艦これ がんばれ鯉住くん   作:tamino

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ついに提督のストレスが限界突破するようです。

ラバウル第10基地の周辺状況

深海棲艦に滅ぼされた漁村跡地で、鎮守府近辺は廃材やほぼ崩れた廃墟がちらほらある。
裏は低山、表はソロモン海というロケーションなので、気にならない程度の斜面となっている。


第67話

スッ

 

 

「あら?アンタ、どこ行こうとしてるのよ?」

 

 

転化組ふたりの報告内容をまとめ終わったところだが、鯉住君はすぐに大和に報告しようとはせず、席を立つ。

秘書艦の叢雲は、彼のそんな行動を疑問に思って尋ねる。

 

 

「いやね、あのふたりについては、これでいいんだけどさ。

ちょっと気になることがあってね……」

 

「? 何かあるの?」

 

「ああ……アイツらどうしてるかと思って……」

 

「アイツら……? あぁ、忘れてたわ……」

 

 

天城全裸ショックで頭から吹き飛んでいた。

そういえば、野放しにしておくと大変なことになる面々がいたんだった。

 

 

「数時間しか目を離していない隙に旅館作っちゃう子たちに、対抗意識燃やしてたからさ……

今どんな状態なのか見とかないと……」

 

「わかったわ。

ちょっと見るのが怖いけど、私も行くわ」

 

「いいのかい?

キミはなんだかため息ついて疲れてるようだし、のんびりしててくれてもいいんだよ?」

 

「秘書艦も把握しとかなきゃいけない内容でしょ?

それに別に、疲れてため息ついてたわけじゃないから」

 

「? まぁ、キミがいいならいいけどね」

 

 

叢雲も彼に同行しようと席を立つ。

 

そう。いつも彼にくっついている妖精さんたちの様子を、外まで見に行かないといけない。

すでに1時間以上は経過しているため、あのやる気満々だった様子を鑑みるに、何かしらが完成しているとみるのが妥当だろう。

 

 

「それじゃ行こうか。何が完成しているのやら……」

 

 

 

・・・

 

 

 

「これは……」

 

「なんていうか、お見事ね……」

 

 

ふたりの目の前には、更地になった一面の土地。

 

元々この辺りは、廃材や建材が打ち捨てられており、手をつけられないような状態だった。

鎮守府を手配してくれた大本営も、近辺の廃墟撤去までは、してくれていなかったのだ。

 

もちろん業務に支障があるようなら、撤去願いを出していたが、鎮守府運営に邪魔になることもないため、放っておいていた。

 

……そんな荒れた跡地だったのだが、今ふたりの目に映るのは、陸上競技場のトラックと見違うばかりの、平坦に均された一面の土地。

この辺りは若干の斜面になっているため、棚田のように段々となっている。

 

広さでいえば、総計して50mプールほどだろうか。

均された土地は、上段、中段、下段と3段になっており、1段はおよそ100平米くらい。

そこまで広いわけではないが、なにか小規模な建造物や施設を造るには、問題ないくらいだ。

 

 

「あの子たちって、海まで生け簀造りに行ったんじゃなかったの……?

なんで廃材や廃墟ばかりだった空き地が、更地になってるの……?」

 

「あぁ……これはあれでしょ……

多分、生け簀は生け簀でも、淡水魚用の生け簀を造ろうとしてるんじゃないかな……?

このキレイに均した土地に、どっかから水引いて、池にするつもりだと思う……

……なんで目の前が海なのに、そっちをチョイスしちゃうかなぁ……」

 

「私としては、別にどっちでもいいんだけどね……

なんかこう、納得いかないわね……」

 

 

ふたりが呆気にとられつつも、げんなりしていると、主犯である3名の妖精さんが近寄ってきた。

 

 

(げんばしさつですかー?)

 

(まだまだじゅんびだんかい)

 

(みずのかくほまで、かんりょうしました!)

 

 

「おう……そうかい……って、水の確保?

お前らな、たぶん池か何か作ろうと思ってるんだろうけど、海から水引っ張ってきてもダメだぞ?

ちゃんと淡水を用意しないと……」

 

 

(そんなことわかってます)

 

(ばかにしてはいけない)

 

(こっちにきてみるです!)

 

 

そう言うと、妖精さんたちは鯉住君の制服の裾をぐいぐい引っ張りだした。

何か見てほしいものがあるらしい。

そのまま誘われるままに、海の方向へと歩を進めるふたり。

 

 

……するとそこには

 

 

 

・・・

 

 

 

ブシャーーーッ!!

 

 

 

「「 ……なにこれ? 」」

 

 

いつも出撃に使っている波止場に、何やら謎の機械が設置されていた。

海水中にパイプが伸びており、ゴウンゴウンと音を立てている。

 

そしてその装置の天井から、5mはあろうかという噴水が盛大に立ち上っている。

 

 

(よくぞきいてくれました!)

 

(わたしたちのぎじゅつのけっしょう!)

 

(じょうすいきです!)

 

 

「……それマジ?」

 

 

海水を真水へと変換する浄水器は、人間の手でも作られてはいる。

しかし塩分処理のためのフィルターや、動力の関係で、実用的なものはいまだ作られてはいない。

 

それに対して目の前のこれはどうだろうか。

ものっすごい勢いで湧き上がる水が、本当に全部真水だというなら、これはもう人類史上に残る革命である。

一日もあればため池ひとつはできそうなほどの水量。

水不足に悩む世界の地域は、これひとつで大いなる発展が見込めるだろう。

 

深海棲艦のせいで海岸に近寄るのは危険と言えど、安全が保障された海に面したエリアなど、いくらでもある。

どんな地域でも、これを活用することは可能だろう。

もしこれが量産できれば、そして世界中に配布できれば、ノーベル平和賞が何個ももらえるほどの偉業ではなかろうか……?

 

 

 

……そんなことを考えて眩暈を起こしながら、制服が濡れるのも気にせず、シャワーの下に歩いていく。

そしてかかってきた水をひとなめ。

 

 

「……純水だわ、コレ……」

 

 

真水どころではない。純水だった。

この金属の刺々しさが一切なく、ぬるっとした舌触り……

間違いなくUPW(超純水)か、それに近い純度の水だ。

 

最先端精密電子機器に使用される工業用水としても、遺伝子工学や植物研究などのバイオ工学で使用する実験水としても、十二分に活用可能だろう。

 

 

……そしてなぜか物凄く冷たい。

感覚としては、晩秋の水道水くらいだろうか。

だいたい10℃~15℃といった具合。

 

なんで熱帯気候のここ、パプアニューギニアの海から、こんな冷水が錬成されているんだろうか……

 

 

「お前ら……凄いもん造りやがって……」

 

 

(ふっふーん!)

 

(ほめてもいいのよ?)

 

(これをつくるのに30ふんいじょうかかったです!りきさくです!)

 

 

「おう……」

 

 

あまりにもあまりな話に、言葉が出ない鯉住君。

 

たった30分ちょっとで、こんな超化学オーパーツが誕生するとか……

しかもその時間でこれ造ったってことは、残りの20分とかで整地したってことだよな……

あの50mプールくらいの面積を……瓦礫や廃材で埋め尽くされていた、あの荒れ地を……

 

これってやっぱり、大和さんに報告しないといけないんだろうなぁ……

 

 

(これでおどろくのは、はやいです!)

 

(こちらをごらんくださ~い)

 

(おーぷん・ざ・せさみ)

 

 

「……?」

 

 

魂が半分抜け、呆然とする彼の目の前で、妖精さんたちが装置横についている蓋に手をかける。

ご丁寧に噴水で濡れないよう、ジャンボな傘をさしながら。

 

そして何やら、ついているつまみを軽くひねると……

 

 

 

チンッ♪

 

 

 

電子レンジのあの音と共に、扉が開き、中から湯気の上がった大量の白い物体が取り出される。

そのホカホカした物体をバカでかいお盆にのせ、こちらに運んでくる妖精さんたち。

 

 

(かいすいせいぶんの、みずいがいがこちら)

 

(だいたい『しお』ですねー)

 

(らばうるのうみからおとどけ。やさしいあじ)

 

 

「……」

 

 

ペロッ

 

 

「……うまい……」

 

 

あっつあつの白い物体の正体は、海水塩だった。

これだけの量の純水を分離させたのだから、その余りがこちら、ということらしい。

 

彼の『うまい』という言葉を聞き、例外なくドヤ顔になっている妖精さんたち。

 

 

「あの……なんでこの塩……こんなにホカホカなの……?」

 

 

(あれー?こいずみさんしらないですかー?)

 

(『ねつりょうほぞんのほうそく』です)

 

(もっとべんきょうしないとですねー)

 

 

ねつりょうほぞん……あぁ……熱量保存ね……

 

あっ、そっかぁ……

あっちの純水がキンキンに冷えてるのと、こっちの塩がホッカホカなのを、足して2で割って、プラマイゼロってことね……

 

 

 

……そんな乱暴な法則じゃないとか、妖精さんが煽ってきてうっとおしいとか、普段の彼だったらツッコミを入れまくっているところだ。

 

 

 

 

 

……しかし彼のストレスは今、ついに限界にまで達してしまった。

そのようなことはもう、考えられなくなっていた。

 

 

 

2日前の、旅館建設&重婚カッコカリ大事件。

 

昨日の、救援要請に端を発した、人類殲滅系お姫様ふたりの、艦隊加入大事件。

 

そして本日の、魚類関連施設の建設決定に、天城全裸事件、そして技術革命級の、人類の未来を救う『妖精さん印の浄水器』開発大事件。

 

 

 

……ここ数日の、一生に一度あるかないかレベルの大事件ラッシュ。

もう彼の脳は、情報を処理できないところまで来てしまった。

 

過剰にかかった負担は、脳の生存本能を刺激し、理性的で建設的な思考を完全にカットしてしまっている。

他人への気遣いとか、空気を読むとか、言っちゃダメなことは言わないとか、やっちゃダメなことはやらないとか、そういった事ができない状態になっている。

 

そしてその結果、彼がどうなったか……

 

 

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっとアンタ! 一体何がどうなってんの!?

なんなの、この水!? なんなの、この白いの!?

私には妖精さんの声が聞こえないんだから、詳しく説明してよ!?」

 

「……」

 

「どうしたのよ!? 押し黙っちゃって!」

 

「……ふふっ」

 

「……な、何笑って……」

 

 

 

 

 

 

 

「……ふふふっ!ハハハハハッ!!

よーしわかった!お前らがその気なら、とことんやってやろうじゃないかっ!!」

 

「!!!??」

 

 

自身の提督の変貌に、驚いて目を丸くする叢雲。

突然の出来事に、言葉が出てこない。

 

 

「いいか、お前らっ!俺が今から指揮を執るっ!

一気に色々と必要なものを完成させるぞっ!!?覚悟はいいかっ!?」

 

 

(おーっ!! ひさしぶりの『しゅらばもーど』っ!!)

 

(てんしょんあげあげですーっ!!)

 

(かっこいいです!! ひゅーひゅーっ!!)

 

 

「今からお前らには、存分に働いてもらうからなっ!

まずは人手が必要だ!お前らだけじゃ全然足りん!ウチに居る妖精さんたちを総動員して来い!

楽しい楽しい鎮守府開発を進めるぞーっ!!」

 

 

((( おーっ!! ))) 

 

 

鯉住君の檄により、メチャクチャ嬉しそうにキラキラしている妖精さんたちが、鎮守府棟の方へ飛んでいく。

 

 

「ね、ねぇ……大丈夫……? 一体どうしちゃったの……?」

 

「大丈夫大丈夫!

最ッ高にいい気分だからな!

今から妖精さんたちを総動員して、鎮守府土地改革するから、キミも楽しみにしてな!」

 

「う、うん……」

 

 

まるで危ない薬をキメちゃっている様子の提督に、何も言えない叢雲。

実際彼の頭の中には、脳内麻薬的なアレな物質が溢れているため、そうだといえばそうなのだが。

 

彼の脳は、キャパシティを遥かに超えるストレスからくる反動で、強烈なストレス解消を欲している。

 

その結果がこれ。

難しいことは全部投げ捨てて、やりたいことを好き勝手にやる暴君の誕生である。

 

……とはいえ、根が善人なので、悪行とかそういった方面には動かないのだが。

 

 

 

・・・

 

 

待機中

 

 

・・・

 

 

 

((( あつめてきましたーっ! )))

 

 

「よぉし!エライぞっ!!

よくこんだけ集めてきたな!褒美をつかわそう!」

 

 

((( ありがたきしあわせーっ!! )))

 

 

「……すご……」

 

 

ご褒美のアメちゃんを進呈している提督を横目に、あまりにも壮観な光景を眺める叢雲。

 

驚くのも無理はない。

彼女の目の前には、色んな格好をした妖精さんたちが、ものすごい数集まっている。

 

ざっと数えて100名以上はいる。

いや、200名以上かも……

 

普段目にする妖精さんは、多くても1日に4,5名である。

そもそもこんな数が鎮守府のどこにいたのか、というほどの大所帯だ。

 

 

(『こいずみさんが、ついにやるきだした』っていったら、みんなついてきました!)

 

(ひとことかけたら、すぐにうわさがひろまったです!)

 

(おきゃくさんも、いっしょにきました!)

 

 

「お客さん……そうか!

高雄さんたちの艤装にくっついてる子か!どこにいるんだい?」

 

 

何やら鎮守府の妖精さんが全員集合したようだ。

彼がやる気に満ち溢れて何かしようというのは、実は初めてのことなので、みんな期待しているのだろう。

集まった妖精さんは、ひとり残らず目がキラキラしている。

物理的にもキラキラしている。

 

そしてそれはこの鎮守府の妖精さんだけではないようだ。

ラバウル第1基地・第2艦隊メンバーの艤装に宿っていた妖精さんたちも、同様の状態で集合している。

 

彼に呼ばれ、目の前に飛んでくるゲスト妖精さんたち。

 

 

(まつりがあるときいて!)

 

(いったいなにするですか!?)

 

(たのしみです!)

 

(ごほうびはありますか!?)

 

 

「よーしよし! よく来てくれたな、お客人!

今からな、この鎮守府に色々と素敵な施設を量産するから、キミたちにも手伝ってほしい!

もちろん報酬もあるぞ!金平糖だ!」

 

 

そう言うと彼は、懐から金平糖の袋を取り出し、天高く掲げる。

それを目にして、さらにキラッキラになる一同。

 

 

((( おぉーーーっ!! )))

 

 

「もちろん追加報酬もあるぞッ!

特に頑張ってくれた妖精さんたちには、金平糖以外にも、マシュマロを進呈するッ!!

しかも2個、3個……いやいや、5個だッ!!どうだあッ!!!」

 

 

((( わ゛あ゛ーーーっ!!!! )))

 

((( あ゛ぁ゛ーーーっ!!!! )))

 

((( う゛ぁ゛ーーーっ!!!! )))

 

 

あまりにも魅力的な提案に、狂喜乱舞する妖精さんたち。

ゲストの子も、いつもの3名も、その他の皆さんも、ひとり残らずキラッキラである。

あまりの喜びで失神する子も出ているほどだ。

 

 

(てーとくー!すてきでーす!らぶゆー!)

 

(ひええーっ!すっごいやるきですっ!)

 

(いつものやさしさとのぎゃっぷがたまらないですっ!だいじょうぶですっ!)

 

(けいさんいじょう……いや、わたしのあたまでは、はかりきれませんっ!)

 

 

もちろん英国妖精シスターズも参加している。

 

 

「よーし!士気は十分だなっ!!

それじゃ今から、作戦会議するぞーっ!!

スピーカーとホワイトボードを持ていっ!」

 

 

(はっ! ここにっ!)

 

 

「うむ、ご苦労っ!

あー、あー、マイクテスッ!感度良好!上々ね!

それじゃ意見の出し合いを始めるぞー!準備いいかー!?」

 

 

((( おぉーーーっ! )))

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

タタタッ!

 

 

 

提督と妖精さんの群れで行われる会議を前に、茫然と立ちすくむ叢雲。

そんな彼女の元に、結構な人数の同僚が駆け付ける。

 

 

「一体何があったんですか!?叢雲さん!

工廠で秋津洲と艤装メンテの練習していたら、どこからか突然現れた妖精さんたちが、一斉に同じ方向へ飛んで行ったんです!

それを追いかけてきたんですけど……!!」

 

「何がどうなってるの!?

なんで提督が、すっごい数の妖精さんに囲まれて会議してるのっ!?

全然意味わかんないかもっ!」

 

 

工廠からは彼の弟子ふたりが。

 

 

 

「お茶の間でみんなでくつろいでたら、窓の外に妖精さんの大移動が見えたから、アタシたちも来たんだけど……

なんなのコレ?一大事?」

 

「提督は一体、何されてるんでしょうか……」

 

「あら~ すっごく楽しそう~

私達も混ぜてもらおうかな~? ね~、天龍ちゃん」

 

「はー、すっげぇ眺めだな、こりゃ。

でも確かに龍田の言う通り、面白そうだ!俺たちも混ざろうぜ!」

 

 

お茶の間(娯楽室)からは、W姉妹が。

 

 

 

「スゴイよ姉さんっ!!妖精さんがあんなにいっぱいっ!!

私あんな数の妖精さん、初めて見たよおっ!!」

 

「うむ!流石は我が愛しの旦那じゃな!

見てみよ明石!あの凛然とした振る舞い!元帥殿にも劣らぬ!なんと素敵なのじゃ!」

 

「あ~、たしかにスゴイですねぇ……

なんで鯉住くん、『修羅場モード』になってるんだろ?」

 

 

呉異動組も揃って到着。

 

 

 

「あらあら……

なんか彼、雰囲気がだいぶ違うけど、どうしちゃったのかしら?」

 

「て、提督!?どうしちゃったんですか!?

叢雲さん!提督は大丈夫なんでしょうか!?」

 

 

第2艦隊メンバーの世話をしていた、足柄・古鷹も到着。

 

 

 

「見よ!天城! fairyの群れに着いてきて正解だろう!?

あれこそが我らが主であるAdmiralの実力だ!

あれだけの数のfairyに慕われるなど、並大抵ではないぞ!

こうでなくてはッ!あははっ!」

 

「無理やり引っ張ってきたと思ったら……でも、すごいですね……

ちょっとだけ眠気が飛んじゃいました……」

 

 

アークロイヤルと、引っ張られてきたであろう天城も。

 

 

 

「何がどうなってるの……!?

なんで少佐がずぶ濡れで、とんでもない数の妖精さんとやり取りしているの……!?

ふたりと面談した後は、大和さんに報告するんじゃなかったの……!?

分からない……私には少佐がわからない……!!」

 

「凄い光景ですっ!こんな数の妖精さん!

榛名、感激ですっ!」

 

「……何なの、これ……照月、私、看病疲れで寝ちゃって、夢見てるのかな……?」

 

「ち、違いますよ、能代さん。ちゃんと起きてます。

でもこれって一体……ここの提督さんは、どんな人なの……!?」

 

「ひゃあ~!!すごいねコレは!!

酒もってくりゃ良かったよ!ねぇ飛鷹?」

 

「私達の艤装から妖精さんが飛んで行ったと思ったら……

一体何が始まるんです……?」

 

 

自分たちの艤装から飛び出た妖精さんについてきた第2艦隊のメンバーまで。

 

 

 

今ここに、この鎮守府に居るすべてのメンバーが揃うことになった。

 

 

 

「フフフ……!

どうやらギャラリーの皆さんが到着したようだ!

会議もちょうど終わったし、ピッタリのタイミング……!実にグッド……!

……いいかお前たち!お客さんの前で雑な仕事は許さないぞ!

全力で、そして楽しみながら!仕事するように!」

 

 

((( おぉーーーっ! )))

 

 

「全員復唱!

『楽しくまじめに仕事します』! ハイ!」

 

 

((( たのしくまじめにしごとします!! )))

 

 

「ぃよーし!続けてぇ!『ゼロ災でいこうっ!ヨシッ!!』」

 

 

((( ぜろさいでいこうっ!よしっ!! )))

 

 

「それじゃ持ち場につけー!!作業開始だー!!」

 

 

((( おぉーーーっ! )))

 

 

各自ヘルメットをかぶり、色んな方向へ飛んでいく妖精さんたち。

その光景と、提督のはっちゃけっぷりを見る部下たちは、どうしていいのかわからない表情をしていたのだった……

 




普段温厚な人物がリミッター外すと、何が起こるかわからないんだよなぁ……

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