艦これ がんばれ鯉住くん   作:tamino

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ちょっと修正。

大和の練度は90と以前書いた気がしますが、96に訂正します。
理由は若干のインフレが進んだからですね。

もちろん指輪補正がここに乗るので、実力はさらに上がります。
元帥の艦隊も、指輪の支給は実力制度であり、結婚という意味は無いです。
そもそも元帥は妻子持ちですしね。


第73話

 

「「「 …… 」」」

 

 

なんだこれ……

 

 

ラバウル第10基地に到着した、元帥と部下一行。

彼らの目の前には、日本の里山と見違えるほどの光景が広がっていた。

 

 

一面に広がる畑と、生い茂る様々な植物。

そしてそこでせっせと農作業している妖精さんたち。

 

すぐそばの段々になった部分には水が張られ、山葵田と生け簀が存在感を放っている。

 

そしてその奥には高級旅館と見まごうばかりの建物と、古民家にありそうな土倉が鎮座している。

 

 

「ええと……ここって日本人町か何かでちか……?」

 

「いえ、ラバウル第10基地で合っているはずよ……」

 

「そもそも日本人町がこんな南方にあるなんて、聞いたことありませんし……」

 

「うむ。随分変わった鎮守府だと聞いていたが、これほどとはな」

 

「提督さんはホントにメンタル強いよねぇ……尊敬しちゃうわ……」

 

「……うわぁ、なんだこれ……

ここって戦闘施設だよな?俺の頭がおかしくなったのか……?」

 

「……」

 

 

事情を知っている大和でも、この光景には閉口してしまった。

 

どう見ても鎮守府ではない。

というか軍事施設にすら見えない。

そもそも公的施設と言うのもはばかられる。

 

確かに高雄から色々と聞いていたが、報告以上にスゴイことになってた。

 

 

「それでは行くぞ。待たせてしまっては悪い」

 

「あ、ちょ、ちょっと待ってよ提督さん!」

 

 

この違和感バリバリの空間にもまったく動揺せず、歩を進める元帥。

実力者である第1艦隊のメンバーでも動揺してしまうというのに、とんでもない精神力だと言える。

 

 

 

・・・

 

 

移動中

 

 

・・・

 

 

 

「「「 …… 」」」

 

 

なにこれぇ……

 

 

旅館の前に移動した一行は、またおかしな光景を目にすることになった。

 

旅館の横には流れるプールがあり、ヤシの木が生えている。

確かにここは南国だが、南国リゾートではないのでは……

 

さらにその奥には、日本の田舎によくある豪農屋敷と、蔵が建っていた。

こちらも非常に立派な造りだ。

 

そして海側には何か大きな建物が建っている。

パッと見外観は一番鎮守府棟っぽいのだが、建物の一部がガラスづくりになっていて、中には観葉植物が茂っているのが見える。

もっとよく見ると、建物の中に川が流れていたりする。

 

 

ええと……鎮守府棟はどこ……どの建物……?

 

 

「これはなかなかいい造りをしているな。災害にも強そうだ」

 

「提督……そういう問題じゃないでち……」

 

「まさかとは思いますが……この旅館かお屋敷が、鎮守府棟なのでしょうか……?」

 

「そうなのでしょうね……他に建物は無いし……」

 

「絶対こんなのおかしいよ……」

 

「なぁ、大和さん……

鼎大将の弟子のひとりだって聞いてたから、ある程度は覚悟していたが……」

 

「木曾……言いたいことはわかるわ……」

 

 

元帥除き呆気にとられる面々。

事前情報があった大和でさえこの有様である。

 

そんな面々の前に、鎮守府棟である豪農屋敷から出迎えがやってきた。

 

 

 

たたたっ

 

 

 

「……すいませーん!皆さん!出迎えが遅れまして!」

 

「……あ、古鷹さん」

 

 

手を大きく振りながら小走りでやってきたのは、秘書艦の古鷹である。

 

 

「ハァ、ハァ……申し訳ありません!お待たせしちゃいまして!」

 

「構いませんよ、古鷹さん。

急にお邪魔してしまったのはこちらですし、到着の時間も細かく決まっていなかったですし」

 

「いえ、それでも概ねの到着時間は連絡していただいていたわけですし、元帥のお出迎えに遅れてしまうなんて……」

 

 

息を切らしながらバツが悪そうにしている古鷹を見て、安堵のため息を漏らす大和。

どうやら彼女に関しては、大本営で初めて会った時とほとんど変わっていないようだ。

姿だけは改二となり、大きく変わっているが。

 

 

「そこまで気にかけていただいていたのに、遅れてしまったということは……

なにかあったのですか?」

 

「ええと……申し上げにくいのですが……

天城さんの着付けに手間取っていまして……」

 

 

 

「「「 (着付け……?) 」」」

 

 

 

「あの方はなんていうか、その……

服を着ていることに少々抵抗を覚える方でして……」

 

「「「 ええ……??? 」」」

 

「それでその……朝寝ぼけていてですね……

何も着ずに部屋から出てこようとしまして……

それを見てしまった筆頭秘書艦の叢雲さんと提督が、大変なことに……」

 

「た、大変なこと、ですか……?」

 

「はい……叢雲さんが視界を塞ぐために、とっさに提督にアイアンクローを喰らわせまして……それで提督が気を失ってしまいまして……

そういうわけで、私が寝ぼけた天城さんの制服艤装を着せまして、叢雲さんは提督の看病をしているという状況でして……」

 

 

 

 

 

提督にアイアンクロー……?

 

 

 

 

 

彼女たちの知る、提督と秘書艦の関係性からかけ離れた行動に、

困惑してクエスチョンマークを頭に浮かべる面々。

 

 

「そういった事情で、唯一動ける私が出迎えに来たんですが……

遅れてしまって本当に申し訳ないです……」

 

 

言葉通り本当に申し訳なさそうな表情で、頭を下げる古鷹。

 

 

「い、いいんですよ。そんなに恐縮していただかなくても……

それにしても、りゅ……鯉住少佐は大丈夫なのでしょうか……?

叢雲さんにその……攻撃されたんですよね……?」

 

「ああ、提督に関しては大丈夫です。これくらいならよくあることですので。

しばらくしたら目を覚ますでしょうから、皆さんへの対応もできるはずです」

 

「よ、よくあること……?」

 

 

部下が提督に手をあげるのが、よくあることでいいんだろうか……?

 

 

「ひとまず皆さんを客間にお通ししますね!

申し訳ありませんが、提督が復活するまで少々お待ちください!」

 

「「「 はい…… 」」」

 

「それではこちらです!着いてきてください!」

 

 

先導して元気よく歩き始めた古鷹に、とぼとぼついていく一行。

なんかもうツッコむのも野暮な気がしている。

 

 

・・・

 

 

客間へ移動完了

 

 

・・・

 

 

「待っててくれって言われましたけど……

なんといいますか……先ほどの発言、良かったのでしょうか……?

鎮守府内で暴力が日常化しているなど……」

 

「もうホント、分かんない事ばかりだけど……

秘書艦のひとりが問題ないって言ってたんだし、別にいいんじゃないの?扶桑さん」

 

 

先ほどの古鷹の発言(提督にアイアンクロー)を受けて、聞き流していいものか迷っている、大本営の皆さん。

 

一応ではあるが、彼女たちは『鎮守府が適切に運営されているか判断する』という任務を受けている。

提督への暴力行為とも取れる現状をどう判断したものか、それぞれが決めあぐねているのだ。

 

 

「そうでちかね、瑞鶴さん……?

海軍規範を考えるとアウトな気がするでち……

……放っておいていいの?提督?」

 

「本人たちの間で信頼関係が築けたうえでなら、その程度全く問題ない。

暴力行為というよりは、スキンシップといったところなのだろう」

 

「お前は細かいとこ気にしないもんな。

そういうとこ、頼りにしてるぜ」

 

「木曾君。信頼関係が築けているかどうかは、最も重要なことだ。細かいことではないぞ。

他人が決めた規範よりも、当人たちの絆の方を重視するべきだな」

 

「提督の言う通りね。しっかり勉強しなさい。五航戦の平たい方」

 

「はぁ!?私さっき『別にいいんじゃない?』って言ったよね!?

加賀さんにそんなこと言われる筋合いないんですけどぉ!?

ていうか平たい方って何!?何が平たいって言うの!?言ってみなさいよぉ!?」

 

「その規模の格納庫で、搭載機76機は詐欺ではなくて?」

 

「どういうことかな加賀さんんんん!!?

中破で案山子になっちゃうようなペラペラ飛行甲板積んでる人に、平たいとか言われたくないんですけどぉ!?」

 

「頭にきました」

 

「あ、あわわ……」

 

 

大本営第1艦隊、いつもの流れである。

 

 

「ゴーヤよ。今のふたりを見てもわかるだろう?

信頼関係が伴っていれば、はたから見れば罵り合いに見えようとも、それはコミュニケーションの一環なのだ」

 

「提督はこの状況で、よくそんな反応できるよね……」

 

「あまり気にしない方がいいですよ、ゴーヤさん。

加賀さんと瑞鶴さんのふたりにしても、こちらの鎮守府の皆さんにしても、信頼関係はしっかり築けています。

私は一度、鯉住少佐、叢雲さん、古鷹さんの3人と、お話したことがありますので、よく知っています」

 

「そういえば大和さんは面識があったんだよね。

そこまで自信があるなら、信じてみるでち」

 

「ええ。そうしてください」

 

 

マイペースに時間をつぶす大本営一行。

鎮守府が里山+αで、しかも提督が処されていたという精神的奇襲を受けたのにもかかわらず、すぐに持ち直したのは流石である。

 

そんな調子で待機していたところ、話題の人物たちがやってきた。

 

 

……とんとんとん

 

 

「む。どうぞ」

 

 

すぅーっ……とんっ……

 

 

「……失礼します。

お出迎えに向かうことができず、大変申し訳ありませんでした……」

 

「本当に、ご迷惑おかけしました……」

 

 

入室早々、謝罪のために頭を下げる、鯉住少佐と筆頭秘書艦の叢雲。

やらかしにやらかしを重ねてしまったので、初手謝罪もやむなしといったところ。

 

 

「構わないとも。頭を上げてくれ」

 

「……恐縮です」

 

 

元帥の言葉通り、所在なさそうに顔を上げるふたり。

よく見ると、提督の頭には5本の赤筋がついている。

それを見るに、古鷹が話していたことは本当だったということだろう。

 

 

「体調は良いのか?」

 

「た、体調……?

ああ、しばらく寝込んでいたんですが、頭痛はだいぶ収まりました。

心配していただいて、ありがとうございます」

 

「ふむ。私が聞きたかったこととは違うが、その様子なら大丈夫なのだろう。

急な訪問への対応、感謝する」

 

「いえ、そんな、滅相もないです。

……それで本日皆さまがいらした目的なのですが……」

 

「新規ドロップ艦にして、強力な実力を持つ2名の見極めと、ここの運営についての視察といったところだ。

いずれも達成率が5割を切るような研修をやり遂げた、所属艦娘の実力についても確かめたいと思っている」

 

「やはり、そういうことなのですね……」

 

 

プンスコしていた大和に一方的に連絡を受けていたので、詳細については聞いていなかった鯉住君。

大方予想通りだったため、動揺は少なく済んだようだ。

 

しかしそれでも、自分たちが目をつけられているという恐怖は隠しきれない。

それを察して元帥は、場を仕切るよう務める。

 

 

「まったく緊張する必要はない。安心してくれ。

キミたちは非常によくやってくれているのだ。罰を与えようなどという話では、断じてない。

少佐が鼎君に接するように、気を楽にして私に接してくれればよい」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「うむ。私達としても、そちらの方がやりやすいのでな。

……それではまずはドロップ艦の確認をしたい。

こちらは私と大和、そちらは件の2名と少佐で話を進めたいと思っている。

いいだろうか?」

 

「は、はい。もちろんです」

 

「それではすまないが、ふたりを呼んできてくれ。

それと大和君以外のメンバーを連れていき、そちらの部下と交流をしてきてもらいたい。頼めるか?」

 

「はい。それじゃ叢雲、頼んでいいかな?」

 

「ええ。あのふたりにここに来るように言うのと、大本営の皆さんに、ウチのメンバーを会わせればいいのよね?」

 

「それで構わないよ。叢雲も一緒に交流してきてくれ」

 

「わかったわ。

……それでは皆さん、ご案内しますので、こちらに」

 

 

ぞろぞろ……

 

 

叢雲の先導で退室する大本営のメンバー。

転化組ふたりへの連絡は、古鷹に引き継ぐなりしてくれることだろう。

 

 

 

・・・

 

 

 

「……さて。

それではふたりが来るまで、事実確認でもしていようか。

少佐たちはラバウル第1基地・第2艦隊のメンバーの救援に向かい、そこで戦闘を行い、敵深海棲艦が転化。そのまま連れ帰ってきたとのことだが」

 

「あ、はい。それで合っています。

やっぱり人払いしたのって、転化について話すからだったんですね」

 

「そういうことだ。

今回の訪問で私は、日本海軍の行く末を決めるきっかけを探しに来た。

奥歯にものが挟まったような状態では、重要な話ができない可能性が高いのでな」

 

「そ、そんなに重要な目的をもっていらしたんですね……」

 

「その辺は当事者の2名が来てから話をしよう。

……それで、少佐はまだ提督となって半年もなっていないということだが、調子はどうだ?」

 

「調子……ですか?」

 

「ああ。別に何か裏がある質問というわけではない。

私も良く知る鼎君と、そのお弟子さんに師事してきたのだ。能力に疑問があるわけではない。

しかし実際の提督業は、自身がどれだけ優秀か、というところよりは、部下との関係を良好にすることの方が、重要かつ難しい問題だからな。

先輩風を吹かすつもりはないが、何か気になる点があれば答えよう」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 

元帥といえば近づきがたい存在のように思っていたが、実際に対面してみれば、気のいい親戚のおじさんといった感じだった。

というか実際、彼は親戚のおじさんに人生相談をしていたこともあり、その姿と元帥がすごく被っている。

おかげでいい感じに気を抜くことができ、思っていることを相談してみることにした。

 

 

「えーと、その、ですね……

ちょっと申し上げにくいんですが、ケッコンカッコカリ制度について、ひと騒動ありまして……」

 

「ふむ。私も高雄君からの報告は聞いていたが、部下全員とケッコンカッコカリをしたとのことだったな?」

 

「アッハイ……元帥にも伝わってたんですね……

それについて、聞いてもらいたいことがございまして……ッ!?」

 

 

謎のプレッシャーにより言葉が詰まる鯉住君。

当然というかなんというか、そのプレッシャーの出どころは、元帥の横に座る大和である。

 

凄くニコニコしているのだが、逆にその笑顔が怖い。

 

 

「どうしたんですか、鯉住少佐?

どういったつもりでそのような行動をしたのか、早く説明していただけないですか?」

 

「や、やっぱり大和さん、怒って……」

 

「怒ってないです。

なんで私が、少佐のケッコン事情を聞いて、怒らなくてはならないんですか?

そういった連絡をいただいていない以上、私には関係のないことではないですか?」

 

「あ、あの、連絡出来なかったのはスイマセン……

なにせその事件が起こってから、ドタバタしっぱなしだったものですから……」

 

「それはいいですから。説明をお願いします。

重婚された理由を、できるだけ詳しく、お願いします」

 

「は、はいぃ……」

 

 

真面目で奥ゆかしい性格の大和にとって、重婚というのは非常に受け入れがたいものである。

鯉住君の部下たちには、そこまで重婚を気にする性格の艦娘がいないのだが、世間的に見れば重婚と聞いて顔をしかめる艦娘の方が多数派だ。

 

……彼にもそのニュアンスは伝わっている。

ここで下手な説明をすれば、超VIPな大和の機嫌を大きく損ねるかもしれない。

 

慎重に言葉を選び、当時の状況を説明することにする。

 

 

「実はですね……」

 

 

・・・

 

 

説明中

 

 

・・・

 

 

「……ということなんですよ……」

 

「なるほど。

それはなんというか、大変だったな」

 

「……」

 

 

彼が話をする前と違い、眉をハの字にして口を開け、ポカンとした表情をしている大和。

 

それもそのはず。

彼女はてっきり鯉住君が、若さと欲に任せてケッコンを全員に迫ったと思っていたのだ。

しかし実際は、言ってしまえばその逆であり、断ろうとしても断り切れずに重婚に至ってしまった、というのが真実なのであった。

 

誠実な性格の彼がなんでそんな真似を……と疑問に思っていたので、この証言には納得せざるを得なかった。

 

 

「決してみんなのことが嫌いだとか疎ましいとか思ってるわけではありません。

それに足柄さんからは、今までの調子で接してくれれば、みんなそれで満足だとも言われました。

……だけど、なんといいますか、こう……

自分の中で結婚というのは、もっと大事なものでですね……割り切れないと言いますか……」

 

「つまり君は、ケッコンカッコカリをしたからには、何か自分も特別なことをしてやらないといけない、そう考えているということか」

 

「……まぁ、そんなところです」

 

「そうだな……ならば、こういうのはどうだ?」

 

「な、なんでしょうか?」

 

「君が後ろめたさを感じているのは、特定のひとりを選んでいないからだろう。

ならばひとりを伴侶と決めればよい」

 

「「 ちょ、ちょっと待って下さい! 」」

 

 

元帥のざっくりしたアドバイスに、ふたりそろって待ったをかける、鯉住君と大和。

 

 

「何言ってるんですか提督!?

少佐はもう全員に指輪を渡した……というか、なんというか……!

とにかくケッコンを済ませているんですよ!?」

 

「それは制度としてのケッコンで、人生の伴侶を選ぶ結婚ではないだろう?

私だって妻子はいるが、キミたちにケッコンカッコカリの指輪を渡しているではないか」

 

「それはそうですけど!

急にそんなこと言いだしたって、みんな納得するわけないじゃないですか!

女の子が、指輪の交換を済ませた相手からいきなり『本当の相手を別に決めた』なんて言われたら、どう捉えると思っているんですか!?」

 

「それはその通りだから、全員で正直に腹を割って話しあうしかないであろう。

そもそもこのままの関係性では、彼が部下に無意識に壁を作ってしまい、そのひずみはいずれ、大きな問題となって表れてしまう」

 

「げ、元帥……そうしなければならない、という意見はわかりますが……

私は艦娘の皆さんを伴侶に選ぶつもりはなくて……」

 

「ほう?何故だね?」

 

「彼女たちは人類にとってのヒーロー……いや、女性にその表現は正しいんでしょうか……?

まぁ、とにかく、個人が共に歩むには過ぎた存在です。

私程度が彼女たちを、結婚なんていうもので縛りたくはないんですよ……」

 

「ふむ。君はそう考えているのか」

 

「指輪渡しといて、なんてこと言うんですか!」

 

「な、なんで大和さんが怒ってるんですか?」

 

「それでは人間の嫁を貰うのはどうだ?

私の人脈でよければ、いくらか伝手がある。見合いで相手を見つけるのもよいだろう」

 

「提督は何言ってるんですかぁ!?」

 

「よいではないか。

人間の相手がいれば、彼も落ち着くだろう。

部下の艦娘の説得には、ある程度骨が折れるだろうが、不可能ではあるまい。

何より今のままでは、彼は生涯独り身ということになるだろう」

 

「そんなの不可能ですっ!

少佐には指輪を贈った相手がいるんですから、これ以上混乱させるなんて良くないです!」

 

「それくらいしか解決策がないように思えるがな。

とにかく少佐。その気があるなら一報くれたまえ。私の個人連絡先を渡すから」

 

 

そう言ってサラサラっとメモ用紙に連絡先を書き、鯉住君に渡す元帥。

 

 

「は、はい……ありがとうございます……」

 

「その気になんてならないで下さいよ!?

それじゃあまりに部下の子が不憫すぎますっ!!そんなの許しませんっ!!」

 

「は、はい……」

 

 

何故か本人以上にヒートアップしている大和の迫力に、うなづく事しかできない鯉住君。

この話を出したのは失敗だった気がしている。

 

ちなみにこれで彼がゲットした連絡先は、

伊郷元帥、大和筆頭秘書艦、鼎大将、その弟子の3名、白蓮大将、高雄筆頭秘書艦、と、エライことになっている。

 

その気になれば国がいくつか獲れるメンツである。

 

 

 

・・・

 

 

 

「な、なんだかすいませんでした……個人的な相談に乗ってもらっちゃって……」

 

「大した解決策を提示できたわけではない。すまなかったな」

 

「い、いえ、聞いてくれただけでも楽になりましたし……」

 

「もっと少佐は、艦娘のことを見るべきです!

そもそも今回の話だって、少佐がしっかり断れば済んだ話ですし!」

 

「なんかホントすいません……」

 

 

鯉住君が脱線させてしまったことを謝っていると……

 

 

ガララッ!!

 

 

「うわぁっ!」

 

 

ふすまが急に開き、例のふたりが現れた!

 

 

「待たせたな、Admiral!!

アークロイヤルと天城、ただいま到着したっ!!」

 

「お、おう……待ってたよ……

それにしてもふたりとも、ちゃんとノックはしような……」

 

「そのような些細なこと、問題ではないわ!それよりも!」

 

「そ、それよりも……?」

 

 

やけにキラキラした目をしたアークロイヤルと、おねむなのか目をこすっている天城。

嫌な予感しかしない。

 

 

「聞いたぞ!?

Admiralは全員にmarriage ring(結婚指輪)を渡しているのよね!?

なら私にも用意してもらいましょう!!ついでに天城にも!!」

 

「ちょ、待っ……!!聞いてたって、いつからそこにいたの!?」

 

「Admiralが悩み相談すると言って、話し始めたあたりからね!!」

 

「随分前じゃないか!なんでさっさと入ってこなかったの!?」

 

「面白いことが起こる気がしたのよ!結果として大正解だったわけだけれど!

さぁ、すぐにshopまで行って、見立ててもらいましょうか!

私はdiamond(ダイアモンド)のringがいいわね!」

 

「それガチな結婚指輪じゃない!?勘弁して!!

ほら、天城も巻き込まれて迷惑でしょ!?この相方、止めるの手伝って!!」

 

「ふわぁ……私は別にどちらでもいいですから……

提督が指輪をくださるというなら、喜んで受け取りますし……むにゃ……」

 

「そんなテキトーな感じで決めちゃダメな奴だから!!

もっとしっかりした気持ちで断って!!」

 

「えー……?

この人言い出したら聞かないから、止めるなんて無理ですよ……?」

 

「そんな……救いは無いのか……!?」

 

「諦めて私と結婚しなさい!」

 

 

急な乱入に呆気にとられて、ポカンとしている大和に、何かに納得しながらアゴに手を当てうなづく元帥。

 

ともあれ、今回の目的である転化組のふたりが揃うことになった。

ここからどういった話が始まるのだろうか?




欧州動乱の真実が次回明かされる……ことになるといいなぁ。
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