艦これ がんばれ鯉住くん   作:tamino

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投稿、止まるんじゃねぇぞ……(止まらないとは言ってない)


鬼級・姫級について


鬼級・姫級にも強さランクがあります。
エリート、フラグシップにあたる個体がいるということですね。

そして、そのような個体ほど知性が高く、コミュニケーションをとることができます。
ただし常識が違い、基本的に人類全滅を軸に行動するため、対話しようとしても失敗に終わります。

ただし、その中でも本当の強者たちは、その本能よりも優先する何かがあります。
性格が尖っているほど強いのも、それに関係しています。




第59話

 

 

「……(そわそわ)」

 

「……高雄さん、そんなに心配しなくても、大丈夫ですよ」

 

 

敵の討伐に向かった5人の心配をし、落ち着いていられず、甲板でうろうろする高雄。

鯉住君と古鷹も彼女に付き合い、甲板で折り畳み椅子を展開し、待機している。

 

 

……他の第2艦隊のメンバーについては、船内で休息をとってもらっている。

大破した照月はもちろん、戦闘続行に難ありな中破の3人も、精神的にだいぶ参っていると判断したからだ。

 

いつ全滅するかわからないサドンデスな状況で、何時間も気を張り詰め続けたのだ。

戦闘慣れしてると言っても、その精神の消耗は計り知れないものであろう。

 

ちなみに能代は小破状態のため、他のメンバーよりも心身に余裕はある。

しかし責任感が強く、面倒見のいい彼女には、照月の看病係を任せることにした。

その方が彼女の気も紛れるだろうという配慮である。

 

 

「私には、何故少佐たちがそんなに冷静でいられるのかわかりません!

あんな大規模な空襲、私が艦娘として戦ってきた中でも、初めてなんですよ!?

少佐だって飛鷹、隼鷹から詳細聞いたじゃないですか!?」

 

「まぁまぁ。

研修先から届いた報告を見た限りでは、その程度の規模なら何とかなりますよ」

 

「その程度、って……!!」

 

 

鯉住君の余裕の反応に、言葉が出ない高雄。

 

 

「まぁ、分かりやすい報告をひとつお伝えしますとね。

あー……高雄さん、佐世保第4鎮守府の龍驤さんってご存知です?」

 

「え、えぇ……非常に実力のある艦娘という噂くらいなら……」

 

 

急な話題転換に困惑しつつも、彼の質問に答える高雄。

しかしその答えは、随分ふんわりしたものである。

 

 

 

・・・

 

 

 

実は彼女、ラバウル第1基地・筆頭秘書艦という、実力も地位もある立場に就きながら、佐世保第4鎮守府についてはほとんど何も知らない。

 

しかしその理由は、彼女が情報収集を怠っているからとか、そういったものではない。

 

 

知っている人は、そこが人外魔境だったり地獄だったり、そのようなものに例えられる場所だということを知っている。

しかし実のところ、そこの情報というのは世間には出回っていないのだ。

 

 

それはなぜか?答えは単純。

 

関わった者が語ることを拒むから。

そして、そもそもの話、そこに関わることができる者がほぼいないからだ。

 

前者の理由は、これまた単純。

あまりの機密事項の多さから、そこら辺で話せることなどほぼ皆無なうえに、もしそれを破れば夜襲が待っているから。

 

後者の理由も同様に単純。

そこと関われるほどの実力、もしくは人脈を持つ者など、日本海軍広しといえど、ほぼ存在しないから。

 

 

研修受け入れという、鎮守府を知る絶好の機会はあるものの、そこからドロップアウトしてきた艦娘は例外なく、前者のような状態になる。

誰も無事に帰って来られない場所。誰が呼んだか『鬼が島』。

 

 

そういうわけで、実質緘口令が敷かれた状態となっている。

世間に出回る佐世保第4鎮守府の情報は、『鬼が島と呼ばれるほどの危険地帯で、絶対に関わってはならない』というものくらいだ。

 

 

 

・・・

 

 

 

だから高雄が、あれほどの実力者集団についての情報を持っていないのも、仕方ないこと。

 

実は彼女の指導者であった大和が、そこでの案件に高雄を関わらないようにさせていた、という理由もある。

かわいい妹分にまで、同じ気苦労を味わわせたくなかったのだろう。

 

 

「私は佐世保第4鎮守府の情報をほとんど知らないのですが……

そこの龍驤さんは、そこまで強いのでしょうか?」

 

「はい。強いです。ヤバいです。怖いです。本当に怖いです」

 

「そ、そこまで……」

 

「はい……

ひとりで上級の姫級3体を、さらっと相手どれるくらいにはヤバいです……

あとあの人、軽空母なのに夜戦の方が得意なんです……

もっというと、あの人の搭載艦載機数は55機なんですが、実質その3倍程度を相手にできなければ、戦いにすらなりません。

上限オーバーの分は、式神状態で補いますので……」

 

「え、ちょ、何言って……」

 

「彼女のことを知る人は、『紙剣(カミツルギ)の龍驤』と呼びます……」

 

「えー、あー……わかりました……もう大丈夫です……」

 

 

このまま彼に話を続けさせれば、知ってはいけないことを知ってしまう。

そんな考えが頭をよぎったため、高雄は話題を打ち切ることにした。

 

 

「まぁ、そんな龍驤さんと演習をして、天龍も龍田も、彼女を小破に追い込むまで健闘できたみたいなんです。

私は随分この報告を見て驚きましたよ。そこまでできるようになったのか、って」

 

「は、はぁ……」

 

 

軽空母相手に小破程度なら、普通にできるのでは……?

一瞬そう思うも、先ほどの話を思い返し、納得することにした。

 

 

「だから艦載機120機相手で、しかも5人なんですから、まあ大丈夫でしょう。

最悪負けても、全員揃って撤退することはできるでしょうしね。

羅針盤も問題なく、敵の方向を指してくれていますし」

 

「そ、そうだ……! 羅針盤……!!」

 

 

大事なことを思い出したようで、高雄がまた声を荒げる。

 

 

「ん? 羅針盤がどうかしたんですか?」

 

「不具合があるかはどうかはわかりませんが、羅針盤に従っていた私達が、ここまでの危機に陥ったんです!

本来であれば危険を避けられる艤装なのに、全滅しかける結果となったんです!

なにかがおかしいと思いませんか!?」

 

 

本来羅針盤という艤装は、『幸福な方角』を指し示す機能を持つ。

だから羅針盤に従いつつ、ここまでの被害が出ることなど、本来ないはずなのだ。

 

 

「あー……そう言われてみると、確かにおかしいですね……

古鷹はどう思う?」

 

「うーん……やっぱり普通に考えれば、ありえないことです。

大破が出ることなんてほとんどないですし、もし出るとしたら、ボス艦隊との戦いくらいですものね」

 

「しかもその場合、帰路が確保されている場合だもんね。

どういうことだろ……?羅針盤が故障?

もしそうなら、海軍全体にかかわる大問題だけど……」

 

 

もし羅針盤が機能しないとなれば、それはつまり、常に轟沈の危険と隣り合わせだった時代へと逆戻りする、ということになる。

 

そんな状態で艦娘を海に出すことなどできない。

少なくとも鯉住君は、そう考えたようだ。

 

そんな彼の思考を知ってか知らずか、隣に座る古鷹から、ある提案がなされる。

 

 

「あ、そうだ提督!

提督は妖精さんと話ができるじゃないですか!

羅針盤妖精さんに話を聞いてみましょうよ!」

 

「お、それ採用。

自分のことだけど、思いつかなかったなぁ……

それじゃ高雄さん、羅針盤を貸してもらっても良いですか?」

 

 

古鷹のナイスアイデアを実行に移すことにした鯉住君。

高雄から羅針盤を受け取り、妖精さんに呼びかける。

 

 

 

 

 

「おーい。出てきてくれるかい?」

 

 

ポンッ

 

 

(んあー……なんかよう……?)

 

 

羅針盤担当の妖精さんが姿を現した。

羅針盤担当妖精さんは何人か……というか、何系統かいるのだが、今日はその中でも、だらっとした子が担当しているようだ。

 

 

「羅針盤の状態について聞きたいんだけど、なにかおかしなことはあったかい?

いつもと違う感じがした、とか、ちょっと調子が悪かった、とか」

 

(んー……ないよー……)

 

「そっか。それじゃ、いつも通りだったってことかい?」

 

(そうー……)

 

「あー、そうか。それなら……そうだな。

第2艦隊の皆さんは羅針盤に従ってここまで来て、随分追い詰められちゃったみたいだけど、なんでかわかるかな?

責めてるわけじゃないんだけど、こんなこと今までなかったからね」

 

(よくわかんない……でも、ここにくるのがいちばん……らっきーだったんだよー……)

 

「そ、そうなのか。色々聞かせてくれてありがとうね」

 

(……ん)

 

「……ど、どうしたんだい?」

 

 

眠たげな眼をこすりながら、こちらに掌を上に向けて手を出す羅針盤妖精さん。

 

 

(じょうほうりょう……)

 

「あぁ……ウチのと同じで、キミもそんな感じかぁ……」

 

 

ゴソゴソ……

 

ポトン

 

 

妖精さん用にいつも懐に忍ばせているアメちゃんを、羅針盤妖精さんの掌の上に落とす。

 

 

「はい。これでいいかい?」

 

(んふー……ごっちゃんです……)

 

 

ポンッ

 

 

満足したのか、妖精さんは羅針盤の中に戻っていった。

 

 

 

 

 

「提督、どうでしたか?」

 

「そうだねぇ……

まず大事なこととして、羅針盤が故障したわけじゃないみたい」

 

「それは……一安心ですが……

私達が追い詰められた理由が、それだとわかりません。

他に何か聞いていたようですが、どうでしたか?」

 

「どうやらですね、妖精さんが言うには、羅針盤は全く問題なく動いていて、

『この結果が最善だった』ということです……」

 

「そ、そんなバカな……

私達、全員沈みかけたんですよ……!?それが最善だなんて……!!」

 

「うーん……一番考えられるのは、結局助かったから、結果オーライ、ということでしょうか……」

 

「そ、そんな乱暴な……」

 

「もともと妖精さんって、だいぶ大雑把ですからね……」

 

 

結局助かることができたんだから、ツイていた。そういうことなのだろうか?

それにしては全員が追い詰められすぎていたと思う。

それが一番ラッキーということは、もしかして、それ以上の大変なことが起きる可能性があったということだろうか?

 

頭をひねる鯉住君と高雄だが、ここで古鷹から一言。

 

 

「こういう時はわかることから考えましょう!

羅針盤に問題がなく、今の状況が最善だとするならば、それはつまり、叢雲さんたち5人の安全は確保されてるということじゃないですか?

海域全体で何か大変なことが起こっているのなら、伝達は来ているはずですから、難しいことは鎮守府に帰ってから、情報を集めて考えましょう!」

 

「うん……そうだね。

高雄さんたちは大変だったけど、現状はかなり安定していると言えるからなぁ。

というわけで、ひとまず羅針盤のことは置いといてもいいでしょうか?高雄さん」

 

「ええ。古鷹の言うように、今ある情報だけでは何とも言えないわ。

今はあの5人の無事を祈ることにします」

 

「はは……高雄さんもお疲れでしょうから、気を張り過ぎないでくださいね」

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

船上で待つこと約2時間。

高雄は終始心配していたが、それでもある程度は気を楽にしてくれたようで、古鷹が淹れてくれたお茶を飲んだりもしていた。

 

そんな感じでみんなの帰還を待っていたのだが……

 

 

「……あ! 提督、見えました!皆さん、帰ってきましたよ!」

 

「ホントかい!? ……おぉ!確かに人影が見えるね!無事でよかったよ!」

 

「あぁ……本当に良かった……!

あの子たちに何かあったら、私、どうしようかと……!」

 

「だから大丈夫だっていったじゃないですか」

 

「フフ……鯉住少佐だって、実は心配してたんじゃないですか」

 

「それは、まぁ、信頼してると言っても、心配なものは心配ですから……」

 

 

なんだかんだ心配していた鯉住君と、

彼の部下であり、顔なじみの彼女たちを危険地帯に送り出してしまった高雄は、

無事に面々が帰還したことに、胸をなでおろす。

 

……しかし、古鷹から不穏な一言が……

 

 

「て、提督っ!!

何故か7人います!!増えてますっ!!」

 

「……ん?それは昨日の話でしょ?

キミたちが帰ってきたときの……」

 

「違います提督!昨日は8人だったじゃないですか……って、そうじゃなくて!

今!今の話です!叢雲さんたちをよく見てください!!」

 

「え……ウソ……そんな、まさか……」

 

 

水平線から近づいてくる部下の数を数える鯉住君。

 

1,2,3,4,5……6…………7…………?

 

 

「……なんで増えてんの……? どちらさま……?」

 

「私が知るわけないじゃないですか!

なんで提督がいると、いつもこうなるんですかっ!?」

 

「えぇ……? 俺のせいなの……?」

 

「……」

 

 

古鷹の言葉を聞くに、予期せず部下が増えるのは、彼の鎮守府では日常茶飯事のようだ。

なにか声をかけてフォローしたいが、何も言葉が出てこない高雄。

 

 

「い、いったい何が起こったんだ……!?」

 

徐々にこちらに近づいてきたおかげで、誰が誰だか判別できるようになってきた。

 

メンバー状況を把握するために、目を凝らす。

 

 

……さっき出撃した5人は……いるな。

まずそれは良し。ひとりも欠けてない。それは喜ばしいことだ……

 

それじゃ、あの増えたふたり。美白にすぎるふたりが何者かっていうことになる。

 

……いや、うん、わかってる。現実から目を背けちゃだめだよな……

あの美白のふたり、深海棲艦の艤装っぽいの装備してるもんな。

深海棲艦だよな……間違いなく……

 

で、何で天龍はあの、エレガントなドレスを身につけてらっしゃるお姉さんと談笑してるんだ……?

そんで、そのドレスを着たお姉さんは、なんでズルズルともう片方のお姉さんの艤装を引きずっているんだ……?

 

そのもう片方のお姉さんは、何故かクッソきわどいビキニを着てる……

何故か自前っぽい艤装の上でぐったりしながら、北上とダラダラしてるけど、大丈夫なのか……?

中破とかしたからあんな薄着なの……?

ていうか北上、人の艤装の上でくつろぐんじゃありません……

 

 

「……」

 

「て、提督……」

 

「……」

 

「提督っ!!」

 

「!! うおぉっ!!……すまん古鷹、あまりに意味不明すぎて、フリーズしてた……」

 

「もう……それで、どうします……?

あの増えたふたり、どう見ても深海棲艦じゃないですか……

人間の提督は、襲われちゃうかもですよ……?避難します……?」

 

「あぁ……うん……どうしようか?」

 

「だから私が知るわけないじゃないですか……自分で考えてくださいよ……」

 

「なんか古鷹、改二になってたくましくなったねぇ……」

 

「提督の秘書艦するなら、これくらいじゃないと務まらないって気づいたんです」

 

「なんか、その、ゴメン……」

 

 

 

とりあえず困ったら、漫才する癖がついている鯉住君たち。

そんな能天気コンビには目もくれず、高雄は例のふたりを凝視する。

 

 

「あ、あれは……空母棲姫……!?

そしてもう一体は……初めて見るけど……マズいわ!!」

 

 

高雄の実力は非常に高く、知識も経験も豊富だ。

彼女は今までに数度、空母棲姫と戦ったことがあった。

 

だからこそ、あの姿を見た瞬間に理解した。

 

一見だらけきっているようにみえるが、存在するだけで放たれる威圧感。

あの空母棲姫こそが、自分たちに空襲を仕掛けてきた張本人であり、他の空母棲姫と比べて、一回りも二回りも強力な存在であると言うことを。

 

そしてもう片方の深海棲艦も、件の空母棲姫と同等のチカラを有している可能性が高いと。

 

 

……なぜそんな災害クラスの強敵と、共に帰ってきたの!?

 

もしや何らかの手段で洗脳を受けた!?

無理やり脅されている!?

友好的なフリをしていて、こちらを一網打尽にするために利用された!?

 

 

目の前の状況が理解できないのは高雄も鯉住君と同じ。感じ方は随分違うが。

 

高雄は非常に険しい顔をして面々を睨んでいる。

その眼には、いざとなったら自分が犠牲になっても、全員を護る、という意志が感じられる。

 

 

しかしそんな高雄の覚悟など露知らないこの男は……

 

 

「ハァ、仕方ないよね……顔合わせしてみるよ……」

 

「!?」

 

 

なんかワケの分からないことを言い出した。

 

 

「分かりました。

それじゃ、いざという時は他の皆さんと戦いますので、心構えだけはしといてくださいね?」

 

「!!!???」

 

 

秘書艦もワケの分からないことを言い出した。

 

 

「な、何言ってるんですか少佐っ!?

ありえないっ!!姫級に人間が対峙するなんてっ!!

今まで深海棲艦と対話を試みた人間が、どれだけ同じことをやって、どれだけその命を散らしてきたか、知らないんですかっ!?」

 

 

「え、えぇ……?

そんなに慌てなくても大丈夫ですって……高雄さん……

ちょっと心配ですけど……」

 

「なんで『ちょっと心配』程度なんですかっ!?

馬鹿めと言って差し上げますわっ!!」

 

「あのドレスの人は天龍と楽しそうに話してるし、あのビーチにいそうな格好の人は北上とくつろいでるし、大丈夫ですって……多分……」

 

「あの態度は芝居で、みんな騙されている可能性だってあるんですよっ!?」

 

「まぁまぁ。いざとなったら古鷹も戦ってくれるって言うし、大丈夫ですよ。

だろ?古鷹?」

 

「はい!ひとりでは無理でしょうが、皆さんもいるので大丈夫です!」

 

「な、何なの……!?

そのよくわからないまでに頑なな自信は……!?」

 

「まぁ、深海棲艦の相手は、レ級で慣れてるので。

むしろ高雄さんの方が心配です。

疲労してる状態で、姫級の相手は、精神的に厳しくないですか?」

 

「な、何を言っているの……!?

分からない……!アナタ達のことが、まったくわからない……!!」

 

「まぁまぁ。色々起こると思いますが、高雄さんは後ろで見ててください。

最悪のケースになったら、助けていただけると嬉しいです」

 

「少佐の言う最悪のケースが、一番起こりそうなケースなんですが……」

 

「命の危険的なものはないでしょうから、気を楽にして見ててください」

 

「うぅ……もういいです……

でも!緊急事態になったら、流石に手を出しますからね!!

それで手を打ちますから!!

……それじゃ、艤装持ってきます!!」

 

 

バタンッ!!

 

 

「どうしよう古鷹……高雄さん怒らせちゃったよ……」

 

「せっかく気を遣ってくれてたのに、提督が無神経なこと言うからですよ。

高雄さんのことを、もしもの時の保険みたいな扱いして……!」

 

「あー、そのせいかー……」

 

「そろそろみんなが到着しちゃうと思いますから、時間無くて無理ですけど、ちゃんと後で謝ってくださいね」

 

「そうするよ……ハァ……

ちゃんと人の気持ちを考えられるようにならないとなぁ……」

 

 

全く見当違いなことを考えているふたり。

彼らの乗る小型艇に、出撃組がもうすぐ戻ってくる。もう目と鼻の先まで来ている。

 

色々聞かないといけないし、いつもみたいに色々起こるんだろうけど、

つつがなく終わるといいなぁ、なんて考える鯉住君なのであった。

 

 

 

 

 




箸休め的な回でした。

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