突如現れた少年がほまれに抱きついていた。それに驚くはなとさあや。するとほまれは無表情で少年を言った。
「アンリ、やめて」
「つれないな~僕と君との間じゃないか」
「何しに来たの?」
「君を迎えに来たんだよ。ほまれ、一緒に僕とモスクワに行こう」
何だか勝手に話進めてきたぞ。このイケメン……
とりあえず謎の少年、アンリをハリーハウスに招き入れるとさあやがアンリが誰なのか調べていた。
「若宮アンリくん。中学3年生、すごいフィギュアスケートで出場した大会全部一位だ」
「スケート界の新星。未来を約束された王子様ってとこやな」
「なぁ、タツミ、なんだろうな?俺、イケメン見ると無性に殴りたくなってくるんだけど」
「ウェイブ、偏見だからな」
「いや、俺から見たらウェイブもイケメンじゃないか?」
「うん、ミナトの言うとおり、ウェイブはイケメンだよ」
「あ、ありがとうな。クロメ」
ウェイブとクロメがいちゃつき始める中、試着室からアンリが出てきた。だけどアンリが着ている服、どうみても女性ものだけど……
「ちょ、それ、レディースやで」
「似合っていれば問題ないだろ」
「うん、凄く似合ってるよ。まるで女神様みたい」
「フフ、よく言われるよ」
あれ?なんだろう?この苛立ち……俺もイケメン嫌い病になったのか?だけどハリーは……
「あぁネズミだからか」
「ミナト、いきなり何言ってのや」
「君たち、どういう集まりか知らないけど、ほまれをここに縛るのはやめてくれないか?」
「しばる?私達がほまれを……」
「君たちとほまれは住む世界が違うって分かってる?本格的にスケートを始める大事な時期はもうすぐだ。ほまれ、よく考えて」
アンリはそう言って、去っていった。というかあいつ、自分の服置いていったぞ
「ハリー、この服、処分しとくか?」
「ミナト……お前どうしたんや?」
「俺にもよくわからん」
やっぱりイケメン嫌い病にでもかかったのか?やれやれ、どうすれば治るんだこの病気は……
その日の夜、何となくはなの様子が気になり、部屋を尋ねると何だか元気がなかった。
「どうしたんだ?」
「ミナトくん、私ね、ほまれとお別れしたくないなって……」
「せっかく友だちになれたのにか?」
「うん……」
はなの気持ちは分かる。仲良くなったのに離ればなれになるのは嫌だもんな。だけど……
「はな、今は別れたくないっていうのはしょうがない。だけどいつかお別れすることになった時、どうするんだ?」
「えっ?」
「俺は大切な仲間と別れることになったりしたさ。それももう二度と会えないくらいにな。その度に辛くなったよ。だからはな、覚悟はしといたほうがいい。ほまれの答えを聞く覚悟を……」
「覚悟……」
「それじゃおやすみ」
俺はそう言って部屋を後にするのであった。
「覚悟か……どんなに覚悟しても結局別れる時は辛いもんな。あのアカメだって……」
あいつは自分の気持を隠すのが本当に得意だった。今、あいつはどうしてるんだろうな?
そんな事があってからの数日後、はなたちと一緒におでかけに来ていた。はなたちとハリー、はぐたん、俺の他にはサヨとウェイブも一緒に来ていた。
各々が公園で楽しむ中、俺、ウェイブ、サヨ、ほまれの四人で散歩をしていた。
「それでほまれ、どうするんだ?」
「どうするって?」
「あのイケメン野郎の言うとおりにモスクワに行くのかってことじゃないのか?」
ウェイブに言われてしまった。あくまで決めるのはほまれだから俺らがどうこう言うつもりはない。だたどうするのかが気になっていた。
「私は……」
「ほまれ」
振り向くと後ろにアンリがいた。どうやら答えを聞きにでも来たのか?
「何だ。隠れてるのに飽きたのか?」
「気がついていたのかい?」
「割と気配でバレバレだった。まぁ殺気を感じなかったから放っておいたけどな」
俺も、ウェイブも、サヨも気配については気にしないように決め、ほうっておくようにしていた。
「君たちは一体何者なんだ?いや、聞かないほうがいいか……」
アンリは何かを悟り、それ以上は何も聞くつもりはなかった。
「僕はほまれがスケートを辞めたのが凄くショックだった。だけど君はもう一度スケートを始めてくれた。そのきっかけをくれたのは彼女たちだろ。だけどほまれと同じ世界を見られるのは僕しかいない。彼女たちでは無理だ。赤ん坊の世話をしたり、お店やさんのマネをしたり、今の僕たちに必要なことかい?友達と遊ぶのは引退してからだって出来る」
アンリはほまれに手を差し伸べた。考え方には同調できないけど、これもアンリなりにほまれを気遣った上での言葉なんだろうな。
「私は……」
「そ、そんな!?」
ほまれの後ろから声が聞こえ、振り向くとそこにははなともぐもぐがいた。話を聞くのに夢中になっていて気が付かなかったな……