ある日、俺はアカメ、ブラートの兄貴、シェーレに呼び出されていた。どうにもアンリのことで話があるらしく、話を聞くと……
「アンリの足が……」
「あぁ何度か手術したらしくってな」
「それでも治らないみたいなんだ」
「今度の大会でスケートを終わりにするらしいですが」
その話はほまれは……アンリの性格を考えると言ってなさそうだな。
「それで俺に話して……どうにかしろって言うのか?だとしら無理だぞ」
「いや、前にアンリとお前がクライアス社に勧誘を受けたことを覚えているか?」
そういえば……もしかしてアンリの足のことを知っていたからクライアス社は……だとしたら……
「俺達も気をつけておくが、お前の方も気をつけろ」
「分かってる」
アンリの足か……大丈夫なのか心配だな。
次の日、学校の警備中にはなとアンリが話しているのが聞こえてきた。
「めちょっく!何故このデザインが駄目なのでありますか!?」
「滑りにくそうだから」
「一言で切り捨てられた!?」
「まぁ、悪くはないけどね」
「なら、何で最初はノーから入るのでありますか?」
「君も僕のことが詳しくなってきたね。これが若宮アンリなんだ」
「何だか仲良さそうだな……」
「あっ、ミナトくん」
「やぁ、結婚おめでとう」
「まだ結婚してないからな……それで何の話?」
「アンリくんの衣装のデザインを書いてみたの」
はなはスケッチブックに描かれたデザインを見せてきた。まぁスケートのことはよく分からないけど、確かに滑りにくそうだな……
「ワールドジュニアカップも頑張らないとね」
「うん、私応援するよ」
はなが笑顔でそう言うけど、アンリは……
俺はアンリの方を見ると、口元に指を当てていた。内緒にしておけか……
「アンリ、頑張れよ」
「あぁ、頑張るよ」
俺はそれだけを伝えて、二人のところから離れるのであった。
警備室で待機していると、アンリが花束を抱えて訪ねてきた。
「やぁ、さっきぶり」
「人気者だな……」
「あぁ、人気者だからね」
自信家なのは最初にあったときから変わらないな……
「それで何か用か?」
「昨日、アカメたちから君に僕のことを話したって聞いたんだよ。誰にも言ってないだろうね」
「一応な。隠しておくことなのか?」
「いつかはバレることだけどね……今だけは全力で頑張りたいんだ。最後まで若宮アンリとしてね」
若宮アンリとしてか……全く……
「さっきも言ったけど、頑張れよ。最後まで……」
「あぁ」
クライアス社
「リストルに使命を与えたのか?」
ハイトはジョージ・クライに声をかけていた。
「あぁ、ある少年の運命が決まるからね……」
「運命か……その本に書かれていることは本当に起こるのか?」
「これには未来が描かれている。覆すことはできない……はずだったが」
ジョージ・クライはいくつもの未来が覆されたことを知っていた。ハイトは笑みを浮かべながら……
「プリキュアか……」
「あぁ、だがこの少年、若宮アンリの未来を覆すことは無理だろう。そしてミナト・ユウもだ」
「奴の未来とは?」
「……全てを超越し、究極の力を手にしたものによって、ミナト・ユウはその生命を失う」
「そうか……お前はそんな奴を救いたいのだな」
「あぁ……」
「出来ればいいな。それで今回は誰がいくのだい?」
「リストルに任せたよ」
「ならば彼女にも出てもらおう……」
アンリSIDE
「彼女たちも話さなくて良いことを……」
車に乗りながら、居候のアカメたちが僕の足についてミナトに話したことを思い出していた。彼女たちも僕のことを心配してのことだろうだけど……
「彼女たちなりの優しさだろうけど……」
僕は最後まで僕として……
「最後にもう一度だけ、氷上の王子、若宮アンリとして……勝つ!」
そう決意した瞬間、クラクションの音が鳴り響き、目の前にはこっちに突っ込んでくるトラックが見えた。