HuGっと!プリキュア 竜騎の暗殺者   作:水甲

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第103話 突然の駆け落ち

俺は何故かルールーと一緒にたこ焼きを食べていた。普通だったら一緒にでかけてそういう事になったのだろうかと思うが……事情がちょっと違う。俺とルールーは今、駆け落ち中だった。

 

 

 

遡ること数十分前

 

未来から戻ってきた俺たち、そこにやってきたトラウム。話を聞くとどうにも……

 

「つまり私達を未来に連れて行ったのは……」

 

「そう私なんだよ。それに彼らもね」

 

「何でまた……」

 

「君たちなら未来へ行ってもどうにか戻ってくると思ってね。そして戻ってきたら話そうと思っていた。未来で起きた悲劇について……」

 

トラウムは小さな機械を取り出した。するとさあやが目をきらめかせていた。

 

「わぁ~何?それかわいい~」

 

「マジで!?」

 

「さあやって……」

 

「では始めよう!3分で分かる未来劇場~」

 

機械から映し出された映像を見ながら俺たちは未来について話を聞くことになった。

 

「クライアス社の目的は未来をなくすこと!そのため世界にトゲパワワを蔓延させた。……がそこに現れたのは4人のプリキュアだ」

 

「未来にもプリキュアが……」

 

「それに未来には帝具を引き継いだものたちもいた」

 

帝具を引き継いだって……未来にまで引き継がれるものなんだな……

 

「プリキュアと帝具使いたちの妨害によって、時を止めることが叶わなくなった。そこでプレジデント・クライは未来を育む女神マザー。その力を宿す少女キュアトゥモロー、彼女を消し去ることで時を止めることにした」

 

「そこからは俺が説明する」

 

ハリーはそう言い、説明を交代した。

 

「あれはハリハリ地区が滅びてすぐのことやった」

 

ハリーはクライアス社の実験で凶暴な獣の姿に変わり、クライアス社の目的に尽力していたが、そのうち暴走し、クライアス社に拘束されてしまった。

そんなハリーの前にキュアトゥモローが現れ、ハリーを救った。

 

そして激しい戦いの中、キュアトゥモローはクライアス社に囚われてしまったが、ハリーは助けてもらった恩や彼女の思いを知っていたから、ハリーは彼女を檻から出し、一緒に逃げ出した。

 

『ハリー、逃さないよ』

 

ハリーとトゥモローの前にビシンとトラウムが立ちはだかり、更にはハイトによく似た男がいた。

 

『逃げた所でどうにもならない。お前の仲間も帝具使いも処分しておいた』

 

『くっ!?』

 

ハリーが戦おうとするがトゥモローが止め、ミライクリスタルホワイトの力を使い、過去へと逃げた。だが力を使い果たした影響で、過去に……つまりこの現代に来たときにはトゥモローは赤ん坊に……はぐたんになっていた。

 

 

 

 

 

「は、はぐたんが……キュアトゥモロー!?」

 

はな達五人が驚く中、俺はあることが気になった。未来でハイトに似た男がいたっていうのは……

 

「トラウム、そいつは一体……」

 

「ハイトに似た男は言うなればハイトだよ。ただし彼の記憶や知識をすべて受け継いだクローンだけどね」

 

クローン……奴のクローンが存在するって言うなら俺たちナイトイェーガーズは……

 

「ミナト、はなたちが言ってただろ」

 

「そうね。未来は変えられるって」

 

「そうだよな」

 

もしかしたら俺たちは敗北してしまったのかもしれないって思っていたけど、未来は変えられるからな……

 

「ハイトの目的は時を止めることで未来で起こる悲劇をなかったことにしたいということだ。彼自身君たちがいた世界の事を思ってのことなんだろうね」

 

「……だとしても俺はあいつのやり方は気に入らないけどな……抗わないっていうことがな」

 

「だな。俺とマインは知ってるから……戦い抜いて俺達の世界は明るい未来に変わったって言うことを」

 

「そうね。私達は抗ったからこそね」

 

俺、タツミ、マインはそう言って笑いあった。そしてはな達もこれから先はぐたんが狙われることを知り、守り抜くと決めるのであった。

 

そんな中、ルールーはトラウムを睨んでいた。

 

「何故私達に今の話を伝えに来たのですか?」

 

「マザーの力を目覚めさせた君たちなら、クライを止められると思ったんだ」

 

「わからない。貴方も時を止めたいと思っていたのでしょう」

 

「あぁ」

 

「なのに……」

 

「それは……」

 

「何故です!?」

 

ルールーとトラウムの間に変な空気が流れ出した。何というか親子なんだからもうちょっと仲良くできないものか……

 

「ルールー、私はお前のことを思って……」

 

「あなたは私を不要物とみなし、捨てたと分析します。なのに理解不能です……貴方が親だと言うなら……」

 

ルールーは突然俺の腕を掴んできた。そしてえみるに申し訳なさそうにしながら……

 

「えみる、ごめんなさい」

 

「はい?」

 

「私は彼と駆け落ちします!」

 

駆け落ちか………っておいっ!?

 

ルールーは俺の腕を掴んだままビューティーハリーを飛び出していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今に至る……

 

「なぁルールー、食べ過ぎじゃないのか?」

 

「ミナトは……親というものは何なのか分かりますか?」

 

「あー、悪いけどあんまり覚えてないんだよな。聞いた話だと俺が生まれた時に死んだって聞いてるし……まぁ村の人達が親みたいなものだしな………」

 

親ではないけど、家族と言うなら警備隊のみんなだったり、ナイトレイドのみんなだったりするからな……

 

「ミナト……」

 

「というか駆け落ちっていうのは逃げ出す理由として使っただろ」

 

「はい……それにミナトなら何かしらの答えを教えてくれると思って……」

 

何というかルールーに信頼されてるんだな。俺って……きっとえみるも信じてくれているんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライアス社 研究室

 

「それじゃハイト、出撃してきますわ」

 

「ならば彼女を連れて行ってくれないか?」

 

「彼女?リアン?それとも私の皇具の奥の手を使用するにあたって改造されている彼女たち?」

 

「いいや、未来で私のすべてを受け継いだ者から送られてきた彼女だ。奴自身最後の力を振り絞って彼女を操り、この世界に送った」

 

「役に立つなら……」

 

「役に立つさ。なぁ未来の龍騎よ」

 

「………」

 

ハイトとメラルドの前には長い黒髪に目が虚ろな少女が一人、そしてその手には……

 

「その帝具……本当に面白いことになるわね」

 

 

 

 


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