この世界に転移した次の日
色々と事情やこの世界のことを知るべきなのだが、ネズミ……ハリー曰く落ち着ける場所でしっかり話すべきということになった。
「それにしてもてっきりこっちだとネズミは普通にしゃべるものだと思ってたけど、お前も異世界から来たのか」
「だからネズミちゃうって言ったやろ!?」
俺は赤ん坊のはぐたんを抱きながら、はなが来るのを待っていた。それにしても何ではぐたんは俺の腕の中で落ち着いて寝ているんだよ。血の匂いとか染み込んでるのに……
「にしてもはなの家族は変わってるな~ミナトみたいな不審者をよく泊める気になるわな」
「俺はそれより本当に善意な気持ちで泊めてくれたのが吃驚だよ」
あっちだと田舎者を騙して色々とやらかす奴らがいたからな……純粋な善意ってやつは久しぶりに感じた。
「は~ぐ~た~ん!」
はなの声が聞こえると同時にはぐたんが目を覚まし、嬉しそうにしていた。
「ミナトくん、はぐたんのことありがとうね」
「お礼を言うのはこっちの方だよ。昨日泊めてくれてありがとう」
「ううん、困ってる人を助けるのは当たり前のことだから大丈夫だよ」
何というかはなを見ていると本当にここは良い世界だな。ちょっと気になるのはあっちにいるみんなは大丈夫だろうか?
「それでハリー、ここになにかあるの?」
「ふっふー、ここはな、オレらの家や」
家?特に変わったところはないみたいだけど、ここにテントでも貼るのか?それははぐたんがカワイそうに思えるんだが……
「はな、ミライクリスタル出し」
「うーん、ネズミなのに偉そう」
「ネズミちゃう言うてるやろ!ハリハム・ハリーや!」
はなは言われるまま、ミライクリスタルと呼ばれる宝石を取り出すと、ハリーは鞄から何かを取り出し、投げると木に家ができた。
「どやっミライクリスタルがあったら、こんなこともできるんや!」
「ミライクリスタルって帝具か何かなのか?」
「帝具とかようわからんけど、違う。それに驚くのはまだ早いで、ハリー、イケメンチェーンジ」
ハリーが煙に包まれるとそこに現れたのはイケメンな男だった。すごいな人型にも変身できるのか
「どや?」
「何だか驚き疲れたよ~」
「何というか色々と変身できるやつが知り合いにいるから、そこまで驚きはないな」
「お前ら……」
呆れているハリー、するとはぐたんが急に泣き出したため、俺らは小屋に入るのであった。
はぐたんが泣いた理由はどうやらおむつだったみたいで、おむつを取り替えるとはぐたんは嬉しそうにしていた。
「それで色々と聞きたいんだけど、昨日のあの化物はこの世界じゃ普通に現れるものなのか?」
「ううん、そんなことないよ」
「あれはオシマイダー。クライアス社が生み出した化けもんや」
「クライアス社?」
何だか聞く限り悪の組織みたいだ。おまけに生み出すって言うことはかなり厄介な奴らみたいだな
「そうや。オレらの世界を目茶苦茶にした悪もんや。ヤツらはミライクリスタルをねろうてる」
「ミライクリスタル……はなが持っている宝石のことだな。ソレは一体?」
「ミライクリスタルちゅうのはな、皆の元気パワー、明日への希望のパワーがアスパワワ。その結晶がミライクリスタルなんや」
要するにみんなの希望が詰まった宝石ということでいいのか?
「それが奪われたら…世界から未来が無くなる」
「未来が無くなる…って、どういう事?」
「はな、そのままの意味じゃないのか?未来がなくなるっていうことは永遠に明日が来なくなるっていうこと……つまり死んじゃうってこと。そうだろ。ハリー」
「死ぬっていうのはちょっとちゃう。時間が止まってしまうって言ったほうが正しいな」
時間が止まるか……
「ソレってどういう事?」
「誕生日もクリスマスもお正月も来いひんちゅうこっちゃ!!」
「えっ!?めちょっく!!」
はなもようやく理解し、驚きを隠せないでいた。
世界の時が止まるって言うけど、もしかして何とか出来る方法はあるかもしれないな。
「ハリー、それを止める方法っていうのは昨日、はなが変身した」
「そや、プリキュアなら皆の未来を守れる」
ハリーはそう言いながら、鞄からはなが持っている小物を取り出した。
「プリハートはあと3つある。まずは一緒に戦ってくれる仲間探しやな」
確かにはな一人じゃ荷が重い。だとしたら仲間を集めるのが先決だな。
だけどはなは何故か唸っていた。
「何や?」
「プリキュアは私一人でやる!」
「何やて!?」
「はぐたんは私が守る!それに、一人の方が恰好良いじゃん?目立つ!」
とんでもないことを言い出したこの子……
俺はため息をつき、自分のことを話すことにした。
「俺のことについていいか?」
「せやけど、ミナト!?」
「ミナトくんのこと?」
「まぁ簡単に世界のこととかな」
俺は簡単に説明した。帝国のこと、帝国が行ってきた悪行の数々。俺は帝国警備隊の一人だったけど、帝国のやり方についていけなかった。
そして俺は帝国の支配から人々を解放する軍隊、解放軍のナイトレイドと呼ばれる暗殺者集団に入ったこと……
「そ……そんな世界があるんだ……」
「クライアス社よりもひどいな……」
「それでコレが48しかない武具『帝具・呉越竜騎レガオン』これは特殊な方法で作られていて、俺のは身体の一部に装着させることで武器の形状を変えることが出来る代物だ」
呉越竜騎レガオン。使用者が体の部位に装着できる。昨日は右腕に巨大な大剣を装着した。他には左腕、両足、背中、腰にも装備できる
まぁ奥の手がある事を今は言うことじゃないな
「因みに昨日の大剣は切る事はできなくって、叩きつけるって感じで……」
「いや、そういうのはええ。それでミナトがここに来たのはその帝具ってヤツのせいなのか?」
「あぁ、そうなる」
転移系の帝具とはいえ、別世界に飛ばされるなんてな……というか今思うとこの話、13歳のはなに聞かせるのは酷過ぎたか?
俺ははなの方を見るとはなは何故かまた唸っていた。
「どうした?」
「ん~似たような話、今日聞いたような聞かなかったような……あれ?」
「ただの勘違いやろ」