艦これ がんばれ鯉住くん   作:tamino

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E-3第2ゲージのクレベースが硬すぎてA敗北ばっかりなんですけどぉ!
あのオノノクスなんとかなんないですかねぇ!?夜戦カットインで的確にフィニッシャー潰してくるの!
ウチのカメックスが仕事できないんですけどぉ!!

クレベース……泊地水鬼バカンスmode下
オノノクス……泊地水鬼バカンスmode上
カメックス……時雨


分かんない人はごめんなさい


ps

この頭おかしい不満を書いてる途中にゲージ割れました……すごくあっさりと……
今までの苦労は一体何だったの……?




第70話

「う……うぐ……」

 

 

目を覚ますと、見慣れた自室の天井が広がっていた。

 

意識がすごくぼやけている。頭がガンガンいっている。

体がだるい。金縛りにあったように動けない。

呼吸がうまくできない。

 

 

……間違いない。かなりひどい風邪をひいている。

 

 

「あ、ついに目を覚ましたのね」

 

「……その声……」

 

「私よ。アナタは丸一日寝てたの」

 

「丸一日……」

 

 

声の主は、部下の足柄だろう。

ハッキリしない意識だが、それは判断できた。安心する声だ。

 

しかし丸一日寝ていたとは……

ダメだ……何も考えられない……考えたくない……

 

 

「すいません……もう少し寝ます……」

 

「そう。かなり熱があるから、ゆっくりしてていいわよ。

それじゃ、おやすみなさい……」

 

「おやすみなさい……」

 

 

額にひんやりとした感触が。

どうやら濡れタオルか何か、かけてくれたのだろう。

 

程よい温度の心地よさに、意識を手放す……

 

 

 

・・・

 

 

 

結局鯉住君は、ひとしきり暴走した後ぶっ倒れ、妖精さんたちに自室に運び込まれた。

 

それだけならよかったのだが、何時間も濡れた服で体を冷やしながら活動していたツケが回り、盛大に風邪をひいてしまった。

エネルギー残量がゼロだったことも手伝って、熱にうなされながら苦しむことになったのである。

 

 

 

ちなみに、そのような死にかけの状態の彼は、秘書艦の叢雲により発見された。

 

彼女は、提督に無理をさせ過ぎたから暴走してしまった、という自責の念を感じており、そのことを謝ろうとしていた。

そこで普段は足を運ばない彼の私室まで赴いたのだが、その際に、高熱を出してうなされている提督を発見。

 

取り乱しはしたものの、地獄の研修でイレギュラー対応を叩き込まれた彼女である。

すぐさま看病を開始したのだった。

 

さらに言うと、その慌てっぷりは、すぐさま鎮守府中に広がり、ひと騒動起こることとなった。

誰が提督を看病するかという話だ。

 

立候補したのは、古鷹、足柄、初春だったのだが、子日からの進言もあり、初春は不適と全員が判断。

叢雲含めた3名でローテーション看病することで決定した。

その際、鎮守府に「なんでじゃー!」という大声が響き渡ることとなったのは、仕方ないことだろう。

 

 

 

・・・

 

 

 

さらに1日後

 

 

 

・・・

 

 

 

「……大変ご迷惑おかけしました……」

 

 

ずらっと並んだ、ラバウル第10基地・第2艦隊のメンバーに、頭を下げる鯉住君。

 

照月の精神的な回復は、彼が暴走した日にはある程度は達成されていたため、その翌日には自身の鎮守府へ帰ることもできたはずだった。

少し余裕をもって見たとしても、それプラス1日もあれば、十二分に元の健康状態まで回復が見込めたはず。

しかし、体調不良でうなされている、命の恩人でもある彼を差し置いて帰るのは、流石にどうにもはばかられた、とのことだった。

 

……そんな理由で出発が遅れてしまったことに対して、提督自ら謝罪している状況だ。

 

彼女たちは大規模作戦で何度も活躍している、非常に実力のある部隊である。

ハッスルしすぎて風邪ひいたなんていう、なっさけない理由で行動制限していいはずがないのだ。

 

 

「あまり気にしないで下さい、少佐。

事の顛末は白蓮大将にも大和にも、おおまかにですが伝達済みですし、大将からは長期滞在許可をもらっています。

ですから出発が遅れたところで、何の問題もありません。

そもそも元はと言えば、命を救っていただいたのはこちらですし」

 

「そうですよ!高雄さんの言う通りです!

榛名たちは、少佐と部下の皆さんに助けられたんです!文句なんてあるはずがありません!」

 

「そそそ。むしろ部屋から酒から至れり尽くせりの上、少佐にはずいぶん楽しませてもらっちゃったからさ~。

こちらこそ迷惑かけてすみません、だよ。

一生のうちに一度見れるかレベルの、珍しいもんも見せてもらっちゃったしね。

今思い出しても、魔法かなにかにしか思えないよ、ありゃ。

不思議が一杯な私達艦娘からしても、びっくり仰天だよ」

 

「そうね……隼鷹じゃないけど、魔法にしか思えなかったわ……

たった2.3分目を離しただけで、今まで更地だったところに施設が出来てるんですもの……」

 

「なんだかここに来てから、現実感が湧かない出来事ばかりなのよね……

……あ、でも、私達を助けてくれたことについては、本当に感謝してます!

おかげで全員無事に鎮守府まで帰れるわ!

ありがとうございます!」

 

「私も沈むことを覚悟してたけど、皆さんのおかげで、姉さんにまた会うことができます!

本当にありがとうございました!」

 

 

元気よく頭を下げる照月。

それにつられ、一呼吸遅れて頭を下げる他のメンバー達。

 

 

「いえいえ、こちらこそすいません……」

 

 

頭を下げられている側だというのに、つられて頭を下げてしまう鯉住君。

人がよいというか、日本人的というか、小市民的というか。

 

 

「それでは少佐、私達はこれで第1基地に帰投させていただきます。

……改めて、このご恩は絶対に忘れません。

なにか困ったことがあれば、どうにか融通を利かせますので、遠慮なく連絡して下さい。

もっとも、私にどうにかできる案件であればの話ですが……」

 

「あ、あはは……

こちらこそ、いつもありがとうございます。

また頼りにさせていただきますね。

……帰りはタクシーを呼んでおきましたので、それで港まで向かってください。

それではまたお会いしましょう。その時を楽しみにしていますね」

 

「わざわざありがとうございます。

こちらこそ、また会える日を楽しみにしていますね。

それではまた」

 

 

挨拶を終え、一行を手を振りながら見送る鯉住君。

 

彼女たちは救出されてから、なんだかんだ5日ほど滞在していたことになる。

タクシーに乗り込む彼女たちの表情は、どことなく名残惜しそうなものであった。

気のせいでなければ、こちらのもてなしに満足してくれたということなのだろう。一安心だ。

 

 

「さて……それじゃ大和さんに報告するとしますかね……痛っ……」

 

 

まだ残っている頭痛のせいで、頭を押さえながら執務室へと向かう。

 

ホントはもっと休んでいたいが、自分も盛大にやらかしたうえ、すでに事が起こってから何日も経ってしまっている。

いくら秘書艦が優秀で報告を任せても支障ないとはいえ、自分から速やかに報告(謝罪)するのが筋というものだ。泣き言を言っている暇はない。

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

少し時間は巻き戻って、彼が倒れたその日の夜……

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

うろうろ……

 

 

「大和君、少しは落ち着きなさい」

 

「……はっ! す、すいません、提督」

 

「ここ2,3日、ずっとそのような調子じゃないか。

気持ちはわかるが、その調子では解決できるものも解決できないよ」

 

「その……申し訳ありません」

 

 

ここは横須賀第1鎮守府の執務室。

世間的には大本営と呼ばれている鎮守府の、心臓部だ。

 

そこでは筆頭秘書艦の大和と、彼女の提督であり、日本海軍のトップに立つ存在でもある、伊郷元帥が執務をしていた。

 

と言っても恒常的な執務はすでに終わり、目下最大級の案件について話し合いを始めようとしているところだ。

 

 

「しかし参ったね。EUからの応援要請とは」

 

「はい……まさかこのタイミングでそんな話が来るとは……」

 

 

欧州は非常に艦娘の数が多い地域であり、日本と同じかそれ以上の、対深海棲艦戦力を有している。

 

しかし以前の世界ほど、欧州が世界に与える影響は大きくない。

その原因は、深海棲艦の質と量にある。

 

日本海軍が人類防衛を担う地域も、深海棲艦の脅威が大きい危険地帯なのだが、欧州はその比ではない。

 

地中海、北大西洋、北海、バルト海、紅海……

 

そこまで広いとは言えない範囲に、日本海軍が相手取る深海棲艦と同じくらいの数の深海棲艦がひしめいているのだ。

 

こちらの掌握範囲が太平洋西側全域と、東南アジア近海全域、インド洋全域であることを考えれば、いかに欧州の海が深海棲艦で溢れているかがわかる。

 

さらにそれだけではない。

それだけでも十二分に欧州は危険地帯と言えるのだが、さらなる要因があるのだ。

 

 

 

……それは、あまりにも強力で、あまりにも無慈悲な、「二つ名持ち個体」の存在。

 

 

 

基本的には深海棲艦は、その姿かたちをもって性能認識することができる。

例えば、駆逐イ級の姿をしていれば、駆逐艦としての能力しか持たない、というように。

 

まとうオーラと言っていいのか、雰囲気によって、その個体の練度が上下するという見分け方もある。

しかしそれでも駆逐イ級は駆逐イ級なのだ。

エリート個体にしても、フラグシップ個体にしても、駆逐イ級が戦艦並みの火力を有することなどない。

 

それは深海棲艦であれば、どのような存在でも同じである。

どんなに上位の存在でも、その性質は変わらない。

鬼級でも姫級でも、この例から洩れる個体などほとんどいない。

 

……そう。「ほとんど」いない。

物事には必ず例外というものが存在するのだ。

 

 

 

・・・

 

 

 

『インビンシブル』と呼ばれる個体がいる。

日本海軍が欧州棲姫と呼ぶ系統の、二つ名個体だ。

 

 

深海棲艦出現の初期も初期、北海に一体の姫級が出現した。

まだ艦娘という存在が出現していなかった段階である。

 

深海棲艦とは何か、どうすれば排除できるのか、そもそも人類にとってどういう立ち位置なのか、それらが全く認識されていない時代。

 

海沿いの街を徹底的に破壊し、油田プラントを壊滅させ、目につく人類をひとり残らず手にかけていく彼女。

それを見た者たちは、人類の負の技術の粋を集めた戦闘兵器を使って、なりふり構わず排除を試みた。

 

……今となっては既知であるが、深海棲艦である彼女には、何ひとつ兵器による攻撃は通らない。

その必死の攻勢を見た彼女は、その抵抗をあざ笑いながら反撃し、軍事基地のことごとくを破壊していったのだ。

 

 

それは仕方のない事だった。どうしようもないことだった。

むしろその出来事があったからこそ、深海棲艦には兵器が、核ですら、通用しないという情報が得られたのだ。

 

それだけの被害は出たが、これだけで済めば、まだよかった。

 

 

……深海棲艦出現後、少しのタイムラグの後、艦娘が出現。

彼女たちのチカラをもってすれば、深海棲艦に対抗できることを知った者たちは、多くの場数を踏んだ艦娘たちをそろえ、EU合同作戦として、彼女の討伐に向かった。

 

それは満を持しての作戦だった。

他の深海棲艦とは一線を画す彼女の討伐に、各国は万全を期していた。

彼女を討伐できるだけの練度を持った艦娘が育つまで、臥薪嘗胆の思いで待ち続けた。

それだけ万全に万全を重ねた布陣を敷いたのだ。

 

時がたった今からすれば、不十分と捉えられる程度の練度ではあった。

しかし、それが最速、最善だったのだ。

少なくとも当時の状況を考えれば、それ以上待つことはできなかった。

最善の作戦だったのだ。

 

 

……しかし結果は、完全なる敗北。

彼女から放たれる規格外の砲弾や、生物然とした艦載機。

近接戦でも圧倒的なパワーを誇り、手も足も出ない。

 

彼女を小破させることすら敵わず、甚大な被害を出し、作戦は失敗した。

 

その経緯から、誰とも知れず彼女は『インビンシブル(無敵)』と呼ばれるようになった。

 

 

今までに彼女と同系統の姫級が出現したことはあれど、形だけ同じで中身は月とスッポンだった。

他のどの欧州棲姫も、彼女の能力とは比べるべくもない。

現にイギリス海軍の精鋭艦娘達により、それらの個体は討伐されている。

 

彼女だけが特別なのだ。

理由はわからない。しかし確実に、彼女は特別なのだ。

 

 

 

・・・

 

 

 

『キリアルケス』と呼ばれる個体がいる。

日本海軍が欧州水姫と名付けた個体だ。

 

 

北大西洋の高緯度地帯、スコットランド沖。

ある日甲冑のような装甲を身にまとって出現した彼女は、部下の深海棲艦と共にスコットランド、アイルランドを蹂躙した。

 

沿岸からの大量の空母系深海棲艦による空襲、長射程深海棲艦による艦砲射撃。

それにより海岸沿いからは、多くの人命と共に、人が住める場所が無くなってしまった。

 

すでに艦娘が出現してからある程度経っていたため、北大西洋に向けて、それなりの戦力は整っていた。

だから対抗戦力はあるにはあったのだ。『インビンシブル』出現時とは話が違う。

 

 

……しかし結果を見れば惨敗。こちらの大損害に対して、あちらは損害軽微。

その敗因は、圧倒的な部下の質。

 

50にも届こうかという深海棲艦を、ただのひとりで従える姿は、まさに絶望そのもの。

しかしそれが全て低級の深海棲艦だったなら、全く問題は無かった。

問題は部下の半数以上が鬼、姫級で構成されていたというところだ。

 

彼女に従う深海棲艦は、同系統個体よりも実力が低いものばかりだった。

しかしそれでも、鬼級は鬼級であるし、姫級は姫級である。

統一された指揮の下で束になって襲い掛かってくる深海棲艦に、多少の実力の上下など関係はない。

奇襲だったこともあり、これに抵抗することは不可能だった。

 

 

……それ以降人類は、北大西洋の制海権を失ってしまった。

不思議なことに、こちらから仕掛けなければ、彼女は手を出してくることはない。

しかし彼女のテリトリーは非常に広範囲に及ぶため、北大西洋での漁業は完全に不可能となっている。

海産物を食糧とできない現状は、干殺しに近い。

 

食糧の関係、イギリスが物理的に孤立している関係から、一刻も早く彼女を討伐し、制海権を取り戻す必要がある。

あるのだが、これには大きな問題がある。

 

 

……彼女の有する戦力上限が、全く読めないのだ。

北海にもにらみを利かせなければならない以上、戦力の上限が計れない存在を相手どる作戦はたてられない。

 

現在は膠着状態が続いており、直接被害は当初の強襲以降出ていないのだが、彼女が何を考えているかわからない以上、この仮初の平和がいつまで続くかもわからない。

彼女の存在は、そのものが脅威であり、決して取り除くことができないのだ。

 

その経緯から、深海棲艦を統べる存在として、彼女は『キリアルケス(千人隊長)』と呼ばれるようになった。

 

同系統の個体の存在はまだ確認されていないが、これから先出現してくる可能性は高い。

彼女が平均的な欧州水姫でなく、二つ名個体と呼んでいいほど異次元の実力を持つ存在であることを願うばかりだ。

あのような怪物が大量に発生したら、欧州はオシマイだろうから。

 

 

 

・・・

 

 

 

……このように、欧州には規格外の実力を持つ深海棲艦が、複数存在している。

 

その2体以外にも、

 

 

ジブラルタル海峡を根城にする空母棲姫『アポリオン』

 

スエズ運河北側で残虐の限りを尽くした港湾水姫『レディ・ツェペシュ』

 

地中海で航行する船を片っ端から沈めている深海仏棲姫『バレリーナ』

 

 

などが有名だ。

 

遠く離れた日本海軍にまで、その名が知られている個体である。

その実力は推して知るべしだ。

 

 

 

……このように人類生存がギリギリの状況とも言える欧州なのだが、今回EU名義で日本海軍に応援要請を入れてきた。

 

その内容は以下のようなもの

 

 

「北大西洋から北海への深海棲艦の大移動が確認された。

『キリアルケス』と『インビンシブル』の関係が変化した可能性がある。

EU加盟国だけでの対処に危惧することがあるため、艦娘先進国である日本の協力を要請する」

 

 

緊急事態なので、増援はいくらあっても足りない、といったところだろう。

 

 

 

・・・

 

 

 

「……なんともいえない話だな。大和君はどう見る?」

 

「そうですね……ひとまずわかることとして、ですが……

こちらに知らされた実情に裏があるとは、考えられません。

深海棲艦の移動というのは、実際に起こったことなのでしょう」

 

「ふむ。何故そう思う?」

 

「欧州の情勢は非常に人類にとって悪いものであり、

私達が知る時代……帝国主義の時代よりも、欧州諸国は遥かに国力を落としています。

無理やり相手を従わせる剛腕外交をできる立場ではありません」

 

「そうだな」

 

 

目をつぶりながら、大和の意見を聞く元帥。

 

 

「はい。ですからこちらに選択権がある以上、関係が悪化するような真似はしないでしょう。

それと、もうひとつ。こちらの方が裏がないと確信する理由ですが……」

 

「なんだ?」

 

「先方が提示してきた交換条件が破格すぎます。

なんとしても急場をしのぎ切らないといけない、という意志が見えます」

 

「『高練度艦娘10体の譲渡』、か」

 

「ええ。こちらの出撃の費用、資材はすべて向こう持ち。

そのうえ、現在の世界で最も希少で最も強力な存在である、私達艦娘を、10名も移籍させると言うんです。

ハッタリにしては豪勢過ぎるかと」

 

「そうだな。私も大和君と同意見だ」

 

 

そう言うと元帥は椅子から立ち上がり、窓から外を眺める。

その視線の先では、大本営所属の艦娘が、まだ練度の低い艦娘を教導している。

 

 

「キミたち艦娘は、人類の存続になくてはならない存在だ。

交渉の手札として扱うには、あまりにも大きすぎる。

……つまりは、欧州でそれだけの事態が起こっているということで、間違いなかろう。

救援を求める相手がいるならば、手を差し伸べるが人の道」

 

 

真剣な面持ちで、救援に積極的な発言をする元帥を見て、大和は胸をなでおろす。

 

助けてくれと言われて、助けてやりたいと思う気持ち。

政治的には甘すぎて話にならないと言われるような意見だが、そのような気持ちが根底にあるかないかの違いは大きい。

 

自分が着いていく相手を間違えていない事が再確認でき、

喜びで口角が少し上がってしまう。

 

 

「……しかしながら、我々が所属する日本海軍も、現在のっぴきならない事態にある」

 

「ええ。おっしゃるとおりです。

呉鎮守府を北端とし、パラオ泊地、トラック泊地を覆い、ラバウル基地を南端とする、深海棲艦の異常活動がみられるエリアが広がっています。

過去の例から見ても、これら一帯の地域で大規模な動きが出てくる可能性は高いです」

 

 

たった今話に出た鎮守府では、深海棲艦がおかしな動きを見せている。

 

激戦区だったエリアから忽然と姿を消したり、

今までに全く見られなかった編成が組まれていたり、

補給艦の数が目に見えて増えていたり。

 

深海棲艦が何を考えているかはわからないが、何か大きな準備をしているような雰囲気が伝わってくる。

 

つまりは、近いうちに大規模攻勢が起こる可能性が高い、ということだ。

 

 

「うむ。

欧州の救援に応えることと、近い未来に起こるであろう大規模作戦に対処すること。

そのどちらもやらなければいけないのだが……」

 

「大本営内では、『他所様の事情に構っている場合ではない』という意見が主流で、欧州への救援は送らない空気になっていますが……」

 

「助けを求める者に手を差し伸べないでいれば、いずれ大きなしっぺ返しを喰らう。それを因果応報という。

だから私達は、どちらも無事に事を収めるには、どうしたらよいか考えなければならない。わかるな?」

 

「はい。そう言って下さると思っていました」

 

「うむ。しかし情報が足りないのも事実。

いかがしたものか……」

 

「……」

 

 

結局はそこで行き詰ってしまう。

動きたくても情報が少なすぎて手が打てないのだ。

 

悩んでもどうしようもない事だが、

だからと言ってこの一大事を放っておけるほど、無責任なふたりではない。

 

 

「何か……何かきっかけはないか……」

 

 

そう独り言ちる元帥。

 

その時……

 

 

 

コンコンコン

 

 

 

(お話し中失礼します。愛宕です。

大和秘書艦にお電話があってお邪魔しました)

 

「私に電話……?……どうぞ、入ってください」

 

 

ガチャン

 

 

「失礼します。大和秘書艦。元帥閣下」

 

 

恭しくお辞儀をする愛宕。

 

 

「愛宕君、頭を上げなさい。私にそのように丁寧なあいさつはしなくともよい。

それで、大和君に電話ということだが」

 

「はい。姉の高雄……ラバウル第1基地所属の高雄より、大和秘書艦に緊急連絡があるということで……」

 

「高雄から?緊急連絡で私に……?

いったい何がどうしたというの……?」

 

「なんでも先日お越しになられた、ラバウル第10基地の鯉住少佐関連の話だそうです」

 

「龍太さ……鯉住少佐の話?

ますますわからないわ……」

 

 

まったく思うところがなく、頭の上にクエスチョンマークを浮かべる大和。

 

 

「大和君。悩むくらいなら、本人に聞いてしまいなさい。

私のことは気にしないでいいから」

 

「あ、す、すいません、提督。

……それじゃ愛宕、いいかしら?」

 

「はい。こちらです。

保留中になっていますので、よろしくお願いします」

 

 

そう言って電話機の子機を渡す愛宕。

それを受け取った大和は、不思議そうな顔で通話を始める。

 

 

……これから意味不明な会話が繰り広げられることなど、今の彼女には知る由もないのだった。

 

 

 




書き終えた時点でイベント突破しました!イエーイ!
ネルソンタッチすごい楽しいですね!


あとはゴトランドを見つけて、余裕あったらローマとアクイラを見つけるくらいですかねぇ。
初月もすごくほしいけど、いけるかなぁ。
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