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「ゴキゲンヨウ。コノ人間メ」
「ご、ごきげんよう……」
出撃した5人+αが帰ってきたので、とりあえず島に上陸してもらった。
大人数なため船上に乗ってもらうことができないからだ。
特に例のふたりは、艤装が巨大すぎて船の3分の1くらいはあるので、そもそも乗船が不可能だ。
提督である鯉住君も古鷹、高雄と共に船を降り、出迎える。
一応万一の場合に備えてふたりには、艤装を装備してもらっている。
……そんな状態であるが、出迎えの言葉をかける前に、ドレスの深海棲艦からケンカ売ってる系の挨拶が飛んできた。
礼儀正しいんだか、失礼なんだか、よくわからない。
佐世保のレ級で深海棲艦特有のプレッシャーには慣れている彼だが、目の前のドレスの深海棲艦から放たれる威圧感は、それ以上だ。
部下が一緒に居るから安全だと理解できるが、それでも冷や汗が止まらない。
とんでもない実力者ということが伝わってくる。
困惑している彼に対し、比較的通常運行な大井が近づき、帰投報告をする。
「提督、ただいま帰投しました。ひとまず目標は達成。
敵のボスの無力化に成功しました」
「お、おう……報告ご苦労、大井……
ちなみにこのおふた方は……」
「敵のボスです」
「そっか……」
一緒に帰ってきたうえに、冷静で真面目な大井がいつも通りなあたり、本当に危険はないようだ。
しかしなんというか……無力化っていうかなんて言うか……ものは言いようというか……
ちなみに叢雲は明後日の方向を向いている。
これはあれだ。私を巻き込まないで、とか思ってるやつだ。
彼女がそうなる時は、大概ロクでもないことが起こる。
長い付き合い……と言えるほど一緒にいるわけじゃないけれど、それくらいならわかる。
キミ秘書艦なんだから、もうちょっと頑張ってよ……
「あー、えー……
天龍、このエレガントで美白な方は一体……?
お名前はなんていうの……?」
「ん? あぁ、そういえば知らねぇな。
お前名前なんて言うんだ?」
「ソンナモノ私達ニハ必要ナイワ」
「ふーん。だってよ」
「さいですか……」
どうしよう……なにから手を付けたらいいか、全然わかんないんだけど……
と、とりあえず、なにがどうなってこうなったか、確認しないと……
「ええと……そうだ、すまないが、大井、詳細報告をしてもらえないか?
ちょっと想定外すぎて、情報がないと話が進められない……」
「わかりました。それでは報告させていただきます」
「頼む」
・・・
流れを聞いたところ、どうやらこういうことらしい
潜水艦を沈めつつ、ボスの方角に直行
空襲を受けるも、敵艦載機の完全撃墜
ボスに遭遇
天龍がドレスの深海棲艦とタイマン張って勝利
相性が良かったのか、意気投合する
天龍の提督を見てみたいということで、同行許可
ついでにビキニの深海棲艦も同行
今に至る
……色々言いたいことはあるが、とりあえずひとこと。
「天龍……姫級とタイマンなんて無茶なことしちゃダメでしょ……」
「大丈夫だって!神通教官とタイマンするより、全然安全だからよ!」
「それでもダメコン積んでないんだから、もう少し自重していただきたい……」
「いいじゃねーか。何とかなったんだし、結果オーライだって!
だってコイツ、武器持ってたんだぜ?戦ってみたくなるだろ?」
「なるだろ?と言われてもなぁ……」
マイペースな天龍を窘め切れない鯉住君。
いつもならもうちょっと強く言うのだが、状況が状況なので彼も強く言えない。
目の前にそのタイマン相手がいるのだ。何が彼女を刺激するかわからない以上、ほどほどにしておかないといけない気がする。
「ネェ、てんりゅう。本当ニコノ人間、スゴイ奴ナノ?
全然ソウハ見エナインダケド」
「提督はすげぇんだって!
なんたって俺のことを信じて、出撃で活躍できるように、いつも考えてくれてたんだからな!!
なぁ提督!」
「お、おぅ……」
「フーン。マァ、アナタガソウ言ウナラ、信ジテアゲテモイイワ。
デハ人間、オ前ガドノヨウニスゴイノカ、見セテミロ」
「あー……ちなみに、それが見せられなかったら……?」
「魚ノ餌ダナ」
「Oh……」
……これってヤバいやつじゃね?
いやいや、すごい所見せろと言われても……!
天龍もなんか知らんけど、エラくハードル上げちゃってるし……!
「提督がすげぇのは艤装メンテだろ?
こいつの艤装、メンテしてやったらどうだ?」
「あー……確かに艤装メンテには自信あるけど、深海棲艦の皆さんの艤装が、どこまでメンテできるか……」
「提督なら大丈夫だって!やっちまえよ!」
「まぁ、やるしかないよねぇ……」
天龍からの謎の信頼と、ドレスの深海棲艦からの非情な言葉に、後には引けなくなってしまった。
……こうなったらやるしかない。
佐世保でレ級の艤装をいじくりまわした経験が、まさか役立つ日が来るとは……
「……わかりました。
それでは貴女がよろしければ、なにか艤装をメンテナンスさせていただきたいと思うのですが、良いでしょうか?」
「艤装ノめんてなんす……?
ナンナンダ?ソレハ……?」
「あぁ、深海棲艦の皆さんには、そういう概念がないんですね。
まぁ、ざっくり言うと、艤装の動きをよくする技術みたいなものです」
「ホゥ……ソノヨウナ技術ガアルナンテネ……
イイワ、見セテミナサイ。人間」
「わかりました。
それでは船内から道具を持ってきますので、ちょっと待っててくださいね」
「イイデショウ」
・・・
道具準備中
・・・
「……お待たせしました。
それでは貴女の艤装をひとつ貸してもらえますか?
ただし壊れている物や、大きすぎる物は避けてもらえると助かります。
壊れている物を直すのはパーツがないと不可能ですし、大きすぎると時間がかかっちゃいますので」
「フム。ナラバ……」
ゴソゴソ……
鯉住君の言葉を受け、背負っている超特大艤装の口の中を漁る、ドレスの深海棲艦。
お目当てのものが見つかったのか、口の中から腕を引き抜く。
その手には、天龍との戦いでも使用した、『マンタ』が握られていた。
「コレデドウダ?艦載機ダ」
マンタはヒレをパタパタさせている。
やはり艦娘の無機質な艤装とはまるで違い、有機的、というか最早生物だ。
「お、おぉ……随分とかわいらしい艤装ですね……」
「ホゥ……? オ前、人間ノクセニ分カッテイルジャナイ。
コノ洗練サレタぼでぃー!!愛ラシイ動キ!
マサニ完璧ト言ッテモ過言デハナイワッ!!」
また始まったよ……
天龍とのやり取りを見ていた叢雲、北上、大井の3人はげっそりした表情だ。
なにせ戦闘中だけでなく、帰投中にもずっと魚の話ばかりしていたのだ。そうなってしまうのは仕方ない。
なお当の天龍はマイペースなので、聞き流しまくっていた模様。
「へぇ、そうなのか」とか「すごいんだな、それ」とか、
なんにも考えてない相槌を打ちまくっていた。
龍田はなに考えてるかわかんない。
どうせ『天龍ちゃんが楽しそうだし、それでいいわ~』とか考えてたのだろう。
「あぁ、そうですよね。
イトマキエイは海中を飛ぶように泳ぐので、見とれちゃいます。
機会がもしあるなら、ダイビングもやってみたいんですが……」
「ホホゥッ!?」
ズイッ!
ドレスの深海棲艦は、ずいっと、からだひとつ分鯉住君に詰め寄る。
「うえっ!?……ど、どうしたんですか?」
「続ケロ」
「つ、続ける……?今の話をですか……?」
「ソウダ」
「は、はぁ……退屈じゃないといいんですが……
えーですね、今の海はちょっと人類にとっては、近寄りがたい場所になってましてですね、ダイビングというのは限られたところでしか……」
「ソコジャナイ。モウ少シ前ダ」
「え、えぇ……?それじゃイトマキエイの話ですか……?」
「ソウダ」
「あー、っと……
艤装のモデルになってるイトマキエイなんですが、
あ、マンタと言った方がいいですかね?この艤装は吻の部分、巻いてないし。
この魚は結構好きなんですよ」
「ヘェ!」
「海面を群れで泳ぐ姿は、まるで巨大な鳥が飛んでいるようですし、この巨体で水面を跳ねるというのも、ワイルドでカッコイイですし。
昔、水族館で本物を見たときは、とても感動したものです」
「イイゾッ!! ソノ水族館トイウノハナンダッ!?」
「す、水族館ですか……?
ええと、人間が作った、世界中の魚や海獣、甲殻類、棘皮動物などなど、多種多様な水生動物を飼育している施設です。
人間の娯楽施設という面も大きいのですが、本来の役目は、種の保存や生態研究、子供への教育など、人類と自然の橋渡しとなる重要な役割を担っています」
「フム!人間モマトモナ施設ヲ作レルノネッ!」
「そ、そう言ってもらえると光栄です。
褒めてもらったところ恐縮ですが、良いところだけでなく、難があるところもあるんですよ……
どうしても『生物を閉じ込める』という側面もありますので、飼われている生体がストレスを感じないように、配慮しないといけないんです」
「ヨイ考エダ……!!魚類ニハ敬意ヲ払ワネバナラナイノヨッ!
ソンナ基本スラ抑エテイナイ人間バカリダト思ッタガ……!!」
「はは……それを言われちゃうと弱いですね……
魚だけじゃないですが、人間以外の生き物も一緒に生きてるのは、常に意識しないといけないですね……残念ながら、それをしてない人もいますが……
特に日本人は魚をよく食べるので、魚のことをよく知ることは必要だと思ってます。
だから私は人間にとって、水族館は重要なものだと思ってます。
もちろん個人的に魚が好きで、美しく感じているから、ということもありますけど……」
「……と、すいません。
どうしてもこういう話が好きなので、話し過ぎてしまいました」
「ク……クククッ!!!」
「ど、どうしたんですか……?」
「私ハ!! 私ハソノヨウナ話デモ、一向ニ構ワンッッッ!!!
……ネェてんりゅうッ!!アナタノ言ッタ通リダッタワッ!!
コノ人間ハ、生カシテオイテヨイ人間ヨッ!!」
「だから何度も言ったろ?提督はスゲェ奴だって」
「今マデ見テキタ人間ハ、ドイツモコイツモ失格ダッタワ!
コノ世ノ全テノ基本デアル『魚類ヘノ敬意』ヲ、微塵モ感ジトルコトガデキナカッタッ!!
ダカラ、ソノヨウナ人間ハッ!
外海デハ貴重ナ『タンパク質』トシテ、大西洋ニ!バラ撒イテキタッ!!」
「え゛っ!!?」
「シカシ貴方ハ違ウノネッ!?
『魚類ヘノ敬意』ダケデナク、『魚ヲ殺シテ生キテイル』トイウ、人類ノ原罪ヲ分カッテイルッ!!
コンナ人間ガ居タトハッ!ワザワザ太平洋マデ来タ甲斐ガアッタトイウモノ!!
思ワヌ収穫ヨッ!!」
「あ、ありがとう……ございます……」
やべぇよ……やべぇよ……!
この人頭のネジがブッ飛んでる人だ……!
絶対逆らってはいけないタイプの人だ……!
ドレスの深海棲艦のヤバさに戦慄する鯉住君。
しかし、もうガッツリ関わってしまい、何故か認められてしまった以上、多分関わりを断つことはできないだろう。
今この場をしのぐためには、彼女の言う通りにしながら、機嫌が悪くならないよう祈るしかない。
天龍……キミ……とんでもないの引っ張ってきてくれたなぁ!?
「貴方ニナラ、私ノ『まんた』、安心シテ預ケルコトガデキルワ!
サァ、ソノ『艤装めんて』トヤラ、見セテチョウダイッ!!」
「は、はひ……」
……もしこのメンテで満足してもらえなかったら……!
……やめよう……考えるだけ無駄だし、考えたくない!
俺がこの場で生き残れる可能性はひとつ!満足するメンテをしてもらうだけ!!
「……それでは、誠意を込めてメンテさせていただきます……!」
「ウム!任セタワヨッ!!」
・・・
いつもの精神統一を終え、マンタと向き合う鯉住君。
これからメンテを始めるのだが……
(どこから手を付けたものか……)
いつもの機械的な艤装とはまるで異なり、機械部分が生体部分から生えている、という表現しかできない。
(変わった構造だけど……何とかなるか……)
意外にもおとなしくしているマンタから生える艤装を、どんどん解体し、調整していく。
普通のメンテ技師なら手の付けようがないほど、艦娘の艤装とは違った構造。
しかし彼は、長年の経験から、感覚ひとつで正しいメンテを施していた。
以前レ級の艤装をメンテした経験も、当然生きている。
隣で物珍しそうにその光景を眺めるドレスの深海棲艦を意に介さず、ものすごい集中力でマンタをメンテしていく。
・・・
「……ふぅ。
これで終わりました。問題ないとは思いますが、確かめてみてください」
「フム。見事ナモノダ。
『まんた』ガ喜ンデイルノガ分カルゾ」
鯉住君は彼女にマンタを返すべく、両手に乗せて差し出した……のだが。
ふわーっ……
すすっ
「!!?」
「あ、あれ?」
なんと。マンタは彼女の元に戻らず、鯉住君の方にすり寄ってきた。
「チョ、チョット!ドウシタノヨッ!?
早ク戻ッテキナサイ!!」
「そ、そうだぞ。ほら、ご主人が呼んでるんだから、早く戻りなさい」
……フルフル
ふたりの意見を聞かず、その場にとどまり、からだ全体を左右に振るマンタ。
明らかに戻るのを拒否している。
「ナ、何故ナノッ!?
アナタ、私ヨリモ、ソノ人間ト一緒に居タイトイウノッ!?
嘘ヨ、ソンナノッ!……嘘ダト言ッテヨォォォッッ!!」
「お、おち、落ち着いてくださいぃっ!!
ほら、早く戻りなさい!戻るんだ!お願いだから戻って!!」
錯乱し、正気を失い始めた彼女に危機感を感じ、マンタを無理やりにでも戻そうとする鯉住君。
しかしいくら押し戻しても、マンタは戻ってきて、すり寄ってくる。
完全に懐かれたようだ……
「オ、オォォッ……!!
私ノ……私ノカワイイ『まんた』……!!!
何年もモ一緒ニ、人間ノ掃除ヲシテキタノニッ……!!
アナタガ私ト過ゴシタ時間ハ偽物ダッタノッ!?私ノコノ愛情ハ届イテイナカッタトイウノッ!?全テ私ノ独リヨガリダッタトイウノォッ!?
オ願イ……オ願イヨッ……!!捨テナイデッ……!
私ノコト……捨テナイデヨオォッッ!!!」
マンタに離れられ、ガチ泣きしながら叫ぶ、ドレスの深海棲艦。
魚と深海棲艦で昼ドラ的ワンシーンが展開されるとは、夢にも思ってみなかった。
恐怖が一回りして、ドン引きする鯉住君。
「あの……そんなに落ち込まなくても……」
「ウッ……ウッ……ウルサイッ……!
人間ゴトキニ……情ケヲカケラレルクライナラ……死ンダホウガマシヨォッ!
ウゥッ……グスッ……」
「た、多分、初めてメンテ受けたから混乱しちゃったんですよ、きっと……」
「ウルサイウルサイッ……ウッ……ウッ……
人ノ愛スル相手ヲ奪ッテオイテ、知ッタヨウナ口ヲ利カナイデッ……!!
私ニハ分カルノ……コノ子、トッテモ喜ンデイルワ……!
私ニ、一度モ見セタコトノナイ態度ヲッ……!
誰ヨリモコノ子ヲ、理解シテイル私ニモ、見セタコトノナイ態度ヲッ……!!
ウゥ……悔シイッ……」
あまりの悔しさに、ビクンビクン震えてガチ泣きする彼女をを見て、さらにドン引きする鯉住君。
これはあれだろうか……?俺が悪いんだろうか……?
とにかくこれ以上刺激したくないし、なんとかマンタに戻ってもらうには……
……やってみるか
マンタの耳(がありそうな辺り)に顔を近づけ、耳打ちする鯉住君。
(キミに言葉がわかるかわかんないけど、あの人のところに帰ってくれたら、またメンテしてあげるよ。
今度はお友達も連れてきていいから……)
スイーッ……
「モ、戻ッテキテクレルノ!?
私ヲ、見捨テナイデクレルノッ!?」
「あ、言葉通じるんだ……」
「アリガトウッ!アリガトウゥッッ!!
コレカラハモット、アナタノ事ヲ理解デキルヨウニ努力スルワッ!!
ダカラモウ離レナイデッ!!
私、アナタガ居ナイ生活ナンテ、耐エラレナイワッッッ!!!」
「愛が重ぉい……」
感激でマンタを抱きしめながら号泣する彼女を見て、後ずさる鯉住君。
物理的にもドン引きするくらいの光景である。
正直このままハッピーエンド的な何かにして、鎮守府に帰りたい……
マンタ君との約束をうやむやにすることになってしまうが、彼女と関わるリスクがデカすぎる。
許してぇな……マンタ君……
「なんか感動的な雰囲気だな。いいシーンなんじゃねぇか?」
「そうね~」
天龍は適当過ぎる発言を控えるように。
龍田は全然そう思ってないことに対して、適当な相槌打たないように。
「あ、あはは……
丸く収まったようで、何よりです……
では、私達はこれで……」
「待チナサイ」
「アッハイ」
やっぱりこのまま帰宅というワケにはいかなかった。
絶対許されない流れだと思った!
研修中に、何度もこういう流れ経験したもの!
ヤメテ!私にひどいことするんでしょう!?
鼎大将みたいに!
一ノ瀬さんみたいに!
加二倉さんみたいに!
三鷹さん……は、そこまでではないか……
「貴方、何帰ロウトシテイルノ?
私ノ『まんた』ヲ、マタめんてなんすシテクレルンデショウ?シカモ全員」
「(聞こえてたーーー!!!)」
「人類ノクセニ、私ト同ジクライ魚類ヲ愛スル貴方ガ、約束ヲ違エルワケナイワヨネ?」
「は、はい……」
「デハ私ト来ナサイ。
特別ニ傍デ仕エルコトヲ許スワ」
「え゛っ」
やばい……!このままでは拉致されてしまう……!!
深海棲艦との共同生活とか、ストレスがマッハってレベルじゃない!!
しかもこの、頭のネジが全部ブッ飛んでるお姫様の側近とか、
多分1週間と耐えられずに、海の藻屑となります……!
どどどどうしよう……!!?
まさかの深海提督化の危機に、めちゃんこ焦る鯉住君。
そもそも彼女が人間の生活様式を分かっているはずがない。
のこのこ着いていったら、生命喪失は免れないだろう。
その場しのぎの言葉が、こんな形で響いてくるとは……
やっぱり不誠実なことすると、罰が当たるんだなぁ……
そんな感じで混乱して固まる提督を見て、天龍から一言。
「なぁ、おめぇよぉ。そりゃ無理だぜ?
提督は俺たちと一緒に帰らなきゃいけねぇんだから」
「フム。
シカシコノ人間、イツデモ私ノカワイイ『まんた』ヲ、めんてなんすスルト言っッタノヨ。
『まんた』達ガ喜ブ以上、ソノ約束ハ果タシテ貰ワネバナラヌ」
「(いつでもとは言ってないんですけどぉ!?)」
「あー、約束は守んねぇとな。
それじゃあれだ。お前がウチに来りゃいいじゃねぇか」
「天龍ちゃんんっっ!!??」
助け舟を出してくれたと思ったら、なんかとんでもないこと言いだした。
「魚、じゃなくて、お前的には魚類か。
魚類がいれば、別にどこに住んだっていいんだろ?」
「こんな実力者が、そんな適当な理由で住処決めてるわけないでしょ!?
部下とかもいるんだろうし、ウチに招くなんてできないって!」
「別ニイイワヨ」
「いいのぉっ!?」
「部下ニハ方針ヲ伝エテアルカラ、10年以上ホッタラカシテモ問題ナイワ。
私トシテハ、魚類ガイッパイイルナラ、ソレデイイワ」
「そんなバカな……
い、いや、そもそも貴女、人間大嫌いじゃないですか!?
ウチの周りにはだいぶ人間多いですよ!?」
「掃除スレバイイジャナイ」
「その掃除って、物騒な奴でしょう!?ダメです!掃除しちゃ!
周りの人たちのおかげで、私達はうまくやれてるんですから、そんな物騒なことされたら、やっていけないですよ!」
「魚類ノ良サヲ理解シナイ人類ナド、魚ノ餌クライニシカナラナイジャナイ」
「そんなことありませんから!
やっぱり駄目です!最低限人間に危害を加えないと約束してくれないと、招くことはできません!!」
「仕方ナイワネェ……」
「あ、諦めてくれたんですね……良かった……」
「ジャアコレナライイワヨネ?」
「えっ」
ピカーーーッ!!
言うが早いか、ドレスの深海棲艦のカラダが、艤装含めて光り輝く。
そして……
「これならいいわよね?Admiral」
「……」
なんか目の前に、ピンクの髪をした外国人が現れた。
なんも言えねぇ状態の鯉住君である。
ひとの想い人の心を奪うなんて……
鯉住君の鬼畜な面が出てしまいましたね……!