、一部を除き、驚きを隠せない。
ただでさえ当たったら大打撃の巨大ボウガンなのに、飛んでくるのは1mを超す両刃剣だという。
絶対に喰らってはいけない一撃だ。
「……へへっ!そう来なくっちゃな!面白くねぇぜ!!」
「強ガリヲ言エルノモ、ココマデヨッ!!」
ドゥンッ!!
砲撃の轟音にも負けない、鈍く、腹の底に響く発射音。
「……よっ!」
しかし天龍も心得たもので、軌道を読み、ひらりと回避する。
「チッ!ナカナカヤルヨウネ!
デモ……イツマデ保ツカシラッ!?」
そういうと、ドレスの深海棲艦は艤装の口内から、次々と先ほど同様の矢を取り出す。
「マジか……!!あの剣、何発もくんのかよ!
この飛び回るマンタ?だっけ?こいつらもウゼェしよぉ!
これじゃ近づけねぇ!」
「アハハッ!!『艦娘だーつ』ダ!
ネェ、ドコニ当テテ欲シイ? 頭?ソレトモ心臓?」
「くそっ!舐めやがってっ!!」
あれだけ大きなボウガンを引き絞るには、とんでもないチカラが必要だ。
人間では当然不可能だし、艦娘でも、戦艦クラスが目いっぱいチカラを込めて、何とかなるレベルだろう。
しかしドレスの深海棲艦は、まるで呼吸するかの如く、何のチカラも込めていないかの如き立ち居振る舞いで、超巨大ボウガンを引き絞っている。
やはり彼女は化け物級のチカラを有しているようだ。
ドゥンッ!!
ドゥンッ!!
ドゥンッ!!
「……チッ!……どうすっかな……!!」
天龍はマンタを捌きながら、うまく銀の矢をかわし続ける。
冷静であれば当たらない一撃だが、いつ終わるとも知れない攻撃は、集中力を削っていく。
このままでは敗北は必至。何か手を打たないといけない。
「……よしっ!これしかねぇな!」
何か思いついた天龍は、ほんのわずか、チカラを緩める。
それを見逃さないドレスの深海棲艦は、ここぞとばかりに、マンタとボウガンの一斉攻撃をかける!
「戦場デ気ヲ抜クトハ!馬鹿者ネッ!!」
ブォンッ!
ドゥンッ!!
「……ここだっ!」
天龍は敵の一斉攻撃に合わせ、マンタの陰に身を隠す。
そして剣で別のマンタを斬りつけ、ボウガンの軌道上に押し出す!
「ナニッ!!?」
ズギャアァンツ!!
矢が刺さっただけとは思えない強烈な衝突音を響かせ、
ボウガンの矢はマンタを撃ち抜く。
天龍の誘導が上手かったおかげで、一発の矢で、敵のマンタを2体仕留めることに成功した!
「どうだっ!俺の攻撃が通らないなら、お前の攻撃を利用するまでだっ!!
名付けて『矛盾大作戦』だっ!!」
「私ノ……!私ノカワイイ『まんた』タチヲ、ヨクモッ!!」
「お前がやったんだろ!?俺のせいにするんじゃないぜっ!!」
「オノレェッ……艦娘風情ガッ……!!」
自身のかわいがる艦載機(マンタ)を2匹も落とされて、頭に血が上るドレスの深海棲艦。
「へ~。天龍って矛盾なんて難しい言葉知ってたんだね~」
「意外ですね。北上さん」
「アンタら……それくらい天龍でも知ってるでしょうよ……」
「きゃ~ 天龍ちゃん、かっこいい~」
「ムニャムニャ……モウ食ベラレナイワ……」
相変わらず緊張感のないギャラリーである。
「これで魚は残り3匹。勝機が見え……ん……?」
戦局が一手分優勢になり、近接戦への道が見えた。
しかし、天龍は今、攻撃の手を抑え、何かに気を取られている。
「ちょ……おま……これもかよぉっ!?」
なにかを見つけ、ツッコミを入れる天龍。
彼女の手には、矢によって串刺しになったマンタが握られている。
「あれ?天龍どしたの?
さっき墜とした魚拾い上げて?」
「えぇ。戦闘のさなかというのに、どういうつもりでしょうか?」
「……あれ? なんかあの矢、おかしくないかしら……?
てっきり私、両刃剣だと思ってたんだけど……」
そう。銀色に光る、1mもある矢。
ここに居る誰もが、両刃剣だと思っていたのだが……
「剣か何かだと思ってたけど、この矢……
魚じゃねーかっ!!」
「「「 ええ……? 」」」
「オマエェッ!!!一度ナラズ二度マデモ『魚』ト言ウカァッ!!
許サン!許サンゾッ!!
ソレハ『魚』デハナイッ!『だつ ※ 』ダ!
海駆ケル銀色ノ弾丸ッ!!全テヲ貫ク研ギ澄マサレタ鋭利ナ吻ッ!!
十把一絡ゲニ、『魚』ナドト呼ンデイイ存在デハナイッ!!」
※ダツ……ニードルフィッシュとも。光に突撃する習性があり、人体程度なら問題なく貫くため、ダイバーは要注意。
「ダツでダーツってお前……!!ダジャレかよぉっ!!」
「ウルサイ!!崇高ナ『ぶりてぃっしゅ・じょーく』ダッ!!」
「イギリス人に謝れ!!」
両刃剣だと思ってたら、魚だった。
このドレスの深海棲艦、何考えてるんだろうか……?
そんなことを呆気にとられつつ考える叢雲。
「ダツ……で……ダーツッ……!!ヒィッ……ヒィッ……!!」
「あ~……たっちゃんのツボに入っちゃったみたいだねぇ……
しかしなんかアレだよね。気が抜けるよね……」
「もう帰ってもいいでしょうか?」
「……一応見届けましょ……一応ね……」
「zzz……日差シハオ肌ノ天敵……ムニャムニャ……」
ちゃんとそれっぽい理由はありますが、深海棲艦は性格が尖っていればいるほど強いです。
だから彼女たちは、かなり強い部類に入ります。